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【実例】中等度難聴者が補聴器を装用するとどう改善されるのか

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補聴器を装用するとどれだけ聞こえが改善するのでしょうか。こちらは、難聴者しかわからないことであり、表現も難しいです。

目が見えにくい方が、どれだけ見えやすくなったかを言葉だけで説明するとしたら、非常に難しく感じるのではないでしょうか。見えるということでも、元がどのように見えていたか、今どのように見えているか、そして変化してどのように変わったかが必要です。

今回は、私の体験を通じて、補聴器を装用するとどれだけ聞こえるようになるか、どのように聞こえるのか、その変化は、どんなものなのかを表現してみます。

なお、音に関しては、聞く位置、環境により変化します。あくまでも目安程度にご覧下さい。

私の難聴説明

ということで、まずは私の説明です。こちらでは、主観的に感じること、客観的データの提示、この二つを記載します。主観とは、主に自分が感じていることです。客観的とは、自分が感じている感覚をデータ化(数値化)して見ることです。

主観的に感じること

私は、中等度難聴と医師より診断を受けました。その耳で聞こえるのは、あまりありません。中等度難聴でも、さまざまなものが聞きにくくなります。

人の言葉はもちろん、パソコンをタッチする際の音、マウスのクリック音、エアコンの音も基本的には、聞こえないか、非常に小さい音量で聞こえます。3mくらい離れると洗濯機が動いている音すら気が付かないレベルです。一方聞こえる音は、ドアを閉める音、水を流す音全般(洗面台の水、お風呂場の水)、スイッチを押す音、これらの音です。いわゆる大きい音ですね。

外では、車がすぐ近くに来ないと気付くことができません。補聴器を装用せずに外にでると、驚くほど、静かです。基本的に、犬が近くで吠えたり、救急車、クラクションを鳴らしたり、子どもが大声で遊んでいたりしなければ、音を感じることは少なくなります。自分の足音にすら気が付きませんので、周囲にどれだけ人がいる……などはわかりません。

私の場合、周囲の音がほとんど聞こえないため家の中でも、家の外でも基本的に静かです。

中等度難聴というと、ちょっと聞きにくい程度と思われる事が多いのですが、私はこれだけ聞こえません。中等度レベルで既に周囲の音はほとんど聞こえていないと思った方が良いと思っています。

客観的データで見る耳の状態

次は、客観的に見てみましょう。客観的データには、

  • 聴力検査の内容
  • 語音明瞭度測定の結果

の二つがあります。

こちらは主観とは異なり、数値化して聞こえにくさを表現したものになります。

聴力検査の内容

まず、私の聴力は、以下のようになります。

現在の私の聴力

現在の私の聴力です※2016年4月現在

こちらは、聞こえを表すオージオグラムと呼ばれるものです。オージオグラムとは、聴力検査した内容を書き込むグラフであり、この図から、どんな聞こえなのかを把握します。

基本的な見方は、

  • 縦軸は、聴力レベル
  • 横軸は、周波数
  • 右の聴力が○、左の聴力が×

になります。縦軸の聴力レベルは、数値が大きくなるほど聞こえにくくなります。周波数は、数値が高いと高いほど、音も高くなります。オージオグラムは、それぞれの周波数がどのくらいの音量で聞こえたかを左右別に表す図となります。

オージオグラムについてより知りたい方は、こちらをどうぞ

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

こちらだけではわかりにくいと思いますので、音量表を出してみます。

周囲の騒音の音量目安

周囲の騒音の音量目安

平均聴力レベルを出してみますと、(計算方法は(500Hz+(1000Hz×2)+2000Hz)÷4、です)私の場合は、右が60dB、左が62.5dBになります。

このレベルと上記の図を組み合わせると、静かな事務所では何も感じず、普通の会話音から聞こえ始めるもののものすごく小さくてわからない状態である事がわかります。

電話のベルには小さいながらも気が付き、それ以上の音は、聞こえている事もわかります。私の耳は、一般的な人の会話音レベルがすごく小さく聞こえるレベルであり、それ以下の音は感じる事ができません。そして、それより大きい音から感じ取る事ができるようになってきます。

