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東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

骨伝導補聴器の対象者とメリット、デメリット

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補聴器には、一般的なもの以外に、骨伝導補聴器という変わった補聴器があります。こちらは、骨を振動させて音を聞く補聴器であり、伝音性難聴と呼ばれる難聴の方にしか合いません。感音性難聴の方や伝音性難聴でも音声を聞き取る力がない方が装用しても、効果は得られませんので、注意が必要な補聴器です。

難聴の種類や耳の状態によっては活用できませんので、活用できるケース、できないケースをしっかり理解する事が重要です。

今回は、骨伝導補聴器の概要から、対象者、そして通常の補聴器と比較したメリット、デメリットについて記載していきます。

ぜひ耳の聞こえを改善させるのにお役立てください。

骨伝導補聴器が合う人、合わない人

骨伝導補聴器は、冒頭の通り、骨を振動させて音を伝える補聴器です。

難聴には、主に

  • 感音性難聴
  • 伝音性難聴

の二種類があります。骨伝導補聴器は、伝音性難聴と呼ばれる難聴の方にしか合わない補聴器です。

伝音性難聴になる主な症状は、

  • 中耳炎になってしまい聴力が低下したケース
  • 鼓膜が破れてしまった方
  • 耳垢詰まり
  • 生まれつき耳の穴がない外耳道閉鎖症
  • 耳小骨と呼ばれる部分の動きが鈍くなる耳硬化症

これらが当てはまります。これらの方々の聴力としては、このような特徴があります。

骨伝導補聴器が適合する聴力、骨導値が良くないと合わない

骨伝導補聴器が適合する聴力、骨導値が良くないと合わない

こちらは、耳の聞こえを検査したデータ、オージオグラムと呼ばれるものです。オージオグラムの見方については、こちらをご覧下さい。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

骨伝導補聴器が合う方の聴力は、骨導値と呼ばれる値([:右の骨導値、]:左の骨導値)が0〜20dB以内に入っている方です。この骨導値が良い値に入っていないと骨伝導補聴器で音を聞くことはできません。言い換えればこの値が良いか、悪いかで骨伝導補聴器が使用できるかが決まります。

もう一つの難聴である感音性難聴は、

  • 老人性難聴
  • 突発性難聴
  • 騒音性難聴
  • 生まれつき(感音性難聴に限ります)

が当てはまります。これらの方々の聴力としては、このような特徴があります。

感音性難聴の特徴は、調べた数値が密集している事

感音性難聴の特徴は、調べた数値が密集している事

骨導値と気導値(○:右の気導値、×:左の気導値)がほぼ同じ位置にある場合は、感音性難聴となります。このような聴力の場合は、骨伝導補聴器を使用したとしても、音は聞こえません。

徐々に聴力低下してきた場合は、ほぼ感音性難聴です。感音性難聴について知りたい場合は、こちらをご覧下さい。

リンク:代表的な6つの感音性難聴の原因と改善方法

現在いる難聴者はほとんどが感音性難聴だといわれており、伝音性難聴である人は非常に少なくなります。この補聴器が適切か調べるには、耳鼻咽喉科に受診しましょう。耳の聞こえを調べていただき、感音性難聴か伝音性難聴かを調べていただければ、骨伝導補聴器の適正がわかります。

耳鼻咽喉科で感音性難聴だと言われた場合は、この補聴器を装用しても、全くもって効果がありませんので、ご注意ください。

なお、伝音性の難聴でも幼少期に難聴になり、それを放置し続けて何十年と経過している場合、聞こえにくい耳に音を入れても音声が理解できないケースがあります。このような場合も合いません。

こちらを確認するには、聞こえにくい耳に語音弁別能検査(語音明瞭度測定)という音声がどれだけ聞き取れるかの検査を行うと、理解しやすくなります。こちらで低い結果が出た場合も、骨伝導補聴器は合いません。音は聞こえるようになるのですが、何と言っているのかわからないため、効果を感じる事ができません。

