2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

難聴の本質から考える子どもに補聴器が必要な二つの理由

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子どもに補聴器が必要な理由は、何でしょうか?耳が聞こえにくいからでしょうか、それとも耳が聞こえにくいと言われたからでしょうか。では、耳が聞こえにくくなるとどのような事が起こるのでしょうか。そこを理解すると、より補聴器が必要な理由がわかります。

人は、音を聞く事で、様々な事を理解しています。それらが理解しにくくなるのが、難聴の特徴です。

今回は、補聴器が必要な理由を難聴の本質から理解していきましょう。耳が聞こえにくくなる事が、問題ではなく、耳の聞こえが低下する事によって起こる事が問題です。この部分が理解できるようになると補聴器の必要性も自ずと理解できるようになります。

補聴器を装用する理由

補聴器を装用する理由には、子ども特有の適切な発達を促す事、コミュニケーション障害の予防、この二つがあります。どちらも生きていくには、大切なものであり、そして、この二つは、難聴の平均レベルにより影響に差があるものの、どんな難聴でも起こります。

適切な発達を促す

音は、全ての学習の基礎であり、全ての物事は、音から学習していきます。赤ちゃんは、耳で聞いた単語を覚え、発音したり、その他の仕草を通じて、物を覚えていきます。小さい子どもは、話す事はできても字を読む事はできません。このような点からも、全ての学習は音から始まる事がご理解いただけると思います。音で言葉が理解できるようになると、そこから字を覚える事に繋がり、そして字が読めるようになると、自分で様々な事を学んでいけるようになります。

言葉や音を理解する仕組みとしては、リンク先の「聞こえの仕組み」をご覧下さい。感音性難聴の説明ですが、人が言葉を理解する仕組みは、全てにおいて共通します。

リンク:代表的な6つの感音性難聴の原因と改善方法

子どもは、脳の中に、まだデータがない状態です。そこに、様々な音を聞かせたり、色々な言葉を覚えて、どんどん学習していきます。音だけでなく、触った感覚、見た感覚、匂い、味覚、これらも徐々に覚え、物事を適切に理解していきます。音が聞こえにくい状態というのは、これらの事が覚えにくい状態になります。そして、音が聞こえにくい分、覚える量そのものが減ってしまったり、学習する機会そのものも減ってしまう事になります。

そうなると本来、そろそろお話しできる時期であるのに対し、あまり話ができなかったり、中々話さないという事もあります。もちろん、お子さんにより、話す時期は、変わりますので、一概に言えないところは、あります。しかし、子どもの難聴に気付く原因の一つに「なかなか話さない」というのもありますので、実際に起こりえる事です。

音が聞こえにくい状態は、適切な学習、あるいは、適切な発達を妨げる原因となってしまいます。その原因を少しでも軽減させてくれるのが、補聴器の役目です。

コミュニケーション障害の予防

もう一つの効果として、コミュニケーション障害の予防があります。コミュニケーション障害とは、人とお話しする時に起こる障害です。耳が聞こえにくいとお話しの内容がうまく聞こえず「え?」と聞き返したり変に返答する事が増えます。予め、難聴である事をお話ししておけば、そう被害が大きくなる事は、ありませんが、お話ししていない場合は「あの子に話してもいつも変な風に返されるんだよね……」や「話しを聞く気あるのかな?」と周囲の子に思われやすくなります。これらは、難聴について知っているか、知らないかで対応がわかれるのですが、このような勘違いが発生しやすくなるのも難聴の特徴です。

また、音は、離れると離れるほど、小さく聞こえるようになります。そのため、軽度の難聴だったとしても距離が離れると呼ばれても呼ばれている事に気が付かない事があります。音は、聞こえないと気が付きようがないため、このような事も起こります。これは、知らず知らず、呼ばれているのに関わらず、無視してしまう危険性を持っています。

難聴は、目に見えるものではありませんので、周囲の方が、気付く事は少なくなります。補聴器を装用していない場合は、尚更です。ましてや子どもの世界ですので、仮に補聴器を装用していたとしても「何それ?」程度にしかなりません。一部「先生にお話ししておけば大丈夫」という声を聞きますが、個人的には「それはない」と考えています。なぜなら、先生とお話しする時間より、周囲の子とお話しする時間、共有する時間の方が圧倒的に多いからです。仮に先生にお話して、先生がクラスの子に説明したとしてもそれを真剣に聞く子は、どれほどいるのでしょうか。これでは、根本的な解決には、なりません。

重要なのは、先生とのコミュニケーションではなく、お友達同士のコミュニケーション方法を考える事です。こちらは、補聴器で音を補った後、さらに予防策を考えていく必要があります。

なお、音が聞こえにくい事で、起こるのは、コミュニケーション障害のみではありません。その他の事も起こります。難聴についてしっかり理解したい場合は、こちらをどうぞ。

リンク:【重要】誰も言わない聴力低下すると起こる3つの症状

まとめ

難聴になるとこのような事が起こりやすくなります。学習は、児童にとって重要な事ですし、コミュニケーションも社会で生きていくには、重要です。「聞こえにくいなら、自分(ご両親)が気をつければ良い……」という事ではなく、このような事を防止していく必要があります。

これらを防止できるのが、補聴器であり、補聴器の役目です。

難聴と気が付くには

難聴は、非常に気が付きにくいものです。たまに「子どもが困っていない」という事で、必要性を感じない方がいます。そのような方のために、難聴はどのようにしたら気が付くのかを載せていきます。

