2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

子どもの難聴と補聴器の重要性

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難聴になった子ども達にとって大切なもの、必要なものはなんでしょうか。こちらでは、難聴の子ども達には、どのような事が起こるのか、どのような支援が必要なのかを考えていきます。

なお、難聴になった原因については記載していく予定はありません。難聴の原因を探るより、難聴という障害を知る事が大切だと私は考えています。

難聴の場合、難聴になった原因を調べても解決する(治る)のは、ごく僅かです。それよりも、難聴になった体で、どう生活していくか、と視点を変える方が重要です。

それでは、見ていきましょう。

難聴の理解

難聴とは、なんでしょうか。こちらでは、概要とポイントに分けて記載していきます。

難聴の概要

難聴には、様々な種類があります。しかし、主に覚えておくのは、感音性難聴、伝音性難聴、混合性難聴の三種類で構いません。どの難聴も基本的には、感音性難聴か伝音性難聴に分かれます。

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伝音性難聴の特徴

伝音性難聴とは、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)とよばれるところに聞き取りにくい障害が発生しているとなる難聴です。外耳は、耳の穴を指しています。ここでは、耳の中にゴミが入らない様にしたり、耳垢で耳を菌から守ったりしています。中耳は、外耳を通ってきた音を大きくし、音を感じ取る神経に送る働きがあります。外耳、中耳に障害が起こった場合は、単純に音が小さく感じる様になります。この場合、当てはまるのは、耳に菌が入る事で起こる中耳炎や、元々耳の穴がない小耳症です。これらの難聴の場合、音を大きく聞かせる事で聞こえが良くなる傾向があります。

感音性難聴の特徴

感音性難聴とは、内耳(ないじ)とよばれるところに聞き取りにくい障害が発生しているとなる難聴です。内耳は、中耳から送られてきた音を各周波数ごとに感知し、感知した周波数を脳に送っています。耳は、あくまでも音を脳に伝える器官であり、音を理解しているのは、脳です。音が脳に送られると、頭の中にある記憶と結びつけ、これは○○の音、これは、○○を表す音(言葉)という風に捉えます。相手がリンゴと言ったら、リンゴを表す音(言葉)を脳が感知し、リンゴを認識する、という流れになります。感音性難聴の場合、ここに障害がでます。

障害が起こるとうまく神経が音を感知できず、認識に必要な情報を脳に送ることができなくなります。その結果、音が小さくなるだけでなく、言葉が聞き取りづらいといったことが起こります。耳は音を脳に送る働きのみしており、送られたデータが脳の中で一致しないと何と言っているのか、何を表しているのかがわかりません。このような障害を引き起こすのが感音性難聴の特徴です。

混合性難聴の特徴

混合性難聴は、伝音性難聴と感音性難聴の二つを合わせた難聴です。お子さんの場合、混合性難聴になる方は非常に少ないです。

まとめ

お子さんの場合は、感音性難聴の割合が非常に多くなります。生まれつき難聴の方は、耳の奇形を除き、ほとんどが感音性難聴です。

難聴のポイント

難聴は、耳の聞こえが低下する事を表しますが、重要なのは音が聞き取りにくくなる事ではありません。聞き取れない事で勘違いされてしまうのが問題となります。

相手の言葉を上手に聞き取れないがために、変に返事をしてしまったり、無視していると思われてしまったり、理解する気がないと思われてしまう事があります。どんなに頑張っても100%聞き取れる事がないため、誤解を受けやすくなります。周りから、「聞く気がないのか」と言われてしまうと、聞き返せなくなり、さらに萎縮しますので環境は悪化していく一方です。

そのため、周りの方に難聴についてご理解いただく必要があります。

これらに関しては、こちらをご覧いただくとより理解しやすいでしょう。

リンク:難聴の子に必要なセーフティネットという考え

音が聞こえるとは?

先ほど、感音性難聴の部分で、聞こえに関して触れました。耳とはあくまでも音を感じ取るだけであり、その音が何なのか、どんなものなのかを理解しているのは、脳です。

こちらでわかりやすい例は、聞いた事がない言葉です。聞いた事がない言葉は、いくら日本語でも聞き返す事があると思います。これは、音が聞こえていないのではなく、脳の中に記憶がないからです。本来脳とは、ものを記録しておく役割があります。私達が何かを認識できるのは、見たものでも、聞いたものでも、脳に記録しておいたデータを引き出してマッチングさせているからです。しかし、このデータがないと認識できません。そのため、聞いた事がない言葉は認識しづらく、聞き返す事になります。仮に目で確認できるようにしても、書いてあることはわかりますが、どのように読んだら良いかは、わからないですね(イントネーション的な意味です)。また、聞いたことがない音は、音は聞こえていますが何の音かは理解する事ができません。

耳は、あくまでも音を聞いているだけであり、その音を理解しているのは、脳です。

この事を理解するのは、次のフェーズで重要になります。

人が音を学習する理由

こちらでは、人がなぜ音を学習していくかについて記載していきます。

聴脳を育てるという事

人は、音を聞いて様々なものを覚えていきます。聴脳とは音を聞く力を指します。

上記の「音が聞こえるとは?」では、耳の働きはあくまでも音を聞く事だけであることを記載しました。聴脳を育てるとは、音を聞こえる様にし、様々な音を覚えていくことを指します。

