2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

人工内耳を考えの方、必見。早めに装用する事の重要性

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重い難聴の場合、補聴器にするか、人工内耳にするか、非常に悩みどころです。

最近では、人工内耳も早期装用が非常に有効である事が証明されてきました。小さい頃に人工内耳を装用した場合と大きくなってから人工内耳を装用する場合では、言語発達や言語の多さが異なる事がわかってきています。

手術の必要があるため、躊躇する親御さんは多いのですが、早期装用した子の発達は目覚ましいです。今回は、早期装用について記載していきます。人工内耳に関して理解が進めば幸いです。

なお、補聴器と人工内耳の比較については下記のものを参照ください。

リンク:人工内耳と補聴器の比較から見る人工内耳の凄まじい効果

こどもの人工内耳

日本耳鼻咽喉科学会乳幼児委員会によると適応は以下の通りです。重要なところは、私の方で、太字にしました。

II.医学的条件

手術年齢
A)適応年齢は原則1歳以上(体重8kg以上)とする。上記適応条件を満たした上で、症例によって適切な手術時期を決定する。
B)言語習得期以後の失聴例では、補聴器の効果が十分でない高度難聴であることが確認された後には、獲得した言語を保持し失わないために早期に人工内耳を検討することが望ましい。

聴力、補聴効果と療育
A)各種の聴力検査の上、以下のいずれかに該当する場合。
1、裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90 dB以上
2、上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の平均聴力レベルが45dBよりも改善しない場合
3、上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%未満の場合。
B)音声を用いてさまざまな学習を行う小児に対する補聴の基本は両耳聴であり、両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない

日本耳鼻咽喉科学会乳幼児委員会 小児人工内耳適応基準(2014)より引用

人工内耳は、手術を行うため、厳しく基準が設けられています。要約すると、やり直しがきかないので「補聴器を装用した時に効果が出にくい場合、人工内耳にしましょう」となります。

条件としては、耳の聞こえが、平均90dB以上必要、原則として1歳以上。この2点です。装用に関しては、海外では、1歳前後手術し、装用するケースが多く、耳も両耳に入れるケースが増えています。

日本では、2〜3歳に手術するケースが多いです。装用耳は片耳が圧倒に多いのですが、両耳に手術するケースもちらほらあります。

人工内耳の言語発達

人工内耳による言語発達について文献がありますので引用します。わかるところだけご覧下さい。

人工内耳装用児の語音聴取能については、平均71.5%(6~100%:手術平均年齢5歳、装用期間7年、N=24名)で半数は85%以上と良好であるが、個人差が大きく手術時年齢が遅れると1年につき5.5%低下したと報告されている

そこで、音声言語発達は、補聴器装用の高度難聴障害児より良好で、4歳児に約78dBの補聴器装用児に相当し(N=47)語彙発達年齢は難聴時の1年発達率の85%と報告(手術時平均年齢2.5歳;1歳未満〜5歳)され、個人差が大きい事は語音聴取能と同様であった。手術時年齢については、12ヶ月齢まで、または2 歳までに人工内耳を埋め込んだ小児では、小学校就学までに年齢相応に音声言語を獲得し、手術的年齢が遅れると言語発達が低下した。構文力についても同様の傾向が得られている。認知、社会、言語学習条件が適切であれば、長期間、人工内耳を装用すると、高年齢の手術児でも言語発達の向上を示すが、最終的には若年装用児より達成度は低い。

新生児・幼少児の難聴-遺伝子診断から人工内耳手術、療育・教育まで-
編集 加我 君孝先生 P101~102より引用

重要なところは、私がアンダーラインを引きました。この文献を読みますと、人工内耳の装用は早ければ早いほど、良い事がわかります。

人工内耳の装用が遅れると、音が入りにくいままとなりますので、早期装用者より、どうしても言語発達が遅れてしまいます。日本の手術年齢が2~3歳が多いのは、この遅れをなるべくなくすためになります。

人の言語獲得

早ければ良いという点に関しては、今度は別の視点から見てみましょう。ここにも参考になる文献がありますので、引用します。

乳幼児における基礎的言語能力の獲得について典型発達児では、生後6ヶ月までには、母国語の初期の音韻的知識を獲得し、思春期までその精緻化をすすめる。語彙の獲得は、1~1.5歳に始まり、2~4歳には著しい速度で発達する。構文(統語)は、1.5~2歳に獲得がみられ、4歳までに急速に発達して6~7歳には完成すると報告されている。

新生児・幼少児の難聴-遺伝子診断から人工内耳手術、療育・教育まで-
編集 加我 君孝先生 P99より引用

語彙の獲得が1歳から始まるのが、ポイントです。2~4歳で著しい速度で発達するため、現状ではこの時期に人工内耳を入れる方が多くなります。その時期に人工内耳を入れ、言語発達を促します。先程の高年齢の「手術児でも向上を示すが、最終的には若年装用児より達成度は低い」 については6~7歳には構文などの言葉の基礎が完成してしまう事が関係しています。そのため、人工内耳も早期装用が重要です。

語彙の獲得の年齢期が1~1.5歳との事から、海外では1歳くらいで手術するのでしょう。完全に理論に基づいて適切な対応をしている事がわかります。体の状態と聴覚上の観点より理想は、このぐらいから人工内耳で聞き取るのが良いのでしょう。

追記:信州大学の動画を見よう

人工内耳に関する詳しい説明が以下の動画になります。こちらをご覧になれば、より人工内耳の事が理解できると思います。お子さんに関する内容は、11分11秒からとなります。この辺りから見る事をお勧めします。

こちらでも早期装用に関する内容がしっかりと出ていますね。こちらもご覧になり、より人工内耳に関して、理解が深まれば幸いです。

あとがき

今回は人口内耳について記載してみました。これらの理由により、人工内耳も、早期装用が重要です。これは、何も人工内耳だけでなく補聴器にも言える事です。重要なのは、早めにしっかりと音を聞こえるようにする事です。補聴器も人工内耳も音を聞かせる機器であり、どちらも早期装用させる事の重要性は変わりません。

言語モードを口話にするなら、重度難聴の場合、必需品になります。しかし、耳の状況によっては、手術できない事もありますので、人工内耳を扱っている病院、医師に相談する事が必要です。

補聴器と人工内耳どちらを選択しても良いと思います。補聴器には、補聴器の利点、人工内耳には、人工内耳の利点があります。重要なのは、選択した道を後悔しないことです。その道で進むと決めたら、どうやったら現状より上手にできるかを考えましょう。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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