このように骨伝導補聴器には、いくつか合わない方がいますので、注意が必要です。

骨伝導補聴器と伝音性難聴

こちらでは、骨伝導補聴器が有効な伝音性難聴の概要について記載していきます。

  • 伝音性難聴の基礎
  • 伝音性難聴にしか効果がない理由

この二つに分けて記載していきます。

伝音性難聴の基礎

伝音性難聴とは、基礎的な難聴の一つであり、全ての難聴は、感音性難聴か伝音性難聴のどちらかに分かれます。その一つが伝音性難聴です。

耳の中の図、耳には様々な器官がある

耳の中の図、耳には様々な器官がある

伝音性難聴とは、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)と呼ばれる部分に、障害が起こると発症する難聴です。外耳は、外の音を集める働きがあり、中耳は、外耳を通ってきた音を大きくし、耳の神経に送る働きがあります。この二つの部分、どちらかあるいは両方に障害が起こると、単純に音が聞こえにくくなります。

伝音性難聴は、耳の中の神経が傷ついているわけではありませんので、音を大きく聞こえるようにするだけで、だいぶ聞きやすくなる難聴です。

伝音性難聴にしか効果がない理由

骨伝導補聴器は、なぜ伝音性難聴にしか効果がないのだろう?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。これは、骨伝導補聴器の仕組みと難聴を知るとよく理解できます。ポイントは「聞こえにくくなっている原因はどこか」になります。

結論から言うと、音を感じ取る内耳に直接音を送れるため

結論から言うと、音を感じ取る内耳に直接音を送れるため

骨伝導補聴器は、頭の骨を振動させることにより、外耳、中耳を通ることなく直接音を感じ取る内耳(ないじ)の蝸牛(かぎゅう)に音を伝えられます。そのため、外耳、中耳にいくら耳が聞こえにくくなる要素があろうと、それを無視して音を感じ取る神経に伝えられます。ここが大きな特徴になります。

一方感音性難聴は、内耳が悪化する事によって起こる難聴です。骨伝導補聴器がしているのは、外耳、中耳を無視して内耳に音を伝えるため、悪い部分に直接、骨伝導補聴器の音を送っても、改善ができません。

伝音性難聴の方に有効な理由は、悪化している原因を飛び越して、音を耳に伝えられるところにあります。

骨伝導補聴器の種類を知ろう

さて、骨伝導補聴器についても見ていきましょう。骨伝導補聴器には主に2つあります。

メガネ型

骨伝導補聴器メガネ型、成人が使う骨導補聴器

骨伝導補聴器メガネ型、成人が使う骨導補聴器

※画像は補聴器メーカースターキージャパンより引用

カチューシャ型

骨伝導補聴器カチューシャ型、主に子どもが使う骨導補聴器

骨伝導補聴器カチューシャ型、主に子どもが使う骨導補聴器

※画像は補聴器メーカースターキージャパンより引用

この2点です。成人の方は、メガネ型といわれるタイプを。お子さんだとカチューシャ型といわれるタイプを使用する傾向が多くなります。※青い補聴器には、もう一つバンダナを巻いて骨伝導部分を着けるタイプもありますが、そう出る物ではありませんので、説明を省きます。

メガネ型は、メガネの後ろのツルが補聴器(黒い部分です)です。カチューシャ型は、青い部分が補聴器です。メガネ型、カチューシャ型、どちらも聞こえに関しては同じです。

二つとも、両方に補聴器がついていますが、片方だけ使用する事もできます。メガネ型は、つるの黒い部分、カチューシャ型は、一番下の青い部分に振動板(※骨導子とも言います)がついています。どの骨伝導補聴器もマイクから音を拾い、振動板から音を出す仕組みになっています。

骨伝導補聴器のメリット、デメリット

次に骨伝導補聴器のメリット、デメリットを見ていきましょう。なお、こちらは、一般の補聴器と比較した場合になります。

メリット

  • 耳を塞がない
  • 一般の補聴器と比較して聞こえが良い(かも?)