人は様々な音を聞く事で、音や物を覚えていきます。音が聞こえる事でセミが鳴いている事がわかったり、犬が吠えている事がわかる様になります。また、セミの鳴き声は、こんな声だと理解したり、犬が吠えている声はこんな声だと理解できます。これらが理解できると実物を見なくても音を聞くだけで「○○の音!」と理解できる様になります。これは、五感を使用して脳がものを記録しているからわかることです。

しかし、音が聞こえないとセミが鳴いている事に気が付きませんし、聞こえなかったら犬が吠えている事も気が付きません。仮に音がしていても音が聞こえない所為で気が付かなければ、存在していないのも同然です。さらに、聞こえていても何の音かわからなければ、認識はできなくなってしまいます。何の音かが分からなければ、音を聞いただけで「○○の音!」と理解する事はできないでしょう。

これらは、補聴器で音を聞きつつ、どんな音がするのか、何の音なのかを覚えていく事で認識できる様になります。お子さんを支援する病院、療育機関、学校では、これらの訓練をする事もあります。訓練と言っても遊びながらするものですので、音を聞かせる事を強要するわけではありません。

耳が聞こえている子は、音が聞こえているので何もしなくても音を学習していきます。しかし、音が聞こえにくいとこの学習を妨げてしまう事があります。難聴の程度が重いと重い程、この学習は妨げられやすくなります。

こう考えてみると耳とは、本当に重要な器官である事がわかります。人は、耳を通して、様々な事を覚えていき、生活している事がわかりますね。

例えばですが、車の音がわかっていれば、車の音を聞いて、どんな状況なのかが理解できます。小さく聞こえるなら遠くにある事がわかりますし、大きく聞こえるなら、近くに来ているとわかります。近くに車があり、目に見えない死角(曲がり角)などがあれば、「もしかしたら、死角に車があるかも」と危険感知する事もできます。

このように音を覚えることで、身を守ったり、身の回りで何が起こっているかを理解している事になります。

もう一つの聴脳を育てる理由

聴脳を育てる理由としては、上記の事もありますが、もう一つ理由があります。それは、しっかりとお話できる様にする事です。

上記でも記載しましたが、音を聞く事がなければ、音を覚えていく事はありません。小さい子ども達は、大人が話す言葉を真似して話していきます。その際、言い間違えてしまったり、違う言葉を使うと「それは、○○だよ」と言い正されます。これらの繰り返す事で言葉を覚えていきます。

しかし、難聴になると間違って覚えてしまったり、変に覚えてしまう事があります。そのため、これらを正していくことも時には必要です。

また、聞くのと言うのは異なりますので、言う力を付けるには、専門の先生が必要になります。本来人は、聞いた音そのものを覚えて発音していきます。難聴の子は、音が伝わりづらい状況ですので、耳に届いている音が通常の方と異なります。それらを考慮しつつ発音指導を受ける事が望まれます。

もちろんこちらも難聴の程度により変化します。難聴が重いと重いほど、影響を受けやすくなります。特徴として、耳の聞こえが低下した子は、言葉を発する時期が遅くなる事が多い様です。

こちらも、病院、療育機関、学校で指導を受ける事ができます。

子どもに対する補聴器の重要性

こちらでは、子どもに対して補聴器とは、どんなものなのか、大切な事などを記載していきます。

子どもにとって補聴器とは

子どもにとって補聴器とはなんでしょうか。子どもにとっては、上記の事を改善する機器が補聴器です。音を覚えたり、言葉を覚えていくには必要な機器でもあります。聞こえにくいところを補っていく事で、通常の子ども達と変わらず発達していく事が可能になります。

補聴器を装用する時期に関しては、早ければ早いほど良くなります。赤ちゃん、子どもは、日々、驚異的なスピードで、物事を学んでいきます。音を聞いて何かを覚えたり、目で見て、何かを学んだり、腕を動かして、動かし方を学んでいます。耳も同様で、音を聞く事で物を覚えていきます。もちろん、目と耳を合わせれば、○○は、見た目はこうで、こんな鳴き声がするという事も学習していきます。

物を覚えるプロセスは、五感である、嗅覚、触覚、視覚、聴覚、味覚を使って覚えていきます。積み木であれば、こんな匂いがし、このような肌触り、見た目はこんな感じで、落としたり叩いたりするとこんな音がする、そして口の中に入れるとこんな味がする。もちろんすべてのものを五感全部で確認するわけではありませんが、これらを使って物を覚えていきます。その一つに聴覚は、含まれています。

物事を学習していくには、聞こえを補っていく事が重要になります。

補聴器も早期装用が重要

私の持っている本の中に役立つ文献がありましたので引用しつつ、見てみましょう。

乳幼児における基礎的言語能力の獲得について典型発達児では、生後6ヶ月までには、母国語の初期の音韻的知識を獲得し、思春期までその精緻化をすすめる。語彙の獲得は、1~1.5歳に始まり、2~4歳には著しい速度で発達する。構文(統語)は、1.5~2歳に獲得がみられ、4歳までに急速に発達して6~7歳には完成すると報告されている。

