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東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

しっかりと理解しておきたい聴力測定を受ける二つのポイント

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聴力測定といえば、耳の聞こえを調べる測定の一つです。この測定は、申告式の測定ですので、受け方を理解しないとデタラメなデータが取れてしまうという問題点があります。申告式とは、患者さん、お客さんが「そこで聞こえましたよ」という言葉が全てであるという意味です。そのため、双方ともにしっかりと聴力測定に関して理解しておく事が非常に重要です。

こちらでは、基本という事で、聴力測定の受け方について、記載していきます。聴力測定の受け方は、耳に関する測定の基礎となりますので、理解しておくと色々な測定に応用できます。この点も重要です。これを機会にしっかり理解していきましょう。

聴力測定の基礎

聴力測定とは、耳の聞こえを測る機器を利用し、耳の聞こえを調べる事です。主にオージオメータと呼ばれる機器を使用して調べます。オージオメータとは、以下のような機器です。

オージオメーター

聴力を測るオージオメーターは、こんな機器

リオン株式会社より引用

オージオメータについているのは、本体、反応装置、ヘッドホンです。本体は、聴力を調べる測定者が操作する部分で、聞こえを調べてもらいたい人には、音を流すヘッドホン、そして聞こえたらボタンを押してもらう反応装置を持ってもらいます。

ヘッドホンには、赤と青のものがありますね。これは、赤が右を示しており、青が左を示しています。このようにしておかないとどっちに音が流れているのかがわからなくなってしまうため、ヘッドホンには、このような表記があります。赤は、右耳に装着し、青は、左耳に装着します。当然ですが、逆にしてしまうと、右から音を出したとしても、受け手は、左から音を感じる事になります。このような事がないようにするために、表記されています。

聴力測定の仕組みは、至ってシンプルで、音が聞こえたら、お客さん、患者さんに反応装置にあるボタンを押してもらいます。すると本体に「聞こえましたよ」と合図を送る事ができます。この合図を知る事で、どの音がどのくらいの音量で聞こえているかを把握する事ができます。

合図が送られたら、オージオグラムと呼ばれる聴力図に反応した値を記載します。

聴力を記録するオージオグラム

聴力を記録するオージオグラム

上記にあるのは、私の聴力を書いたオージオグラムです。今回は、聴力測定に関する内容ですので、説明は省略します。もしご興味があるなら、こちらをどうぞ。見方を知るのも非常に重要です。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

聴力測定は、オージオメータで聞こえを測り、オージオグラムに結果を記載する事になります。それをする事によって、耳の聞こえについて、把握する事ができます。

聴力測定を受ける際に注意したい事

聴力測定を受ける場合に覚えていただきたいのは、

  • 音が聞こえたら小さい音でもボタンを押す事
  • 聞こえている間は、押し続け、聞こえなくなったら離す事

この二点です。この二つがポイントになります。

音が聞こえたら小さい音でもボタンを押す

音というのは、小さい音もあれば、大きい音もあります。聴力測定で重要なのは、押すタイミングです。このタイミングは、小さい音でも聞こえたら、ボタンを押してください。

聴力測定をした後、オージオグラムという表に反応した数値を記載するのですが、ここに載せるのは、最小可聴閾値(さいしょうかちょういきち)と呼ばれる数値です。これは、その名の通り、最も小さい音で聞こえる値、つまりその人の聞こえの限界を記載します。言い換えれば、反応があったところから、音が聞こえ始めるという事になります。

聴力測定時、普通に感じる音量からボタンを押してしまうと医療従事者が思っているデータの見方と実際のデータの状況が異なってしまい、適切に耳の状況を把握できなくなってしまうという事が起こってしまいます。

聴力測定を受ける際は、小さい音でも聞こえたとわかるところで、ボタンを押してください。そうしていただけると、より耳の状況が理解しやすくなります。

聞こえている間は、押し続け、聞こえなくなったら離す

ボタンを押す際にも一つ注意点があります。それは、聞こえている間は、押し続け、聞こえなくなったら離すというものです。「ボタンを押すだけではダメなの?」という方もいらっしゃると思いますので、説明させてもらいます。

これには、

  • 誤認防止
  • 幻聴防止

この二つの意味があります。

誤認防止

誤認とは、何かのきっかけでボタンを押してしまう事を指します。例えば、小さい音でも、聞こえてきたらちょっとボタンを押す……とした場合、どんな事が考えられるでしょうか。それは、何かの不意で、ボタンに手が触れてしまい、あたかも聞こえていたかのように思ってしまう事が考えられます。

聴力測定は、ボタンを押す事で「今、聞こえました」と測定者に合図をしています。しかし、申告式の聴力測定では、聞こえていなくても「今、聞こえました」と合図を出す事が可能です。さらに、ボタンを押す時間が短すぎると、聞こえて押したのか、それとも単にボタンに手が触れてしまったのか、の見分けがつきません。

