2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

赤ちゃんが補聴器を嫌がっている……には、こう考えてみよう


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たまに、赤ちゃんに補聴器を装用する事に関して、否定的な意見を出される方がいらっしゃいます。補聴器を装用するときに泣く姿や補聴器を外そうとする仕草を見ると「補聴器を装用する事を嫌がっているのではないか」という風に見える……という事です。

なるほど……確かにそのように感じてもおかしくありませんね。これらの事は、我が子を思う事から来ているのだと思います。そこで、実際は、どうなのか、難聴の感覚がわかる事、そして耳の事がわかる事から、赤ちゃんの状況について私が思っている事について、記載していきます。

結論から

結論から言いますと赤ちゃんは、実際に嫌がっている可能性はありますが、それは、自身の状況をうまく理解する事ができないから起こっている事だと考えています。赤ちゃんからすれば、なぜ補聴器を装用するのか、なぜそんなものを装用する必要があるのか、それらを理解する事ができません。そのため、自分が感じた通りに表現します。ここが嫌がっているポイントだと個人的には、考えています。

さて、自身の状況をうまく理解する事ができないとは、どのような事なのでしょうか。そちらについて見ていきましょう。

赤ちゃんは、状況が理解できない

状況が理解できないというのは、

  • 難聴である事がわからない
  • 装用する理由がわからない
  • 聞こえる世界に入る事による驚き

この三つがあります。第一に難聴である事は、赤ちゃん自身が自覚できない事であり、それを理解できなければ装用する意味もわかりません。さらに、自分が聞こえていない事がわからなければ、聞こえる世界に入った時に、びっくりしてしまいます。私は、これらの事が影響しているのだと考えています。

難聴である事がわからない

突然ですが、皆さんは、耳の聞こえに関して、聞こえているか、聞こえていないかは、どのように判断されますか。そして、その聞こえは、正常かそうではないかは、どのように判断されるでしょうか。このように伺うとほとんどの方が自分の耳の事に関して、疑った事がない方が多いのではないでしょうか。聞こえているから、不自由に感じた事がないから、今までそうだったらか、これらの理由で、自分が感じている感覚に疑問を持つ事がほとんどない方が多くなります。

医療系のものは、比較をする事で、正常か、そうでないかが理解できます。耳に関しては、聴力検査を行い、平均聴力25dB以上の方が難聴であると判断されます。この場合、耳の聞こえと検査の基準を比較し、聞こえに問題がないかを見ているという事になります。そのように比較する事で、初めて感じている感覚が正常か、そうでないかがわかります。

多くの場合、耳に限らず、感覚というのは、自分自身で比較する事ができません。目や耳、触覚、嗅覚、味覚は、基本他の人がどのように感じているのかがわからないものです。言葉で表現するという事もありますが、その言葉で表現している感覚も同じかと言いますとそうでもありません。例えば、大きいという言葉を使うにしても人により、大きいと表現するのは、微妙にニュアンスが異なったりします。

唯一わかるのは、元々聞こえていたけれども聞こえにくくなった場合です。この場合は、元々の基準である聞こえを理解しており、そしてその状態から明らかに変化がある事で、異変に気が付く事ができます。ある日、突然聞きにくくなった……という場合は、元々聞こえていた耳が聞こえにくくなったという事で理解する事ができます。

このような事を申し上げるのは、元々難聴の子というのは、自分自身の耳が聞こえにくい事を自覚しているわけではないという事です。元々そのような状態で生まれてきたのであれば、聞きにくい事はあってもその聞きにくい状態が当たり前のように感じます。それもそのはずで、聞こえる状態、あるいは、正常の状態を知らないのですから、自分が聞こえにくい事に気が付きません。

聞こえる状態を知っており、そこから聞こえにくくなった場合は、自分自身で聞こえにくくなった事がわかります。しかし、元々聞こえにくい場合は、聞こえる状態を知りませんので、自分自身が聞こえにくい事に気が付きません。これは、赤ちゃんも同様です。

装用する理由がわからない

では、難聴である事がわからないとどのような事が起こるのでしょうか。それは、なぜ補聴器を装用するのか理解する事ができません。そのような状態であれば、普通は、嫌がりますね。その理由は、なぜそのようなものを付けるかわからないという事の他に、どんな事が起こるかわからない事もあります。それらの事がわからなければ、取り外そうとしたり、耳に入れようとすると嫌がる赤ちゃんもいます。

個人的には、これらの事は、装用する理由がわからないからではないかと考えています。一般の方も訳もなく耳にそのような物を装用しようとしたら、誰でも嫌がりますね。中には「何をする!」と怒る方もいると思います(といいますか、大半が怒りますね)。赤ちゃんにも少なからず、そのような側面があるのではないかと、私は考えています。

聞こえる世界に入る事による驚き

今まで聞こえていないとわからない子は、補聴器を装用するとどのように感じるでしょうか。実際に、この内容をご覧になっている皆さんが仮に難聴だとしましょう。今感じている音の感覚は、実は、一般の人より、聞きにくい状態であった、その場合、どのような事が起こるのでしょうか。

