2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

親が老人性難聴になったら理解しておきたい3つの事

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老人性難聴とは、加齢によっておこる(厳密には、大きな音の聞き過ぎと動脈硬化)とされている難聴です。聞こえにくくなるとご家族やご友人の方々との意思疎通がしにくくなり、お互いに意思疎通がしにくくなると言った、言わないのトラブルまで起こってきます。

こちらでは、ご両親が聞こえにくくなり、病院に行ったら、老人性難聴と言われた……というケースを想定して、理解しておきたい事を三つに絞り、お伝えしていきます。

結論から

老人性難聴になりますと、今現在の技術では、治療する術がありません。そのため、補聴器を装用して、少しでも聞こえを補っていきます。

補聴器を装用した効果は、人により大きく異なるのですが、早期装用する事により、聞こえの改善度も上がる傾向があります。もし、装用する事をお考えだったり、少しでも現状を良くしたいとお考えでしたら、補聴器の早期装用をお勧めします。

また、補聴器で補える範囲には、限度があります。そのため、ご家族の方々にご協力いただけるのでしたら、

  • お話しする際は、合図をして注意を引いてからお話しする
  • 大きな声で話すのではなく、ゆっくり話す
  • 一つ、一つを短く言う

の三点をしていただくだけでも、意思疎通は、非常にしやすくなります。

以下、

  • 老人性難聴の理解
  • 改善方法のまとめ
  • ご家族様へのお願い

の三つに分けて記載していきます。

老人性難聴を理解する

さて、老人性難聴とは、どのような難聴なのでしょうか。こちらでは、老人性難聴について、記載していきます。老人性難聴とは、ひと言でいうと加齢により感音性難聴が引き起こされた状態です。この感音性難聴について理解する事が、非常に重要となります。

老人性難聴の基本

老人性難聴とは、加齢によって引き起こされる難聴です。年齢を重ねるとどうしても音を聞く部分が徐々に衰えてしまい、聞きにくくなってしまいます。加齢によって視力が低下する老眼の耳バージョンが老人性難聴です。

老人性難聴の症状は、

  • 高い音を中心に聞きにくくなる事
  • 言葉が理解しにくくなる傾向が強い事

の二つがあげられます。

聴力としては、

老人性難聴に見られる傾向としては、低い音が聞こえやすく、高い音が聞こえにくい状態

老人性難聴に見られる傾向としては、低い音が聞こえやすく、高い音が聞こえにくい状態

このような傾向が多く見られます。老人性難聴の特徴は、

  • 言葉の聞き分けに重要な高い音を中心に聞きにくくなっている事
  • 感音性難聴の症状が出てくる事

この二つにより、音が小さく聞こえてくるようになるだけでなく、言葉が理解しにくくなる傾向があります。

感音性難聴とは

感音性難聴は、老人性難聴を理解するうえで、非常に重要な難聴です。

感音性難聴とは、基礎難聴の一種で、全ての難聴は、

  • 感音性難聴
  • 伝音性難聴

のどちらかにわかれます。この二つの違いは、耳のどこに障害が起こったかで、決まります。そして、それぞれ症状も補聴器の効果も異なります。

耳の内部。耳にはいくつかの部位があり、悪くなる部位により、症状が異なる

耳の内部。耳にはいくつかの部位があり、悪くなる部位により、症状が異なる

耳の中には、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)と三つに分かれています。外耳、中耳に何らかの障害が起こった場合は、伝音性難聴。内耳に何らかの障害が起こった場合は、感音性難聴です。

内耳は、耳から伝わってきた音を脳に送る働きをしています。耳の穴に入ってきた音は、内耳に届くと内耳の中にある蝸牛(かぎゅう)のさらに中にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)が音をキャッチします。そして、脳が理解できる電気信号に変換して、脳に送る働きがあります。

しかし、この部分に障害が起こると、耳の穴から伝わってきた音がうまくキャッチできなかったり、うまく変換できなかったり、あるいは、電気信号をうまく脳に送れなかったりと様々な事が起こります。これを引き起こすのが感音性難聴です。

感音性難聴の症状としては、

  • 音が小さく聞こえるようになる
  • 言葉が理解しにくくなる

この二つがあります。音がうまくキャッチできなかったら、耳が聞こえた通りに、脳に送れない事になります。その結果、音は小さく聞こえるようになります。そして、言葉も理解しにくくなります。

感音性難聴とは、簡単に言えば、耳の聞こえが低下する……というよりも耳が感じた通りに、脳に送れない事による障害です。そのため、感じる音の難聴と記載されています。言い換えれば、感じ取る音の障害とも言えます。

