耳かけ形補聴器とは、耳にかけて使う補聴器です。こちらは、昔からある形状の一つで、今現在、様々な形状があります。こちらでは、耳かけ形補聴器の全体の特徴からこの補聴器が合う方に関して記載していきます。
耳かけ形補聴器は、合う方が多い反面、耳に置く位置に欠点があります。利点、欠点に関して理解し、補聴器選定にぜひお役立てください。
なお、こちらでは、一般的な耳かけ形補聴器を主に耳かけ形補聴器としていきます。※耳かけ形補聴器は種類が多いため、分類していきます。
目次
結論から
初めに結論を申し上げますと耳かけ形補聴器がオススメな方は、
- ①耳あな形補聴器が何らかの原因で合わない方
- ②購入のしやすさを重視する方
- ③高度〜重度難聴の方
の三つになります。
①耳あな形補聴器が何らかの原因で合わない方
補聴器の形状には、耳かけ形補聴器、耳あな形補聴器、ポケット形補聴器の計三種類があります。この中で、使用制限が出やすいのは、耳あな形補聴器です。耳あな形補聴器は
- 耳を手術したことがある方
- 耳だれが出る方
- 耳垢が湿性の方
- 耳垢が多い方
などには、向きません。耳の中に補聴器を入れる際、音が出る部分が耳の中に入りますので、耳垂れが出る場合や湿性の方、耳垢が多い方は、音が出なくなったり、音が出る部分が故障しやすくなります。そのため、あまりお勧めできません。
その場合は、耳かけ形補聴器かポケット形補聴器のいずれかになるのですが、若い方や活動的な方の場合は、耳かけ形補聴器がお勧めです。そちらの方が使いやすい補聴器になります。
②購入のしやすさを重視する方
耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器を比較した場合ですが、基本的に耳かけ形補聴器の方が購入金額は安くなります。電池も大きい傾向がありますので、本体購入のコストとその後のランニングコストも安くなる傾向があります。
金額だけを考えると、耳かけ形の方が優秀です。
③高度〜重度難聴の方
高度〜重度難聴の場合、そこまで音を大きくできる機種が、①と同じく、ポケット形か耳かけ形の二択となります。この場合においても若い方や活動的な方は、自ずと耳かけ形補聴器になります。①と同じく、この場合も消去法で考えた場合の選択となります。
補聴器の全体像
先ほどの説明にも出てきましたが、こちらで改めて記載していきます。補聴器の全体像から見てみましょう。補聴器には、主に
- ポケット形補聴器
- 耳かけ形補聴器
- 耳あな形補聴器
の三つがあります。

補聴器の形状の基礎は、この三つ
そして、補聴器ですが、基本的に聴力が対応可能なものであれば(補える範囲内のものであれば)、どのようなものも聴力に合わせる事ができます。補聴器選択でみるポイントは、
- 対応聴力
- 形状別特徴
の二つになります。それを踏まえたうえで、耳かけ形補聴器のみ記載していきます。
耳かけ形補聴器の特徴
耳かけ形補聴器とは、冒頭の通り、耳かけて使用するタイプの補聴器です。こちらには、様々な種類があります。代表的なものは

耳かけ形補聴器の主な種類。基本的にはこの三つ
の三つになります。今回こちらに載せる内容で、合うのは、通常耳かけ形とパワー耳かけ形になります。小型の耳かけ形補聴器RICは、特殊なタイプですので、別に記載しました。
リンク:小型耳かけ形補聴器RICに適合する人、他の補聴器が良い人
さて話しを戻します。耳かけ形補聴器の概要ですが
- 聴力:軽度〜重度難聴まで
- 特徴:耳の裏にかける事による利点、欠点がある
- 金額:同機種であれば耳あな形補聴器より安い
- 性能:耳かけ形と耳あな形は、中の機能は同じです
- 備考:標準耳かけ形とパワー耳かけ形は、対応聴力の違いしかありません
耳かけ形補聴器は、どのような聴力の方でも対応できるのが特徴です。幅広く対応ができるため、消去法で選択される事もあり、例えば、聴力が重い方は、ほとんどの確率で、耳かけ形補聴器になります。
また、金額に関しては、耳あな形補聴器と比べると同機種、同性能のものだと2〜3万安い傾向があります。耳あな形補聴器の場合、耳の型を採取する必要があるのですが、耳かけ形補聴器はそれがないため、少し安くなっています。
なお、標準耳かけ形とパワー耳かけ形の違いは、対応聴力の違いしかありません。基本的には
- 標準:軽度〜高度難聴まで
- パワー:高度〜重度難聴まで
の対応ができます。選択として多いのは、中等度難聴までは、標準タイプを使用し、高度難聴以降は、パワータイプを使用します。これは、仮に聴力が低下した場合でも補えるように(修正ができるように)、ある程度、出力に余裕をもたせるためです。
耳かけ形補聴器の利点
こちらの利点は、
- 操作性が良い
- 音の出力が大きい
- 適応の制限がない
の三つがあります。