恐らく想像がつくと思いますが、今まで聞いていた感覚より、大きな音が入る事で、びっくりする事になります。今まで感じていた感覚と異なるようになるのですから、それはもうびっくりしますね。赤ちゃんの心境からすれば「なんだ!?なんだ!?」という感じでしょう。今まで感じた事がない感覚、今まで聞いた事がない音、それらのものが一度に聞こえるようになりますので、びっくりするわけです。

これは、いいびっくりではあるのですが、補聴器を装用するとこのような驚きもあります。これは、当然ですが予め伝えておかないと誰でもびっくりします。もちろん赤ちゃんには、説明する方法がありませんので、伝えようがないのですが、このような側面も考えられます。

感覚の変化がもたらすもの

もう一つ私の方から言える事は、難聴の状況は、非常に静かである事です。私自身、中等度難聴ですが、中等度難聴程度でもかなり静かに感じます。日常生活では、実に様々な音がしており、私自身、補聴器を装用する事によって気が付きました。補聴器を装用しないと音そのものが聞こえにくい状態ですので、音がしている事に気が付かないのです。

逆に考えてみると難聴の状態であるという事は、これらの日常生活上発生する音に関して、気が付いていないとも言えます。補聴器を装用し、そのような音があっちこっちからしてくれば、それもびっくりしてしまう原因になりますね。赤ちゃんからすれば「何、何?」と不思議でしょうがないでしょう。今まで、感じた事がない音が聞こえてくれば、疑問を持ちます。この内容を見ている方も、今まで聞いた事がない音がした場合、「何の音?」と気になったりする事はありませんか?それと同じ感覚が起こります。

こちらは、難聴の程度が大きいと大きい程、変化が大きくなります。であれば、感じる音のギャップはかなり大きくなる事になります。それによってびっくりするのも考えられる事です。

こう考えてみよう

では、このような事があるのであれば、赤ちゃんに我慢させつつ、装用し続けるしかないのでしょうか。個人的には、そこは考え方を変えてみれば良いのではないかと思っています。それは、正しい聞こえに導けるようにする事です。

上記の通り、赤ちゃんは自分自身で難聴である事に気が付きません、そして補聴器をなぜ装用する事もわかりません。では、その状況が良いか……と言われれば、そのような事もありません。重要なのは、補聴器を装用した状態が正しい事なのだと教えてあげる事だと私は思っています。

聞こえにくいままでしておくのではなく、少しでも音を理解できるようにするため、補聴器を装用し続けます。これは、どのような聞こえが良いのか赤ちゃんは、わからないからこそ必要な事でもあります。簡単に言えば、自分自身では、聞こえがわからないので「このように聞こえるのが良い事だよ」と装用し続ける事で、赤ちゃん自身に教えてあげるのです。

補聴器を装用したての頃は、今までと異なる感覚がし、赤ちゃんもびっくりします。時には、耳から外してしまう事もあります。しかし、補聴器を装用し続ける事で、徐々に補聴器そのものを常に付けられるようになります。これは、徐々に補聴器そのものから聞こえてくる音は、自分にとって必要な音である事を理解できるからではないかと個人的には理解しています。

補聴器を装用し始めは、大変かもしれませんが、装用できる時間が増えてくると補聴器を装用する事で、自分が話す声を聞き、喜んだり、私達が話して反応するようになってきます。そのようになってくる頃には、赤ちゃんにとって補聴器は、欠かせないものになっています。

また、赤ちゃんの補聴器装用に言える事は、できるだけ長い間、補聴器を装用する事、そして早めの装用をする事です。長く……というのは、できるかぎり一日中装用する事です。某ろう学校を見ていた時に感じたのは、小さい頃から、徹底的に補聴器を装用している児童ほど、聴覚を活かせている事です。

そのろう学校では、重い聴力でも聴覚を活用し、話せるようになっている子もおり、びっくりした事を今でも覚えています。その重要性は、生きた証拠を見せつけられた時に、嫌と言うほど感じました(と、同時に自分自身の甘さにも気付かされました……)。早めの装用とは、装用し始めになります。こちらも早いと早いほど、聴覚を活かしやすくなったり、補聴器の効果を感じやすい事が、研究結果で明らかにされています。

必要なのは、導く事、そして導くために必要な事をしっかり行う事なのだと思います。

あとがき

たまに、嫌がっているように見える事から、中々踏ん切りがつかないご両親を見る事がありましたので、そのような人向けに記載してみました。私自身が考えているのは、上記のように、いきなり音を感じようになって、わけがわからないというのが実情なのではないかと思います。それは、私自身が難聴であり、難聴である感覚、難聴であるとどのような事が考えられるか、難聴とは、どのようにして気が付くのか、そのような視点を持ちつつ、考えてみました。

一つ、確実なのは、早期装用し、耳の聞こえを早めに補う事が重要である事です。どのような感覚が良いのかを装用し続ける事で、理解させていきます。言葉で説明できれば良いのですが、それはできない事ですので、地道にやっていくしかありません。嫌がっているように感じるかもしれませんが、それ以上に重要なのは、どのような状態が良い事なのか、教えてあげる事だと私は考えています。

無理に装用し続けるのではなく、教えてあげるために補聴器を装用する。それが私が考えている事です。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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