音を理解する仕組み

さて、人は、どのようにして音を理解しているのでしょうか。ここがわかるとさらに感音性難聴について理解が深まります。音を理解するのに必要なのは、

  • 音が聞こえる事
  • その音を覚えている事

この二つが条件です。

音は、耳で感じ取るものですが、耳はあくまでも感じ取るだけであり、音を理解しているのは、脳になります。耳で感じた音は、内耳を通って脳に届けられます。その際、電気信号となって脳に届けられるのですが、送られてきた音と脳の中にあるデータベース(記憶)と結びつけて音を理解しています。結びつけられれば「○○だ!」とわかり、できなければ「?」となったり、聞き間違えたりします。

例えば、車の音が聞こえたとしましょう。車の音が聞こえなければ、車の存在に気が付きませんし、音そのものを捉えられないので、理解はできません。

次に車の音は聞こえた場合「車の音はこんな音!」と理解できるデータベースが頭の中にあれば「これは、車の音だ」とわかります。しかし、聞いた事がない音であれば「何の音?」「何か聞こえるね」くらいにしか思いません。人は、様々な音を常に聞き、さらにその音が何なのかを学習しています。

これは、言葉も同様です。いくら日本語でも聞きにくい言葉があります。それは、初めて聞く言葉です。特に聞いた事がない地名や社名、専門用語は、初めて聞く際、うまく理解できません。これは、耳の聞こえが悪いのではなく、頭の中にデータがないからに他なりません。その証拠に、2〜3度聞くと徐々に、理解できるようになってきます。この点から、聴力は関係ない事がわかります。

音は、聞こえるだけでなく、その音を知っている事、覚えておく事が条件です。人は、このようにして、音を理解しています。

感音性難聴が引き起こす事

では、改めて感音性難聴について考えてみましょう。上記には、感音性難聴の症状と音を理解する仕組みを載せてみました。ここから、感音性難聴が引き起こす本当の症状が見えてきます。

音をキャッチし、脳に電気信号を送る役割がある内耳が損傷するという事は、耳で受けた音を適切に脳に送れない事を意味します。それは、脳の中のデータベースと送られてきた音がミスマッチする可能性があるという事です。耳から入ってきた音が内耳でうまくキャッチできなければ、キャッチできなかった分、情報が足りない状態で、脳に情報を送る事になります。さらに、うまくキャッチできたとしても送る過程で何らかの障害が起これば、それもまた情報が足りない状態で、脳に送られる事になります。

情報が足りない状態で、脳に送られても、当然脳の中にあるデータベースと照合は、できません。このような事が起こり、うまく音、あるいは、言葉を理解できなくなるのが、感音性難聴です。

ただ、誤解のないようにお伝えしたいのですが、あくまでもこのような事が起こるという事であり、常にこのような事が起こり、全く言葉や音が理解できなくなるという事はありません。

私自身も感音性難聴であり、補聴器装用者ですが、聞こえることもあれば、聞こえない事もあります。最も補聴器がない状態では、音が小さすぎて何もわかりませんが、補聴器を装用すると言葉は、わかりやすくなります。

まとめ

老人性難聴は、感音性難聴と呼ばれる難聴の一種です。そのため、感音性難聴が引き起こす症状も持ちます。そして、それにプラスして、老人性難聴の高音域の聞き取りにくさが加わります。

難聴には、その他、めまいや耳鳴り、耳が詰まった感覚などを訴えるケースがありますが、老人性難聴は、単に耳の聞こえが低下するだけのケースが大半です。

これが老人性難聴の特徴です。

老人性難聴を改善させる

老人性難聴を改善するには、どのようにしたら良いのでしょうか。それは、補聴器を装用する事となります。

改善するには、補聴器を装用

老人性難聴を改善させるには、補聴器を装用するしか方法がありません。この難聴は、治療する事ができない難聴ですので、補聴器を装用し、少しでも耳の聞こえを補っていきます。

伝音性難聴と呼ばれる難聴は、手術や施策により、治療できるケースがありますが、感音性難聴は、神経系の問題ですので、手術や施策でも、治療する事ができません。そのため、補聴器で聞こえを補うしか、今現在は、改善する方法がありません。

これは、老人性難聴に限らず、他の感音性難聴にも共通します。※一部を除きます

装用するなら早期装用

補聴器を装用して聞こえにくさを改善する場合ですが、早めに装用する事が重要です。耳には、音声を理解する力というものがあり、聞こえにくさを自覚していながらも、装用を遅らせると、この理解力が低下するケースがあります。

理解力が低下すると、補聴器を装用しても効果が出にくくなります。補聴器は単に音を大きくして耳に伝えているため、この理解力が低下すると、なかなか効果がでなくなり、かつ、この力を修復させる事もできません。

補聴器を考えるうえで重要なのは、この力がある内に装用する事です。 そしてそれが、早期装用となります。

使用し始めは、聞こえにくさを感じた頃辺りからがお勧めです。簡単に言えば、困る事がたびたび出るようになった頃になります。

ご家族様へのお願い

さて、難聴、補聴器と記載致しましたが、最後にご家族にお願いしたい事も記載していきます。こちらでは、

  • お話しの伝え方
  • 無理に改善させようとしない

この二点について、記載していきます。この二つは、非常に重要な点になります。もしご協力いただけるのでしたら、幸いです。

お話しの伝え方

補聴器を装用して、全てが丸く収まるのでしたら、このような事を書かずに済むのですが、残念ながらそうなるケースは、あまりありません。それは、補聴器を装用しても完全に聞こえるようにする事ができないためです。そのため、こちらでは、伝わりやすい話し方を載せていきます。

