2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

感音性難聴の耳を補聴器でできる限り改善させる三つのポイント


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感音性難聴になり、耳を治療をしたけれども治らなかった。もしくは、耳鼻科に行った際、治療ができない耳だった場合は、補聴器でなるべく聞きにくさを減らしていくようにすると、状況に関しては、よりよくなります。

よく「感音性難聴に補聴器は、効果がない」とお考えの方もいるのですが、そのようなことはありません。補聴器の場合、耳の状況により、聞きやすさは変化するのですが、耳の方の機能さえ良ければ、補聴器を装用することにより、それなりに効果を感じるようになります。

では、感音性難聴になり、補聴器で耳を改善させていくとしたら、どこが重要になるのでしょうか。その点に関してまとめていきます。

どの形状がいいのか、どの性能のものがいいのかと目に見える部分を聞かれることが多いのですが、そこが一番重要な要素かと言われれば、そうではありません。聞こえの改善を本当にしたいのなら、それ以外の基本の部分がとても重要になります。

どれを買うかではなく、どう改善させるか。その点が改善させるにあたって一番重要な考えになります。

なお、以下のものは、基本的に両方とも聴力が低下したケースを想定して記載していきます。

では、早速、改善させていきましょう。

改善にフォーカスするための3つのポイント

感音性難聴を改善するにあたり、重要になるのは、

  • 補い方を理解する
  • 自分の耳を補えるのものを使う
  • 補聴器の改善値を理解する

の三つです。

よくどのような形状がいいですか?どれがオススメですか?などと質問される方がいますが、それよりも上記の三つを理解することの方が、聞こえを改善できます。

と言いますのも、選ぶ要素である形状や性能は、基本機能をアシストするものであり、基本機能をおろそかにすると、そもそも改善ができません。逆に言えば、基本機能をしっかり理解て改善できれば、価格を抑えたものでもよくできますし、性能が良いものを使えば、もっとより良くできます。

こちらは、聞こえを改善させるための根本的な部分であり、形状、性能、どちらにも影響を及ぼします。逆に言えば、この三つがズレると、最大限、聞こえを改善させるということは、できなくなってしまいます。

補聴器で耳を治すということは、残念ながらできません。しかし、補聴器のできる範囲内で聞きにくさを改善させるというのは、できます。

そして、補聴器は、耳を治すことができないからこそ、よりよくする方法、より聞きにくさを改善させる方法を理解することが、もっとも重要になります。

補う方針を理解する

さて、改善させるための基本的な考えですが、

  • なぜ補い方なのか?
  • 耳の可視化方法を理解する
  • 状況別ベストな補い方

の三つの段落に分けて記載していきます。

なぜ補い方なのか?

いきなり「補い方?」とびっくりされた方も多いかと思います。なぜ補い方が重要かと言いますと、補聴器で補える耳と補えない耳があるからです。

耳の状況を調べる測定には

  • 音の聞こえを調べる聴力検査
  • 音声の理解度を調べる語音明瞭度測定(語音弁別能検査)

の二つがあります。聴力測定は、音がどれだけ聞こえるかを調べられるもので、語音明瞭度測定は、音声の理解度がどれだけあるかを調べられるものです。

聴力測定も重要ですが、特に重要になるのは、語音明瞭度測定です。この測定の数値で一定以下になると補聴器を装用したとしても聞こえにくさを感じやすく、補聴器の効果は、残念ながら感じにくくなります。

そして、この数値が下がってしまった場合、今現在の技術では、どうやってもよくすることはできません。治療もできないですし、補聴器を装用してもよくすることはできません。

聞こえの改善の第一歩は、補聴器はどのような耳も補えるということではないということを理解することから始まります。そこが理解できれば、なぜ補い方が重要になるのか。その点も理解できるでしょう。

耳の可視化方法を理解する

では、早速見ていきましょう。まずは、耳の状態を可視化する測定類をまとめていきます。

基本的な改善の流れは、耳の状態を可視化し、その状態に適した補い方を理解する。ということが必要になってきます。

  • 聴力測定
  • 語音明瞭度測定(語音弁別能検査)

の二つで可視化していきます。

聴力測定

聴力測定の概要は、

こちらになります。

このような部屋で、

ヘッドホンをつけ

聞こえたら、このボタンを押してください。という測定です。よく病院さんで行われるものですね。

それぞれの音の高さ別にどのくらい聞こえているのか。それを調べることができるものです。右、左でそれぞれ別に行うことで、左右の聴力がどのくらいなのかを理解することができます。

