FM機器、Roger受信機の比較と選択方法


FM、Roger送信機と比べると受信機は、あまり悩む事がありません。

一般的には、補聴器の形状や購入時期で決まってしまう事、ほとんど選択肢がない事により、悩む事が少ないです。しかし、より良い選択をしたいとお考えの方のために、それぞれの利点、欠点を記載していきます。

例によって例の如く、フォナック社のもので比較をしていきます。また、子どもを対象としたエントリーになります。

なお送信機に関してはこちらをご覧下さい

リンク:送信機別の機能から考えるFM送信機の選択方法

リンク:難聴児に合ったFM機器、Roger送信機の選び方

今回は、受信機について見ていきましょう。

FM機器、Roger受信機の概要

こちらでは、FM機器、Roger受信機に関する内容の概要について記載していきます。FM機器やRogerに関する基本的な内容になります。

FM機器、Roger受信機の基本

受信機とは、補聴器、人工内耳に装用する付属機器です。送信機は、話し手につけてもらいますが、受信機は話す声を聞きたい方の補聴器、人工内耳に装用します。受信機をつける事により、送信機から送られた音声が直接補聴器、人工内耳に入ってくる様になります。それ故、FM機器、Rogerは非常に良い聞こえをもたらしてくれます。

受信機の種類によっては、補聴器そのものに付けるものがあります。このタイプの場合、両耳に使用すると二つ受信機が必要になります。中には、首にかけるものもあり、こちらの場合は、一つあるだけで両耳ともFM機器、Rogerの音声を補聴器に入れる事ができます。詳しくは下記に記載しますが、受信機にも色々種類があります。

共通する受信機の欠点

一方、補聴器、人工内耳に装用するため、補聴器の故障の原因である汗の影響も受けやすくなってしまうのが、受信機共通の欠点です。各社、壊れにくい様に工夫をしていますが、それでも補聴器より故障回数が多い傾向があります。故障しやすい環境下のため、送信機よりも圧倒的に受信機の方が壊れやすくなります。

また、どの受信機を装着しても、補聴器より縦長になります。そのため耳にかかるバランスが崩れ、耳のかかる部分に擦り傷がついてしまったり、痛みを感じる事もあります※そう多い事ではありません。

こちらは靴擦れと似たようなものですので、使い続けていると全く気にならなくなる傾向があります。

なお、通信機器を使用する際の注意点として、電池寿命が短くなる事も挙げられます。通信機器を使用すると通常の約三倍早く電池が無くなります。通信機器を動作させるには、多くのエネルギーが必要になるため、早めに電池がなくなります。補聴器の電池交換が10日に一度だったとしますと3、4日で交換する事になります。一日中通信機器を使用していたら、上記のようになりますが、ほとんどの場合は、必要に応じて使用します。そのため、3分の1にならなくとも、だいたい半分くらいになります。

FM機器、Roger受信機の種類別利点、欠点

では、次に種類別の利点、欠点を見ていきましょう。受信機の種類に関しては、主に三つあります。

  • 汎用型と呼ばれる受信機
  • 一体型と呼ばれる受信機
  • Tコイル型の受信機

これらについて記載していきます。

形状その一、汎用型タイプ

こちらでは、汎用型タイプについて記載していきます。

汎用型タイプの概要

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 ※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

左の図に載っているのが汎用型タイプの受信機です。右側に載っているのが、受信機を装着した状態の補聴器の大きさです。茶色?の補聴器は一般的な補聴器サイズの補聴器です。といっても言葉だけで大きさはわかりませんね。

受信機の形状は1.5cmくらいしかありません。だいぶ小さい受信機です。また、この受信機の場合は、受信機のほかに、オーディオシューと呼ばれる補聴器と受信機を仲介する役目を果たす機器が必要になります。受信機とオーディオシューがあって初めて補聴器に通信機器からの音が聞こえる様になります。