そのため、確実に「聞こえました」と合図をする方法が必要になります。それが「聞こえている間は、ボタンを押し、聞こえなくなったらボタンを離す」になります。このようにすれば、どこから聞こえて、音を切った時、本当に聞こえていたのか、聞こえていなかったのかがわかるようになります。

幻聴防止

幻聴防止もどちらかというと誤認防止という意味になります。聴力測定を受けていると幻聴が聞こえてくる事があります。幻聴が聞こえてくると聞こえているのか、聞こえていないのかがわかりにくくなります。そのため、ボタンを短く押すと何度も反応があり、聞こえていてボタンを押しているのか、それとも何かが起こってボタンを押しているのかがわかりません。

「聞こえている間は、ボタンを押し、聞こえなくなったらボタンを離す」という風にすれば、曖昧なところを少なくする事ができます。

まとめ

短くボタンを押して合図をする場合は、いずれもどこで聞こえたのか、どのような状況なのかがわかりにくいという欠点があります。そのために「聞こえている間は、ボタンを押し続け、聞こえなくなったら離す」という仕組みにしています。この方が、聞こえている時は、ずっと反応がありますので、理解しやすくなります。

測定側が理解しやすくなると適切なデータが取りやすくなりますので、結局は、回り回って患者さん、お客さんのためになります。

こんなときはどうする?

聴力測定をしている時に、どのようにしたら良いのかわからない事もあると思います。基本的な方法は、上記の通り、小さい音でも聞こえたら押す事、聞こえている間は押し続け、聞こえなくなったらボタンを離すになります。しかし、中には、反応に困る時があります。それは、

  • どのくらい小さい音から押せば良いのか
  • 幻聴が聞こえてきたらどうするのか

この二点です。どちらに関しても同様ですが、基本は、聞こえたとわかった位置からボタンを押す事です。

どのくらい小さい音から押せば良いのか

こちらに関しては、できる限りで構いません。耳に音を感じて小さいながらも「聞こえている」とわかったらボタンを押してください。聞こえているのか、聞こえていないのかわからない場合は、押さず、聞こえたとわかった位置から、ボタンを押してください。

小さい音は、聞こえているのか、聞こえていないのかはっきりしない事があります。いまいちはっきりしない場合は、押さず、聞こえたとわかった位置から押していただければ、大丈夫です。

幻聴が聞こえてきたらどうするのか

こちらも上記と同様の答えになります。聴力測定の音が聞こえてきたらボタンを押していただければ大丈夫です。聴力測定を行うと聞こえているのか、それとも幻聴が聞こえているのか、わからない事があります。これは私自身もよく経験する事です。

しかし、幻聴と聴力測定の音は、異なりますので、聴力測定の音が大きくなってくると幻聴か聴力測定の音かはわかるようになります。そして、聴力測定の音が聞こえた段階で、ボタンを押していただければ、大丈夫です。

聴力測定で重要なのは、お互いの協力

聴力測定で重要なのは、お互いの協力になります。申告式の聴力測定では、反応の仕方一つ異なるだけで、受け取り方が異なるケースがあります。例えば、ボタンを短く押すだけだと誤認の元になるのは、こちらに記載した通りです。重要なのは、「ここで聞こえました」と合図する事です。それらがしっかりわかることで、耳の状況も適切に理解する事ができます。

聴力測定がうまくできなかった場合、適切に耳を理解する事が難しくなりますし、補聴器の場合は、過度に音を大きくしてしまう事も考えられます。そもそも反応している値の意味が、患者さん、お客さんと医師、補聴器業者で異なれば、そのミスマッチは、簡単に起きてしまいます。

たまに、申告式の穴であるこの点を利用し、自分の聴力を重く見せかけようとする方もいますが、そのような事をすると補聴器の場合、爆音を届ける補聴器のできあがりになります。このような事は、本人にとっても医師にとっても業者にとってもメリットがありませんので、しない事をお勧めします。

聴力測定で重要なのは、お互いの協力です。少々面倒に感じるかもしれませんが、協力いただけると非常にありがたく感じます。

あとがき

聴力測定に関する基礎について、記載してみました。聴力測定をしっかり行う事は、非常に重要です。耳の状況を適切に理解する事から、全ては始まりますので、ここを疎かにしてしまうと、その後の対応も変になってしまいます。そして場合によっては、やり直す必要も出てきます。個人的には、非常に重要な部分だと考えています。

もし、こちらの内容をご覧になり、ご協力いただけるようになると幸いです。しっかり反応している事がわかれば、こちらも信用できるデータが取れたと感じますし、反応が散漫しているデータが取れると信憑性が薄いと見なし、参考にする事すら危険なデータが取れる事もあります。

全ては、耳の事をしっかり理解するために必要な事になります。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

リンク:聴力図(オージオグラム)では、障害レベルは測れない

リンク:難聴の問題点と特殊性から見る補聴器の役割

リンク:【どのくらい聞きにくい?】難聴レベル別聞きにくさのまとめ

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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