補聴器の場合は、

  • どのくらい補えば良いのか
  • 聴力の左右差はあるか、ある場合は、どのくらいか
  • 補聴器で聞こえを補える範囲内か

を数値から見ていきます。

補い方で関係があるのは、補聴器で聞こえを補える範囲内か。のみになります。基本的には、100dBを超える聴力の場合、補聴器の効果は、薄くなってきます。

語音明瞭度測定

こちらは、あ、き、し、などの一つの言葉を聞かせ、どのくらい理解できるのか。を調べる測定です。左右別に調べることができ、それぞれの音声の理解レベルを調べることができます。

聴力測定と同じような部屋で行われ、

ヘッドフォンをつけて調べます。

聞こえた通りに紙に書き、

どのくらい理解できているのか。を見ます。

この測定の優秀なところは、補聴器をつけた時の疑似体験、疑似効果を算出することができる点です。

補聴器は、音を大きくして聞こえさせる道具ですので、この数値が低いと補聴器の効果は、残念ながら低くなります。逆に高ければ、補聴器を装用した時の効果も高くなります。

数値の見方は、この通りです。基本的に

このようにいくつか測定するのですが、一番数値が良いところのパーセンテージを上記の表と比べます。そして、基本的に50%以上の場合は、補聴器が適合し、残念ながら50%以下の場合は、補聴器の効果は、薄くなります。

実際には、50%以下の方でも使用するケースはありますが、効果が薄いことを理解したのちに使うことになります。

なお、私の場合は、50%ではなく60%で考えています。人によっては、若干この判断数値が変化します。

状況別、ベストな補い方

さて、耳の状況の理解の仕方がわかれば、次は、その結果を見て、どのように判断するか。となります。

基本的にあり得るパターンは

  1. 両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えて、明瞭度がいいパターン
  2. 両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えるが、片耳の明瞭度が低いパターン
  3. 両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えるが、両耳とも明瞭度が低いパターン
  4. 聴力に左右差があるけれども両耳とも補えるパターン
  5. 聴力に左右差があり、片耳が全く聞こえないパターン
  6. 聴力に左右差があり、片耳は補える聴力だけど明瞭度が低いパターン
  7. 両耳とも非常に重い聴力のパターン

の計7パターンです。明瞭度が良いというのは、先ほどの言葉の測定にて、50%以上の場合を意味します。逆に低い場合というのは、50%以下を意味します。

耳の状態は、人により、様々ですので、耳の状態を上記の測定で確認し、どのように補ったら良いかをみていきます。

①両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えて、明瞭度がいいパターン

こちらは、聴力測定をすると、両耳とも同じような聴力で、明瞭度を測って見ると、両耳とも50%以上だった場合に当てはまります。

このような場合は、両耳に補聴器を装用し、できる限り、聞きにくさを改善させた方がより良くなります。

例としては

このような聴力で

このような明瞭度の結果の方です。

聴力に関しては、~70dBくらいまでで、明瞭度が80%以上の場合は、両耳装用するとそれなりに補聴器で聞こえの改善ができるようになります。

②両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えるが、片耳の明瞭度が低いパターン

こちらは、バイクロスという特殊な補聴器の方が改善できることの方が多いです。実際には、明瞭度測定の結果により、少々変化します。

バイクロス補聴器とは、まだ聞こえる耳側は、補聴器で聞こえを改善させ、補聴器で補えない、補聴器の効果を見込めない耳側は、その耳で聞くのではなく、まだ聞きやすい耳側へ音を転送して聞く機器です。

補聴器としては、基本的に一般の補聴器と同じような形をしています。両耳につけ、片方は補聴器、片方は、音の転送機器になります。

上記で、聞こえを補聴器で補えるのか、補えないのかを理解するのが重要というのは、聞こえが補えないがためにこのような機器を使用する事もあるためです。

もっとも聞こえを補えない耳に補聴器をつけても、効果は得られないのですが、今現在は、このような機器も出てきましたので、それを活用しながら、なるべく聞きにくくならないようにできるようになってきました。

