2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

改善内容から見る乳幼難聴児の現状


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聴覚医学会に、勉強になる論文がありました。乳幼の難聴児に関する論文です。

こちらは、全国の乳幼のお子さんを預かる施設にどんな補聴器を使用しているのか、どんな機能を使っているのか調査した内容です。

こちらの論文を読むと乳幼の難聴児に関する現状が見えてきます。

今回は、こちらについて記載していきます。

リンク:聴覚医学会 乳幼児期の難聴児における補聴器機能と装用状況に関する検討

論文 要旨

まずは、概要です。

本研究では,全国の乳幼児補聴器適合施設に対し,補聴器装用・機能の状況と,補聴器選択に関して調査した。乳幼児に適合されている補聴器型は,耳かけ型が最も多く,ベビー型の使用数は低かった。乳幼児の補聴器機能では,ボリューム固定,ハウリング抑制,雑音低減,ワイヤレス,指向性の順で使用されていた。常用や装用を妨げる原因にハウリング,補聴器を嫌がる,耳から外れやすいがあり,補聴器の故障原因は,汗が多かった。乳幼児の補聴器選択において,経済的負担軽減(障害者自立支援法 : 現障害者総合支援法対応),耳介にあった形状,ハウリング抑制機能,装着のしやすさ,防水性能が重視されていることが確認された。補聴器適合担当者は,補聴器の日常使用の利便性の向上と,発達への対応における保護者負担の軽減への要望が高かった。また,早期難聴診断や補聴・支援に関する社会啓発と,診断機関と療育・教育機関の情報共有の指摘も高かった。

乳幼児期の難聴児における補聴器機能と装用状況に関する検討より引用

全国の乳幼児期補聴器適合施設は、ろう学校や療育センター、病院でよろしいのでしょうか。そこで、補聴器について調査した内容です。

下記に参考になった部分を切り抜きしていきます。

補聴器選択の比率

こちらでは、補聴器選択の比率に関して掲載していきます。

乳幼児 補聴器

※乳幼児期の難聴児における補聴器機能と装用状況に関する検討より引用

驚いたのは、ベビー型が多い事です。私がいたところでは、ベビー型を使っている赤ちゃんを見た事がないため、こんなにも多いとは思っていませんでした。考えていたのは、1~2%くらいです。この内容は考えさせられます……

なお、ベビー型にした理由に関しては、こちらです。

ベビー補聴器

※乳幼児期の難聴児における補聴器機能と装用状況に関する検討より引用

補聴器を安定して装用できるが最も多く票を集めています。確かにベビー型であれば、一般的な補聴器より安定した装用ができます。耳が柔らかい事、耳が小さい事により、装用が安定しない赤ちゃんには、必要な事です。また、その次に多い、ハウリングに関しても効果があります。こちら上記と同理由のため、起こりやすい事です。

しかし、ベビー型で気になるところは、音源定位ですね。ベビー型の場合、右耳で得る音を左肩にあるマイクから音を拾います。左耳で得る音を右肩にあるマイクから音を拾います。通常、人の耳は、右から得られる音を右耳から得て、左から得られる音は左耳で得ています。小さい頃から、この状態で聞き続ける事により、左から聞こえた、右から聞こえたなどの音の位置を特定できるようになります。ベビー型の場合、音源を特定する能力が身に付きません。

なお、使用できないより、音を入れた方が良いのは確かです。この選択肢が間違っているわけではありません。

この内容は、実に考えさせられますね。この問題を解決するには、通常の補聴器で赤ちゃんも使用できるようにする事が必要です。数年前より、形状の小型化とハウリングを抑制する機能が優れてきたとはいえ、まだまだ補聴器を改良していかなければならないという事も読み取れます。

個人的によくしていたのは、固いチューブをイヤモールドにつけていました。通常の場合、耳で補聴器を支えますが、赤ちゃんの場合、耳が柔らかすぎて崩れてしまいます。そのため、イヤモールドチューブを固めのものに変更し、イヤモールドで、補聴器を支えるようにします。このようにすると補聴器そのものを支えやすくなります。しっかりと支えられるようになれば、ベビー型を使用する必要はありませんね。赤ちゃんに限らず、耳が小さい、柔らかいお子さんも対象になります。

改善要求

ここがこうなったら良いかも!という内容も載っていました。アンケート

※乳幼児期の難聴児における補聴器機能と装用状況に関する検討より引用

上記の図は、保護者による改善してほしいという要望になります。トップ三位は、

  • 支援に関する社会的啓発
  • 補聴の負担軽減
  • 補聴器の利便性

の三点となりました。いずれも難しい問題ですね。

支援に関する社会的啓発とは、どのような内容(世界)を希望しているのでしょうか。この部分が記載されていませんでしたので、不明でした。補聴の負荷軽減は、3Dプリンターと3Dスキャナーがあれば、イヤモールドだけでも軽減できるかも……と考えています。今すぐに……という内容ではありませんが、今後期待される技術です。利便性は、どうなのでしょうか。現在の状態でも電子機器にしては、かなり強化されています。これ以上強化するのなら、別の方法を考えなければなりませんね。

意外に気になったのは、15です。補聴器適合法とは、どのようなものなのでしょうか。補聴器購入に適したガイドラインを作って欲しいという要望でしょうか。幼児を対応する病院は、大きい病院が多いです。そこでは、適切に見ていただける可能性が最も高くなります。これは一体どのような意味なのでしょうか……。

気になる内容があるにせよ、この内容は非常に参考になります。しっかりと受け止めなければいけない内容ですね。

あとがき

非常に勉強になる論文が出ていましたので、記載してみました。

個人的には、知っている内容もあれば、知らなかった内容もありました。状況を調べた論文が出てくれるのは非常に助かります。

このような論文が、多くのWebに掲載されれば、より難聴者の状況を知ってもらう事ができますね。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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