両耳が聞こえにくい場合における補聴器選定と2つのポイント


両耳とも聞こえにくい場合、補聴器の選択は、どのようにすれば良いのでしょうか。このようなケースの場合、補聴器は「両耳装用がお勧めです!」「両耳が良いですよ!」という言葉も聞きます。さて、これは、本当なのでしょうか。こちらに関しては、Yesでもあり、Noでもあります。

補聴器の装用耳に関しては、それぞれの耳に合う方法で補うのが最もベストになります。では、それぞれの耳に合う方法とは、どのようなものなのでしょうか。

今回は、こちらに関して記載していきます。少しでも補聴器の理解と適切な補聴器を選べるようになれば幸いです。

両耳装用が合う人、合わない人

補聴器の両耳装用が合う方は

  • 両耳の聴力が同等
  • 両耳の言葉の理解力が同等

この二つを兼ね備えている方です。両耳の聴力に関しましては、左右の聞こえの差が5〜15dB以内であれば両耳装用がベストになり、これ以上聴力が離れる場合は、両耳装用か、少し特殊なバイクロス補聴器と呼ばれる補聴器で補った方が聞こえが良くなります。

  • 生まれつき難聴の方
  • 老人性難聴の方

この二つのケースは、両耳とも同等である事が多く、両耳に補聴器を装用する事で最も聞こえを補いやすくなります。

反対に両耳装用が合いにくい方は

  • 両耳の聴力に大きな差がある
  • 言葉の理解力に大きな差がある

このようなケースです。二つに共通する要素は、左右の耳の状況が異なるため、単に両耳に補聴器を装用すれば聞こえが改善できるという状況ではない事です。

特にこの二つに関して大きな差が見られる場合、補聴器を両耳に装用しても、聞こえにくい側の耳は補いにくく、補聴器の効果を感じにくくなります。そのような場合は、バイクロス補聴器と呼ばれる特殊な補聴器を装用する方が聞こえを改善できます。

両耳とも聞こえにくい場合、基本的には

  • 補聴器を両耳に装用する
  • バイクロス補聴器を装用する

この二つのうち、どちらかを選択する事が、聞こえを良くさせるポイントになります。そして、ほとんどの方は、両耳とも同じような

  • 聴力
  • 言葉の理解力

ですので、両耳に補聴器を装用して改善させる事が多くなります。

それぞれの検査から見えること

耳を理解する知識としまして、

  • 聴力検査
  • 語音明瞭度検査(語音弁別能検査)

の二つがあります。この二つは、耳の状況を理解するツールであり、この検査を行う事で、耳の状況を理解する事ができます。そして、状況が理解できますと、どのようにして聞こえを改善していけば良いかも見えるようになります。

聴力検査

聴力検査は、最も馴染みがある検査になります。左右の耳に様々な周波数の音を聞かせ、どの音がどのくらい聞きにくいのかを調べる検査です。この検査が補聴器選択に関係するポイントは、両耳の聴力差がどれだけあるかになります。

聴力差が出ると、その左右の聴力の差のレベルにより、選択する補聴器が異なります。左右の聴力差が

  • 5〜10dBくらいの差は両耳装用
  • 40dB〜であればバイクロス補聴器

になる傾向があります。この間の聴力差に関しましては、両耳装用かバイクロス補聴器、どちらが良いか試聴により、選択するケースが増えます。

左右の聴力が離れすぎてしまいますと、聞こえにくい側に補聴器を装用してもうまく補えなくなります。そのような場合は、バイクロス補聴器を装用して聞こえを補っていきます。基本的に、バイクロス補聴器は、補いにくい耳と補える耳がある場合において有効な補聴器です。

なお、バイクロス補聴器の適合の聴力(40dB〜)に関しては、おおよそになりますので、こちらより少ない聴力差でも使用するケースはあります。

語音明瞭度検査(語音弁別能検査)

こちらは、音声をどれだけ理解できるかを調べる検査です。補聴器を装用する方は、感音性難聴と呼ばれる音と言葉が聞きにくくなる耳になっています。そのため、このような音声をどれだけ理解できるかを調べる検査もあります。

基本的に補聴器を耳に装用するやり方は、音を大きく聞かせる事で聞こえやすくなる耳に行う施策です。語音明瞭度検査を行いますと、音を大きく聞かせる事で、理解できる耳なのか、そうでない耳なのかを理解する事ができます。それにより、

  • 両耳に補聴器を装用した方が良いか
  • 特殊な補聴器を装用した方が良いか

この二つがわかります。両耳に音を聞かせる事で改善ができる耳であれば両耳装用を行い、片耳が良好でもう片耳が聞きにくい(50%以下)の場合は、特殊な補聴器であるバイクロス補聴器、そして、例外として両耳とも聞こえにくい(50%以下)場合は、両耳装用を行い、聞こえを改善していきます。