例としては、

このように同じような聴力でも

このように両耳で明瞭度が異なり、かつ、片耳が補聴器の効果が見込める50%以下であった場合に当てはまります。

このような場合は、残念ながら明瞭度が低い耳に補聴器を装用しても効果は得られないことが多いため、バイクロス補聴器で改善していきます。

なお、実際には、バイクロスの方がいいのか、それとも片耳だけの方がいいのか。それらも考えて選定できると、より良い状態にしやすくなります。

こちらのケースで留意しておきたいのは、片側だけで、両耳分の聞こえを補うことはできないという事です。片耳だけ装用の場合は、聞こえない側の聞こえに関しては、捨てる必要があります。それを少しでもよりよくさせる場合は、バイクロス仕様で補った方が、良くなります。

③両耳とも同じ聴力、かつ聞こえを補えるが、両耳とも明瞭度が低いパターン

この場合は、両方とも補聴器を装用し、なるべく聞きにくくならないようにしていきます。

聴力のパターンとしましては

このような聴力でも

このような明瞭度の場合です。

  • 病気になり、急に聴力低下したケース
  • 年配者で補聴器をつけるのが遅すぎたケース

に見られます。特に明瞭度に関しては、低下すると今現在、より良くする方法がありません。残念ながら、このような場合は、改善度が低い状態にはなりますが、それでも補聴器を装用して得られるものがあれば、装用し、なるべく聞こえを改善させていきます。

④聴力に左右差があるけれども両耳とも補えるパターン

こちらは、両耳とも補聴器で補った方が聞こえは最大限改善できます。

主に

このような聴力で

同時に明瞭度も同じく高い場合が該当します。

聴力の左右差は、10~15dBくらいなら確定で、それ以上離れると、どれくらい離れるかにより変化します。あまりにも離れすぎた場合は、バイクロスの方が良かったりします。

ただ、離れすぎるとすぎるほど、聞こえない耳側は、聴力低下が大きくなりますので、明瞭度が低いケースが増えてきます。

この点は、聴力低下が大きい側の明瞭度がどのくらいかで、判断することも多いです。

⑤聴力に左右差があり、片耳が全く聞こえないパターン

こちらは、バイクロスで補った方が聞こえにくさは改善できます。

聴力としては、このようになり

明瞭度に関しては、このようになります。

補聴器は、基本的に100dB以下になると補った時の聞こえの効果は薄くなります。そのため、片耳が良いのであれば、そちら側で、聞こえない耳側の音も聞いた方が、聞こえについては、よくなります。

⑥聴力に左右差があり、片耳は補える聴力だけど明瞭度が低いパターン

こちらもバイクロス補聴器が有効です。

このような聴力で

このような明瞭度の場合は、聞こえない側に補聴器をつけても、残念ながら補聴器の効果は感じにくい状態です。

その場合は、まだ聞きやすい側へ音を転送してくれるバイクロス補聴器の方が聞きにくさは改善しやすくなります。

⑦両耳とも非常に重い聴力のパターン

こちらは、補聴器ではなく、人工内耳がオススメです。人工内耳とは、耳の中(頭の中)にインプラントを埋め込み、直接、耳の中に音を送ることで、聞こえを改善させる機器です。

手術をする必要があること、最初は、保険でいくらか安くなりますが、その後は、結構な金額がかかることで、色々と制限はありますが、補聴器以上に聞こえを改善できます。

詳しくは、人工内耳と補聴器の比較から見る人工内耳の凄まじい効果をどうぞ。

聴力低下が大きすぎると補聴器では、うまく効果が出ません。両耳とも重度難聴の方は、補聴器ではなく、人工内耳になります。

まとめ

補うパターンに関しては、上記の7パターンになります。おそらくお気付きの方もいるかと思いますが、補聴器には、補聴器で補えない耳があるからこそ、様々な機器、補い方があります。

耳を補う場合、形状、性能といったところよりも、まずは、もっとその前、基本的にどのように補ったら、より良くなるのか。を理解していくことの方が重要です。

なぜなら、その耳に補聴器をつけても改善できない耳があるからです。

補えるものを使う

次は、補えるものを使う。これは、何かと言いますと、自分の聴力を補えるものを使う。という意味です。この部分は、選択を間違えると、以下に紹介する【改善できるところまで改善させる】ということができなくなりますので、重要な要素の一つです。