難聴はわからない

難聴は、本人では気が付きません。上記にチラッと出ましたが、音は、聞こえないと聞こえていない事に気がつかないため、自分自身で気付く事ができません。

また、生まれつき難聴の方は、比較するものがないため、自分自身が難聴である事に気付く事ができません。本来、これらのものに気が付くには、必ず比較が必要です。例えば、目で言えば、今まで見えていた物が、同じ距離で見えなくなってきた、というのがあります。これは、今まで見えていた感覚と比較しているからこそ、悪くなってきたという事がわかります。感覚の場合は、このような比較をしない限り、理解する事ができません。

生まれつき聞こえにくい場合は、この比較は、できませんし、さらに音は聞こえないと聞こえていない事に気が付きません。そのため、他の人から言われ、検査してわかるのが一般的です。

検査も正常と言われる数値と検査の内容を比較して善し悪しを判断しています。耳の場合は、聞こえの検査して20dBくらいまでなら、問題なしとされます。詳しく知りたい場合は、こちらをお勧めします。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

難聴の子は、自分から「聞こえにくい」という事はありません。それは、自分自身で気が付くツールがないからです。

別例からわかる感覚のわかりづらさ

さて、上記には、目の例がでました。ここで、目に例えて理解をさらに深めていきましょう。視力の場合も難聴と同様です。生まれつき視力が低下している場合は、自分自身が見えにくい事に気が付いていません。他の人がどのように見えているのかもわからないですし、気が付いたらそのような状態ですので、比較対象がありません。そうなると自分自身が視力が低下している事に気が付く術がありません。

そこで、視力検査の登場です。視力検査の場合、1.0が正常値で0.8くらいあれば、日常生活に支障がないとされています。このように数値でわかるようになると検査を受け、自分の検査結果と正常値あるいは、日常生活に支障がない値と比較する事で、自分自身の状況を適切に理解する事ができます。そこで初めて、視力が低下している事に気が付きます。

なお、この際ですが「困ってますか?」とは、聞くことはありません。なぜなら、そのような状況が当たり前ですので、困っている以前にそれが当たり前だと思っている方が大半です。困っているというのも物事の前後があります。以前と比較して困っている場合は、何とか改善させようと動くのですが、元々困っている場合は、それが当たり前だと思っているため、改善させようとする事は少なかったりします。と言いますのも当たり前だと思う事は、困っているという感覚がないのが大半です。

このような場合は、まずメガネを装用させ、見える世界を体験させる事で、初めて自分自身が目が見にくい状態である事を理解します。人は、自分が感じる感覚が全てです。他の人が感じている感覚はわかりませんので、ある意味当たり前でもあります。これらをしっかり理解するために、検査があり、適切に判断できるようになっています。

このように感覚というのは、自分自身ではわからないものです。さらに、生まれつきの場合は、比較する対象がないため、自分自身で気付く事ができません。他の人から、言われ、そして検査を受ける事で、初めて理解する事ができます。

二つを防止するために補聴器を

  • 適切な発達
  • コミュニケーション障害の予防

難聴だと診断された場合、この二つのために、補聴器を装用する事をお勧めします。適切な発達もコミュニケーション障害の予防も非常に大切な事となります。

そして、コミュニケーション障害の予防には、お友達にも難聴の事が言えるようになるとよりベストです。コミュニケーション障害を予防するには、予め難聴の事をお話ししておく事です。これが最も効果があります。上記のようにお話ししている場合とお話ししていない場合では、天と地ほど、反応が違います。予めお話ししておく事で、予防するのが最も重要です。

人は誰でも無視されたり、変な風に言い返されたりすると嫌な感情を持ちます。それらの事を意図的にしているのではない事を伝えるのは、相手の子を思いやる行為でもあります。難聴である事をお話しするのは、相手にとっても自分にとっても良い事です。

もし、耳が聞こえにくいお子さんがいらっしゃれば、適切な発達とコミュニケーション障害の予防、この二つの為に、補聴器を装用する事をお勧めします。

あとがき

補聴器が必要な理由という事で、記載してみました。難聴になると起こる事から考えるとわかりやすくなります。中には、効果が見づらい、見えづらい場合もありますが、適切に促したり、コミュニケーション障害を少しでも軽減できていれば、それは、補聴器の効果になります。

一つ注意点として、生まれつき難聴の子は、今の聞こえが当たり前だと思っています。言い方を変えると耳が聞こえにくい事に気が付いていません。ですので、初めは、補聴器の装用を嫌がるケースがあります。本人の感覚からすれば、これは当然の反応です。

補聴器の装用は、音が聞こえる事で、自分にとって効果があると喜んでつけてくれます。しかし、それがないとただうるさいだけの苦行になってしまいます。補聴器の効果は、目で確認できるようにする必要もありますが、補聴器を装用する本人にとって益となるものを作り出す必要があります。例えば、テレビの音声が聞きやすくなった、お友達とお話ししやすくなった、これらの益です。補聴器を装用する場合は、これらの事も考えていくとうまく行きやすくなります。

私自身生まれつきの難聴です。私の場合は、補聴器をすんなり受け入れられました。と言いますのも補聴器を装用すると色々な音が聞こえて楽しかったからです。特に、テレビの音が非常に聞きやすくなりましたので、すぐに一日中装用する事になりました。私自身は、聞こえる事が何よりも嬉しかったので、補聴器装用に関しては、苦労した試しがありません。

これらの内容がお役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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