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耳あな形補聴器の特徴とこの補聴器が合う人

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補聴器の形状には、いくつかあり、その中の一つに耳あな形補聴器があります。耳あな形補聴器は、補聴器を耳の穴の中に入れてしまう事によるメリット、デメリットがある補聴器です。

では、この補聴器は、どんな補聴器なのでしょうか。そして、どのような人が合うのでしょうか。今回は、そちらについてまとめていきます。この補聴器は、合う人には、とても良い補聴器ですが、合わない人には、製作する事すらできません。極端ではありますが、適合するならお勧めの補聴器となります。

耳あな形補聴器 概要

初めに耳あな形補聴器の概要について記載していきます

  • 耳あな形補聴器の基本
  • ぴったり合う補聴器を作る理由
  • 製作時に必要な耳型採取
  • 耳あな形補聴器の形状

この四つについて見ていきましょう。

耳あな形補聴器の基本

耳あな形補聴器とは、冒頭に記載させていただきました通り、耳の穴の中に入る補聴器です。耳の穴の中に、補聴器そのものが入るものは、全て耳あな形補聴器と呼ばれています。

耳あな形補聴器

※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

上記の写真を見るとイメージしやすくなると思います。これが耳あな形補聴器です。ほとんどの耳あな形補聴器は、肌の色に合わせるため、肌色にしている事が多くなります。しかし、一部のメーカーでは、肌色だけでなく、様々な色で作れるところもあります。有名所は、シーメンス補聴器です。

ぴったり合う補聴器を作る理由

耳あな形補聴器の多くは、オーダーメイドで製作します。人によって耳の形状が異なりますので、耳の形にぴったり合わせたものを作ります。このようにしている理由は、大きく分けて二つあり

  • ハウリングの防止
  • 不安定化の防止

があります。どちらも補聴器を装用するうえでは、大切な要素です。

ハウリング防止

こちらは、耳あな形補聴器の特徴でもあるのですが、ハウリングという現象が起こりやすい事があります。これは、耳の穴の形状に合わせる事で軽減させる事ができます。

ハウリングとは、カラオケボックスや広い体育館などでフォア〜ン、ポ〜ンといった何とも言えない高い音が発生する現象です。恐らく誰もが聞いた事があると思います。これは、音を出す部分(マイク)と音を入れる部分(イヤホン)が近いと近いほど、起こりやすい現象です。

補聴器の場合、何らかの形で、イヤホンから出た音が耳の中から漏れる事により、ハウリングします。そのため、耳の形状にぴったり合うよう製作し、なるべくハウリングを起こりにくくします。

不安定化の防止

もう一つは、不安定化の防止です。耳の穴の中に入れる場合、耳に合ったものを製作しないと外れやすくなります。外れやすいものは、入れやすいと同意義なのですが、その変わり、耳から外れやすくなったり、補聴器が耳の中でゴロゴロ動く感覚がし、あまり良い状態ではありません。

ぴったりするものを作ると抜けにくくなりますし、ゴロゴロ動く事もありません。安心と安定を得られるようにするため、ぴったり合うようにも製作しています。

製作時に必要な耳型採取

耳あな形補聴器を製作する際は、耳型を採取する必要があります。恐らく、こちらまでご覧いただいた方の中には「どのようにしてぴったり合った補聴器を作るのだろう?」と疑問に思った方もいらっしゃると思います。その答えは、耳の中に粘土のようなもの(実際には、シリコンです)を入れ、耳の形がどのようになっているのかを採取します。この行為を行わない限り、今現在の技術では、耳の形状がどのようになっているのかを確認できませんので、必ず行う必要があります。

まず、耳の中に栓を入れます。耳の中に液体を入れる必要がありますので、必要以上に奥に行かないようブロックするためです。その後、柔らかい液体を耳の中に入れます。しばらく経つと固まりますので、それを取り出して終わりになります。耳の中は、痛みに敏感な部分もありますので、必要以上に奥まで採取する事はありません。必要な分だけ採取します。