補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

補聴器には、このようにいくつか形状があります。そして、その形状ごとにおおよその補える範囲があります。

聴力別の程度に関しては、このようになります。基本的には、自分自身の平均聴力を出し、それぞれ合うものを考えていきます。

補聴器メーカーリオネットより引用

補聴器のカタログを見てみますと、このように○○難聴用というように記載があります。上記の平均聴力を出すことにより、この○○難聴用という部分がわかるようになりますので、どれが自分に使えるものなのか。それがわかるようになります。

補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

なお、メーカーによっては、このように表記されているものがあります。こちらの場合は、自分の聴力図を見ながら、補える範囲か、補える範囲外かをみていきます。

この時のコツは、ぴったり当てはまるものではなく、10~15dBくらい自分の聴力にプラスし、余裕があるようにすることです。そうすると、購入後、仮に聴力低下した場合でも補える範囲内なため、音を調整し直すだけで、改善できたりします。

例えば、このくらいの聴力。これは、書いている人の聴力だったりしますが(書いている人は、生まれつき難聴の人で、補聴器を使っており、かつ補聴器を実際に販売している人です(私の詳細は、こちら))、その場合の調べ方は、

  • 左:(55+65+65+65)÷4=62.5
  • 右:(55+60+60+65)÷4=60

となり、両方とも中等度難聴となります。

補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

すると、こちらの中の中と書かれたものは、全部当てはまることがわかります。

補聴器メーカーリオネットより引用

補聴器単体では、中等度と書かれたものであれば、ほぼ対象になります。

補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

このような表記の場合は、聴力がそのまますっぽり入るものが望ましいですね。そして、どの補聴器にする場合でも同じですが、少し余裕があるものにすると購入後も安心ですね。

基本的に補聴器は、自分の耳を補えるものを選択します。そして、それを見つける方法は、上記に紹介した通りです。

補聴器の改善値を理解する

三つ目は、この補聴器の改善値を理解する。となります。

  • 補聴器で改善できる値
  • 改善の基本は、目標値と現状の可視化
  • 耳鼻科の目標値、私がしている目標値
  • 注意:両耳装用の場合
  • まとめ

の5つにまとめていきます。

補聴器で改善できる値

さて、このページを見ている方は、補聴器でどれほど改善できるとお考えでしょうか。実際に聴力ベースにして、表現しますと、

このようになります。

数値に関して説明しますと、一般の方が聞こえている数値は、0~10dBです。これは、だいたい20~30代くらいの方は、これくらい聞こえていたりします。

では、0~10dB以内で聞こえていないと難聴になるかと言いますとそんなことはありません。正常の範囲は、0~24dBまでで、それよりも聴力が低下すると難聴の分類になります。そこから、いくつか聞きにくさのレベルにより、難聴の程度が決まります。

補聴器を装用して目指せるのは、今現在、30~40dBくらいになります。中には、25dBくらいまで補っている方もいたりするのですが、音を大きくしすぎると、周囲の音がうるさすぎたり、逆に周りの音が大きすぎて、かえって音声が聞きにくくなってしまうことがあります。

  • 日常生活で使える音量であること
  • 音声を聞きやすくできること

この二つの基準を満たすのは、今現在、30~40dBの範囲内になることが多いです。多いのは、35dBくらいを目標にして、聞こえを改善させることとなります。

改善の基本は、目標値と現状の可視化

さて、本格的に見ていきましょう。基本的に補聴器で聞こえを改善させて行く場合、

  1. 聴力から目標値を設定する
  2. 現状を可視化する
  3. 目標値と現状を比較する
  4. より改善させるか、そのままにするか

ということをしていきます。1~2は、初めに行い、それ以降は、3~4を繰り返し、改善できるところまで改善させていくのが、耳に補聴器を合わせていく作業です。

ここで重要になってくるのが、

  • 現状の可視化の方法
  • 聴力別、改善目標の設定

になります。聴力別、改善目標の設定は、別の段で説明しますので、まずは、現状を可視化する音場閾値測定を理解していきましょう。

音場閾値測定というのは、このような測定です。

聴力検査を行うような部屋で行われ、

今度は、スピーカーから音を出します。

そして、聞こえたらボタンを押す。これだけになります。

簡単に言いますと、聴力検査の補聴器版で、どの音がどれくらい聞こえているのか。を調べられます。

音には、低い音、高い音など様々な音があり、それらの部分がどのように聞こえているのか。補聴器あり、無しではどのように変化しているのか。それをみれる測定です。

そして、こちらの測定の値と聴力から出した目標改善値を比較することにより、今、どれだけ改善できているのか。どこまで改善できると良いのか。それらを理解することができます。

