2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

一側性難聴児の改善は、FM機器?クロス補聴器?

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一側性難聴児の聞こえを改善させる方法としては、FM機器とクロス補聴器の二択があります。では、この二つは、どのように異なり、どのように選択すれば良いのでしょうか。

以前私自身も一側性難聴児を対応したことがありますので、その経験をシェアしていきたいと思います。これらの情報を元に適切な対応ができるようになれば幸いです。

なお、クロス補聴器、FM機器とはなんぞや?という方は、こちらを先にご覧下さい。これらを理解されたうえで本内容を読むとより理解できると思います。

リンク:片耳が聞こえない方、誰でも対応。クロス補聴器を理解する5つの要素

リンク:難聴児の聞こえを改善させるFM機器、Rogerとは

聞こえの改善はどこを改善させるか

クロス補聴器かFM機器、どちらで改善させようかと考えた時、重要なのは、どこを改善させたら良いか……という思考です。といいますのもクロス補聴器もFM機器も装用した時の効果で見てしまうとどちらも同じような感覚になります。この二つの違いは、どの場所を改善できるかの違いであり、効果に多少差があれども改善できる場所は、異なります。

FM機器で改善できる場所

FM機器で改善できる場所は、教室、あるいは、人にお願いできる環境となります。FM機器で注意いただきたいのは、聞こえの感度は抜群でもFM機器の送信機を話し手に持っていただかなければならないところです。言い換えれば、FM機器は、相手の協力なしでは、使用できるものではありません。

そのため、相手が主体になる事を覚えておきましょう。相手が非協力的であれば、当然使用できませんし、協力を求めにくいのなら、改善は難しくなります。

クロス補聴器で改善できる場所

児童が聞きにくいと思っているところ全部です。完全に聞き取れるようにする機器ではありませんが、今まで聞き取りにくいと感じていた部分は、少なからず聞こえがよくなります。クロス補聴器は、本人の聞こえを改善させるものですので、ご本人が今まで不自由に感じていたところを主に改善する働きがあります。

クロス補聴器は、本人が主体になり、本人が感じている聞こえの改善をする事ができます。

補足①:FM機器とクロス補聴器の補い方の違い

FM機器は、難聴児以外の力を借りて、聞こえを改善させるのに対し、クロス補聴器は、本人の聞こえを改善させます。これは、どちらが主体になって聞こえを改善させるかの違いがあります。FM機器は、話し手が主体になり、クロス補聴器は、本人が主体です。この主体が使う気にならないと聞こえを改善させることができません。ここを意識するとどこで改善できて、どこが改善できないかがわかります。

本人主体の場合は、本人が使用したいと思う環境すべてで改善できます。一方、相手主体のものは、相手が使用したい(使用しなければならない)と思うところで改善できます。当然ですが、本人主体の方が改善の幅(質ではなく幅)が広くなります。これは、改善できる場所が増えることになります。

FM機器とクロス補聴器は、これらの違いがあります。

補足②:クロス補聴器、FM機器は併用不可

この二つは同時に使用できませんので、この点もご注意ください。

個人的思考は、クロス補聴器優性

個人的には、クロス補聴器が優性だと考えています。教室の授業で聞きにくくしている時点で、その他にも不自由しているところ、あるいは本人は気が付いていないけれどもクロス補聴器を装用した方がもっとよく聞こえるところがあると私は思っています。

すべての現象は、一つの根本的原因により、起こっているケースが多くあります。この場合、片耳が聞こえにくいことにより、教室の授業が聞きにくくなっています。それであれば、同原因により、教室以外にも困っているところはあると考えられます。

これは、原因が耳にあるのか、それとも教室にあるのか……という考えです。部分部分で対応するとその他のところでの改善が難しくなってしまいますので、それであれば、根本的原因である本人の難聴を改善した方が、教室の授業以外の改善もできます。そのため、本人主体で改善するクロス補聴器の方が、改善できる幅は広くなります。

片耳難聴から考えるクロス補聴器

片耳難聴の症状は、昨日記載しました通り

  • 離れたところでの聞き取りが難しい
  • 騒がしい中での会話が難しい
  • 複数の方との会話が難しい

これらがあります。難聴の程度により、症状の重さは異なるもののこれらの事は確実に起こりえる事でもあります。クロス補聴器を装用すると音に気が付きやすくなる事に加え、これらの状況下でも補聴器がないより、聞きやすくなる様です。残念ながら完全に聞こえるようにする事はできませんが、現在の聞こえより、良くする事は可能です。

これらの面からもFM機器よりクロス補聴器の方が優性だと個人的には思っています。

クロス補聴器の問題点(児童版)

とはいえ、クロス補聴器にも少々難しい場合があります。児童の場合、耳が小さくクロス補聴器を載せる側の保持がうまく行きにくい場合があります。私が試した例では、通常の耳せんだと耳から外れてしまって紛失する直前まで行ってしまったケースがあり、ここが非常に問題視されます。

この部分の問題をどう解決するかがクロス補聴器の課題となります。なお、耳がある程度大きいなら、問題ありません。問題になるのは、小学校低学年のお子さんやそれ以下のお子さんです。ここまで来ると耳の形状が小さいため、保持が難しくなります。

