2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

プレゼントで補聴器を送るのはやめよう


たまに「補聴器をプレゼントしたい」「補聴器を送りたい、送るとしたらどれが良いか」というご相談をいただきます。聞きにくさを解消させてあげたいと思い、このような事を伺っていると考えられるのですが、それは、おやめになった方が賢明です。

大変申し訳ないのですが、補聴器は、通販のようにできる機器ではありません。一部集音器と呼ばれる補聴器とは異なる機器に関しては、通販が多いのですが、補聴器は、耳に合わせる過程が必要不可欠となります。通販で行ったり、ただ物を送るという事で適切な状態にするのは大変困難です。

これは、どういう事なのでしょうか。今回は、なぜプレゼントで送るのは、避けた方が良いのかを載せていきます。補聴器は、耳に合わせる作業が必要不可欠です。この作業をどのように行っているのかがポイントです。

補聴器を耳に合わせるステップ

プレゼントで送るのは、なぜ避けた方が良いのか、それは、補聴器を耳に合わせるステップを理解するとわかりやすいと思います。補聴器を耳に合わせるステップには

  • 耳を調べる
  • 調べた耳に合わせて補聴器の音を出す
  • しっかりと効果がでているかを確認する

この三つがあります。どれも合わせる過程において、必要な内容です。

耳を調べる

初めに行うのは、耳を調べる事です。補聴器は、その人、その人の聞こえの状態に合わせる必要がありますので、どのくらいの聞こえなのか、どのような音が聞こえにくいかがわからないと補聴器の音をどれほど出したら良いか、そして、どのように補聴器から音を出したら良いかわかりません。

これは、何も耳だけではありません。目も同様です。目もどのくらいの視力なのかがわからないとどれほど矯正すればいいかわからないですね。それでは、どのようにメガネを作ったらいいかわかりませんので、作るのに困ってしまいます。このように、現状がわからないと、どのようにしたら良いのか、そしてどのようなものが合うのかもわかりません。

補聴器を合わせる過程では、まず始めに耳鼻咽喉科を受診して、耳を見ていただく事から始めます。実は、聞こえが低下した場合でも、症状によっては耳鼻咽喉科を受診する事で治療が可能なものも含まれます。その後、どうにも改善できそうにない場合にのみ、補聴器を装用して聞こえを改善させていきます。補聴器は、聞こえを改善させる道具ではあるのですが、基本的に耳が治療できない場合において使う機器であり、治療できるものは、治療して、症状を改善させます。

調べた耳に合わせて補聴器の音を出す

耳の聞こえを調べた聴力図をオージオグラムと呼びます。このような紙になります。

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耳の場合は、二つの軸があります。音の高さ(周波数)と音の強さですね。聴力レベルとかかれている縦の軸が、音の強さを表しており、横の軸が周波数を表しています。聴力レベルは、数値が大きくなると大きくなる程、聞こえにくくなり、周波数は、数値が大きくなると、大きくなる程、音が高くなります。

これらがどのように異なるかになり、補聴器の音も変わってきます。補聴器の場合は、この音の高さごとに音の強さを変えていますので、かなり複雑な事をしています。例えば、上記の図を見てみますと、125Hzのところの反応値(40dB)と2000Hzの反応値(65dB)は、異なります。この場合、125Hzの聞こえにくさを補う音の強さと2000Hzの聞こえにくさを補う音の強さは異なる事を意味します。

人により、この部分は大きく変化しますので、補聴器は、周波数ごとにどのような音を出すか、どのくらい音を出すかを調整できるようになっています。補聴器は様々な耳に合わせられる様、このようになっています。そして、調べた耳に対し、音の調節を行っていきます。

しっかりと効果が出ているかを確認する

補聴器を調整した後に大切な事といえば、効果を確認する事です。補聴器を装用する方は、聞こえにくくなった方ですので、音の判断ができません。補聴器を装用すると聞こえるようになった感覚こそ感じるのですが、自分がどのくらい聞こえているのか、本当にちゃんと聞こえているのかまではわかりません。あくまでも音が聞こえる感覚のみを感じるようになります。

これは、視力でも同様です。視力0.1の方が、0.6まで良くなった場合においても、今までより見えるようになったと思うのですが、装用した方からすれば、それで良いのか、悪いのかの判断はつきませんね。これに例えば、見えるようにさせる基準は、0.8〜1.0、という基準があれば、どうでしょうか。恐らく多くの方は「見えるようになったけど、もっと良くした方が良いのか」あるいは「もっと見えるようになるのか」と思うでしょう。

補聴器も同様です。補聴器の場合、補聴器を装用した状態で、どのくらい聞こえているのかを調べる測定があるのですが、それを使って、どのくらい聞こえているのかを調べます。それをしないと、調整している側も装用している側も良いのか、悪いのかの判断がつきません。

補聴器は調整するだけでなく、しっかりと効果があるかどうかを確認する事も大切な事です。効果が出ていればそれで良いですし、出ていないのであれば、その結果を元に、再度どのように調整していくかを考える事もできます。そして、その設備は、補聴器販売店や耳鼻咽喉科にしかありません。大学病院や大きい病院では、ほぼ必ずといっていいほど、補聴器の効果確認は、行われています。

※補聴器の効果の確認に関して興味がある方は、こちらをご覧下さい。

リンク:音場閾値測定で目指す補聴器を装用した聞こえの目安

プレゼントの仕方を変えよう

いかがでしょうか。補聴器を耳に合わせる過程をご理解いただければ、物を送るだけでは、耳に合わせられない事をご理解いただけたと思います。耳を調べる事、耳に合わせて音を調節する事、効果の確認、いずれも大切な要素であり、補聴器を装用する場合は、これらの事が必要不可欠となります。

もし、プレゼントをしたいとお考えでしたら、耳鼻咽喉科、あるいは、補聴器販売店に付き添ってあげてください。そして、一緒に相談を受け、どのような補聴器が良いのか、どのようにしたら、プレゼントしたい方の聞こえを良くできるのかを一緒に考えてあげてください。そのように悩んでいる方をサポートし、聞こえが改善できれば、それが本当のプレゼントとなります。

プレゼントをするのでしたら、このようにされる事をお勧めします。

あとがき

たまに、このようなご相談をいただく事がありましたので、載せてみました。プレゼントしたいというお気持ちはわかるのですが、残念ながら通販で、耳に合わせるのは、かなり困難なため、そのようなものを購入するのではなく、一緒に補聴器の相談を受けてみたり、一緒に考える事が大切だと、私は、思っています。

集音器も増えてきており、意外に購入する方も多いのですが、それだけでは、残念ながら耳に合わせる事ができません。どんな場合においても改善する手法は「現状はどうなのか」そして「それをどのようにしたら改善できるか」で決まります。ですので、耳の状態を把握する事は、非常に大切ですし、その耳の聞こえを補うには、どのようにしたら良いかを知るのも大切な事です。

簡単に改善できない点は大変申し訳ないのですが、上記の手順をふめば少なくとも通販でものを購入するよりは、改善できます。物をプレゼントするのではなく、聞こえの効果をプレゼントしましょう。残念ながら適当に合わせたものとしっかり合わせたものでは、例え同じ金額を支払ったとしても受け取る対価は異なります。

大切なのは、聞こえの効果をプレゼントする事です。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を初めて装用する方に伝えたい装用後の世界

リンク:補聴器の装用タイミングは、困ったことがあった時

リンク:耳あな形補聴器の特徴とこの補聴器が合う人

リンク:知っておきたい病院で行っている補聴器相談の流れ


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
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