もし、耳あな形補聴器をお考えの場合は「耳の型を採取する」という事について知っておくと理解が早くなります。

耳あな形補聴器の形状

上記にも写真を記載していますが、主にCIC(シーアイシー)、カナル形、フルカナル(フルシェル)形といった形があります。

耳あな形補聴器の形状まとめ

※画像は補聴器メーカーフォナックジャパン カタログより引用

メーカーにより、呼び名が異なる事、形状が異なる事により、厳密には、これより多く名称も形状もあるのですが一般的な形状としては、このような形があります。今現在では、上記の写真では、一回り小さい(CICより一回り小さい)補聴器も出てきています。スターキー社のオトレンズ、フォナック社では、IIC(アイアイシー、またはナノ)と呼ばれています。

以下では、形状ごとに特徴を記載していきます。基本的には、サイズと対応聴力がそれぞれ異なります。なお、聴力について不明な点があれば、こちらをどうぞ。聴力図の見方になります。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

CIC、IIC(ナノ)

この形状の特徴は

  • 聴力:軽度〜中等度難聴
  • 形状:耳の穴の中まで入る
  • 電池:PR536タイプ(極小サイズ)

この形状は、主に軽度〜中等度難聴の方が使用します。ほとんどの部分が耳の穴の中に入ってしまう補聴器ですので、小さい変わりに電池の寿命が短い事が言えます。形状を小さくするためには、部品を小さくするしかありません。すると電池も必然的に小さくする必要が出てきます。そして、電池が小さくなれば使用できる時間は、他の補聴器より短くなります。そこが欠点です。

この補聴器の真価は、形状が小さい事により、耳の奥に入る事があります。これによって、

  • 耳そのものの機能を最も活用できる
  • こもりを軽減しやすくなる

この二つがあります。この二点に関しては、詳しく以下で説明させていただきます。

また、形状の小ささゆえ、様々なものの制約を受けやすいのも欠点です。例えば、この形状は、補聴器本体にボリュームを付ける事はできません(別のものを使って操作する事は可能です)。形状を小さくする事にフォーカスしていますので、このような制限が出てきます。

個人的には、この形状が合うのなら最も理想な補聴器は、この形状だと考えています。その理由は、最も耳を活用できるからです。なお、形状の小ささは、人により、メリット、デメリットがわかれますので、こちらでは、どちらにも記載していません。

カナル形

この形状の特徴は

  • 聴力:軽度〜中等度難聴、若干高度難聴も入ります
  • 形状:耳の穴から出る
  • 電池:PR41(小さいサイズ)

耳あな形補聴器として、恐らく耳あな形補聴器で最も多い形がこのカナル形です。主に、中等度難聴の方が使用します。今現在のカナル形は、出力も大きく出るようになってきており、対応できる幅も増えてきました。形状面、出力面から、最も合う人が多いのが、このカナル形です。

CIC、IICより形状が大きいのですが、その分、補聴器を入れる、出すといった操作はしやすくなります。大きいという事はわかる反面、操作はしやすくなる傾向があります。

この形状から、ボリュームを付け加える事ができるようになります。ただし、これは、ボリュームを使える方にのみメリットとなります。

フルカナル(フルシェル)形

この形状の特徴は

  • 聴力:中等度〜高度難聴
  • 形状:耳を半分くらい埋める
  • 電池:PR48(一般サイズ)

耳あな形補聴器として最も大きい形状がこのフルカナル(フルシェル)形です。主に、高度難聴の方が使用します。形状が大きいのは、音が大きくなると大きくなるほど、ハウリングのリスクが高まるため、音が漏れる経路を塞ぐために大きくしています。形状が大きくなる分、電池も大きくなります。耳あな形補聴器の中で、最も電池が長持ちするのは、この形状です。

この形状を使用する方は、少ないのが現状です。この形状の対象である高度難聴まで行きますと、リスク、音の出力の観点から、耳かけ形補聴器を選択する事が増えます。しかし、耳あな形補聴器の利点もありますので、使用されている方は、きっちり使用しています。