一般の補聴器は、耳を塞ぐ必要があります。しかし、骨導補聴器は耳を塞ぐ必要がありません。そのため、耳を塞ぐと起こる自分の声の響きを感じなくて済みます。こちらが最大のメリットです。伝音性難聴の場合、骨導値が良いため耳を塞ぐと非常に自分の声が気になる傾向が出ます。それを感じにくくなるのは、快適性という意味で、強いメリットになります。

また、耳の中に湿気が多い方ですと、耳を塞ぐ事でかゆみが生じる事があります。塞がなければ、通気ができるため、かゆみも抑えられます。こちらも塞がない事によるメリットといえます。

音質に関しては、恐らく伝音性難聴であれば、通常の補聴器と骨伝導補聴器どちらも変わらないと考えられます。ただし、耳を塞ぐか、塞がないかでも音質は変わりますので、骨伝導補聴器の方がスッキリ聞こえて良いのかもしれません。

骨伝導補聴器のメリットは、ほぼ耳を塞がない事によるメリットとなります。

デメリット

  • 締め付けにより耳が痛くなる可能性がある
  • 保持面が不安定
  • 比較的高価
  • メガネがかけづらい
  • メガネのように耳の裏がへこむ可能性がある

これらがあげられます。

骨伝導補聴器は、適切な位置に骨導子を当てる事で聞こえるようになります。ある程度、強めの締め付けがないと音が伝わりません。締め付けを弱くすると音が伝わらなくなってしまいます。しかし、締め付けが強すぎると痛みの原因になります。この微妙なさじ加減が難しく、場合によっては、締め付けにより、耳の裏が痛くなる可能性があります。

保持面の不安定は、補聴器そのものが大きい事、一定の位置に骨導子を当て続ける必要がある事、この二つによるものです。ぶつかったりして、骨導子の位置がズレると当然、聞こえなくなります。その場合は、ズレるたびに正しい位置に戻す必要があります。このような手間が発生する事がデメリットです。

また、骨伝導補聴器自体が数が少ないため、比較的高価になります。補聴器片耳で約20万、両耳で約40万するケースが多くなります。

カチューシャ型の場合、メガネが掛けづらくなります。ちょうどメガネのツルがカチューシャ型とクロスする部分がでてしまいますので、うまくかけることができません。ツルとカチューシャ型の接点の部分は、つるつるすべるため、外れやすくもなります。ここも欠点といえば欠点です。※子供が使用するタイプのものですので、コンタクトレンズで改善するのは、難しくなります。

メガネのように耳の裏がへこむかもしれません。私はメガネを装用していた時期があるのですが、耳の裏の骨伝導補聴器を当てる部分がメガネのツルでへこんでしまいました。こちらと同じく、骨伝導補聴器を着け続けると耳の裏がへこむ可能性があります。ここは欠点としてみるか微妙な部分ですが、このような事も考えられます。

骨伝導補聴器のデメリットには、このようなものがあります。

まとめ

骨伝導補聴器には、これらのメリット、デメリットがあります。聞こえやすい分、独特の形状、仕様によるデメリットがあります。また、骨伝導補聴器は、市場に出回る数そのものが少ないため、金額も高騰しています。

骨伝導補聴器とは、このような補聴器です。

伝音性難聴でも効果が無い方への対応

さて、上記には、骨伝導補聴器が合う人から骨伝導補聴器のメリット、デメリットまで、記載してみました。しかし、伝音性難聴の方でも骨伝導補聴器の効果が出ない方に関しても載せてみました。そのような方の場合、どのようにしたら良いのでしょうか。それについても見ていきましょう。

伝音性難聴でも効果がない方

初めの方にチラッと記載しましたが、骨伝導補聴器は、主に伝音性難聴の方に合う補聴器ですが、状況によっては、骨伝導補聴器が合わない方もいらっしゃいます。

それは、幼少の頃に難聴になり、そのままずっと聞こえにくいままにしてしまった方です。2〜3、4歳の頃に中耳炎になり、そのまま放置してしまったケースや、外耳道閉鎖症、小耳症により、聞こえにくい側の耳で音を全く聞いてきてこなかった場合、音そのものを入れても、音が理解できないケースがあります。

