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補聴器の指向性機能の基本をまとめてみました

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補聴器の機能の一つに指向性と呼ばれる機能があります。この機能は、主に周りの騒音を抑制しつつ、騒がしいながらも人の言葉を聞きやすくする機能です。補聴器の機能の中でも特に重視されている機能であり、高額の補聴器は、この機能の性能が高くなります。

では、この指向性とは、実際にどのようなものなのでしょうか。どのような機能なのか、どのように働いているのか、欠点はあるのか……など、様々な側面を載せると共に、実際に私が使用した感想も含めて、指向性に関してまとめていきます。

補聴器の指向性とは

指向性に関してですが

  • 基本的な機能
  • 指向性の動作
  • 性能の差

三つの項目に分けて記載していきます。

指向性機能の基本

指向性とは、冒頭の通り、周囲の音を軽減させ前方の音をより聞きやすくする機能です。こちらは主に、騒がしい中で音声を聞き取るために使われる機能となります。補聴器には、音を抑制機能する機能があり、こちらと似たところがあるのですが、また少し異なった概念になります。

指向性が作られた背景には、人が多く集まるところでどのようにしたら聞き取りやすくなるか……というのがありました。このような環境では、仮に聞き取りを阻害する音を下げるといっても周囲の人の声を小さくする訳にはいきません。補聴器ができる事は、単に周波数ごとに音を大きくしたり、小さくしたりする事であり、遠くの人のあの人の声だけを小さくしたり、近くにいるこの人の声だけを大きくする……という事はできません。音にフォーカスしてしまうと、聞き取りたいと思っている音まで軽減させてしまう事になります。

そこで考えだされたのが、前方の音をより聞きやすくする方法です。人は、前方を見て会話をするため、前方の音でさらに会話に関係あるところを優先的に拾うようにしたらどうか?と考えました。これが指向性の元となる考えです。音にフォーカスするとできない事を方向にフォーカスして、改善を試みました。

今現在の補聴器には、大抵二つのマイクが搭載されています。マイクが二つある事で、どんな音がどの方向から来たかがわかるようになります。音に関する分析を常に補聴器は、行い、前方以外の音を軽減させ、前方の音を聞きやすくしたり、前方以外の音を軽減させた後、さらに前方から来た音の中で、会話に関係ないと考えられる音の部分の音を軽減させ、聞きやすくしたりなど、様々な機能が開発されました。

指向性とは、騒がしいと聞きにくくなりがちな音声をなるべく軽減しないようにしてくれる機能となります。

指向性の動作

指向性機能は、

  • 自動で働く補聴器
  • 手動で行う補聴器

の二つがあります。高額な補聴器は、周囲の環境を自動的に補聴器が読み取り、自動で働かせます。安価な補聴器は、自分自身で、あるスイッチを押して、切り換えるものがあります。

指向性機能の性能差

指向性機能も金額により差があります。比較的、低価格のものは、周囲の音だけを軽減させる傾向があるのに対し、高価格のものは、周囲の音を軽減させ、さらに前方の音から聞き取りを邪魔する音だけを軽減し、聞きやすくする仕組みをとっているものがあります。このようにどこまで細かく音声のみを抽出できるかで、機能の差が出ます。そしてそれが金額に反映されます。

機能の差には、チャンネルという概念があります。チャンネルとは、マイクから拾った音をどれだけ細かく調整できるかを示すものです。音には、音の大きさである縦軸と周波数という横軸があります。チャンネルは、横軸の周波数をどれだけ細かくわけられるかを表すものです。そのため、このチャンネルが多いと、ピンポイントで、音の抑制ができるようになり、細かな抑制をかける事ができる反面、落としたくない部分に関しては落とさず、軽減するという事が可能になります。

高価格帯のものは、音をより細かく調整する力があり、金額が下がってくると大雑把に調整するようになります。細かく調整できた方が、音声に関係ある周波数を軽減させにくくなりますし、大雑把にやりすぎて、音声そのものを低下させるという事も少なくなります。指向性機能の違いは、このようなところにあります。

まとめ

指向性とは、人がどのようにしたらより聞き取りやすくなるかを考えたうえで作られた機能です。そしてその性能差には、周波数をより細かく分別できる事により、必要な音は残し、不要な音は、軽減させるという事のしやすさになります。

