2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

新生児聴覚スクリーニング検査と難聴早期発見の重要性


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子供の難聴を早期発見するのに役立つ新生児聴覚スクリーニング検査。しかし、まだまだ知れ渡っていないのが現状です。新生児聴覚スクリーニング検査は、難聴の早期発見を目的として実施されています。早期発見する事により、難聴によって起こる子どもの発達遅れを軽減するのが主な目的です。

では、子どもの発達遅れとは何なのでしょうか。難聴は耳が聞こえにくくなる事以外に何かあるのでしょうか。

今回は、難聴早期発見の重要性について記載していきます。

早期発見の重要性

難聴の早期発見はなぜ重要なのでしょうか。それは、一番初めに人が学習するのは、音を覚える事だからです。小さい頃を思い出していただければわかりますが、人は初め、音や言葉を覚えてから、字や物、そして物事を覚えていきます。つまり、全ての始まりは、音(言葉)を覚える事から、始まります。

我々人は、音を聞いて様々な事を覚えていきます。初めはヴーやアーと声を出すだけですが、ご両親が赤ちゃんに話しかける事により、赤ちゃんは、ご両親のマネをします。マネを繰り返す事で、その声を発する意味、言葉の意味を理解していきます。その後、色々な質問ができるようになったり、自分の言いたい事が言えるようになります。

現在の医学では、言葉を発する前に、その言葉の意味を理解していることが明らかにされています。絵本を読みながら、魚と言うと、魚の方に目をやったり、猿と言うと、猿に目をやったりする事がわかるようになりました。この実験をされたお子さんは、生後6~9ヶ月です。一般的に話せる様になるのは、一歳前後であり、それより前に、言葉が理解できている事になります。なお、子どもによって話す時期は、だいぶ異なるので一種の目安として見てください。

これらは、全て言葉を聞いて、物を理解しています。日々、ご両親の言葉を聞き、覚えていく事により、話す言葉も物を理解する力も付いてきます。

しかし、難聴になるとこの言葉が入りにくくなります。そうなると覚えていく言葉の量が少なくなったり、うまく覚えられなくなるといった事が起こります。また、周囲の音も聞きづらくなるため、身の回りにあるものがどんな音がするのかも理解しづらくなります。特に赤ちゃんは、生まれた頃、目がほとんど見えません。新生児の視力は0.01~0.02くらいと言われており、その後、生後6ヶ月で0.1、一歳を迎える頃には1.0になります。そのため、赤ちゃんは音による情報が非常に多くなります。

音を聞く事で、様々なことを覚えていきます。しかし、難聴になると本来発達すべき部分が発達しにくかったり、していなかったりします。音が聞こえにくいのが問題ではなく、音が聞こえにくいことにより、適切な発達ができなくなってしまう事が問題です。赤ちゃんに限らず、子ども全般に言える事です。

これらを防ぐために、新生児聴覚スクリーニング検査があります。検査を行い、早期発見し、音を補ってあげることで、適切な発達を促せるようになります。

それ故、難聴の早期発見は非常に重要な要素となっています。それは、全ての物事の理解する礎となる部分だからです。

新生児聴覚スクリーニング検査の実態

こちらでは、新生児聴覚スクリーニング検査について見ていきましょう。この国の新生児スクリーニングは、まだまだ発展しているとは言えない状況です。

良い文献がありましたので、引用します。

新生児聴覚スクリーニングは2001年より5年間厚生労働省のモデル事業として、医療機関に対する援助があり無料で始まった。しかしその語の実施は都道府県に任され、多くは任意有料で行われている。使い捨てイヤホンと電極に経費がかかる。産科では検査料を5,000〜10,000円に設定している。日本全国の実施率は、まだ60%程度にすぎない。大学病院や総合病院の産科でも実施しているところは多くない。アメリカや台湾では、100%近い高率である。アメリカでは22ドル、台湾では無料である。

新生児・幼少児の難聴 遺伝子診断から人工内耳手術、療育。教育まで
編集 加賀 君孝氏 P141より引用

新生児聴覚スクリーニング検査は、再検査と合格があります。仮に再検査となっても、その場で難聴が確定するわけではありません。耳の中に何らかの異物があったり、羊水が残っていることでも、再検査になります。再検査後、よくよく調べてみると何も異常はなかったとされるケースは、3〜4割見つかっています。そのため、再検査=難聴とはなりません。

新生児聴覚スクリーニングは、難聴発見を早める最適なツールです。聞こえに不安があったり、産まれたばかりのお子さんには、ぜひしていただきたい検査です。難聴である事が分かった場合はショックを受けるかもしれません。しかし、この検査は何もせず難聴を見過ごすより、早期発見される事でお子さんにとって効果的な補聴がいち早くできる事に繋がります。

上記の通り、難聴で生まれた場合は、早急に補聴する事が大切です。早期補聴する事で、周囲の音を確認でき、適切な発育を促す事ができます。難聴である事実を見過ごす事、現在できる限りのことをする事、果たしてどちらの方がお子さんの為になるでしょうか。この事をよくお考えになれば、結論は一つしかありません。

変えられない事を気にするより、変えられる事に尽力をつくすことが大切です。

なお、新生児聴覚スクリーニングで再検査を受けた場合、ABR、ASSR、OAEという検査を受ける事になります。より細かく検査し、難聴の有無を調べます。

難聴と診断されたら?

難聴と診断されたら、病院側より、補聴器の装用と聾学校、病院、療育センターをご紹介されます。これらは、年齢、聴力、地域により異なります。

0〜3歳の場合、聾学校と病院を行き来するケースが多く、聾学校では、言語指導や他の難聴児とのふれあい、保護者同士の繋がり。病院では、聴覚管理や補聴器に関する相談をする事が多いです。どちらも大切な事です。

4〜6歳の場合は、療育センター、病院、聾学校、いずれかに通う事になります。聴力や地域によってこれも変化します。それ以降は、中学校まで、病院、聾学校、通級指導教室いずれかを選択して通う事になります。

ここでは、こんなものがあるんだな程度に覚えていただければ結構です。地域により、だいぶ変化し、一概に言えない、何とも言えない点は申し訳ありません。病院と相談して、適切な補聴を受ける事が大切です。適切に受け続ける事で、必ず子どもは成長します。

病院で行う事に関しては、こちらをご覧下さい。

リンク:新生児聴覚スクリーニングで再検査?再検査の確率と今後の流れ

あとがき

新生児スクリーニング検査について記載してみました。まだまだ知れ渡っておらず、実施率も低い傾向があるのが現状です。難聴であった場合に起こる事は、決して無視できるものではありません。

仮に聞こえにくい子どもがいたとしても、自分自身では聞こえにくい事に気が付きません。音が聞こえにくいというのは、今聞こえている耳の聞こえと基準の聞こえを比較する事でわかります。元々聞こえにくい耳であれば、それが元々の聞こえだと思うため、耳が聞こえにくいとは思いません。

そのため、ほぼ周りの方が「耳が聞こえにくいのではないか」と気が付きます。周りの方は、聞こえている場合の反応と聞こえていない場合の反応の判断基準を持っているからです。

これらの性質上からも、新生児スクリーニング検査は重要です。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:子どもの難聴と耳を補ううえで重要な事

リンク:改善内容から見る乳幼難聴児の現状

リンク:難聴児に適した教育をする療育センター、ろう学校

リンク:難聴の子に必要なセーフティネットという考え


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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