現状を理解する方法がわからないと、そもそもどのように改善されているのかがわからず、かつ、改善に向かっているのかすら理解できないため、自分の状況を客観的に理解できる手法を知るのは、とても重要です。

耳鼻科の目標値、私がしている目標値

改善目標に関しては、少し人によって異なります(調整する人、医師により、改善目標値は、少々異なる)。ここでは、ほとんどの人が改善のベースにしている聴覚医学会補聴器適合検査の指針2010の内容を記載し、私自身がしている目標値も記載していきます。

聴覚医学会補聴器適合検査の指針2010の改善目標値

聴力によって異なるのですが、基本的な内容は

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(3)評価方法

ファンクショナルゲインが聴力の半分(ハーフゲイン)であるか、装用域値が1000Hzで35dB以内であればよい。ファンクショナルゲインは、低音域ではハーフゲインより少なくてもよく、高音域の利得は補聴器の性能上ハーフゲインが得られない場合がある。

評価例(図11)

補聴器適合例と適合不十分例を示した。▲印は低音及び高音部をのぞき非装用時の域値のほぼ半分のファンクショナルゲインを得ており適合例と言える。■印の場合は、ゲインが不足しており、適合不十分例といえる。

Audiology japan 53,2010 補聴器適合検査の指針(2010)聴覚医学会より引用

このようになります。

このままではわかりにくいため、少し補足しますと、1000Hzは、35dBまで聞こえを改善できているか、聴力の半分、例えば、1000Hzが70dBであれば、35dBくらいまで改善できていれば良いですよ。という意味になります。

ただし、低域(250Hz、500Hz)は、そこまで出さなくてもよく、高域(2000Hz、4000Hz)は、そこまで出そうとしても出せないことがありますよ。という意味です。

簡単に言えば、1000Hzで半分くらい改善でき、それ以外は、できる限り、補う。というのが、こちらの内容です。

私がしている目標値

あくまでもこちらは、私のオリジナルと言いますか、測定し続けて効果がある方の共通点を導き出し、そこから考えた改善目標値です。

自分なりに考えている理由ですが、聴覚医学会補聴器適合検査の指針2010の内容は、今から約7年前に考えられたものであり、補聴器が進歩してきたことにより、もう少し改善できることが多いな……と日々の業務で感じているためです。

こちらは、あくまでも参考程度にお考え下さい。基本的には、上記の補聴器適合指針2010をより昇華したものになります。

赤い▲が目標値。だいたい35dBを目指して改善させていく。両端だけ、40dBになる。

赤い▲が目標値。だいたい35dBを目指して改善させていく。両端だけ、40dBになる。

指針では、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの5つでしたが、さらに、750Hz、1500Hz、3000Hzも調べ、計8コ私の方では調べています。それは、これらの部分がなぜか低下していたりするケースがあったり、特に750Hz、1500Hzあたりの改善値が良いと聞こえの効果が高くなりやすいためです。それらを含めた上で、記載しますと上記の通りになります。

目標とする値は、~70dBでしたら、基本的に、250Hz、4000Hzは、40dB。それ以外は、35dBで目標の仮決めをしていきます。

個人的に測定していて重要に感じるのは、500Hz、750Hz、1000Hz、1500Hz、2000Hz辺りです。これらの部分が満遍なく改善されていると、音声のききやすさに関する評価は、上がる傾向があります。

そのほかの3000Hz、4000Hzは、アラーム系、例えば、冷蔵庫が開けっ放しになっており、お知らせしてくれる音だったり、体温計の音(約4000Hz)などが該当します。

それぞれの周波数を満遍なく上げられると、音声も聞きやすくなりますし、アラーム系(お知らせ系の音)もわかるようになりますので、生活のしやすさが異なってきます。

私の場合は、トータル的に改善させるため、これらの部分を確認しながら、改善させています。

こちらの場合、750Hz、3000Hzがないが、750Hzは、1000Hzと同じくらいを目指し、3000Hzは、2000Hzと同じレベルを目指す。ただし、どちらも達成できる場合になる。

