2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

Mimiヒアリングテストは、どこに向かっているのか

Pocket

先日、Mimiヒアリングテストというアプリについて、記載してみました(聴力を測定するアプリMimi ヒアリングテストの登場)。このアプリは、良くできており、すごいなと思います。今回は、打って変わって、欠点編について、記載していきます。

このアプリを見た時に、思ったのは、タイトル通り、どこに向かっているのか、という事でした。聴覚ケアのために作られているのはわかるのですが、その部分に関して、ニーズがあるのか、そして、それは、アプリで代行できるものなのか、そこが欠点として浮かび上がります。

では、早速見ていきましょう。

目指す所にニーズはある?

こちらを見て思う点について

  • 目指す先にニーズはあるのか
  • 代行は可能なのか
  • ニーズがあると考えられるところ

この三つにわけて載せていきます。数ある聴力測定アプリ系は、全てこの部分が外れているように個人的には思います。

目指す先にニーズはあるのか

このアプリは、聴覚ケアを目的に、聴力測定を行えるアプリです。測定したデータをいくつか保存できたり、気軽に興味を持ってもらえるように、簡易版も用意しています。そして、そこから、もっと深く理解できるようにする仕組みもあります。しかし、個人的に思うのは、この聴覚ケアに、需要があるのか。という点です。

ほとんどの人は、医師に言われない限り、定期的に、聴力を測定する事はありません。そして、難聴だったり、仮に耳の聞こえに不安を覚えた方は、すでに病院に行っており、そこに定期的に通院するのが普通です。私も難聴者として生まれましたので、通院していました。

今の現状から言えるのは、聴覚ケアをする環境そのものは整っているという事です。聴覚管理という名の定期検診は、多くの方が、3〜4ヶ月に一度、あるいは、半年に一度通院しています。

代行は可能なのか

そうなると次に来るのは、代行が可能なのか、という点です。ニーズが満たされているのなら、より手軽に、より便利なものができれば、そのニーズは、まるまる移行する事になります。しかし、それは、難しいと考えています。その理由は、

  • 聴力検査をする理由
  • 聴力検査の特性上

この二点からです。

聴力検査をする理由

医師が聴力検査を行う理由は、初診と再診で異なります。初診は、病気を調べるため、耳の症状を調べるために行われます。患者さんの耳がどのようになっているのかは、聴力検査をする事で、理解する事ができます。そして、聴力検査から得られたデータ、視診、問診、これらを活用し、病気の原因を突き止めて、治療を行います。そのために、聴力検査をします。

再診の場合(定期検診)は、主に難聴の方に行う事であり、聴力が進んでいないかを確認するために行います。聴力が進んでいれば、補聴器の調整を行ったり、状況を伺い、治療ができるものなのか、できないものなのか、さらに、避けた方が良い事をアドバイスし、予防する事もかねて診察を行います。

ここから言えるのは、単に耳の聞こえを検査しているのではなく、検査して出た数値から、どのような事が言えるのか、どのような状況かを理解しているという事です。そして、数値が低下していたり、予想より、異なった場合は、それを改善させる事も行います。

つまり、聴力検査は、目的を持って行っているという事です。初診では、耳の治療を行うために聴力検査を行っていますし、再診では、聴力が進んでいないかの確認のためにしています。

この目的の有無が非常に重要です。聴力測定アプリは、確かに聞こえを調べられるかもしれません。しかし、調べたとしても「で?どうなの?」と終わってしまいます。そして、何か起こっていたとしても、結局は病院に行く必要が出てきます。このアプリは、何のために調べるかという重要な視点が抜けています。こちらについては、このアプリに限らず、他の聴力測定アプリも同様です。

個人的には、ここが最も大きい欠点です。

聴力検査の特性上

聴力検査をする際に重要なのは、同じ環境下で検査を行う事です。同じ環境下でなければ、結果を比較する事ができません。特に音は、少しの違いが、結果を左右する事になります。この同じ環境下というのがポイントになります。

例えば、聴力検査室を防音にしているのは、外部の音の影響を受けないようにするためです。外の音が聞こえない状態、あるいは、限りなく邪魔されない状態であれば、同じ環境で検査できていると言えます。その他、オージオメータ(聴力を測る機器)やヘッドホンに関しても、基準の通りにしています。それは、検査する環境を同じにするためです。

では、アプリを使用するケースは、どうでしょうか。今現在、iPhoneに繋げるイヤホンは、星の数ほどあります。それだけ多くの数があるなか、果たして基準の通りに測定できるのでしょうか。この点は、イヤホンから聞こえてくる音、耳せんの大きさ、場合によっては、ヘッドホン、そして、イヤホンの挿入位置(耳に入っている深さ)、これらが測定するごとに全く異なってしまう可能性があります。

