耳・補聴器のこと

業界が変わらなければ替わるかもしれないという発想

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

マーケット感覚を身につけよう 著作ちきりん氏 という本があります。月200万PVというとてつもない量のアクセスがあるネットの中で有名な人物です。私は、この方のファンなのですが、この本の中に面白い記述がありました。

それは、タイトルの通り、「変わらなければ、替わるかもしれない」という事です。これは、どの業界にも言えることであり、自身が決して変わらないと言っても外部的要因により、とり替えられてしまう可能性がある事を示しています。

本書の中には、いくつかの例があり、非常に勉強になりました。この一部を記載してみます。

この内容を元に補聴器業界を含む、他の業界の事を考えてみるのも面白いと思います。

変わらなければ替わる?

本書の中の文を一部引用します。

「どんなに世の中が変わったとしても自分だけは(自社だけは、この業界だけは、この国だけは)、変わらないぞ!」と抵抗していると、どこかの段階で淘汰されてしまいます。「変わる」ことを否定するモノは、「替わられてしまう」からです。問題に直面したとき、私たちはふたつの選択肢を持っています。ひとつが状況を「改善する」こと、もうひとつは何もせず、そんな状況を「見限る」ことです。前者を「変える」、後者を「替える」と言ってもいいでしょう。

最近はグローバル化の進展を神輿、海外大学への進学を目指す高校生が増えています。東大など日本の一流大学において、まったく改革が進まず、優秀な高校生が「こりゃアカン!」と考え始めれば、つまり、東大が変わることができないなら、「日本で最も優秀な高校生が進学する大学」が海外の大学に替えられてしまうのです。

霞ヶ関の官僚が構造改革に積極的に取り組んでいたら、優秀な学生たちは、「これからも日本は官僚がリードしていく国だ」「自分も官僚になって、日本を率いていこう!」と考えます。しかし、自分たちの保身のために担当業界と癒着し、業界と一緒になって抵抗勢力と化していると、学生たちは「今の時代、官僚になるなんてありえない」と理解し、就職希望先を変えてしまいます。「役所が変わらないなら、優秀な学生たちの就職希望先が外資系企業やベンチャー企業にとって替わられる」のです。

マーケット感覚を身につけよう ちきりん氏著作 P231~232

こちらでは、変わらない事に関して、周囲の人がどのように考えるかを記載しています。個人的にも思い当たる節がありますので、無縁な話しには思えませんでした。

替えられた例

ちきりん氏は、具体的な例として、羽田の国際空港化を上げていました。

東京の人には実感をもって想像しにくいでしょうが、日本の地方に住んでいる人にとって、これまで海外旅行に行くのは非常に面倒なことでした。彼らは最寄りの地方空港から国内線に乗って羽田空港に到着し、その後、国際線に乗り換えるため、羽田空港から80キロも離れた成田空港まで移動しなければなりません。

ところが羽田・成田間はバスで片道3,100円もかかり、家族4人で旅行すれば、往復のバス代だけで2万以上かかります(2015年2月現在。子ども1人は小人料金として計算)。荷物も自分で運ぶ必要があるし、時間も片道1時間以上、しかもバスですから渋滞もありえます。

さらに国内線から国際線への乗り継ぎには長い待ち時間が発生することも多いのに、成田空港にはつい最近までマッサージ店もシャワーもなく、無料Wi-Fiもありませんでした。このように日本は長い間、地方の人が海外旅行に出かけるのに、ものすごく不便な国だったのです。

この問題を解決したのが、韓国が2001年に造った仁川国際空港です。仁川空港と日本の地方空港の多くは、国際線で結ばれています(2015年2月現在、仁川空港から日本の34空港に定期便が飛んでいます)。

地方の人がパリに行くとき、日本の地方空港→仁川空港→パリの空港という経路で旅行すれば、仁川空港での乗り換えには(同じ空港ないでのターミナル移動だけですから)、バス代のような余計なコストも、時間も荷物運びの手間もかかりません。そのうえ仁川空港内には、待ち時間を有効に使える各種施設が充実しています。これなら2万円も払って1時間以上もバスに乗り、羽田から成田に移動するより、圧倒的に楽ちんです。

このことが知られ始めると、日本の地方に住む多くの人たちが、「羽田→成田経由」ではなく、「仁川経由で海外旅行に行く」という経路を選び始めました、個人でそれを選ばなくても、旅行会社がそうゆうツアーを企画するのですから、みんな「このルートのほうが圧倒的に便利だ!」と気がついてしまいます。

こうして、自分の国の人たちが羽田や成田を使わなくなって初めて、日本の航空行政の関係者は慌てて、羽田空港の国際化に乗り出したのです。

このように「便利に海外旅行をしたい」と考える日本の地方在住者が使用する空港を羽田・成田から仁川に替えたことで、「成田は国際線、羽田は国内線」という消費者無視の岩盤規制が「変わった」のです。

マーケット感覚を身につけよう ちきりん氏著作 P233~235

この例は、とてつもなく強力な例です。ちきりん氏は、市場の力により取り替えられたと言いますが、確かにその通りです。むしろ市場の力は、無視できないほどに大きく、国すらも動かしてしまった例でもあります。今現在、不便に感じているものは将来ふとした会社が画期的なサービスを広げ、取り替えられてしまうかもしれません。

他に取り替えられた例は?