形状まとめ

基本的に形状は、聴力で決める事が大半です。中には、操作のしやすさで、一回り大きいサイズを選択する事があります。

耳あな形補聴器に関する特徴

こちらでは、耳あな形補聴器の特徴について載せていきます。こちらは、耳あな形補聴器全てに共通する事となります。耳あな形補聴器の

  • 利点
  • 欠点

について見ていきましょう。

耳あな形補聴器の利点

こちらには

  • 耳が持つ機能を活用できる
  • 音の劣化が少ない

があります。基本的に耳あな形補聴器は、ここが最も優れています。

耳が持つ機能を活用できる

耳には、音を集める効果があります。この耳とは、普段私達が耳と呼んでいる部分であり、耳介(じかい)と呼ばれている部分です。この耳がある事により、どの方向から音が来ているのか(厳密には、耳が二つある事も条件です)がわかり、前方の音を他の方向から来る音より、大きく聞こえるようにしています。

これらの効果を感じるようにするには、耳の穴の部分にマイクを置く必要があります。そこにおいているのが耳あな形補聴器です。まさに人の機能を最大限に活用している補聴器と言えます。

補聴器の中で最も音の方向感がわかりやすいのがこの耳あな形補聴器の特徴です。それは、人の持つ耳の機能を最も活用しているからでもあります。

音の劣化が少ない

耳あな形補聴器は、音を出す部品が耳の中に入っています。音を出す部分と音を受け取る鼓膜が、近いと近いほど、音の劣化が少なくなります。その結果、耳に音が効果的に伝わりやすいという事があります。耳あな形補聴器には、このような利点もあります。

この利点を利用し、一部の耳かけ形補聴器は、耳あな形補聴器のように(少しでも音を良く聞かせようと)耳の中に音を出す部品を入れるようになりました。そのような事からも、耳の中で音を出す事の良さがわかります。

欠点

こちらには

  • 使用できる耳が限られる
  • こもりを感じやすい

この二つがあります。

使用できる耳が限られる

耳あな形補聴器は、耳の穴の中に補聴器を入れますので、色々と制限を受けやすいのが特徴です。その制限には、製作上の制限も含まれます。基本的には、

  • 耳垢が飴耳
  • 耳垢が多い
  • 耳が小さい
  • 耳の中が変形している
  • 聴力が重い
  • 耳垂れが出る

こちらに該当する方には、あまりお勧めできません。お勧めできない理由について、分類しつつ記載していきます。

他の補聴器の方が無難なケース

これは、

  • 耳垢が飴耳
  • 耳垢が多い

この二つが当てはまります。この二つは、耳あな形補聴器を製造する事はできるのですが、耳垢により、補聴器の音が止まりやすくなります。その事を覚悟したうえで選択するか、他の補聴器の方にするか、二つに一つです。

実を言いますと私自身がこれに当てはまります。耳垢が多く、さらに飴耳ですので、しょっちゅう目詰まりを起こしてしまいました。その面倒さで、耳かけ形を選択しました。

他の補聴器の方が無難なケース(特殊系)

これは

  • 聴力が重い

こちらが当てはまります。耳あな形補聴器は、ハウリングのリスクが他の補聴器と比べて比較的大きくなります。このリスクが大きいと、使用している最中にハウリングが聞こえ、鬱陶しく感じる事があります。基本、ハウリングはない方が快適に使用できますので、場合によっては、耳かけ形補聴器の方が、快適に使用できる事もあります。

なお、これ以外には、聴力が重すぎて対応できないというケースもあります。そのようなケースは、装用した段階で、音が聞こえないため、選択する事はないと考えられますが、聞こえないのであれば、もっと音が出る補聴器を選択した方が、聞こえを改善しやすくなります。

製造上の問題

これは、

  • 耳が小さい
  • 耳の中が変形している

この二つが当てはまります。この二つの内、いずれかに該当する場合は、耳あな形補聴器を製作できない場合があります。この場合は、素直に諦めましょう。最近は、製造技術が上がってきたため、あまり製造そのものができないケースは、少なくなってきたのですが、このようなケースもあります。

特殊系

これは

  • 耳垂れが出る

こちらが当てはまります。これは、状況によって変わります。耳鼻咽喉科医から、許可をいただいているのでしたら良いのですが、そうでない場合、初めに補聴器を装用して良い状態かを確認する必要があります。耳の状況を見ていただき、治るのでしたら、まず初めに治療をしなければなりません。そして、治療が可能であれば、そちらの方が状況を改善しやすくなります。