クロス補聴器の保持

保持方法には、クロスチップと呼ばれるものか、通常の耳せんを使用する場合があります。クロスチップとは、耳の型を採取して、その方専用の耳せんを作る事です。このタイプができると保持がしやすくなります。このタイプができる耳の場合は、こちらにした方が無難です。そしてクロス補聴器側とそれ以外側で難易度が異なります。

クロス補聴器側の保持

クロス補聴器側は、簡単です。このタイプの場合、あくまでも耳の固定ができれば良いだけですので、単純に、クロスチップを作っていただきましょう。保持するのは、比較的楽な方です。問題は、クロス補聴器の反対側です。

難易度が高いクロス補聴器外の保持

クロス補聴器を装用する方は良いのですが、聞こえる耳の方に載せる補聴器が難しくなります。こちらの場合、聞こえる耳の機能を活かしつつ、反対側の音を入れる必要があります。そのため、イヤホンを耳の中に入れつつ、聞こえる耳の機能を活かすため、空洞を設けなければなりません。

耳の形状が小さいとこの空洞を設けるのが難しくなります。空洞が設けられるものなら耳の型を作っておしまいですが、それができない場合は通常の耳せんを入れて補っていきます。

この部分は、作れる子と残念ながら形状上の問題で作れない子がどうしてもでてきます。

紛失の予防をしておこう

通常の耳せんの場合、よく動く子なら、紛失防止策としてキッズクリップと呼ばれるメガネの紛失防止チェーンのようなものを装用すると安全です。この補聴器は、耳に装用した感覚があまりないため、いつのまにか外れていた……となりやすい傾向があります。

通常の補聴器なら装用側に音が大きく入っていますので、補聴器を外した感覚と同じような(聞こえにくくなる)事がありますが、この補聴器は、それを感じにくいです。外れたところがわからないと探しようがありませんので、外れやすい事を前提に紛失防止をしておくのがお勧めになります。

なお、私が対応したのは、それなりに耳が大きかったため、あまり苦戦はしませんでした。上記で外れた……というのは、試聴の段階でありました。

まとめ

これらが改善できれば、クロス補聴器はよく使用できるでしょう。

クロス補聴器を扱った感想まとめ

こちらでは、クロス補聴器を扱った時に感じたことをまとめてみます。感じた事、効果、そして思う事を記載していきます。

クロス補聴器を扱って感じた事

私が扱ってみて気になったのは、保持する部分でした。クロス補聴器は保持するチューブも細いため、保持が弱い傾向があります。この点だけ気になりました。しかし、ここさえ改善できれば、特に問題ないように思います。

クロス補聴器の効果

聞こえの評価に関しては、装用した方が、離れたところでの気付き、聞き取り等もよくなりました。何よりも気付きが増えたようで、補聴器の効果も実感されていました。片耳が難聴でも難聴側からは聞きにくいのは確かですので、当然といえば、当然の結果です。

FM機器は試していませんでしたが、クロス補聴器で改善できたところが多くありましたので、クロス補聴器を購入されました。FMを試さなかったのは、お願いしなければならないというデメリット部分が大きかったのもあります。

そして思うのは、意外に片耳難聴の方(児童)は自分の聞きにくさについて理解できていないのではないか?という点です。ここは、難聴者である私自身が最もよくわかるところでもあります。

人は比較によって理解する

人は、誰でも自分の感覚で経験した事しかわかりません。そして、その経験の比較により、良い、悪いを判断しています。私自身も難聴者ですが、私は、健聴の聞こえを知りません。そのため、健聴の場合、どれほど聞こえるのかがわかりません。そうなると自分自身がどれだけ聞こえにくくなっているのかも判断できません。

どれだけ聞きにくくなっているのかを判断するには、どれだけ聞こえているのが良いのか……という基準がないと理解することができないのです。これを視覚化したのが聴力検査です。聴力検査の基準値からどれだけ低下しているかで、難聴なのか、そうでないのかがわかるようになっています。

これは、補聴器を装用する前の難聴者にも共通する事ですが、人はどれほど聞きにくくなっているのか、そして補聴器を装用するとどう聞こえやすくなるのかは体感的に理解する事はできません。というのも自分自身の経験の比較によって理解するからです。言い方を変えると難聴になった後、補聴器を装用する事により、初めて聞こえていない事に気が付きます。そのように気が付くのは、補聴器を装用すると色々な音が聞こえるようになるからです。

難聴の耳では聞こえない音が聞こえるようになれば、二つの聞こえを体験する事により、比較することができます。そして、その結果聞こえていない事に気が付きます。

このようなステップを踏んで初めて人は、聞こえていない事に気が付きます。

まとめ

理解した時に感じたのは、クロス補聴器をとにかく体験してもらう事が大切なんだなという事です。効果自体はあるのですが、どう聞こえるのかがわからないために、躊躇しているのかも?と思う事があります。どのようになるか想像できないのであれば、実際に変えてしまい、体験していただくのが手っ取り早いですね。そのほうが本人にとっても良い経験ができるでしょう。

クロス補聴器を扱って感じたのはこのような事でした。

あとがき

一側性難聴児の聞こえの改善方法について記載してみました。個人的には、このように考えています。片耳難聴の時点で、教室の授業以外にも困っているところがあると思いますし、本人が気が付いていないだけで、もっと聞こえが良くできるところもあると思っています。

これらの内容がお役に立てば幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を守るために知っておきたい影響を受ける機器

リンク:補聴援助システムを購入前に理解したい欠点の改善方法

リンク:補聴器を活用するために必要なアフターフォローの知識

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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