耳には、聴力を調べる聴力検査と音声がどれだけ理解できるかを調べる語音弁別能検査(語音明瞭度測定)の二つがあります。言い換えれば、音がどれほど聞こえているかを調べるのが、聴力検査、音声がどれだけ理解できるのかを調べるのが、語音弁別能検査(語音明瞭度測定)になります。このようなケースでは、語音弁別能検査(語音明瞭度測定)を調べると、通常の状態よりも遥かに低い数値が出ますので、一目瞭然にわかります。

私自身、補聴器の販売をしていますので、その経験でお話しさせていただきますと、幼少の頃、聞こえにくいままで来てしまった場合、60〜70%くらいは、音声の理解ができず、例え骨伝導補聴器で音を入れても、全く効果がありません。音は、聞こえるようになるのですが、音声が理解できる耳ではないため、効果を得る事ができません。

このようなケースを何度か、私は経験してきました。

対応方法は、クロス補聴器を装用する事

このケースの場合、骨伝導補聴器ではなく、クロス補聴器、あるいは、バイクロス補聴器で聞こえを補っていきます。

クロス補聴器とは、片耳の聞こえが問題なく、もう片耳が聾(重い難聴)の方が使用する機器です。この機器は、聞こえにくい耳に来る音を聞こえやすい方の耳で聞こえるようにした補聴器です。片耳が聞こえる事が前提になりますが、骨伝導補聴器で効果がない方も効果を感じる事ができます。

そして、バイクロス補聴器とは、両耳とも難聴で、片耳は、補聴器で聞こえを補い、より聞きにくい側にクロス補聴器を載せて聞こえを補う補聴器です。このようにできると、聞きにくい側の音が、補聴器で補っている側に届き、聞きにくい側からの聞こえに関しても改善できるようになります。片耳のみ装用するよりは、グッと聞こえにくさを改善できます。

それぞれの補聴器については、こちらをご覧下さい。

リンク:片耳が聞こえない方、誰でも対応。クロス補聴器を理解する5つの要素

リンク:両耳難聴でより片耳が聞こえにくい方に有効なバイクロス補聴器

この内容は、外耳道閉鎖症、小耳症の方、幼い頃、中耳炎になった全員に当てはまる事ではありません。しかし、語音弁別能検査(語音明瞭度測定)の結果が低かったり、骨伝導補聴器を装用してみて効果を感じなければ、クロス補聴器を装用する事で聞こえを補える可能性があります。

特に、骨伝導補聴器を装用してみて歪んで音が聞こえる、言葉が言葉として聞こえないという場合は、クロス補聴器の方が現状をグッとよく改善できます。

骨伝導補聴器のまとめ

この補聴器は、合う方、合わない方がいらっしゃいますので、初めに、自分に合うものなのかを確認する事が大切です。当店では、たまにこちらの補聴器の問い合わせをいただきますが、ほとんどのケースにおいて、合っていない方からの連絡が多くあります。こちらが合うか、どうかは、聴力測定、語音明瞭度測定の二つを行う事でわかります。

これらをしっかりと理解したうえで補聴器を選ぶ事が大切です。特にこの補聴器は、伝音性難聴の方にしか合わず、老人性難聴や突発性難聴、その他感音性難聴には合いません。そして、音声を理解する力が薄いものは、残念ながら音が聞こえても、理解に繋がらず、聞こえを良くする事ができません。

当店の場合は、聴力及び、語音明瞭度測定を含めて、この補聴器が合うのか、この補聴器以外の補聴器が良いのかを判断しています。

合わない補聴器を購入しても聞こえませんので、自分の状態に合った補聴器を購入するように心掛けましょう。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

リンク:補聴器を使用すると聞こえるざわざわした音とは

リンク:初めて補聴器を装用する時における使用時間について

リンク:デジタル補聴器の概要とできるようになった事

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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