操作性が良い
耳かけ形補聴器ある程度形状が大きいため、操作性に優れています。操作には、
- 耳につける、外す
- 電池の交換、電源を入れる
- その他の機能を活用する
の三つが主にあるのですが、これらの操作は、形状が少々大きいためしやすい傾向があります。また、形状が大きいと補聴器を操作して、音を変える機能も多くついており、様々な操作ができるようになります。形状が小さいものは、形状を小さくするため、機能を削っています。
耳かけ形も耳あな形も慣れてしまえばどちらも同じと言われてしまえばそうなのですが、操作の幅やしやすさに関しては、耳かけ形の方が良い傾向があります。
音の出力が大きい
耳かけ形補聴器の特徴としては、音の出力があります。耳かけ形補聴器は、比較的音を大きくしやすい形状ですので、高度〜重度難聴の方には、お勧めできる形状です。
もっともそのくらいの聴力の方は、音を強く出せる補聴器は限られてしまうため、それしか選択肢がないという事もあります。
適応の制限がない
この補聴器は、適応の制限がありません。例えば耳あな形補聴器ですと、上記の通り
- 耳垢が多い方
- 耳の中が変形している方
- 耳垢が湿性の方
などには、お勧めしないのですが、この補聴器は、このような制限がありません。
補聴器をかける部分がないなど、特殊なケースを除き、基本的には、どなたでも使えるのが耳かけ形補聴器です。
利点まとめ
基本的に利点に関しては、上記の三つになります。そのため、耳かけ形補聴器を使う方は、色々と操作したい方や高度〜重度難聴の方が多くなります。
そして、耳あな形補聴器の適合条件に外れた方は、この補聴器を使用する方が多くなります。
耳かけ形補聴器の欠点
こちらは
- 故障が多い
- 補聴器が邪魔に感じやすい
- 余計なノイズが入りやすい
の三つがあります。この三つは、主に耳の裏に補聴器を載せる事による欠点です。
故障が多い
耳かけ形補聴器の欠点は?というと誰もが答えるのが、故障のしやすさです。耳の裏に補聴器を載せるため、汗の影響を受けやすく、その汗や湿気によって補聴器が故障します。
精密機械なため、この二つによって故障する傾向が多くなります。
補聴器が邪魔に感じやすい
マスクをよく使う方やメガネをかけている方、ヘルメットをかぶる方など、耳に何かしら掛けるものを使用する場合は、同じ位置に補聴器がきますので、邪魔に感じる傾向があります。
マスクは特にひもが補聴器側に入り込む事が多く、邪魔に感じる方も多くいます。職場や普段からこれらのものを使う機会がある場合は、特に要注意です。
余計なノイズが入りやすい
耳かけ形補聴器は、補聴器の上向きにマイクがあり、そのマイクに指で触れると大きな音がします。ここまでは、どの補聴器も同じなのですが、そのマイクを耳の上に乗せるため、髪が刺さったり、髪に触れると、ガサガサノイズが聞こえます。さらに、メガネをかけている場合は、メガネのつるが補聴器に当たるとカチカチと音がします。
このようにマイクが様々な物に触れやすい位置にあり、かつ耳にかける部分は、他のものが重なる部分でもあるため、このような余計なノイズが入りやすくなります。
欠点のまとめ
耳かけ形補聴器の欠点は、補聴器を耳にかける事による欠点です。これらの事が気になる場合は、耳あな形補聴器だと、影響は少なくなります。少なくとも、
- 補聴器が邪魔に感じやすい
- 余計なノイズが入りやすい
というのは無くなります。ただし、いくつか条件があり
- 聴力が軽度〜中等度、一部高度難聴以内
- 耳を手術したことはない
- 耳垢は多くない
- 耳垢が湿性でないない
- 耳垂れはでない
が条件です。
ただし、どれか一つでも当てはまらないものがあれば、耳かけ形補聴器の方が活用しやすくなります。
耳かけ形補聴器が適合する方、まとめ
耳かけ形補聴器には、このような特徴があります。わかりやすいのは、
- 耳あな形補聴器が何らか使用できない、もしくは、嫌と感じている
- 操作がしやすいものが良い、操作に幅があるものが良い
- なるべくお安いものが良い
という方には、耳かけ形補聴器がお勧めです。耳あな形補聴器以外には、ポケット形補聴器か耳かけ形補聴器の2つの内、いずれかになります。その場合、若い方や働いている方であれば、耳かけ形補聴器をお勧めします。
また形状がある程度大きいため、操作がしやすく、かつ操作する部分に関しても幅があります。扱いやすいものを希望される場合もお勧めですね。
金額に関しても少しでも安くしたい。そのようにお考えの場合も、こちらの補聴器をお勧めします
実際に選定する場合は、補聴器に関して触れて見てどのような感じなのか。操作できそうなのか。それらを見つつ、選定していけば良いものを選べるでしょう。
こちらの内容で、少しでもご自身に合った補聴器選定ができれば幸いです。