補聴器のサポート

損をしないための補聴器電池の注意点と性能の良い電池

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

補聴器の電池には、使用するうえでいくつか注意点があります。適切な環境で使用しなければ、うまく電池が動作しなくなったり、電池の持ちが半分になるといった事も起こります。良かれ……と思っていた事も、実は逆効果になってしまう事もあります。

そこで、今回は、適切に電池を理解できるように、電池の基礎について記載していきます。電池の基礎から気をつけたい事について載せると共に、電池アラームの仕組みや性能の良い電池についても載せていきます。

補聴器に使用される電池

こちらでは、補聴器に使用される電池の基礎について、記載していきます。どれも重要な内容となります。

空気電池の基礎

補聴器の電池は、主に空気電池と呼ばれるものです。別名、空気亜鉛電池とも呼ばれます。

この電池は、主に空気(厳密には、酸素です)を電池内に取り込む事で、発電します。空気電池の表面には、穴が空いており、ここから空気を取り込むようになっています。この穴を塞いでしまうと、うまく発電しなくなったり、誤作動の原因になることがあります。

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こちらが、電池の表側(+極)です。三つの小さい穴が空いているのがお分かりでしょうか。プラス極は、元々シールが張ってある方の面です。この穴が何らかの原因により、塞がってしまうと誤作動の元になります。

なお、電池によっては、上記以外にも、二つだったり、一つだったりします。

空気電池は常に発電

空気電池の特徴としては、シールをはがした後、使用の有無に関わらず、電池を消費していきます。電池を使用していなくても自然放電してしまうため、シールをはがしたら使い切る気でいましょう。シールをはがすと、使用しないでいても3~4週間で電池が発電しなくなります。※PR44という大きい電池のみ、1ヶ月~2ヶ月くらいで発電しなくなります。

形状も大きいと大きいほど、電池容量も多くなるため、補聴器使用時間が伸びます。補聴器ごとに一つの電池で使用できる時間は異なりますが、大きい電池を使用する補聴器は、比較的長持ちする傾向があります。

電池に貼るのは禁止

補聴器用電池は、必ずシールが貼ってあり、これをはがす事で、発電するようになります。たまに、電池を使用しない時、シールを貼り戻す方がいますが、これはやめましょう。補聴器電池の場合、高出力にするため、空気を取り込む穴が大きめに空いています。ここがシールの粘着物で塞がれてしまうと、空気が思うように取り込めず、うまく発電しなくなってしまう可能性があります。

シールを貼り直す事はせず、シールをはがしたら使い切る気でいましょう。特にセロテープで貼り直すのはもってのほかです。電池が正しく発電できなくなる原因になりかねませんので、お勧めしません。

電池にシールを貼り直したりすると思わぬ電池トラブルになる可能性が高くなります。そして、一度シールを剥がすと常に発電するようになりますので、貼り直しても使用できる時間が伸びる事は、ありません。トラブルの危険性しかありませんので、電池にシールを貼るのは、やめましょう。

冬場の注意

これは、良く言われている事ですので、ご存知の方も多いかもしれません。

冬場は、

  • 電池の性質上の観点
  • 二酸化炭素の増加

この二点により、電池が発電しにくくなったり、劣化しやすい状況になります。こちらもしっかり理解しておきましょう。

寒いところでは発電しにくい

ボタン電池の適正温度は、20度が最適と言われており、気温が5度以下の寒い所で使用すると電池寿命が低下します。寒い場所で使用する場合は、電池が冷えないようにする必要があります。補聴器は、幸い耳という体温がある場所に使用するので、使用中は問題ありません。使用する前は、電池を暖めてから使用すると安定して使用できます。

二酸化炭素は電池の敵

二酸化炭素は、石油ストーブやガスストーブを使用する事で増えていきます。特に空気電池は、二酸化炭素に非常に弱く、二酸化炭素により、電池寿命が短くなります。

閉め切った部屋で、ストーブを使用しながら生活していると、使用できる電池量が半分くらいにまで減る事もあります。これは、適度な換気をする事で、防ぐ事ができます。冬場は、適度な換気をするように心掛けましょう。

夏の注意点

電池のトラブルは、夏にも起こります。夏の注意についてはこちらになります。

リンク:汗による電池のショートで補聴器の音は止まる

補聴器のアラームがなる仕組み

最近の補聴器には、電池が切れる約30分前にアラームを鳴らし、電池交換タイミングをお知らせしてくれます。電池切れによって不意に音が切れる事を防止するために、付けられた機能です。こちらの仕組みについても載せていきます。

アラームの基礎

アラームの仕組みとしては、以下のようになります。

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機械には、それぞれ必須電圧ラインというものがあります。補聴器も同様で、こちらを下回ると動くための力が得られず、動かなくなります。補聴器の必須電圧V(ボルト)は、わかりませんが、これを下回ると補聴器の音が出なくなります。

補聴器の場合、そこまで低下する前に、電池アラーム音が鳴るのように設定されています。必須ラインの少し手前までで、予めお知らせするようになっていますので、お知らせ後も少しの時間は、使用できるようになっています。こうする事により、補聴器装用者は、交換するタイミングがわかるようになりました。

アラーム=交換の合図

アラームが鳴りだしたら、すぐに交換してください。たまに「もったいない」といい、限界まで使用する方もいますが、すぐに電池を交換した方が、聞こえは安定しますし、良くなります。

