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東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

難聴児の聞こえを改善させるFM機器、Rogerとは

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補聴器には、ある特定の機器を付属する事で、聞こえを拡張することができます。その一種がFM機器です。別名、補聴援助システムとも呼ばれています。こちらは、補聴器に受信機を装着し、話し手に送信機を使ってもらう事で、送信機に話した音声が直接補聴器に届くようになります。聞こえのクリアさ、音声の理解のしやすさは群を抜いており、非常に優秀な機器です。

現在は、FM機器以外にRogerという別の通信機器があります。この二つは通信方法が異なるだけであり、二つともやっている事は同じです。

今回は、このFM機器及び通信機器の概要から利点、欠点、関して記載していきます。

FM機器&Roger 概要

FM機器、Rogerとは、どんなものなのでしょうか。その内容について

  • 基礎
  • 違い
  • 使用方法
  • 活用方法

こちらにわけて記載していきます。

FM機器&Rogerの基礎

通信機器には、冒頭の通り、送信機、受信機が必要になります。

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

システムとしては、絵の通りです。話し手に音声を送る送信機を装用し、聞き手の補聴器、あるいは人工内耳に受信機を装着させます。無線で送信機と受信機が接続されており、送信機のマイクに話すと話した声が受信機を装着している機器に送られます。そのため、事前に送信機、受信機を繋げる作業が必要になります

とはいえ、この部分は、補聴器屋さんがやる作業ですので、このような作業があるとだけ覚えていただければ大丈夫です。伝えたい事は、何も設定なしでは、繋がらないという事です。

必要な事は、送信機にお話しをする事(電源ONも含む)、受信機を補聴器に装着する事、そして両方の機器を接続する設定をする事、この三つを行う事で、使用できるようになるという事です。

FM機器とRogerの違い

FM機器とRogerの違いは、主に通信方法の違いになります。FMはその名の通り、FM電波で通信し、Rogerは無線LANで通信します。

FM機器はFM電波を使用した音声通信方法です。ラジオにあるFM放送に使われている技術であり、これ以外には、トランシーバーにも使われています。

一方Rogerは、無線LAN(無線LANとは、無線システムの総称。Bluetooth、Wi-Fiは無線LANの一種)を使用した技術です。Rogerを作っているフォナックジャパンのWebサイトをみると厳密には、Bluetoothではないようですが、無線LANの一種である事はわかります(wifi?)。

FM機器とRogerの違いは、通信方法の違いであり、これにより、聞こえ方、伝わり方が異なります。基本的には、Rogerの方が新しい技術を使用していますので、音声、技術もRogerの方が優れています。

使用してみた感想はこちらにも記載しています。

リンク:進化した補聴援助システムRogerを使った感想

FM及びRogerを使用するには?

使用するには、

  • 送信機の電源を入れる
  • 受信機を装用した補聴器を切り替える

この二つが必要です。

このシステムを使用するには、送信機の電源を入れた後に、受信機装用した補聴器をFM機器に反応させるための切り替えをする必要があります。上記には、送信機と受信機を繋げる作業が必要である事を記載しました。今申し上げている作業は、その後にする作業で、FM、Rogerの音声を補聴器に入れるために必要なものです。繋げる作業は、Bluetoothでいうペアリングを指し、今申し上げているのは、FM機器、及びRogerを使用する際のオンオフになります。

補聴器に装用する受信機の設定には、色々な設定があり、自分が聞きたい時に補聴器のスイッチを押してFM、Rogerの音声を聞く方法もあれば、送信機に音声が入ると自動的に補聴器に音声が送られるようにする方法もあります。この部分は、補聴器屋さんと相談して、どのように設定するかを相談して決定します。こちらもこんなものがあるんだと理解できる程度で構いません。

