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東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器のプログラムの基礎を理解して、効果的に使おう

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補聴器の中でなかなか理解されないものといえば、プログラムです。補聴器を購入した方であれば「騒がしい時には、ここを押してください。周囲の音が少し弱くなります」という風に言われた事があるかもしれません。それがプログラムです。今現在の補聴器には、プログラムはほぼついており、それを操作するボタンをプログラムスイッチと呼んでいます。

このプログラムは、なぜ存在しているか考えた事はありますでしょうか。実は、かなり合理的な理由で、プログラムは存在しています。今回は、このプログラムに関して記載していきます。そして、プログラムとボリュームについて使い分けできるようにしていきましょう。すると効果的に使用できるようになります。

補聴器のプログラムはなぜあるのか

補聴器のプログラムは、なぜあるのでしょうか。まず初めにこちらに関して記載していきます。その理由には

  • プログラムしかできない事
  • プログラムでしか改善できない事

この二つがあります。この点を理解できるとボリュームとの違いが理解できるようになります。では、早速見ていきましょう。

プログラムでしかできない事

一つ目は、プログラムでしかできない事があります。それは、ある特定の音設定にする事です。例えば、磁気ループと呼ばれる設備があるのですが、こちらは、Tコイルと呼ばれる設定を補聴器にしなければ、補聴器が反応しません。このような一部特殊な機器を使用する場合は、プログラムを変更して、使用する事になります。

※磁気ループに関しては、こちらをご覧になると良く理解できると思います。

リンク:補聴器を磁気ループに対応させるには

これが一つ目のプログラムでしかできない事になります。この他、ある一部の機器に接続する場合は、このプログラムを使う事が多くなります。使い方は、使用する前に、プログラムスイッチを押して、専用のプログラムに変更する事で使用できるようになります。なお、予め専用のプログラムを入れておかないと反応しませんので、その点にご注意ください。

プログラムでしか改善できない事

二つ目は、プログラムでしか改善できない事があります。基本的には、騒がしい中で聞こえを改善させようとした場合、仮に補聴器側の操作だけで、改善するとしたら、プログラムスイッチを押して、騒がしい時に使用するプログラムにしなければ、改善させる事ができません。ここをボリュームを上げて対応する方が、意外に多くいらっしゃいますので、その理由について、こちらに記載させていただきました。

リンク:補聴器のボリュームを上げても聞きやすくならない理由

こちらをご覧いただければ、その理由についてお分かりいただけると思います。改善させるキーワードは、SN比と呼ばれるものです。ボリュームでは、このSN比を改善させる事が物理的に、不可能となります。そのため、プログラムで騒がしい用の音設定を作り、対応するようにしています。

基本的に補聴器で騒がしい中も聞こえるようにするには、このSN比をどう改善させるかが重要となります。そして、それを改善させる方法が、騒がしい用の設定(抑制機能を働かせた音設定)を使用する事です。このようにする事で、初めて改善しやすくなります。

〜補足〜メーカーがしている事

今現在、各メーカーがしている事は、騒音と呼ばれる聞きたい音声を邪魔する音をいかに下げるかという事をしています。基本的に、SN比を改善させるには、二つあります。それは、聞きたい音を大きく聞こえるようにさせるか、邪魔する音を下げるかの二択です。

しかし、聞きたい音を大きく聞こえるようにさせるのは、実は現実的ではありません。なぜなら、補聴器には、大きすぎる音を抑制させる制限がかけられているからです(補聴器用語で、最大出力音圧MPOと呼ばれています)。制限がかけられていると、大きくできる幅が少なくなる事、大きくできないケースが出てしまう事、このようなデメリット面が出てしまいます。このMPOとは、聴覚障害になった方のために作られている出力制限装置です。

難聴とは実に不思議なもので、大きすぎる音は、反って不快に感じやすくなります。その不快レベルを軽減させるため、そして過度に耳に音を入れないために、出力の制限を設けています。これらの理由により、聞きたい音を大きく聞こえさせる方法は、現実的に採用する事ができません。ですので、どのメーカーもこぞっていかに邪魔する音を下げるかに力を入れています。