語音明瞭度測定の結果

さて、音量のレベルでは、どのくらい音声が聞きにくくなっているのかがいまいちよくわかりません。しかし、聞きにくさを可視化する事は、可能です。それをしてみた結果は、以下の通りです。

私の耳の語音明瞭度測定結果、ヘッドホンではなく音場での測定結果

私の耳の語音明瞭度測定結果、ヘッドホンではなく音場での測定結果

こちらは、語音明瞭度測定(ごおんめいりょうどそくてい)といい、それぞれ異なる音量でどれだけ音声が理解できるかを可視化するものです。横軸が音量を表しており、縦軸が言葉の正解率を表しています。

このような測定がある理由は、補聴器を装用する方は、ほとんどが感音性難聴という難聴で、音を大きくしたとしてもしっかり音声が理解できない耳があるからです。幸い私の耳は、音を入れる事により、比較的音声が理解できる耳ですので、補聴器を装用しても効果が見込めます。

さて、この結果をより理解しやすくするには、以下の二つが必要です。

理解度からわかる状況。こちらの理解が重要

理解度からわかる状況。こちらの理解が重要。

補聴器フィッティングの考え方を参考に製作

こちらと

日常生活上の音量表、音声の大きさレベルに注目しよう。

日常生活上の音量表、音声の音量レベルに注目しよう。

こちらです。これらの表を組み合わせてみると、普通の会話音である60dBの結果は25%の正解率、離れた時の会話音(3m)である50dBの正解率は0%。それ以降は、当然0%です。60dBでは、25%の正解率でしたが、その内訳を見てみますと日常会話においても読話や筆談の併用が必要なレベルです。簡単に言いますと音声だけでは理解できないレベルです。

実際には、声を大きくして話してもらえると(70dBで80%の理解力)理解がしやすくなるのですが、実際に声を大きくしてお話ししてくれる事はあまりないため、現実的ではありません。

このように見てみますと、かなり聞こえにくい事がわかりますね。普通の音量の声が25%で、少し離れるだけで0%という事は、日常生活上の音声は、理解できない事が多い事になります。

私の難聴のまとめ

主観的感覚と客観的感覚を合わせてみると、確かに聞こえない事がわかります。少し離れるだけで音声の理解が0%になる耳であれば、離れたところからの音には、ほとんど気が付かなくなりますし、洗濯機の音が聞こえないのもわかります。

そして当然ですが、それだけ大きい音が聞こえないとなるとそれ以下の音は、気が付く事すらありません。これは、仕方が無い事です。

このような聞こえが中等度難聴です。

補聴器を装用してどう変化したか

では、補聴器を装用するとどのように変化するのでしょうか。こちらについても上記同様、

  • 主観的な評価
  • 客観的な評価

に分かれます。

装用して変化したかの主観評価

装用してどのように変化したのか、こちらに関しては

  • 補聴器装用の効果
  • 補聴器装用の感覚
  • 音声を聞く感覚

の三つに関して記載していきます。

補聴器装用の効果

補聴器を装用すると

  • 音が大きく聞こえる
  • 周囲の音がわかりやすくなる

この二つの変化があります。装用して強く感じるのは、遠くの音が非常に聞きやすくなる事、音声もすごくわかりやすくなります。音を大きくするだけでこんなにも聞きやすくなるのかと感じます。周囲の物音が多いとうるさい感覚はありますが、それ以上に聞きやすくなる事に感動です。

また、音の量が一気に多くなります。今までこんなに聞こえなかったのか?と思うくらいに非常に多くなります。この点は、初めて装用する際に、もしかしたら嫌になってしまうかもしれません。