もし受信機の設定について詳しく知りたい場合は、こちらをご覧下さい。

リンク:FM機器、Rogerの受信機設定の適切な決め方

FM機器&Rogerの活用

通信機器を活用する方法を、まとめてみると

  • 送信機を話し手にもってもらう
  • 受信機を装着する
  • 送信機の音声を受け取れるように補聴器を設定する

この三つが必要になります。この事を覚えておきましょう。

FM機器&Roger メリット

この通信機器を使用するメリットは

  • 聞こえやすくなる
  • 邪魔されにくくなる
  • 距離が離れても聞きやすくなる

これらのメリットがあります。すべて聞きやすくなる事に直結する内容であり、これらのメリットは、音を直接耳に届ける事のメリットでもあります。

クリアな音質

通信機器の特徴は、非常にクリアな高い音質にあります。これでもかというくらいびっくりするほどキレイな音質で聞こえますので、聞き取り、聞こえやすさは非常に良くなります。話し手にマイクを装用させるため、非常に良い音の状態で、直接耳に音声が届きます。

私自身も使用した事がありますが、ものすごく聞きやすくなります。補聴器であそこまで聞きやすくなったのは、初めてです。両耳にしっかりと音声が入る感覚は、本当にすごいです。

話し手の声が優先される

話し手の音声は周囲の音よりも非常に聞きやすく設定されていますので、話し手の声は非常に聞きやすくなっています。これによっても聞き取りやすさが、あがっています。邪魔されにくくなるというのも同様で、話し手に装用しているマイクから入力された音声を一番に優先します。これにより、周囲の音に邪魔されにくくなるという事にもなります。

距離の問題も解決できる

補聴器を装用するとどうしても距離が離れると離れるほど、声が聞きにくくなります。離れればそれだけ聞きたい音が小さくなったり、周囲の環境音によってかき消されてしまったり、聞きにくくなることがあります。この部分の改善もしやすい機器ですので、効果があります。

ただし、FM及び、Rogerの有効範囲は20mくらいです。これを超えると適切に通信できませんので、注意してください。

FM機器&Roger デメリット

こちらのデメリットは

  • 金額が高い
  • 話し手に持ってもらう必要がある
  • 電池寿命が短くなる

この三点です。

金額が高い

恐らく最も大きなデメリットがこの金額の高さです。現在のFM機器、及びRogerについては、送信機が66,300〜128,000円、受信機は65,000〜92,000円になります。また、一部の補聴器には、オーディオシューと呼ばれる補聴器と受信機を繋ぐ部品が必要です。この機器は、違うメーカー同士の補聴器とFM機器、及びRogerに繋げる場合に必要です。仮にフォナック製の補聴器以外の場合は、これに+1,000〜5,000円がさらにかかります。

送信機は一つで良いのですが、受信機は両耳に装用する場合、基本二倍の金額がかかります。一部の受信機は首にかけて一台で両耳に使用できるタイプもありますが、それ以外の受信機は、両耳に装用すると金額が二倍になります。最も一般的(一番出ているタイプ)なものは、送信機が128,000円のもの、受信機が92,000円のものです。仮に両耳装用する事を考えると128,000円+184,000円=312,000円になります。ここまでくると補聴器の買い換えと同じくらい金額がかかる事になります。

なお、18歳未満の場合、あるいは学生であった場合は、フォナック製の場合、子ども割引というものが使えます。確か15%引きになった気がします。その変わり、身元を証明する情報の提出、子ども割引申請書なるものを記載する必要があります。その手間をとって46,800円の割引を受けるか、そのまま購入するかは、購入者の自由です。

話し手に持ってもらう

ダークホース的存在のデメリット。ここも大きなデメリットです。難聴の場合、どうしても周囲の方に改善するための協力を求めるケースが増えやすくなります。このFM機器及びRogerについても同様です。

この機器は、話し手に送信機(マイク)を持ってもらう必要があり、そのため、マイクを持ってもらうお願いをする必要があります。この部分は、すんなり行く場合と残念ながらそうでないケースがあります。子どもの場合は、学校の先生にお願いしやすい立場ではありますが、中には、機械が苦手な先生、そんな高いものを使いたくないと思う先生もいます。