こちらの場合、750Hz、3000Hzがないが、750Hzは、1000Hzと同じくらいを目指し、3000Hzは、2000Hzと同じレベルを目指す。ただし、どちらも達成できる場合になる。

なお、重い方(80dB~)の場合は、基本的に適合検査の指針2010と同じです。全ての部分を聴力の半分を改善目標にし、改善しています。ただ、高い音(2000Hz、3000Hz、4000Hz)は、いれても反映されづらいため、この部分は、いれられるだけ入れる。ということが多いです。

注意:両耳装用の場合の注意点

両耳装用の場合、両耳のバランスも確認した方がより聞きにくさは改善しやすくなります。ポイントとしては、

  • つけてみて左右のバランスは取れているか
  • 片耳ずつ音場閾値測定をしてみて、大きく数値が離れていないか

の二つです。両耳とも聴力が異なる場合、あるいは、大きく離れている場合(差が20dB以上)は、難しいのですが、比較的、似たような聴力の場合は、両耳ともきこえる感覚を合わせられると、よりよくなります。

つけてみて左右のバランスは取れているか

初めにわかりやすいのは、補聴器を両方ともつけてみて、聞こえてくる音のバランスは取れているかになります。左が極端に聞きにくい、右からくる音が大きい……などですね。

それらがなければ第一段階は、OKです。

片耳ずつ音場閾値測定をしてみて、大きく数値が離れていないか

両耳の聴力の程度にもよるのですが、仮に同じ聴力、ほとんど同じような聴力の場合は、数値も隣同士にできるとより良くなります。

2マス(10dB)は離れている状態で、離れていても1マス(5dB)程度までにできるとなおよしになります。

左右の聴力によっては、難しいこともあるのですが、感覚を近づけられるとより自然に感じたり、聞きやすさの向上につながるため、是非とも両耳装用の場合は、合わせたいところです。

まとめ

以上、音の改善に関するまとめでした。補聴器で聞こえを改善できる数値、そして、目標を定め、聞こえの状態を可視化し、そして、改善を繰り返していく。これが、基本的な改善になります。

目標がなかったり、現状を理解する方法を知らないと、現状を理解できないどころか、今現在、そもそも良い状態なのか、本当にこの状態で良いのかすら判断ができなくなりますので、要注意です。

補聴器の聞こえは、この部分でほぼ決まります。上記に、「自分の耳を補える補聴器を選択する」では、自分に合うものを記載しましたが、これを外すと、そもそも改善目標となる部分まで改善させるということもできなくなります。

聞こえの効果を感じている人は、大抵、聞こえの改善目標まで改善できています。どこまで改善できれば良いのか、そして、実際にどのようになっているのかを理解するのは、とても重要です。

おまけ:補聴器の形状と性能

基本的な要素は、上記に挙げた三つの部分になります。しかし、中には、補聴器の形状による違い、性能による違いというのにも興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方には、

リンク:補聴器の形状による特徴と選定時に知りたい3つのポイント

リンク:補聴器の聞こえの効果と性能の関係、性能を理解する3つのポイント

をご覧ください。

実際の改善例

感音性難聴の方で、実際の改善例に関しても載せていきます。どのように改善したのかの実例に関してもリンク先を用意しましたので、より内容を理解したい方は、お役立てください。

両耳とも軽・中等度難聴の方の症例

どのようなことでお悩みでしたか?

補聴器をご使用になっていかがでしょうか

このお店で購入しようと思ったのはなぜですか?

実際にご記入いただいたもの

リンク:両耳とも軽・中等度難聴の方を補聴器で改善した事例

両耳とも軽・中等度難聴の方の症例(老人性難聴)

どのようなことでお悩みでしたか?

補聴器をご使用になっていかがでしょうか

このお店で購入しようと思ったのはなぜですか?

実際にご記入いただいたもの

リンク:【職場で聞きやすく】老人性難聴で聞きにくくなった方を補聴器で改善

両耳とも軽・中等度難聴の方の症例(老人性難聴)

どのようなことでお悩みでしたか?

補聴器をご使用になっていかがでしょうか

このお店で購入しようと思ったのはなぜですか?