こちらを行う事で、聞き返される事が少なくなり、より意思疎通がしやすくなります。

お話しを伝える際ですが、

  • できるだけ正面からお話しする
  • ゆっくりお話しする
  • 一つ一つを短く言う

の三つです。

できるだけ正面からお話しする

できるだけ真っ正面から、お話し願います。何かしながらすると、言葉が聞きにくくなる原因になってしまいます。真っ正面からお話しするだけで、二度も三度も言い返さないですみ、お話しが伝わりやすくなります。

また、お話しする時ですが、いきなり伝えたい内容をお話しするのではなく、相手の方を呼んだり、肩を軽く叩くなどして、「今からお話ししますよ」という合図を送ると伝わりやすくなります。いきなり話しかけると聞く準備ができていないために、始めに話した内容が理解できない事があります。そうなると言い返す原因になりますので、ワンクッション置くと自然と理解しやすくなります。そうするといちいち言い返さずに済みますので、楽になります。

ゆっくりお話しする

お話しする際ですが、ゆっくりお話しする事でも理解されやすくなります。いつも通りのテンポでお話ししてしまうと理解する前に次の言葉が来てしまい、なかなか理解できない場合があります。

受け答えがしっかりしている方ですと、少しゆっくりお話しするようにするだけでも、お話しの伝わり方はだいぶ異なります。

一つ、一つを短く言う

ひと言、ひと言を短く言うだけでも理解は、違います。

例えば「お父さん、ご飯できたけど、今食べる?食べない?食べないなら冷蔵庫しまっておくね」というよりも「お父さん、ご飯できたよ。今食べる、食べない?じゃあ冷蔵庫にしまっておくね」と言った方が、伝わりやすくなります。一つ一つを短く言う事で、一つ一つを理解したうえで、話しが進みます。結果、話しが理解されやすくなります。このように工夫するだけでも、聞き返される事は減ります。

ほんの少しの工夫だけでも聞き返される率は、減りますので、お話しする側の負担が減ります。やれば、やるほど、聞き返される事が減りますので、結果的に、負担も減ります。

無理に改善させようとしない

たまに、ご両親に無理に補聴器を装用させてしまうケースがあります。耳の聞こえが低下してしまい、伝えたい事が伝わらない、あるいは、周囲から苦情が来ているという事で、ご自身(ご両親以外)が最も困っている……というケースです。

このようなケースでは、無理に補聴器を装用すると逆効果になりますので、補聴器はお勧めしません。そして「補聴器を装用してよ!」と言ってもご両親は、聞く耳を持たないケースが大半ですので、より仲がこじれてしまいます。

そのような状態で、補聴器を購入しても補聴器はタンスの肥やしになり、何十万というお金を無駄使いする事になってしまいます。このような使い方をするなら、そのお金でおいしいご飯を食べたり、旅行代に使った方が良いでしょう。

このようなケースの場合、手遅れになる前に、状況を改善させるのが望ましくなります。その場合、

  • ご両親が困っている事を探す
  • 一緒に改善する手伝いをする

の二つが効果的になります。例えば何か趣味があれば、そこで聞きにくい事はないか、聞きにくい事で困っている事はないかを聞き、それを一緒に改善しようと、提案する事です。週に何回かご近所の集まりがあれば

「最近、聞きにくくなってきてない?大丈夫?」と心配し「そういえば○○では困らないの?聞きにくそうだけど?」と言います、その後「じゃあ、一緒に耳鼻咽喉科、補聴器販売店に行こうか?」と提案します。

どうしてもご自身の事が一番気になるとは思いますが、相手が困っているところを改善させてあげるのが最も効果的です。このように考える事で、うまいきやすくなります。

老人性難聴のまとめ

さて、最後にまとめていきます。老人性難聴は、加齢によって聞きにくくなる難聴になります。そして、この難聴は感音性難聴の一種ですので、音の聞こえにくさにプラスして、音声の理解のしにくさも出てしまいます。

この場合、改善は、補聴器を装用する事となります。補聴器を装用する事で全てが改善するわけではありませんが、聞きやすくなる事で、困っていたいくつかの事はできるようになります。そして、改善させる場合は、早期装用がお勧めです。

これらの内容で聞こえにくさが少しでも改善されれば幸いです。そして、ご両親との衝突が少なくなり、仲もより良くなれば幸いです。

 

ご両親に合う補聴器について知りたい場合は、こちらの内容もお勧めします。難聴レベル、難聴の状況別に記載しています。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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