BAHA骨伝導補聴器の論文から見るBAHA補聴器の効果


聴覚医学会の論文の一部に、BAHA使用者の報告がありました。BAHAは優秀な骨導(骨伝導)補聴器ですが、あまり使用例がありません。骨導補聴器には、手術なしの骨導補聴器と手術ありのBAHA補聴器があります。

物事は、良い部分もあれば、悪い部分もあります。ここで気になるのが、使用してみた人の感想です。この部分は、誰もが気になるところです。

どちらを選択すれば良いかの判断目安として、こちらにも記載してみる事にしました。※聴覚医学会のサイトにアクセスできなくなったため、リンクは外しています。

BAHAの検証

論文の中で、調査した内容は、以下の通りです。

対象は当科治験患者12 人のうち定期的経過観察が出来ている7 人で,その内訳は伝音難聴例1名,混合難聴例1 名,片側聾例5 名である。

BAHA使用5年の装用者の現況より引用

片側聾の方が多いですね。内容によっては、クロス補聴器とBAHA、どちらが良いかも検討できるかもしれません。片耳聾の方は、この視点も気になるところです。

BAHA、実態調査の結果

こちらでは、伝音性難聴、混合難聴、片側聾、別々の結果を見ていきます論文を見る方は、研究者、医療関係者ですが、このブログを見る方は「自分にBAHAは合うのか」という視点です。そのため、難聴別にまとめていきます。なお、選択に関係ないと考えられるものは、省略していきます。

共通部分

こちらでは、BAHA使用者に共通するものをまとめてみました。

手術部位(インプラント部)の異常では,全例があると回答した。その内容は5 例がインプラントの周囲がかぶれてかゆい,2 例が痛みがあるという症状であった。症状の出る頻度は3 例がごくたまに,4 例がときどきという結果であった。
デメリットでは,共通して多かった回答は「帽子がかぶれない」「髪が結べない」「手術した部分がかぶれて時々薬を塗る」「周囲で高い音がすると響く」であった。個々には「横になった状態では装用できない」「眼鏡がかけにくい」「激しい運動ができない」「風の強い日はガサガサという音がして外す」といったものが挙げられた。

BAHA使用5年の装用者の現況より引用

インプラントを入れると、何かしら起こるようですね。半数以上がかゆみを体験しています。

勉強になったのは、メガネをかけにくい、風の強い日はうるさい、この二点です。確かにメガネは耳にかける部分が長くなっています。意外に見落としがちですね。風の音は、補聴器でも大きく感じる音です。いくら耳の後ろにあるからといって、風の影響を受けないとは、かぎらないようです。本当に勉強になります。

個人的には、痛みが気になります。痛みのレベル、どこが痛むのか、これらが気になるところです。痛みに関しては、激痛〜ちょっと痛いまで、様々です。

伝音性難聴の場合

伝音性難聴の部分をまとめてみました。

装用メリットは,伝音難聴例では「うしろからの声や音が聞こえる」「テレビの音が健常者と同程度で聞こえる」「聞き返しながくなった」「曖昧な返事をせず,誤解をまねくことがなくなった」
静寂下での会話では,常に成立
装用側からの呼びかけでは,常に気づく
静寂下でのBAHA側の人との会話成立では,常に可能
騒音下でのBAHA側の人との会話では,ほとんど可能
音の方向感では,あると思う
装用時の不快音の有無では,ある。具体的には「ジェット機の飛ぶ音」「キーンという高い音」
聞き返しについては,減った
講演会や講義などのききとりでは,ききやすくなる
満足度では,とても満足

※BAHA使用5年の装用者の現況より引用

なお、読みやすくする様に文を一部変更、削除しています

伝音性難聴の場合、非常に良い結果のようです。満足度もさることながら、全ての面で効果を感じています。伝音性難聴の方には、非常に効果が高い事がわかります。

伝音性難聴の場合、他に骨導補聴器があります。骨導補聴器の場合、特定の位置にセットする必要がありますが、手術をする必要がありません。しかし、場合によっては、セットした場所に痛みが出てきます。骨導補聴器の場合、適度な圧力をかけて、耳の後ろにある骨に当て続ける必要があります。長時間使っているとこの部分が痛む事があります。