実際にご記入いただいたもの

リンク:突発性難聴により聞きにくくなった方、バイクロス補聴器にて改善しました

Q&A

こちらではよく聞かれる内容に関して、まとめていきます。

Q、感音性難聴は、補聴器の効果はないと聞きましたが……

この点に関しては、Yesでもあり、Noでもあります。上記に記載した通り、語音明瞭度が低い場合は、残念ながら効果が出にくい傾向があります。しかし、この点がよければ、補聴器での改善も望めます。

効果というのがどこまでをいうのかにより変化するのですが、改善できるのは確かですね。私も生まれつきの難聴で、かつ感音性難聴です。が、補聴器を装用して自分の耳を改善させています。

Q、補聴器は、片耳にいいものをつける場合と両耳に価格を抑えたものをつける場合で、どちらが改善できるのでしょうか?

これは、仮に両耳に装用した方が良いと判断できるケースのみに該当しますが、その場合は、両耳に価格を抑えたものとなります。

両耳と片耳の違いは、上記のようになります。私も両耳に使っていますが、片耳より全然聞きやすいと感じています。ただし、私の場合は、両耳に補聴器をつけた方が良いケースに該当しますので、その点をご承知いただければと思います。

Q、補聴器はどのくらい使えるのでしょうか(寿命的な意味で)

基本的に補聴器の平均使用期間は、5~6年くらいです。

しかし、補聴器の場合、修理して使い続けられる製品ですので、寿命的な意味で言いますと、使っている補聴器が製造中止した期間+5年になります。

例えば、購入後、2年くらいで販売中止になったら、2年+5年で、7年使えるということになります。その間は、壊れても修理して使い続けられるためですね。

Q、補聴器には、保証期間はありますか?

はい、あります。基本的には、2年間の保証期間があるケースが多いです。その間の故障は、無償で修理できます。

ただし、ご自身による故障、過失による故障の場合は、有償になりますので、その点だけお気をつけください。

Q、補聴器のランニングコストは、どんなものがあるのでしょうか?

基本的に電池は必須です。どの機器、かつ、どのくらい使うかにより変化しますが、年間@4000円くらい(一個あたり、2週間保つと仮定し、1パック864円だと、3,456円)になります。

それ以外には、故障を防ぐため、乾燥ケースというものもあります。こちらを利用するともう少しお金はかかります。

Q、補聴器はどこに行けば相談できますか?

基本的には、補聴器相談ができる耳鼻科さんや補聴器販売店でできます。試聴ができるところもありますので、そのような点も確認してみると良いですね。

感音性難聴の改善に関するまとめ

以上、感音性難聴の改善に関して、記載してみました。おそらく上記の三つの部分は、初めて知った方も多いのではないでしょうか。

どうしても目に見える部分(形状や性能ですね)にしか注目しない方が多いのですが、本当に改善させたいのであれば上記の三つの部分がより重要になります。補聴器は、残念ながら何も考えずに購入して改善できるほど、甘いものではありません。それは、上記に記載した通り、耳の状況には、様々なケースがあるからです。

そして、聞こえを補える範囲外のものを購入すればそもそも補えませんし、補える補聴器を購入したとしても、補える部分まで改善させないと効果は出にくくなります。

補聴器は確かに聞こえを治せる道具ではありません。しかし、上記のことをすることで、できる限り、聞きにくさというのは、減らすことができます。

なお、これはあくまでも私の考えではありますが、補聴器で耳は治せないからこそ、どのように改善したら出来る限り、不自由な部分を減らせるのか。という視点で補聴器を考えていくのは非常に重要だと、思っています。なぜなら、耳が治らないのであれば、補聴器の改善度で、生活のしやすさが大きく変化してしまうためです。

聞きにくさがより改善できれば、それだけ、悩みも浅くなりますし、心にかかる負担だって楽になります。聞こえにくさが改善できないより、改善できた方が良いに越したことはありません。

そして、私自身も補聴器でできる限りの改善をさせています。それは、そのようにしないと聞きにくさが勝ってしまい、聞きにくさを感じやすくなるからです。

そのおかげで、補聴器があることにより、このように仕事ができていますし、助かっている部分は、多くあります。私の場合、補聴器がないと人と会話をすることすらできない状態ですので、そこから比べると大きな進歩です。

ということで、上記の内容をご覧になり、少しでもご自身の状況を改善させるヒントになったのであれば幸いです。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
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などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

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  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

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