補聴器を片耳に装用する例とは?


補聴器を耳に装用する場合、両耳に装用するか、片耳に装用するか、このどちらかに分かれます。では、片耳に装用する場合とは、どのような事が考えられるのでしょうか。両耳に装用するケース、片耳に装用するケースがわかれば、よりよい補聴器選択ができるようになりますね。

今回は、補聴器を片耳に装用する例を上げていきます。なお、補聴器は、片耳に装用する、両耳に装用する、という事ではなく、その人の耳の状態を見て、最も補える選択をするのが、補聴器装用に関する考え方になります。この点についても触れていきますので、これを機に補聴器に関する理解も深めていきましょう。

片耳に装用する例

補聴器を片耳に装用する例には

  • 片耳のみ聞こえにくい場合
  • 両耳の聞こえが大きく離れている場合

の二点が当てはまります。では、早速見ていきましょう。

片耳のみ聞こえにくい場合

片耳のみ聞こえにくい場合は、以下のような聴力図の方が対応します。

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こちらは、オージオグラムと呼ばれる聴力の状態を示す図になります。耳鼻咽喉科で聴力検査をすると貰える図ですね。この図の見方に関しては、こちらをご覧下さい。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

こちらの聴力図でわかるのは、何らかの原因により、片耳のみ低下してしまっている状態です。右側を表す赤い○の方が低下しており、左側を表す青い×は、難聴の範囲ではありません。このようなケースは、聞こえにくい耳に装用して、聞こえを補っていきます。

これには、そもそも聞こえる耳に補聴器を装用しても仕方がないという事、そして、聞こえにくい側に装用するしか改善方法がない事も関係しています。このようなケースには、片耳のみ補聴器を装用します。

両耳の聞こえが大きく離れている場合

両耳の聞こえが大きく離れているケースは、以下のような聞こえの方が対象となります。

o-zio-1

右側の聞こえも低下していますが、左側の聞こえは更に低下しています。このようなケースの場合、両耳に装用するのではないかと考えがちですが、片耳の聞こえが重い場合、補聴器を装用してもうまく効果が見込めない場合があります。さらに、その聞き取りにくさで、聞こえやすい方の聞こえを遮ってしまう事もあります。

このような聴力の場合、考えられる補い方は、片耳に補聴器を装用する、もしくは、バイクロスと呼ばれる特殊な補聴器を装用する、この二点になります。この二つのうち、どちらか聞こえの良い方、聞こえを改善しやすい方を選択します。その選択肢の中に片耳のみ補聴器を装用する場合があります。

バイクロス?という方は、こちらをご覧下さい。少し特殊な補聴器になりますので、別枠で記載します。

リンク:片耳がより聞こえにくい方にお勧めなバイクロス補聴器

片耳に補聴器を装用する事のまとめ

いかがでしょうか。意外に補聴器を片耳に装用する事は、あまりない事に驚かれたと思います。基本的に補聴器を片耳に装用するケースは、意外にありません。ある程度特殊な難聴の方が対象となります。聞こえが低下する原因は様々ですが、多いのは、両耳とも聞こえが低下したケースになります。

片耳に補聴器を装用するケースは、何らかの原因により、片耳のみ低下してしまった、あるいは、両耳とも聞こえにくいが、もう片耳がより聞こえにくい方が装用します。 このようなケースは、両耳が聞こえにくくなる症例より、少なくなります。

補聴器はどのように装用耳を決めるのか

さて、片耳のみ補聴器を装用する場合を見ていただきましたが、ここで疑問に思うのは「補聴器はどのようにして装用耳を決めるのか」という事ではないでしょうか。補聴器は、両耳が良い、片耳が良いという事ではなく、耳の状態を確認した後、その方に最も合った補い方を提供します。

その際、重要となるのは、その方の聞こえ(聴力)と言葉を理解する力というものです。この二つは、その方に合った補聴器選択をするうえで、非常に重要な要素を持ちます。こちらでは

  • 聴力
  • 言葉を理解する力

この二つがどのように選択に影響するのかを載せていきます。

聴力

補聴器を装用する際、耳の聴力は、重要な要素です。補聴器は、聴力ごとに改善できるキャパシティがあります。例えばですが、中等度の難聴であった場合と、重度の難聴であった場合は、補聴器を装用しても、同じくらい改善する事はありません。中等度の方が装用して聞こえるようになる範囲と、重度の方が装用して聞こえるようになる範囲は、異なります。