語音明瞭度が低い場合、補聴器を装用しても思うように効果が出ません。片耳が良好で、もう片耳が聞こえにくいとわかったケースのみ、バイクロス補聴器を装用した方が、聞こえやすくなります。音声をどれだけ理解できるかによっても装用する補聴器が異なります。

なお、両耳とも聞こえにくい事がわかった場合は、少しでも明瞭性をあげるために両耳装用します。

補聴器とバイクロス補聴器

こちらでは、補聴器とバイクロス補聴器という単語がいくつか出てきました。この二つは、異なるものです。それについては以下の通りになります。

補聴器

こちらで記載した補聴器については、一般的な補聴器を指しており、種類としましては

  • ポケット形補聴器
  • 耳かけ形補聴器
  • 耳あな形補聴器

の三種類になります。この三つは、聞こえにくくなった耳に音を入れる事で補う補聴器になります。基本的に補聴器といえば、この三種類の内、どれかを使用するケースが圧倒的に多くなります。

バイクロス補聴器

バイクロス補聴器とは、片耳を補聴器で補い、もう片耳は、送信機を置くタイプの少し変わった補聴器です。仕組みとしては、以下のようになります。

バイクロス補聴器は、聞こえにくい方の音を聞きやすい耳で聞く補聴器

バイクロス補聴器は、聞こえにくい方の音を聞きやすい耳で聞く補聴器

※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

こちらは、片耳が聞こえにくく、さらに片耳が聞こえにくい方に合う補聴器です。図の通り、聞こえる耳(補える耳)に、補聴器を装用し、補聴器で補いにくい耳には、クロス機器(図では、フォナッククロスと書かれているものです)を装用する事で、補いにくい耳に来る音を補聴器に転送するシステムです。

音を聞かせても補いにくい耳には、補聴器を装用しても、補聴器の効果をうまく感じる事ができません。しかし、このシステムですと片耳で全て聞く事になりますが、その変わり聞こえにくい側に来る音も理解できるようになります。

バイクロス補聴器は、

  • 片耳が補聴器を装用する事で補える耳である事
  • 片耳が補聴器で補いにくい耳である事

この二つの条件に合う方に適する補聴器です。本来なら、このようなケースは、聞こえを補える耳にのみ装用する片耳装用が多かったのですが、この場合、聞こえにくい側の音は、どうしても聞きにくいままになってしまいます。その不自由を少しでもなくすように改善させたのが、バイクロス補聴器です。

補聴器とバイクロス補聴器 まとめ

両耳とも聞こえにくい場合、基本的には

  • 補聴器を両耳装用する
  • バイクロス補聴器を装用する

この二つの内、どちらかを行う事で、聞こえを改善させる事ができます。

両耳装用のまとめ

さて、こちらに記載した内容をまとめさせていただきます。基本的に

  • 両耳の聴力が同等
  • 両耳の言葉の理解力が同等

であれば、両耳に補聴器が適合します。聴力としましては

両耳装用が合う聴力

両耳装用が合う聴力

このような聴力や

両耳装用が合う聴力の特徴は、同じような波形である事

両耳装用が合う聴力の特徴は、同じような波形である事

このような聴力があります。どちらも左右とも同じような聴力をしているのが特徴です。そして、語音明瞭度に関しても同様であれば、両耳装用が最もベストになります。

一方、両耳装用が合いにくい耳は

  • 両耳の聴力に大きな差がある
  • 言葉の理解力に大きな差がある

場合です。このようなケースは、バイクロス補聴器を装用した方が聞こえが良くなりやすくなります。聴力としては

バイクロスは左右の聞こえに大きな差がある場合に有効

バイクロスは左右の聞こえに大きな差がある場合に有効

このようなケースに当てはまります。このくらい離れている場合は、バイクロス補聴器の方が聞こえを補いやすくなります。そして、片耳の語音明瞭度がより低下しているケースにおいても同様です。

両耳の聞こえが低下している場合は、このどちらで聞こえを改善させていきます。両耳で改善させるケースが多くありますが、中には、両耳装用で改善できないケースもあります。そのような場合は、バイクロス補聴器を装用し、なるべく聞こえを改善させていきます。

あとがき

両耳装用に関して記載してみました。補聴器販売店に良く記載してある「両耳装用がお勧めです!」は決してウソではないのですが、厳密には、それぞれの耳に適した補い方を行う事で聞こえを改善させる事ができます。

両耳装用が合う方は両耳装用する事で、最も耳の聞こえを補う事ができます。そして、それが難しい耳でしたらバイクロス補聴器を装用する事で最も聞こえを補う事ができます。

なお、バイクロス補聴器に関してさらに知りたい方は、こちらもお勧めです。かぶる部分は飛ばしてご覧下さい。

リンク:片耳がより聞こえにくい方にお勧めなバイクロス補聴器

これらの内容が聞こえの改善に役立てば幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:適切な補聴器を理解する補聴器評価ポイントまとめ

リンク:多くの人が誤解している補聴器が慣れるという状態

リンク:中等度の感音性難聴の私が自分に合った補聴器を選んだ方法

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