もちろん、大きく聞こえさせようとした場合、その大きさをどのようにしたら良いかも議論しなければならない点もあります。そして、大きい音は、基本的に難聴者にとって、不快に感じやすいものですので、扱いが難しいという事もあります。

補聴器は、このような理由により、周囲の音にいかに邪魔されないかを考えて性能のアップを考えています。

ボリュームとプログラム

さて、ボリュームとプログラムの違いについても記載していきます。基本的に、ボリュームは、基本的に音の設定上で大きくしたり、小さくしたりできます。それに対し、プログラムは、音そのものの設定を変更させる事ができます。この点が大きな違いになります。

ボリュームの場合、基盤となる音設定に対し、音量を変化させます。基本的には、全体的に少しずつ大きくさせたり、少しずつ小さくさせます。細かい音設定ができる点が、ボリュームの特徴といえます。そして、微調整するなら、ボリュームの方がしやすくなります。

一方、プログラムは、音そのものをまるっと全部変えられる事が特徴です。それにより、騒がしい用のプログラムを作れたり、磁気ループ用のプログラムを作れたりします。金額が良い補聴器ですとプログラムごとに抑制機能の強さを変更できたり、機能そのもののオンオフもできたりします。このようにがらっと変えられるのが、プログラムの特徴です。基本的にボリュームよりもずっと自由度が高いのが、プログラムです。設定した音は、プログラムスイッチにて変更できます。

私自身説明が下手で申し訳ないのですが、もう少し広い家に住みたいと考えた場合、今ある家を増築するのがボリューム、別に広い家を作ってしまうのが、プログラムです。増築する方は、今までの状態にプラスαをしていますが、別に広い家を作ってしまうのは、全く別のものができます。どちらの方が家の自由度が高いかといえば、別に広い家を作るほうですね。このように考えるとイメージしやすくなるかもしれません。

使い分けをしよう

ボリュームとプログラムは、役割が異なります。ボリュームは、根本的な音量が物足りない時に使用し、プログラムは、ある特定の条件下で聞こえにくい場合に使用します。

例えば、静かな中で、相手の方が離れている事により、聞きにくい場合はボリュームを操作して、聞こえる音を大きくします。ボリュームで改善できるケースは、周囲が静かであり、かつ聞きたい対象が一人の時のみになります。聞きたい音声が複数であったり、周囲が騒がしい場合は、ボリュームを大きくしても効果を得る事は少なくなります。

聞きたい音声が複数である場合は、少しはわかりやすくなるかもしれませんが、基本的に少々難しい状況です。一方、騒がしい中では、プログラムスイッチを使用し、周囲の音を下げる施策を行う事で、少し聞きやすくなる可能性があります。

このようにボリュームとプログラムは、使い分けをするとより現状を改善しやすくなります。

あとがき

補聴器のプログラムの基礎を理解して、効果的に使おうという事で、良くあるプログラムとボリュームの違いについて載せてみました。この二つは、している事も役割も異なります。ですので、それぞれにあった活用方法を行うのが、最もベストです。騒がしい中で少しでも聞きやすくするために、ボリュームを使用されるケースはあるのですが、残念ながら、それでは改善させる事ができません。少しでも改善させられる方法があるとすれば、周囲の音を下げる機能をつけたプログラムで聞く事となります。

今現在、各メーカーともいかに騒がしい中で聞こえを良くさせようかを必死に考えています。しかし、騒がしい中での会話は、思ったより改善が難しく、目覚ましい効果をあげているところはありません。日々、聞きにくさと格闘されている難聴の方には、本当に申し訳なく思っています。

少しでも改善させる方法があるとすれば、騒音抑制が働く機能を使用する事ですが、それを使用したからといって全てが良くなるわけではありません。また、聞きにくさも少しはマシ程度にしか感じないかもしれません。しかし、その少しでも改善できる事ができれば、この記事を書いたかいがあります。

ボリュームとプログラムは、正しく使用する事をお勧めします。そして、騒がし中で、ボリュームを使用する事だけは、やめましょう。今ある機能を活用し、少しでも聞こえが良くなれば、幸いです。

 

こちらをご覧になった方は、これらの内容もお勧めです。

リンク:意外と知られていない補聴器メンテナンスのメリット

リンク:補聴器を長持ちさせるケア方法、紛失防止と水没時の対応

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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