汎用型タイプの利点

この受信機の利点は、

  • 取り外しが楽である事
  • どんな補聴器でも使用できる事

この二点です。

取り外しが容易であるため、夏の間に外して乾燥機の中に入れておく、使わない間は乾燥機の中にいれてケアしておく事が可能になります。取り外せる事により、汗の影響を受けにくくする事ができるのが利点です。

どんな補聴器でも使用できる事については、オーディオシューが関わってきます。汎用型の受信機は、規格に則って作られているため、様々な補聴器があったとしても、それぞれに対応したオーディオシューがあれば、フォナック社以外の補聴器に装着する事ができます。

オーディオシューは、受信機と補聴器を繋ぐ役割を果たしており、そのオーディオシューがある補聴器は、この受信機を使用する事ができます。

取り外しが楽である事もオーディオシューが関わってきます。受信機は、オーディオシューに差しこんでいるだけになります。一体型と呼ばれる受信機より、取り外しが容易になっています。

汎用型タイプの欠点

こちらの受信機の欠点は

  • 大きくなりやすい
  • 故障しやすい

この二点です。いずれも一体型の受信機と比較しています。全てのものにオーディオシューが関わっています。

大きくなりやすいのは、オーディオシューと受信機を装用しなければならないため、補聴器そのものが縦長になりやすくなります。重さはあまり変わりませんが、長くなると鬱陶しく感じたりする事があります。

故障しやすいのは、受信機の他にオーディオシューが壊れても音が出なくなるからです。また、オーディオシューと受信機の継ぎ目に汗が溜まり、オーディオシュー、受信機が壊れるケースもあります。

オーディオシューは受信機と比較すると錆びやすい傾向があり、このタイプを使用している方の故障の7割ほどはオーディオシューによるものです。それほど、壊れやすい傾向があります。

まとめ

この受信機は、全てにおいてオーディオシューを使った場合の利点と欠点になります。また、この受信機は、主に他のメーカーの補聴器を装用している方が主に使用されます。

一体型の受信機

こちらは、一体型の受信機について記載していきます。

一体型タイプの概要

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

こちらが一体型と呼ばれる受信機です。左の図が一体型の受信機で、右の図が一体型の受信機を装着した補聴器の図です。こちらの特徴は受信機をそのまま補聴器に装用できます。そのため、オーディオシューが必要ありません。

注意点としては、メーカーごとに一体型受信機を出しています。フォナック製であれば、フォナック社の補聴器に合う一体型、オーティコン製であれば、オーティコン社の補聴器に合う一体型受信機が存在します。

一体型タイプの利点

こちらも汎用型と比較して利点を挙げていきます。一体型の利点は

  • 形状を小さくできる事
  • 壊れにくい事

この二点があります。

オーディオシューを中間に入れる必要がないため、形状を小さくでき、さらに壊れにくくなっています。壊れにくいのは、他にも受信機そのものを補聴器の形状に合わせる事で、汗の影響を受けにくくしている事も関与しています。小さくする事で耳の負担も楽になっています。

受信機の中には、防水(実際は防滴ぐらいです)機能がついており、非常に壊れにくく加工している受信機があります。ただし、これがあるからといって壊れない事を保障しているわけではありませんので注意してください。実際に故障は何度もあります。

一体型タイプの欠点

こちらも汎用型と比較して欠点を挙げていきます。全て良いように見えますが、そんな一体型受信機にも欠点が存在します。それは

  • 形状が限定される事
  • 安易に取り外しする事ができない事

この二点です。

形状が限定される事に関しては、補聴器の買い換え時に直結します。一体型の利点は魅力的ですが、その形状の故、限定された補聴器にしか使用できなくなります。購入して2~3年の補聴器に一体型受信機を装着する場合、その補聴器をあと5~6年使用する覚悟で買わなければなりません。もちろんお金に余裕がある方は、この点は欠点にはなりません。

安易に取り外しする事ができないのは、場合によって欠点になります。これは受信機が故障した際に影響します。受信機が故障すると補聴器まで音が出なくなる事があります。補聴器の音声が常にFM機器、Roger+補聴器のマイク音が入る様になっている場合、受信機が壊れると補聴器の音まで止まってしまう事があります。そうなった場合は、受信機を取り外す事で、補聴器の音を出す事ができます。※補聴器が壊れていない場合に限ります。

