2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

初めて補聴器を装用する時における使用時間について


補聴器屋さんで補聴器を借りた時、もしくは、補聴器を購入した時、初めて補聴器を装用する時は、どのくらいから使い始めるのがベストなのでしょうか。ここは、お話しする人によって、ものすごくバラバラであり、決まりもありません。

初めて補聴器を装用する時は、様々な事が起こります。今まで聞こえていた感覚と異なる感覚になる事で、色々な事に気が付く反面、気が付きが多くなる事により、疲れてしまう事もあります。聞こえにくかった分が一気に聞こえてくるようになるのですから、それは、当たり前でもあります。むしろ、変化が感じられない場合は、あまり聞こえるようになっていないとも取れます。

では、そのような事が起こるのなら、どのくらい使用する事から始めるのが良いのでしょうか。こちらでは、私自身がしていた事について記載していきます。私の答えは「使用できるだけ使用する」になります。

補聴器は使えるだけ使う

補聴器は、使用できる分だけ使用していただくのが最もわかりやすく、そして安全になります。気になる事がなければ、初めから一日中使用しても構いません。その際に注意いただくのは、決して無理して装用し続ける事だけはしない事です。これさえ守っていただければ、使用できる分だけ使用していただく思考の方が、補聴器を早く馴染ませられます。

このように提案するのは、二つあります。一つは、聞いた分だけ音に慣れやすい、もう一つは、無理なら使用しない方が反って良い、この二点です。

聞いた分だけ慣れやすい

補聴器は聞いた分だけ音や環境に慣れやすくなります。補聴器を装用して慣れてもらうのは、補聴器から聞こえる音の感覚にあります。これには、補聴器を装用した時、どのような音が聞こえるのか、そして、どんな風に音が聞こえるのか、この二つがあります。

どのような音が聞こえるのか

補聴器を装用すると、実に様々な音が聞こえるようになります。補聴器を装用していない状態と装用している状態は、天と地ほどの差があります。私自身は、中等度難聴程度ですが、それでも、そのように感じます。

大きな違いは、聞こえてくる音の量です。音量(音の大きさ)ではなく聞こえてくる音の量になります。聞こえてくる音の数という方がわかりやすいかもしれません。それが、桁違いに多く聞こえてくるようになります。中等度難聴程度の耳でも音の数は、補聴器装用時と非装用時では、10倍から場所によっては、100倍くらい違うと思います。これは、誇張ではなく、本当にそれほど、異なります。

補聴器を装用すると大きく変化するのは、離れたところの音が良く聞こえるようになる事です。これが、非装用時より、爆発的に聞こえやすくなります。日々日常では、様々な物音がしており、例え家の中でも実に多くの物音が聞こえます。難聴になるとこれらの音が聞こえにくく、補聴器を装用すると、非常に良く感じるようになります。

難聴の私自身がわかるのは、難聴になるとものすごく近くの音しか聞こえていない事です。補聴器を装用すると一般の方の耳の感覚に近くなりますので、離れたところの音も聞こえやすくなりますし、細かい周囲の物音も聞こえやすくなります。しかし、聞こえにくくなっている方は、自分自身が本来聞こえているものが、どれだけ聞こえにくくなっているのかを自覚する事ができません。そのため、日常環境そのものを補聴器を装用して理解する事が必要になってきます。

補聴器を装用し続ける事で、補聴器を装用した後の世界に馴染みやすくなります。耳に馴染むというよりは、装用後の世界を知る事で、こんな感じなんだと脳が覚えていく過程が必要なのだと思います。

どんな風に音が聞こえるのか

補聴器を装用すると、当たり前ですが、補聴器から聞こえてくる音がわかるようになります。初めは、機械っぽく感じる、あるいは、全体的に音が高く感じるのですが、補聴器を使用し続けているといつのまにか、その機械っぽさ、あるいは、音が高く感じる感覚が軽減されてきます。これは、実に不思議な感覚なのですが、恐らく補聴器を使用している人には、わかる感覚だと思います。

軽減度は、人により異なると思います。私なりに表現してみますと、初めて補聴器を装用した時が機械っぽさ100だとしますと、使用し続けていると機械っぽさ50、あるいは、30くらいにまで軽減します。完全に0になるわけではありませんが、使用し続ける事により、これらは軽減してきます。100だったものが半減したり、30くらいにまで軽減すると耳でも明らかに変化しているのがわかります。