こちらでは、私が取り替えられたと思う例を記載していきます。個人的に思うのは、書店とAmazon、車と交通機関、そして車のその先です。

書店とAmazon

替えられた……というものではありませんが、Amazonの存在により、書店は壊滅的打撃を受けています。個人的には、書店で購入するより、Amazonで購入することが多くなりました。その理由は単純に、便利だからです。送料はかからない、注文したら翌日に届けてくれる、これほど便利なサービスがあって良いのだろうか……と思うほどすごいサービスです。

私は月に10冊くらいしか本を読みませんが、欲しい本が書店にない事が多いです。特にWebで話題になった本やこの事を勉強したいならこの本がお勧め!という本は、最近発売されたものではなく、発売されて数ヶ月経過している事が多くあります。それらのケースでは高確率で、書店にありません。そのため、Amazonで購入するしか個人的には、方法がありません。

新しいものは比較的ありますので、書店で購入するのですが、少々時間が経過しているものは、書店で手に入らないため、Amazonになります。ここがAmazonと書店の大きな違いですね。もちろんAmazonは、書店と比べ物にならないくらい大きな倉庫で管理していますので、そのような事が可能になっていますが、これにより、多くの方が非常に便利になっているのではないでしょうか。

ある意味これも書店が変わらないからAmazonに替わってしまった例とも言えます。消費者側からするとAmazonを責める声はあまりないでしょう。

車と交通機関

車も同様で、首都圏に住んでいると電車やバスなどの交通機関が優れているため、車を持とうと思いません。これは単純に、電車やバスを利用した時の時間、金額のコストと自動車を持った時の時間、コスト、リスクを単純に比較した結果でもあります。

電車やバスを使用すると時間がかかる変わりにお金は安くなります。自動車を持つと時間こそ短くなりますが(利便性はあがりますが)、お金、事故るリスクが発生します。特にお金は躊躇で、車を購入する金額、駐車代、さらに車の保険まで、何から何までお金がかかります。個人的には、それが固定費である事がきついです。それらを差し引くと個人的には、持たない方がコスト削減でいいと感じます。電車の待ち時間は、もっぱら本を読んでいますので、そんなに気にならないというものあります。

現在では、スマートフォンでゲームしたり、SNSしたり、LINEでやりとりしているケース、インターネット接続で調べものをするなどの時間つぶしポイントが数多くあり、首都圏であればあるほど、時間短縮という車のメリットはないのかもしれません。もちろん大きな荷物の持ち運びは、車のほうが楽ですので、ここにメリットはあります。しかし、毎回大きな荷物を運ぶことも少ないですし、最近は店舗が託送してくれる事もあります。首都圏に行くと行くほど、このようなサービスがあるため、車を持たない層が出てくるのも仕方がないように個人的には、思います。食料に関してもAmazonや生協などが託送してくれるところもありますので、ますます車を持つメリットが薄くなっていようにも思います。

車が担っていた足は、今では別の足を使ったり、むしろ相手の方から届けてくれるようになりました。ここもある意味替わったと言えますね。

個人的には、車は単なる移動手段にしか思っていません。ですので、移動する方法が複数あったり、または欲しいものを買いに行く時、別の方法があれば、それで補えてしまいます。

車が今後替えられるもの

今後、EV開発(Appleやテスラモーターズがその代表例ですね)と自動運転化(Google)が進んでくれば、車は持たなくなるものになるかもしれません。EV化で車の単価は、現在の5分の1になったり(金額は適当です)、自動運転化により、無人タクシーができれば、一番お金が掛かる人件費がなくなります。さらに運用費を広告費で賄おうとする働きも出てきており(無人タクシーに広告を載せて、広告費で、無人タクシーを運営する考え)、もしかしたらタクシーが無料の時代になるのかもしれません。このようになれば、足が便利になり、ますます車は持たなくなる時代が来るのかもしれません。配達部分に関しては、ドローンもありますし(規制もありますが……)ますます便利になる世の中が来ようとしているように思います。

このようになると、車は持つものではなく、単なる足にしか見られなくなるかもしれません。今度は、車に対する意識が替えられる事になります。そうなれば、いつかはクラウンは、死語になるでしょうね。

あとがき

ちきりん氏の本を読んで「これはすごい内容だ!」と思ったので、記載してみました。何となく考えていたものが、まとめられたような気分です。ちきりん氏は、このようにまとめて表現する力があるから凄いんだな……と思いつつも自分なりの思った事を記載してみました。

この本は、普段考えない方でも、読みやすく例を出して書かれています。さらっと読めてしまったので、読みやすかった印象があります。昨日書いたエントリーもこの本を参考にしています。というよりも元々思っていたことがドンピシャで来たので個人的には、むしろびっくりしました。よくまとめられていたので、利用させてもらいました。

明日は、補聴器業界について考えていきます。今現在の段階でまとめてあるのですが、ご自身でもどのように替わってくるのかを考えるのも良いでしょう。他人の意見を知るのも重要ですが、それ以上に自分で考える事の方が重要だと私は考えています。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を活用するために必要なアフターフォローの知識

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ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

お店のご紹介

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、実際に補聴器を使っている当事者がご相談を承っています。

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