使用して痛みがでるようなら、BAHAは選択肢として良いかもしれませんね。デメリットを見たうえで判断する必要があります。

骨導補聴器とBAHAに関する事は、こちらにも記載しています。

リンク:埋め込み式骨導補聴器BAHA、メリットとデメリット

混合性難聴

混合性難聴についてもまとめてみました

装用メリットは,「聞こえがとても良い」
静寂下での会話では,ほとんど可能
騒音下での会話では,ときどき可能
装用側からの呼びかけでは,ほとんど可能
静寂下でのBAHA側の人との会話成立では,ほとんど可能
騒音下でのBAHA側の人との会話では,ほとんど可能
音の方向感では,あると思う
装用時の不快音の有無では,ない
聞き返しについては,減った
満足度では,ほぼ満足

※BAHA使用5年の装用者の現況より引用

なお、読みやすくする様に文を一部変更、削除しています

満足度からするとこちらも効果が高い事がわかります。感音性の部分も入りますので、伝音性より効果は下がるものの、有効性は健在のようです。結果を見ると可能なものが多いですね。非常に参考になります。

伝音部分が大きい混合性難聴であれば、伝音性難聴のように効果が見込めると考えられます。

片耳聾の場合

こちらは、意見がわかれています。そのため、複数の意見を反映させていきます。なお、片耳聾の方は、全部で5名です。

装用メリットは,「良聴耳がふさがっていても周りの音や声が聞こえる」「病院の待合室などで呼ばれる時に聞き取りやすい」「聞こえない方から話しかけられても聞こえる,気付ける」
静寂下での会話では,常に成立(片側聾3 例)、ほとんど可能(片側聾1 例)、ときどき可能(片側聾1 例)
騒音下での会話では,ときどき可能(片側聾5 例)
装用側からの呼びかけでは,ほとんど可能(片側聾2 例)、ときどき可能(片側聾2 例)
静寂下でのBAHA側の人との会話成立では,ほとんど可能(片側聾例4 例)
騒音下でのBAHA側の人との会話では,ときどき可能(片側聾3 例)、まったく成立しない(片側聾1 例)
音の方向感では,あるとは思わない(片側聾4 例)
装用時の不快音の有無では,ある(片側聾2 例)、ない(片側聾2 例)具体的には「ジェット機の飛ぶ音」「キーンという高い音」
聞き返しについては,変わらない(片側聾4 例)
講演会や講義などのききとりでは,ききやすくなる(片側聾1 例)、変わらない(片側聾3 例)
満足度では,半分くらい(片側聾3 例)、あまり満足していない(片側聾1 例)

BAHA使用5年の装用者の現況より引用

なお、読みやすくする様に文を一部変更、削除しています

人により差がでた内容です。共通する部分は、音の方向感がない事、聞き返しは変わらない事、この二点でした。しかし、聾側のほうから音が聞こえたり、反応がしやすくなる変化はありますので、必ずしも効果がないわけでもありません。

途中から4名しか見当たらなくなってしまいましたが、十分参考になる内容です。

ここに注意

あくまでも、実態調査になります。全ての人が上記のようになるとは限りません。あくまでも使用してみた感想となりますので、ご注意ください。特に、伝音性難聴、混合性難聴は1名しかいません。

とはいえ、非常に少ない症例の意見を聞けるのは、すごく貴重です。

片耳聾は、BAHA?クロス補聴器?

片耳聾の方の場合、補い方として、BAHA、クロス補聴器があります。聾にまで聞こえが低下すると補聴器を装用しても効果が見込めない事があります。その場合は、聾の耳に補聴器を装用するのではなく、聾の耳で受ける音を聞こえの良い耳で受けとる仕組みが必要です。それを行えるのが、BAHAとクロス補聴器です。

上記の結果を見る限り、軍配は、クロス補聴器にあがりそうです。BAHAと比べるとクロス補聴器は、手術の必要がない事により、気軽に試せる強みがあります。こちらで、どのような効果があるかを調べたうえ、使用するのに問題がなければ、クロス補聴器、何かしら問題があり、BAHAで改善できる場合は、BAHAと選択しても良いのかもしれません。

聞こえ方の差はわかりませんので、この際、考慮に入れていません。この部分がわかれば、また変化するかもしれませんね。

クロス補聴器について知りたい方はこちらをどうぞ

リンク:片耳が聞こえない方、誰でも対応。クロス補聴器を理解する5つの要素

あとがき

BAHAについて貴重な資料がありましたので、こちらに記載させていただきました。BAHAは、症例が少ないため、私も知りません。このような内容が少しでも多く、世の中に届くようになれば、患者さんのためにもなると考えています。BAHAを検討している方に、少しでも理解する手立てになれば、幸いです。