アラームが鳴った後は、電池容量が一定以下の状態になっていますので、補聴器の動作を保証できない状態になります。今現在の補聴器は、様々な事をしており、例えば、指向性と呼ばれる機能や騒音抑制と呼ばれる機能を使用すると電池消耗が激しくなります。電池が無くなっている状態ですと電池を消費するものは、適切に動作させる事ができません。

電池アラームは、あくまでも補聴器を適切に使用するためにあるものです。言い換えれば、補聴器の機能を維持するための、アラーム音とも言えます。機能が維持しにくくなっている状態になるとアラーム音が鳴りますので、アラームが鳴ったらすぐに交換するのがお勧めです。

アラームの注意点

補聴器の中には、一時的に、電池消耗が激しくなる事があります。高性能の騒音抑制機能、指向性機能、その他、FM機器、Roger通信機、Bluetooth機器などは、通常、補聴器を使用している時より、補聴器必須電圧ラインが大きくなります。このような機能を使用している場合、電池が無くなりやすくなるという事に加えて、電池のアラーム音も鳴りやすくなります。

そして、これらの機能を使用しなくなると通常の補聴器必須電圧ラインに戻りますので、機能を使っている時にアラーム音が聞こえたとしても、通常の状態に戻すとまだまだ電池が使える……という事があります。こちらに関しては、仕様です。

補聴器の中で使用電圧が上がるのは、騒音抑制機能、指向性機能です。この二つは、使用していると補聴器の電圧が上がりやすくなります。特に指向性機能は、躊躇に出ます。

その他で記載しているのは、外部アクセサリーといわれるものです。FM機器、Roger通信機器とは、補聴器に直接音声を入れる通信機器になります。この二つは、使用すると補聴器の電池寿命が3分の1になります。多くの電気を必要とするため、電圧も上がり気味になります。

Bluetooth通信機とは、Bluetoothを使用して補聴器に直接音声を流したり、音楽を聞けるようにする通信機です。こちらも多くの電気を消費する傾向がありますので、自ずと電圧も上がり気味になります。

これらのものは、補聴器必須電圧ラインが上がり気味になります。通常の状況より、アラーム音が鳴りやすい状況になりますので、アラームが鳴ったのに関わらず、使用できる……という事が起こります。これらは、仕様だと思いましょう。そして、早めに電池の交換をしてしまいましょう。

FM機器についてはこちらをご覧下さい。※Roger通信機器はFM機器の仲間です。

リンク:難聴児の聞こえを改善させるFM機器、Rogerとは

性能の良い電池はどれ?

こちらでは、良い電池に関して、記載していきます。性能の良い電池とは、長く安定的に使用できる電池と定義したうえで、お話しを進めていきます。

メーカーの種類と安定する電池

補聴器の電池には、様々なところから出ていますね。主なメーカーは、パワーワン、ネクセル、レイオバックといったところでしょうか。

補聴器の電池は、高出力の方が長く使用できます。理由は、電圧が安定しやすいからですね。上記のアラーム音が鳴る仕組みとして、電圧が下がった時にアラーム音が鳴りやすい事を記載しました。補聴器の電池は、電圧が安定しやすい電池を使用する方が、長く使用できます。

良いメーカー、悪いメーカー

上記の電池メーカーの内、私が使用した事があるのは、パワーワン、ネクセルです。

その中で個人的なお勧めは、パワーワンの電池です。使用する状況によっては、ネクセル電池より、半分ほど持った結果が出ています。特に、FM機器、RogerやBluetoothなどの通信装置を使用している場合は、パワーワンの方が断然持ちが良くなっています。

パワーワンの電池は、どれも高出力で安定した電気供給をしてくれます。私が使用している電池もパワーワンの電池です。この電池が最も長く使用できています。

ワーストは、ネクセルです。安いのが売りなのですが、電池性能も良いものではありません。パワーワンと比較すると電池寿命は、短く感じます。電池アラーム音が鳴るタイミングも早く、早々に電池を交換する事が多かったですね。特に、注意点であげた機器、機能を使用している方は、要注意です。パワーワン以上に早く電池が切れてしまいます。

パワーワンの電池は、通販でも売っていますし、補聴器屋でも売っています。補聴器屋であれば、パワーワンと言っていただければわかります。一部の補聴器販売メーカーは、パワーワンより、電池を購入し、自社電池として、パワーワン電池を販売しています。

なお、ネクセルは、リオネット補聴器、パワーワンは、フォナック補聴器、シーメンス補聴器、パナソニックが自社電池として販売しています。これらは私が知る限りですので、もっと多くのところで採用されているかもしれません。

あとがき

補聴器電池について記載してみました。電池に必要な事は、記載できたように思います。

現在は、通販で気軽に補聴器電池を購入できる様になりました。そのため、どの電池が良いのかわからない方もいるかもしれないと思い、お勧め電池についても記載してみました。

個人的にお勧めなのは、上記の通り、パワーワン電池です。こちらが持ちが良く、安定して使用できます。

これらの内容がお役に立てれば幸いです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。このお店では、お客様が抱えているお悩みごと、お困りごとの解決に貢献できるよう、完全予約制にして、ご相談を承っています。

お店のご紹介

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

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お店の詳細は、以下のページへどうぞ。

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