汎用型の場合は、受信機を取り外す事で直す事が可能です。※オーディオシュー、補聴器共に壊れていない事が条件です。

まとめ

この受信機は、全てにおいて形状を合わせる事による利点、欠点と言えます。また、この受信機は、主に補聴器、FM機器、Rogerが同じメーカーの方が使用されます。

Tコイルタイプの受信機

こちらでは、Tコイルタイプについて記載していきます。

Tコイルタイプの概要

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

Tコイルと言われる特殊な装置を使った受信機があります。コードがついており、首にぶら下げて使用します。コードの部分から磁気を飛ばし、その磁気を補聴器が感じて聞こえるようになります。補聴器からコードの部分を離すと聞こえなくなります。

一般的には、上記の一体型、汎用型の受信機を使用する事が多いため、この受信機を装用している方は少ないです。

このタイプの受信機の場合は、コードの断線という故障があります。乱暴にコードを引っこ抜いたり、コードで遊んだりすると中にある線が切れ、音声が聞こえなくなります。特にコードと本体に差し込んである部分のつなぎ目が弱く、注意して抜かないと断線しやすくなります。

Tコイルタイプの利点

この受信機の場合は

  • 価格が安い
  • 一つで二つの耳に使用できる
  • 取り扱いが楽

この三点があります。

上記の一体型、汎用型の受信機の場合、耳の数だけ受信機が必要になります。しかし、この受信機の場合は、これ一つで聞く事ができます。本体の価格も安く、一つで二つの耳に使えるため、上記の受信機と比較すると価格が安く収まります。

取り扱いも非常に楽で、首に掛けるだけになります。

Tコイルタイプの欠点

この受信機の場合は

  • 音が安定しない
  • ノイズが入りやすい
  • 受信機が動きやすい

これらが挙げられます。

受信機そのものが固定されていないため、動きやすく、音が安定しません。この受信機は、コードの位置によって入ってくる音が変わります。コードが補聴器に近づくと近づく程、音が大きくなり、補聴器から離れると離れる程、聞こえにくくなります。コードが動きやすいという事は、使用してる方が動き回るとコードの位置が変わり、音が大きくなったり、小さくなったりしてしまうため、入ってくる音の音量が安定しないという事になります。それ故、使用する人が極端に少ないのが現状です。

ノイズに関しては、Tコイルの設定をしていると電磁波に反応して、ノイズを拾ってしまいます。身近な物では

  • パソコン
  • 時計
  • 蛍光灯

これらが挙げられます。

動きやすい点は、子ども達にとって良いものではありません。スマホや携帯電話を首にぶら下げて運動すれば、誰でも鬱陶しく感じるように、子ども達もそれを感じています。一応、服の中に入れて固定する方法もあり、聞き取りに関しては、コードが出ていれば問題ありません。しかし、体の中は湿気や汗をかくため、機器にとっては最悪の環境になります。

選ばない理由として多いのは、動く事による鬱陶しさと音の安定しなさです。と言う事は、安定する場所であれば、良いと言う事にもなります。ここはどのように捉えるかで、この機器の評価が180度変わります。

まとめ

この機器は、首に掛ける事そのものによる利点と欠点と言えます。

なお、この機器は、ろう学校、通級指導教室など、子ども達が通う所では広く活用されています。通信機器を試すきっかけには、非常に良い機器です。欠点である鬱陶しさは使い続ける事で感じるようになります。欠点を感じなければ利点である気軽さが全面に出る商品です。

気軽に両耳、片耳も試せるため、通信機器の効果を知るきっかけには最適の機器です。

受信機は専用の受信機しか使えない

そういえば、通信機器には、FMとRogerがあったはず、どっちにも使えるのだろうか?とお考えの方のために、補足説明をさせていただきます。

上記に記載したものは、全てどちらにも使用できます。ただし、FMの場合は、FMを受信できる一体型、汎用型、Tコイル型を選択する必要があります。Rogerの場合は、Rogerを受信できる一体型、汎用型、Tコイル型を選択する必要があります。