先生の立場からするといきなり10万を超える高級品を使ってくれと言われても「壊したらどうしよう……」と不安に思う気持ちは個人的に良くわかります。10万を超えるものは、一般的に高級品です。そんなもの壊したらいくら請求させられるか、どんな事を言われるかを考えれば不安に思うのは想像がつきやすいと思います。このような事もあり、中々使用が難しいケースがあります。ただ、これらの事で使わないとわかるのなら、その不安を取り除いてあげれば使用できるようになる可能性があります。ここは、どのように解釈するかで考えがわかれます。

ベストなのは、使用していただく条件として、送信機が壊れてしまった場合、自分達(使用をお願いする方々)が保証するとお話しする事です。先生方が恐れているのは、壊れる事ではなく厳密には、金額がかかる事です。もちろん壊した事により起こる罪悪感もありますが、一番気になるのは、お金です。この部分の負担を減らし、先生方が感じている不安を取り除いてあげれば、使用してくれるケースは増えます。この不安をどう取り除くかが使用のカギです。もちろん機械が苦手な先生の場合は、どう操作するかを説明したり、手書きの説明書を用意するなどの方法があります。……とはいえ、送信機に関しては、本当にスイッチを入れるだけですので、そう難しい事ではありません。大抵は難しく考えすぎてしまう事による誤解です。

電池寿命が短くなる

FM機器、Rogerの両方は、かなり補聴器の電池を食います。電池使用量が通常の三倍になっているようで、電池の減りも通常の三倍です。例えば電池を1週間に1度交換していたら、2〜3日に一度交換することになります。そのため、電池代が結果的にかかるようになります。

ただし、これはFM機器、Rogerを使用した時のみ電池使用量が増えます。この点にだけ注意してください。

なお、送信機の使用時間は大体どれも10時間ほどです。当然ですが、送信機、受信機どちらかの電池がなくなれば、通信しなくなり、音声は聞こえなくなります。

FM機器&Roger 使用上の注意

こちらでは、使用上の注意についてまとめていきます。こちらは、欠点とは非なるもので、どちらかというと仕様によるものです。

これには、

  • 二つの機器の及ぶ範囲
  • Rogerの通信で邪魔されるもの

この二つがあります。

FM機器&Rogerの及ぶ範囲

FM機器もRogerも有効範囲は約20mです。これを超えてしまうとFM機器の場合、音声と共にノイズが乗って音が伝わってきたり、ノイズが受信機装用者側に聞こえてくるようになります。Rogerの場合は、音声をキャッチしなくなります。

また、障害物が多かったり、扉を閉めた状態で、伝えようとすると音声が伝わりにくくなります。体育館、公民館などの広いところで使用する事が前提です。とはいえ、日本の住宅事情でも扉さえ開けておけば、通信はできます。

これらの欠点がある事を覚えておきましょう。

Rogerの通信が邪魔されるもの

Rogerのみですが、2.4GHz帯を使用していますので、電子レンジを使うと通信が邪魔されます。電子レンジは、電磁波を利用して暖める家電機器ですが、この電磁波の周波数が2.4GHzです。近くで電子レンジを使用したりするとうまく通信できない原因になります。この点にご注意ください。

これは、一般的な無線LANも同様の症状が起こります。そのため、現在は2.4GHzではなく5GHzを使用するのが一般的です。しかし、Rogerに関しては、5GHzのものはありませんので、この問題を解決できません。このような仕様があることも覚えておきましょう。

なお、目に見えるところに電子レンジがなくとも例えば隣の家で使用していたために、無線LANの通信が邪魔される例もあります。家などで使用した場合は、これらにより、邪魔される可能性があります。

FM、Rogerを使用した効果

私が経験したのは、子どもにFM機器及びRogerを使用した効果です。こちらについては

  • 表面的な効果
  • 内面的効果

について分けていきます。この内容は私が経験した事を主に記載していきます。

表面的な効果

お子さんの場合、使用する環境は、主に学校である事が多くなります。それ以外には、電車の中や車の中でも使用している方もいました。この機器は、あくまでも音を補聴器に直接送るシステムですので「ここでしか使えない」という事はありません。使い方次第でどこでも使用できます。