新生児・幼少児の難聴-遺伝子診断から人工内耳手術、療育・教育まで-
編集 加我 君孝氏 P99より引用

こちらは、子どもの言葉を覚える過程を医学的観点で見た内容です。生後6ヶ月までには、音を聞き続ける事で覚え初め、思春期までに言葉の表現力を磨いたり、話し方を覚えたりします。

語彙の獲得が1~1.5歳から始まることから、人工内耳と呼ばれる、補聴器以上に聞き取りがよくなる機器は、1歳くらいから装用することが増えてきました。それは、この内容が根本にあるからですね。補聴器の場合は、これよりももっと前から始めます。早い子だと、生後2~3ヶ月で使用するケースもあります。

早くに装用する事で、音を聞き、音を理解する事ができる様になります。早くに装用する事で、言葉を聞き、言葉の意味を理解する事ができる様になります。

※人工内耳についてはこちらをご覧下さい

リンク:人工内耳と補聴器の比較から見る人工内耳の凄まじい効果

補聴器を早期装用する事のもう一つの意味

このページをご覧になっている方は、自分自身の耳の聞こえについて疑問を持った事はありませんか?例えば、音の聞こえは問題ないけれども、みんなはどのくらい聞こえているのだろか、又は、どのくらい聞こえているのが「普通」なんだろうか、このようなことです。

考えてみますと自分自身で聞こえている音が普通かそうでないかは、わからない事に気が付きます。つまり誰もが皆、無意識の内に「このくらい聞こえるのが当たり前」と思っています。この事を私は、音のデフォルトと呼んでいます。言い換えるとその人の音の価値観とも言えます。

音が聞こえる世界にいる人の音のデフォルトと音が聞こえにくい世界にいる人の音のデフォルトは、どのように異なるのでしょうか。例えば、セミの鳴き声を聞いた事がない方がセミの鳴き声を聞いたらどのように思うのでしょうか。恐らく異音にしか感じないでしょう。今までセミの鳴き声を聞いた事が無ければ、セミだと認識する事ができません。そうなれば、恐らく異音にしか感じない可能性は高くなります。その様な音を聞いた事が無ければ、変な音が聞こえる、妙な音が聞こえると感じるでしょう。しかし、セミの音だとわかる方は、どうでしょうか。恐らく「普通」だと思います。冬にセミの鳴き声がしたら、妙に感じますが、夏にセミの鳴き声がするのは、「普通」に感じます。むしろ夏にセミの鳴き声がしないと妙に感じる可能性もありますね。

この二つの物事は、大変重要な事を示唆しています。

音を感じ取れる世界に居る人の音の価値観と音を感じ取りにくい世界に居る人の音の価値観は、異なる事を指しています

補聴器を装用する本当の意味

補聴器を装用する事は、これらの「ズレ」を修正する事にも役立ちます。音は見えるものではありませんので、感じ取れるようにするしか改善方法はありません。

セミの鳴き声が聞こえるのが当たり前なように、補聴器を装用してそれらを感じ取る事が重要です。

補聴器を装用すると様々な音が聞こえてくる様になります。自分の聞こえに慣れている方は、当然補聴器から聞こえてくる音は違和感しか感じません。

しかし、補聴器から聞こえてくる音は、本来聞こえるべきであった音です。

一般の方は、聞こえている音であり、その音の中で生活をしています。その音の中で生活しているから、様々な事に音で気が付いたり、会話を交わす事ができます。

それであれば、耳の聞こえを補う事で、その音の中で生活する事が望ましいでしょう。自分の耳の聞こえではなく、補聴器を装用して聞こえる世界にフォーカスする事が重要です。補聴器を早期装用するとするほど、補聴器から聞こえてくる音の世界が普通だと思う様になります。しかし、遅れてしまうと自分の耳の聞こえが普通だと思ってしまいます。

人の中で生活していくには、マナーも重要になってきます。マナーを気を付けるためには、周りの音を周りの人と同じ様に感じる事ができなければ、気をつける事が難しくなります。聞こえる世界に入って初めて、自分自身を良くしていく事ができる様になります。

補聴器は、その方の聞こえの世界を創り出す働きがあります。

あとがき

子どもの難聴と補聴器の重要性について記載してみました。病院や療育機関、学校などで説明を受ける事があると思いますが、自分なりの言葉で言い表してみました。

補聴器を装用する事の重要性、難聴の事が少しでもご理解できたら、幸いです。

お子さんの場合、聞く力を育てるという観点にばかり集中しがちですが、それ以外にも補聴器は非常に重要な役割を果たしています。

聞く力を気にしても本当に大切な事は見えてきません。補聴器を装用するのが重要な理由は、上記の理由です。聞こえを良くしていくのは、お子さんが適切に育つための一つの手段であり、聞こえを良くしていくのが目的ではありません。

これらを考えていく事が重要になります。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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