なお、状況によっては、他の補聴器をお勧めする場合もあります。耳あな形補聴器は、音が出る部分が耳の分泌物に影響を受けやすい構造になっており、耳垂れが出る場合は、耳垂れにより、故障が頻発する可能性があります。それを受け入れて耳あな形補聴器にするか、他の補聴器を選択するかの二択となります。

こもりを感じやすい

耳あな形補聴器の欠点には、こちらもあります。こもりとは、自分の声が自分の体、頭で響く状態を言います。耳あな形補聴器は、もっともこもりを感じやすい補聴器です。

耳を軽く手の平で覆っていただき、声を出してみると、声が塞ぐ前より大きくなっている事、耳で振動しているような感覚はないでしょうか。これがこもりです。耳あな形補聴器は、このこもりが最も感じやすい補聴器です。

こもりについては、どの補聴器も感じる現象であり、その原因は、耳を塞ぐ事によってお。いくつか、軽減させる施策はあるのですが、それでも感じやすい傾向があります。これは、基本、失くす事ができないものです。

なお、このこもりについては、補聴器を使用し続ける事で、馴染んでくる事はあります。この馴染むとは、こもりが消えるという事ではなく、あっても気にならなくなる状態です。また、CIC、IIC補聴器は、耳の奥に作る事で、一般的な補聴器よりこもりがしにくくなると言われています。この点からもCIC、IICは、お勧めです。

選択の考え方

さて、利点、欠点について載せてみました。最終章としては、選択方法です。しかし、こちらは、あくまでも私自身の考えとなる事をお許しください。

私の場合は、基本上記の事をベースに、お客さんの状況で決定します。例えば、手先が不自由であれば、細かい操作が難しい場合も考えられます。その場合は、いくら小さい補聴器がベストとはいえ、それをそのまま押し付ける事はしません。操作できないものを販売しても何も解決しないからです。もちろん、小さいだけでなく実際にその場で、模型を触っていただき、その感覚を見て、決めます。そのようにテストする事で、適性はわかってきます。

もちろん状況によっては、耳あな形補聴器ではなく別の補聴器にする事もあります。こちらに載せたのは、あくまでも形状、耳あな形補聴器だけで考えた特徴です。良い点は、良い、悪い点は、悪いと認識する事から、適切な補聴器選びは始まります。良い点と言っても全ての人がその良いポイントを得られるわけではありません。

なお、若い方は、大抵この通りに考えます。手先の不自由さがないからです。その場合においては、私の場合、この内容通りに考えます。もちろん、手先の不自由さがない高齢の方も同様です。

あとがき

耳あな形補聴器の特徴とこの補聴器が合う人という事で、基本事項から、選択の考え方についても記載してみました。これらの内容により、少しでも選択がしやすくなれば幸いです。私の場合、耳の機能が最も活かせる、かつ補聴器の音が良い状態で伝わりやすいという事で、補聴器の中で最も優秀なのは、耳あな形補聴器だと考えています。これは、耳かけ形補聴器より、音の方向感がわかりやすくなり、良い状態で聞こえやすくなる可能性が高いというのもポイントです。

私の場合、残念ながら耳の状況によって中々活用しにくい事があり、耳かけ形補聴器にしてしまったのですが、機会があれば、また耳あな形補聴器も装用してみようとも考えています。その場合、壊れやすい事、メンテナンスが多くなる事を覚悟しなければならないのですが、それでも効果があるのなら、それも選択肢の一つかなと最近思うようになりました。

こちらの内容で、補聴器の理解が進めば幸いです。

 

この内容をご覧になった方には、こちらの内容もお勧めです。

リンク:耳かけ形補聴器の形状から感じる形状の特徴

リンク:【実例】中等度難聴者が補聴器を装用するとどう改善されるのか

リンク:適切な補聴器を理解する補聴器評価ポイントまとめ

リンク:補聴器の指向性機能の基本をまとめてみました

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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