補聴器装用の感覚

補聴器を装用すると機械だからか、機械っぽく音を感じます。ホームビデオの音声、Youtubeの音質が劣化している動画のような感覚です。個人的には、ホームビデオの音声が一番しっくりくる表現です。風の音は、ヴォーヴォー聞こえ、音声は少し割れ気味に聞こえます。小さい頃に使っていたアナログ補聴器は、まさにそのような感覚でした。しかし、現在のデジタル補聴器は、音が割れるような感覚は無くなってきており、音質は明らかにデジタル補聴器の方が良くなっています。

補聴器を装用した感覚は、機械っぽい感覚があります。

補聴器で言葉を聞く感覚

補聴器を装用する前の言葉が聞こえる感覚と装用後の言葉が聞こえる感覚は、どのように変化するのでしょうか。装用前は、耳で感じる音の感覚がすごく小さくて何を言っているかわからない事が多くありました。

補聴器を装用すると、音(言葉)こそ大きくなっていますが、言葉がうにゃうにゃ聞こえてしまい、わからないことがあります。人によっては、うにゃうにゃではなく、ぐにゃぐにゃやうねうねと表現する方もいます。実に不思議な感覚なのですが、音はしっかり聞こえてるのに、なぜか話している(聞こえている)音が日本語変換できない感覚に陥ります。意外に補聴器を装用して、一番びっくりするのは、この感覚かもしれません。本当に不思議な感覚です。

ただ、常にこのような感覚があるわけではありません。補聴器を装用してもわからない事もありますが、わかる事もあります。個人的には、わからない事より、わかる事のほうが多くなっていますので、効果はしっかり感じています。

装用して変化したかの客観評価

補聴器を装用した場合、どのように変化しているのでしょうか。こちらは、私が補聴器を装用した聞こえを測定し、さらに周囲の音がどれだけ聞こえるようになっているかを記載してみます。

補聴器装用時の音場閾値測定

補聴器を装用した状態の音の聞こえ、なしよりも音が聞こえやすくなっている

▲が30〜40dBの間にくる事が重要、その基準はほとんど満たしている

音場閾値検査結果とは、補聴器を装用した状態で、どのくらい音が聞こえるようになったかを調べたデータです。補聴器を装用しつつ、耳の聞こえを検査します。こちらは、両耳で補聴器を装用した結果となります。オージオグラムと同様で、上にあると上にあるほど、聞こえやすくなります。

▲が補聴器を装用した状態で、△が補聴器を装用していない状態です。補聴器で音声を聞くには、目安として▲の位置が30〜40dBの間にくると良くなります。その基準からみてみますとほとんどその間にありますね。※目標値は、聴力により変化します。

補聴器装用時の語音明瞭度測定結果

しかし、音が聞きやすくなっていても、肝心な音声に関してはどうなのでしょうか。語音明瞭度測定の結果については

私の補聴器装用時と非装用時の結果

私の補聴器装用時と非装用時の結果

このようになります。音場閾値測定と見方は同じで、▲は補聴器装用時、△は補聴器を装用していない時になります。60dBは、普通にお話しする声の音量でしたね。そこの結果では、補聴器なしで25%の正解率でしたが、補聴器があると90%。50dBでは、音量が小さすぎて聞こえないレベルでしたが、そこでの理解力は、95%まで上がりました。さらに、40dBでも90%まで改善しました。何といいますか、ものすごく聞こえるようになっている事がわかります。

これが補聴器を装用した時の聞こえになります。

データから見える補聴器の効果

補聴器装用後の結果を見てみますと、補聴器を装用する事によって確かに聞きやすくなっていますね。特に言葉の理解力に関しては、しっかり聞こえるようになっている事がわかります。100%になる事はありませんが、それでも聞きにくい状態と比較すると非常によく聞こえるようになっています。