これが何を意味するかと言いますと、聞こえに左右差がある場合、バランスを取る事が難しくなったり、いまいち聞こえが改善しているのかがわからない場合があります。例えば、片耳のみ聞こえにくい場合、仮に重い難聴だとしますと、一定のラインしか聞こえが改善しません。するとその聞こえと健聴の聞こえを比較してしまいますので、どうしても聞きにくい、そして、聞こえが改善している感覚が得られにくくなります。それ以外にも起こりえる事はあるのですが、この部分が大きい要素です。

左右とも同じくらいの聴力であれば、両耳に補聴器を装用した方が最も聞こえが良くなりやすくなります。この方が、最もバランス良く補える方法であり、自然になります。ただし、厳密には、言葉を理解する力によって両耳に補聴器を装用するより、バイクロスと呼ばれる補聴器を装用する方が、聞こえを改善できる場合もあります。

聞こえに左右差があるケースは、上記の通りになります。片耳に装用するケースもあれば、バイクロスを装用するケースもあります。

このように聴力によっても聞こえを補う方法は、異なります。

言葉を理解する力

こちらは、音が聞こえるレベルではなく、音を聞いて何といっているかを理解する力となります。耳が聞こえにくくなると音が聞こえにくい事により、お話しを理解しにくいと感じている方は多いのですが、それ以外にも影響する要素があります。それが、言葉を理解する力です。音は脳が理解しているため、音が聞こえる事と音を理解できる事は、異なります。

この力は、補聴器の効果を左右するほど、重要なものです。この力がない場合、残念ながら補聴器を装用してもただ音が聞こえるだけになり、望んだ効果を得られる事は、少なくなります。そうなりますと、状況によっては、聞こえにくい耳に補聴器を装用するのではなく(装用しても効果が得られないため)、聞こえやすい方に音を転送し、聞こえを補助したり、あえて聞こえにくい方には、補聴器を装用しないという事もあります。上記に記載した通りですが、聞こえにくい方に補聴器を装用する事で、反って聞こえやすい耳の聞こえを邪魔してしまう事もあるからです。

このように言葉を理解する力によっても補聴器を装用する耳、あるいは、装用する補聴器そのものが変化します。

聞こえ改善の思考として

これらの事から、耳の状況によって聞こえを改善させる方法は、異なります。聴力によっても補聴器が異なりますし、言葉を理解する力が左右で異なれば、それでも補聴器は異なります。

補聴器を装用する場合は、これらの事を頭に入れつつ、どのようにしたら、聞こえが最も改善できるかを考えていきます。そして、その状況を最も改善できるものを提供します。

両耳とも聞こえにくく、聴力、言葉を聞く力も同様であれば、両耳に装用する事が最も聞こえを改善できます。しかし、どちらか片方がより聞こえにくい、あるいは、聞き取る力が低い場合は、片耳に補聴器を装用したり、バイクロスを装用したりします。

なお、両耳とも聞き取る力が低い場合は、両耳に補聴器を装用し、少しでも聞こえを改善させます。

このように聞こえを改善させる方法は、耳の状況により、異なります。

あとがき

補聴器を片耳に装用する例とは?という事で、片耳に装用する例を出してみました。実際に片耳装用が適合する例は、あまりありません。両耳とも同じくらいの聞こえであり、かつ言葉の聞き取る力が同様くらいであれば、両耳が最も聞こえを改善しやすくなりますし、片耳が健聴で、もう片耳がすごく重い聞こえであれば、他の特殊な補聴器を装用します。さらに、両耳難聴であり、かつ片耳がさらに重い難聴であっても、バイクロスとよばれる特殊な補聴器を装用するケースもあります。

各々の状況を最も改善できる方法を提供するのが補聴器の基本思考ですので、それを考えると片耳のみ提供するのは、あまりありません。意外に理解されていないのですが、補聴器は、片耳が良い、両耳が良いという補聴器が主体なのではなく、その耳の状況により適合する補聴器が異なります。補聴器に拘るのではなく、どのように今の現状を変えるかという風に思考を変えていきましょう。そうする事が、より良い聞こえを得る事に繋がります。

 

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