こちらは、使用し続けるとし続けるほど、早く、その域に達しやすくなります。

無理なら反って使用しない方が良い

こちらは、どちらかというと私達補聴器屋にとって良いと言える内容です。無理なら反って使用しない方が良いというのは、この補聴器が良いのか、悪いのかが一目瞭然でわかるからです。補聴器を使用できている人は、一日平気で10時間を超えるケースもありますし、使用できない人は、1〜3時間ほどしか、使用した形跡がありません。使用した時間を見れば、使える状態の補聴器なのか、何らかの理由で使用できなかった補聴器なのかがわかりやすくなります。その見分け方が簡単になりますので、もし無理であれば、反って使用いただかない方が状況を良く理解しやすくなります。

最近の補聴器には、補聴器を使用した時間を示してくれるようになっています。そのおかげで、どのくらい補聴器を使用していたのかがわかりやすくなりました。その数値を見ると適切に使用できているのか、できていないのかがすぐわかります。そうなると状況を適切に判断しやすくなります。使用できない補聴器であれば、原因究明しなければなりませんし、使用できている補聴器であれば、使用した感想を伺い、さらに聞こえを改善させる方法も提案できるようになります。

初めは、多少なりとも違和感を感じますので、使用しにくい部分はあります。しかし、違和感が強すぎるのであれば、無理強いする事はありません。その場合は、原因を調べ、改善させた状態で、また使用するのが良いでしょう。

音は、可能な限り聞き続けよう

補聴器を使用すると、実に様々な変化が起こります。これらは体験すれば体験するだけ、耳に馴染みやすくなる、あるいは、脳が状況を理解しやすくなります。すると補聴器は、徐々に耳そのものになってきます。馴染んだ後の補聴器は、実に不思議で、違和感をほとんど感じません。まるで耳の一部になってしまったかのようにも感じる事があります。この状況までくれば、ひとまず良いといえます。

そこまで来るには、一日中装用して、早い人でも1週間くらいかかります。私の体感では、若い人ほど馴染むのが早く、ご高齢になるとなるほど、馴染みにくい傾向があるように感じます。若い人とは、この場合、50〜60代くらいの方を指します。ご高齢の方は、それ以上の方になります。ご高齢の方は、1週間以上はかかる傾向が多いため、気長に行う必要があります。

音は、可能な限り聞き続けると、それだけ早く音に馴染むようになります。ただし、無理に使用する事はありません。頭が痛い、疲れる感覚がある、そのような場合は、決して無理をせず休んでください。このように使用できる時は、使用し、使用できない時は、使用しない方が、補聴器に適切なデータが残りますので、補聴器屋としては、状況を理解しやすくなります。その方が、こちらとしても助かります。

使用できる分だけ使用していただくという思考でしていただくと早めに補聴器に馴染む事になりますし、何かあった場合に原因が突き止めやすくなります。その方法が、使用できる分だけ使用していただく方法です。

あとがき

初めて補聴器を装用する時における使用時間について記載してみました。説明する方によってバラバラだとは思いますが、私は、このように考えて行っています。その方が、無理に使用しなくて済みますし、良い状況であれば、早く耳に馴染ませる事ができます。なお、上記に記載したのは、一般的な方への説明になります。あまりにも特異な聴力の持ち主の場合は、別に行いますので、ご注意ください。

重要なのは、使い続ける事です。どんなものも一定期間使い続ける事でできるようになっています。初めからスイスイ自転車に乗れた人はいませんし、車の運転も初めからスムーズに出来た人はいません。どんなものも必ず初めは、使用し続ける、練習する期間が必要になります。それは、補聴器も同様です。

特に補聴器は、上記に記載した通り、感覚が変わると言う特異な状態になります。その変化は、あまり違和感を感じないものから、かなり違和感が強く感じる事もあります。今まで感じていた感覚が異なるほど(聴力が低下している程、あるいは、聴力が特異な状況になっている程)違和感はどうしても感じやすくなります。一筋縄では行かないのが、聴力という感覚を補う事です。

その際に重要なのは、まずは使用し続けてみる事です。あまりにも違和感が強すぎて使用できないなら、問題ですが、これなら使用できるかもしれないと思うもの、使い続ければ慣れるかもしれないと思うのなら、使用し続けてみてください。使用し続ける事でしか、補聴器は馴染む事はありません。そして、使用し続ける事で、補聴器の感覚を徐々に覚えていく事ができます。

慣れたら使うではなく慣れるために使う、このように思考を変えて装用していく事が大切です。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を初めて装用する方に伝えたい装用後の世界

リンク:難聴の問題点と特殊性から見る補聴器の役割

リンク:しっかり理解したい補聴器を早めに装用する3つのメリット

リンク:補聴器を選ぶ前に知っておきたい装用感覚に関する思考


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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