なお、メーカーによって、聞き取る範囲が異なったり、音量を軽減させる量は異なります。しかし、言葉を聞き取りやすくするための機能である点は、変わりません。

指向性の効果

さて、指向性で気になるのは、本当に効果があるのかどうか。になります。この点は、補聴器販売店を運営しており、かつ、生まれつき難聴で補聴器を装用している私が、正直に洗いざらい話していきます。

まず、効果に関してですが、補聴器のランクによってかなり変化します。私自身、様々な補聴器を装用し、自分なりに補聴器を活用してきましたが、その経験でお話ししますと

  • 指向性機能を求めるなら高額な補聴器
  • 指向性機能の有効性はわかりづらい

の二つがあります。

指向性機能を求めるなら高額な補聴器

指向性機能の性能を求めるのでしたら、高額な補聴器をお勧めします。効果を実感できるものは、各メーカーの最高ランクか、準最高ランクです。それ以外は、指向性の効果を感じる事は、難しくなります。

このように言えるのは、

  • 実際の体感値の変化
  • 機能そのものの良さ

の二つがあります。最高ランクや準最高ランクの補聴器は、抑制機能や指向性により、騒がしい中での聞こえが変化している様子がわかりやすくなります。高額な補聴器は、指向性以外の機能も優れていますので、指向性以外の要素もどうしても入ってしまうのですが、騒がしい中でも体感値として、聞きやすくなっている感覚を感じます。

また、指向性の純粋な機能差もあります。最高ランクや準最高ランクの補聴器は、指向性機能の要であるチャンネル数が明らかに多く、邪魔する音を抑える機能が優れています。このような理由もあります。

機能面と実際に試してみて感じる体感値から言える事は、効果を求めるのでしたら、高額な補聴器となります。

指向性機能の有効性はわかりづらい

しかし、指向性機能の有効性は、依然としてわかりにくい傾向があります。それは、

  • 音の環境は常に変わっている
  • 抑制する事と聞き取れる事は、異なる

この二点から感じます。残念ながら音の環境というのは、全く同じ環境は、ほぼありません。音のテストを行う防音室は、同じ環境下にしなければ比較ができないため、同じ環境にしていますが、それ以外の日常生活上では、全く同じ環境下である事は、ほとんどありません。

これは単純に、効果があるのか、ないのかを自分自身の耳で理解するのが難しい事を表しています。高額な補聴器を試し「今の場面であれば、明らかに前の補聴器では聞き取れなかったな……」と感じる事はいくつかありましたが、それは、補聴器を良く活用し、長年使用している方でないと、難しいようにも感じています。何度か通っている場所やいつもの場所の雰囲気を覚えておき、ある程度の誤差はあるものの、そのような場所で試すのが、最もわかりやすい方法です。補聴器を長く活用していると、そのような場所が多くなるためわかりやすくなります。

また、抑制することによって音声が聞きやすくなるのは理論的に言えば確かなのですが、感音性難聴である以上、抑制すれば必ずしも聞き取れるとはなりません。私自身、静かな中でも人によっては非常に聞きにくい事がありますので、指向性機能をもっても聞きにくい事はありました。騒がしくなければ、どんな音声でもはっきり聞き取れる耳であれば、効果は確実かもしれませんが、感音性難聴である私の耳は、そうではありません。

ここから言える事は、抑制する事と聞こえやすくなる事は、異なるという事です。

指向性機能の結論

自分自身の耳を通してわかった事は、

  • 効果を狙うのなら高額な補聴器
  • 抑制する事と聞き取れる事は異なる事を理解する

この二点です。効果を狙うのでしたら、高額な補聴器の方が、効果は感じやすくなります。指向性の機能そのものもその時代ができる効果的なものを導入していますし、分別できる細かさも多くなります。ただ、注意点としては、抑制する事と聞き取れる事は異なる事を理解する事となります。

指向性機能は、あくまでも騒がしくなった時の聞き取りをいかに軽減させないか、という機能になります。元々聞きにくかったり、難しすぎる環境下では、効果を感じなくなります。

その点だけ注意いただければ、指向性機能はお勧めです。また、効果を求めるのでしたら、高額な補聴器を一度試してみて、実際に耳で感じてみるのも良いと思います。実際に体感できるかは、さておき、試してみて確認するという事は大切です。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器の性能の一つ、抑制機能を理解する三つの事

リンク:補聴器の機能の一つ、自動プログラムはお勧めできる機能

リンク:両耳が聞こえにくい場合における補聴器選定と2つのポイント

リンク:補聴器の評価に必要な音場閾値測定に関する基礎知識

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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