検査は、同じ環境下にする事で、初めて結果を比較する事ができます。検査とは、このくらい気を使うものです。状況が異なれば、検査内容は、簡単に変化してしまいますので、検査は、同じ環境下で行うのが原則です。そして、同じ状況で検査した内容のみを比較する事で、診断やどのように変化しているのかを比較する事ができます。こうする事により、状況を理解しています。

※追伸:このアプリの件については、どうやらヘッドホンを使用する事、静かな中で使用する事を推奨しているようです。ヘッドホンにしているのは、音を出す部分がズレにくいからでしょう。良く考えられています。こちらに記載した内容は、欠点となりませんね。こちらに関しては、失礼致しました。

が、ヘッドホンをしても意外に周囲の音は聞こえてきますので、静かなところで調べる必要性は高くあります。

ニーズがあると考えられるところ

個人的に思うニーズがあると考えられるところは、簡易判断アプリです。耳の聞こえを測定し、これは、ちょっとマズい、この程度なら気にしなくて良い、という判断をしてくれるアプリです。

一般の方が、どのような時に聴力を知りたいと思うかを考えてみると、聞こえにくくなり、この状態は、マズい状態なのか、しばらくすれば、治る状態なのかを知りたい時ではないでしょうか。言い換えれば、病気なのでさっさと病院に行った方が良いのか、心配する事なく、過ごしていれば良いのかを判断するものです。個人的には、ここに最も需要があるように感じます。

簡易的にこれらの事がわかるようになれば、病院に行く人も増えていくと思いますし、アプリを使った人にとっても良いでしょう。特に、突発性難聴のような治療開始時が遅れると治る見込みが少なくなる病気もありますので、ここに大きなニーズがあると考えています。

人が聴力を知りたいと考える時は、大抵「今、どのような状況なのか」を知るためであり、その本質は「病院にすぐ行った方が良いのか、それともそのままにしていて良いのか」を理解するためです。その本質部分を理解する道具の方にニーズがあるように感じます。

方向性がわからない

このアプリは、使う事に関しては、非常にうまくできていると感じています。しかし、肝心の何のために測定するのかを、私自身、感じとる事ができませんでした。ここは、良いものなだけに残念です。

そして、もし聴覚ケアを行う事を念頭に入れていたのなら、このような方法はとらなかったはず……とも思います。聴力検査の特性上、それを行うのは、不可能に近いからです。再現性がないという意味でもそうですが、聴覚ケアで必要なのは、聴力を調べる事だけでなく、その数値から何が言えるのかを理解する事です。数値というのは、見方がわからなければ、ただの絵でしかありません。その見方を理解できる方が見て、初めて状況を理解できます。単に検査は、測れば良いというものではないのです。

また、難聴の方を対象にしているのなら、耳年齢というものは、入れません。難聴の方は、耳年齢を知りたいとは思いませんので、必要がないのです。さらに、一般の方を耳年齢で釣ってもその後に繋がりません。聴力を調べる必要もないですし、仮に聞こえにくくなり、調べたとしても、出た数値が良いのか悪いのかの判断ができません。耳年齢というわかりやすい基準を入れたのは、素晴らしいと思いますが、それをどう活かすのか、そして、どのようなターゲット層に向けたものなのかがわかりにくい状態です。

これらの事から、私自身、方向性が見えない点が気になりました。測るアプリとしては、優秀かもしれませんが、その使い方が問われるアプリです。測る目的がある方には、お勧めですが、多くの方は、単に使用するだけで終わりそうな予感がします。

あとがき

Mimiヒアリングテストについて思った事を載せてみました。先日とは打って変わって、欠点についてです。調べる目的がある方には、参考程度に良いかもしれないのですが、それ以外の場合においては、難しいと言わざるを得ません。そして、ユーザー自身、しっかりと使い方を理解する必要があるのもハードルが高いように感じます。測り方を間違えれば、そのデータは、比較対象にもできませんので、その点は、注意が必要です。

また、聴力を調べるという行為は、目的のために行われる事が大半ですが、その動機が弱いのも気になります。自分で聴力を測ってもどう理解していいかわからないですし、そもそも調べる機会は、そう多くありません。このアプリは、良くできているとは思いますが、なかなか厳しいアプリのように感じます。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:Mimiヒアリングテストを活用するには

リンク:もし、家庭用機器で耳の聞こえが測れたら?

リンク:スマートフォンによって聴覚業界も変わろうとしている

リンク:補聴器の力をさらに引き出す周辺機器まとめ

Pocket

この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム