難聴者に必要な音を届けられる補聴器選定法


補聴器を適切に提供したいと考えたとき、出力に関してはどのように見れば良いのでしょうか。

補聴器を提供する側の視点であれば、耳の聞こえに対して少し余裕を持たせて補聴器選定を行います(少し聞こえが低下したとしても補えるように考えます)。

しかし、選定が不慣れな方ですと、カタログに書いてある記述と聴力だけで判断しがちです。これでは、本当に適した補聴器選定ができているかがわかりません。

曖昧な方法ですと、販売後も心配になってしまいますね。そんな事にならないような方法があります。

今回は、補聴器に携わっている方へ向けた内容です。

出力の選定方法

まず、補聴器の選定は、聴力ではなく、実際に補聴器装用者を補っている利得で決めます。これには、人により必要利得が異なる事、単純にわかりやすいといった理由があります。

補聴器試聴時に、どれほど利得を入れて、客観的評価である音場効果測定の結果がどれだけ出たかを記録しましょう。これらを記録する事で、目標とする数値まで、どれほど音を入れる必要があるか(目標への利得必要値)がわかります。そして、そこから利得の上限値を引けば予備利得がわかります。利得上限値がわかりづらければ、実際に補聴器の調整で、上限まで上げれば理解できます。カタログの数値で確認するより、このほうが理解しやすいでしょう。

あとは、理想とする数値まで上げた場合、仮に聴力が少し(15~20dB)低下したとしたら補えるか、という問いにYesであればOKです、Noであれば、もっと出力がある補聴器が望ましいです。聴力が少し……が面倒であれば、予備利得10dBほど確保できていれば、よほどの事がなければこれを超えて補えなくなる事はないでしょう。これ以上低下すると自然に……ではなく、病気的要因で、聴力低下しているからです。この場合は、調整するより先に病院へ行く必要があります。

このように考えれば、大抵の場合に対応できるようになります。

なぜこの思考なのか

この思考で選択すると補聴器選定が明確になります。補聴器のカタログを見ると、この補聴器は中等度まで、この補聴器は高度までという記載があります。これらは、それぞれの難聴に必要な平均利得で計算されています。この内容で選択しても良いのですが、たまに困った事が起こります。それは、難聴者が高度難聴なのか、中等度難聴なのかの境目にいる場合です。パッと見ただけではどちらが良いかわかりませんが、上記のように利得で考えれば、すぐに白黒つきます。実際に調整してみて、中等度用の補聴器で事足りるならそちらでいいですし、足りないなら高度用の補聴器にする選択ができます。

また、装用者によって利得は異なります。長らく補聴器を調整していると「この聴力の方は、利得がこれくらい必要だろう」という勘が誰でも養われてきます。しかし時としてそれが勘違いに終わる事もあります。想定していたより、低い方もいれば、想定していたより大きい方もいます。実際に試してみて、上記のように聞こえを確認すれば、誤りはぐっと少なくなります。

あとがき

補聴器の選定、出力について記載してみました。恐らく誰もがやっている事だとは思いますが、記載してみました。

実際に使用してみてどうだったかを確認すれば問題ないでしょう。現在の利得と補聴器装用した時の音場効果測定結果がわかれば、現在の状況から今後どれだけ必要になるかがわかります。

このように確認していければ、怖がる事なく補聴器選定ができるようになります。