客観的に見ると補聴器は、すごい効果を出している事に気が付きます。

補聴器装用して実際に変化した感覚

では、さらに進んでいきましょう。それだけ聞こえやすくなると身近な音環境は、どのように変化するのでしょうか。家の中、外で分けて記載してみます。

家の中

家の中で補聴器を装用すると、様々な物音に気が付きます。上記であげた、パソコンをタッチする際の音、マウスのクリック音、エアコンの音は聞こえるようになりますし、家の中に居ても、外の音が聞こえるようになります。補聴器を装用していないと家の中でも雨の音や風の音が聞こえないので、周りの状況がわかりません。しかし、補聴器を装用するとこれらの音もしっかり聞こえるようになります。

驚くのは、家の中でも数多くの物音が聞こえるということです。家の中なのに外の音が良く聞こえること、一つ一つの動作には、何かしら音が聞こえること、これらの音がしっかり聞こえるようになります。

そのため、始めはすごくうるさく感じると思います。ただ、それは、

  • 今まで細かな音を聞いていなかった事
  • 音が聞こえる世界に居なかった事

これらにより感じる事です。個人的には、こんなに聞こえていなかったんだなと思うことが多いですね。

こんなことを書くと聞こえているの方からすれば「何を当たり前の事を……」と思うかもしれません。音が聞こえていない方は、そもそも音を認識できないため、音が聞こえていない事に気付いていません。補聴器を装用して初めて音を認識できるようになりますので、認識後にしか、聞こえていなかった事に気が付く事はありません。

家の中だけでも数多くの変化があります。

外の変化

外でも、様々な変化があります。自分の足音は聞こえますし、相手の足音が聞こえるだけで、周囲に人がいる事にも気が付きます。遠くで車の音、バイクの音が聞こえれば、近くに車、バイクがある事にも気が付きますし、車がバックする際になるピーッピーッピーッと鳴っている音が聞こえれば、どこかで車がバックしている事にも気付きます。

外で補聴器を装用すると様々な方向から、音が聞こえます。補聴器がない頃と比べると非常に多くの変化があることに気が付きます。

補聴器を装用した変化のまとめ

補聴器を装用すると、このような変化があります。少なくとも私自身には、このような変化が訪れました。恐らくほとんどの補聴器装用者にも、同じような変化が起こっていると思います。

補聴器を装用する際、大切な事は、聞こえるようになる事と認識していなかった音も聞こえるようになる事です。今まで聞きにくかった音は聞きやすくなり、今まで聞こえていなかった音も聞こえるようになります。この変化は、聞こえにくくなっている方ほど、大きな変化になります。

そして補聴器を装用する事で音声に関しても理解しやすくなります。厳密には、人によって大きく変化してしまうのですが、少なからず私の場合は、非常によく聞こえるようになり、重宝しています。もちろん、あれだけ結果を出したとしても聞きにくいところは出てしまいます。しかし、補聴器がなければそれ以上に聞きにくい(といいますか生活ができない)状態ですので、私にとってはなくてはならない存在です。

こちらの内容でそのイメージが伝われば幸いです。

あとがき

自分の聞こえの変化と経験を元に記載してみました。こんな事を書くのは私くらいですね。

補聴器を装用すると、実に様々な音が聞こえます。これは、元々ある音が聞こえていなく、補聴器を装用することにより、聞こえるようになるからです。補聴器装用前の聞こえと補聴器装用後の聞こえの結果を比較すると一目瞭然ですね。装用後は、良く聞こえるようになっています。

補聴器を使いこなすのに重要なのは、これらの音がする世界に馴染むことです。そして聞こえにくい状態であるのでしたら、改善する事をお勧めします。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を装用すると起こる5つの聞こえの変化

リンク:中等度の感音性難聴の私が自分に合った補聴器を選んだ方法

リンク:補聴器を装用するとおこる、こもる、響くにどう立ち向かうか

リンク:適切な補聴器を理解する補聴器評価ポイントまとめ

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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