どちらにも使用できる受信機は存在しませんので、ご注意ください。FMならFM専用、RogerならRoger専用の受信機を選択する事になります。

そういった意味では、送信機に合わせて選択するとお考えになった方が良いかもしれません。

そのような意味もこめて通信機器と表記しています。

FM機器、Roger受信機の選択方法

長かった前置きはここで終了です。では、本題に入っていきましょう。

上記の内容を見て、お気づきの方もいるかもしれませんが、選択方法はあまり多くはありません。

選択の際、通信機器と補聴器メーカーが異なるケースを除き、考えられる選択方法として、補聴器購入がいつなのか、お金はどれだけ出せるのか、この二点でほとんど決まります。

お金に糸目をつけない場合は一体型

一体型の利点は、故障が少ない、形状の小型化です。欠点は、限定された補聴器にしかつけられない事です。性能面で見ると一体型の方が得になります。欠点は、言い方を変えれば、お金によるものです。

お金に糸目をつけない場合は、購入期間を考えず一体型の受信機を選択する方が良いでしょう。

補聴器の購入時期で決める受信機選択

お金が厳しい場合は、補聴器購入がいつなのかで決めます。補聴器購入と同時に通信機器を購入する場合は、一体型がベストです。受信機の対応年数は、5年と言われており、補聴器と同じです。

しかし、それ以外で購入する場合は、汎用型の方が結果的に金額は抑えられます。汎用型であれば、故障しやすいリスクはあるものの、故障金額の低下、買い換えのリスクは少なくなります。買い換えの際は、新しく購入した補聴器のオーディオシューを購入すれば、その補聴器でも使用できる様になります。

まとめ

補聴器購入がいつか、お金はどれだけだせるかで考えていくと自ずと選択する受信機が決まります。

なお、補聴器がフォナック製ではない方は、強制的に汎用型になります。この場合は上記の選択には含んでいません。また、FMかRogerかは、送信機によって変わりますので、これも上記の内容に含んでいません。その点だけご注意ください。

あとがき

受信機について記載してみました。少し説明が細かくなってしまいましたが、おおよその事は記載できた様に思います。

FM機器、Rogerは、受信機よりも送信機の方が決める方が大変です。そのため、ないがしろにされやすいのですが、今回はあえて説明してみました。

受信機の利点、欠点をよく考えていくと場合によっては欠点にならないケースもあります。そういった事もあるため、あえて細かく利点、欠点を記載しています。

例えば、細かい操作ができる方であれば、受信機を汎用型に変えた方が良い場合もあります。汎用型の弱点は、壊れやすさですが、利点は交換のしやすさ、そしてオーディオシューが壊れる事です。

言い方を変えれば、受信機が壊れにくい変わりにオーディオシューが壊れやすくなっています。オーディオシューは、単なる備品になりますので、買いだめしストックしておく事ができます。オーディオシューを交換できる技術を持っている方であれば、壊れた際、オーディオシューのみ交換し、その場ですぐに直す事も可能になります。

また、オーディオシューは、受信機が壊れた時に払う金額の5分の1以下です。さらに交換出来れば、FM機器、Rogerの修理にかかる10日の間、使用できないという事も防げます。

安くかつその場で修理ができるため、実際にごく一部の親御さんは、そのような選択をしています。

ただし、技術がある事、交換などで壊してしまった場合は、自己責任になる事、受信機が壊れている時はどうにもならないなど欠点も存在します。そのため、ごく一部の親御さんしかやっていないのも現状です。多くの方に勧められる事ではありませんが、このように考える事も可能です。

自身の状況によっては欠点を利点に変えていく事もできます。世の中、考え方次第でどんどん変わります。

どちらが良いか最適な選択できる様になれば、幸いです。