学校で使った時の評価は、先生及び補聴器装用児、両方とも良い感触であることが多くありました。FM機器、Rogerがない時は、周囲を見て行動する事があったり、わからなそうにしている事があったようですが、この機器を装用するとそのような事がほとんどなくなったようです。先生の指示も伝わりやすくなる事により、難聴児はもちろん先生にとっても良い効果があったと言っていた方がいました。

実際には、適切に扱えるまでに、時間がかかるケースがあります。使用方法の認知から、人によってどの位置にマイクを置くのが適切かを考える必要があるからです。しかし、何度か試す事により、結果的には、良くなるケースが大半でした。

様々な場所で使うとFM、Rogerがない時より、非常に聞こえが良いようです。たまに聞こえが良すぎてしまう事があるもののほとんどの方が、FM機器及びRogerに対して好印象でした。それは、声がよく聞こえる事に対する評価だと思います。補聴器での聞き取りが難しい

  • 車の中での会話
  • スーパーでの会話
  • 何か人ごみの中での会話

基本的に難聴児に話す人一人(一対一)になりますが、このような聞き取りが難しい環境でも聞きやすくなる子が大半です。

実際私自身も使用した事がありますが、その効果は凄まじいものでした。補聴器では考えられないくらいにはっきり聞こえますので、その効果の高さは私もわかります。

内面的な効果

FM、Rogerを試した効果の中で凄いと思うのは、聞こえやすくなる事により、明るくなったり、積極的になる事が増える事です。個人的には、ここが最も重要であると考えています。どうしても聞きにくいと聞こえた内容に自信が持てなかったり、積極的になりづらくなるのですが、FM、Rogerでこれらの事も改善されるケースがありました。

自信が持てるようになれば、様々な事にもチャレンジできるようになりますし、行動する範囲も広がる可能性があります。聞こえるようになるというのは、このような効果もあります。ここは、すごく大きい効果であると個人的には、考えています。

逆に言えば、普段の子ども達は何らか不安、聞きにくさにより、このような感情を感じている事になります。FM、Rogerにはこのような効果もあります。

自立支援法での申請

身体障害者手帳がある方に限定されますが、自立支援法を利用する事により、FM機器、Rogerが購入できるケースがあります。自立支援法で決められているのは、2級、3級です。しかし、市区町村によっては、4級、6級でも認められたケースがあるようです。

ただし、この部分は、不明確な部分が多く、私からは何とも言えません。実際に同じ県でも隣の市は良いのに、自分の住んでいる市はNGであったり、支給内容が変更されるケースがありました。これは、児童の様子、児童がFM機器、及びRogerを使用すると得られる効果、これらによっても変更されます。

そのため、自立支援法の制度を利用する事ができるとは、言い難い状態です。この部分に関しては、お住まいの市区町村の役所の手帳取得時にお世話になった係の人に伺うか、ろう学校、通級指導教室の先生に伺うと言いでしょう。

自立支援法で購入できると購入費用はもちろん修理に関しても申請できますので、かなりの金額が浮きます。特にこの機器は、購入する時の金額が高く、修理する時の金額も高額です。申請できるとこれらの費用が浮く事になります。

とはいえ、申請条件はかなり厳しいため、申請できればラッキー程度に思っておいた方が良いでしょう。

あとがき

FM機器、Rogerについて記載してみました。この機器は、非常に効果が高いため、現在多くの子ども達が利用しています。もし、使用した事がなければ、一度使用してみるのも良いでしょう。かなり聞こえがよくなりますので、効果は保証します。

しかし、考えなければならないのは、どのようにお願いするかになります。この機器は、送信機を先方に使用していただかなければなりません。つまり、使用してもらうお願いが必須です。ここをどうクリアするかがカギになります。

使用した時の効果の高さは、非常にすごいものです。その代わりクリアしなければならないデメリットも大きいです。これはある意味、効果が大きいから、そのようになっているのでしょう。デメリットを差し引いてもメリットの方が大きいと私は思っています。

 

FM機器、Rogerには、送信機、受信機があります。それぞれの選び方は、こちらを参考にしてみてください。

リンク:難聴児に合ったFM機器、Roger送信機の選び方

リンク:FM機器、Roger受信機の比較と選択方法

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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