2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器を装用したくないという人に足りない事


たまに「補聴器を装用したくない」「目立つ補聴器は嫌だ」「補聴器は気が進まない……」というお話しを伺う事があります。私自身は、生まれつき耳が悪いため、補聴器に関しては何も違和感を感じる事なく装用していますが、今なお、このような声を聞くことがあります。

個人的に思うのは、このような方々にはある事が足りないのではないか?という事です。少々辛口になりますが、補聴器業界の補聴器事実と思う事に関して載せていきます。

補聴器装用者は、どのくらいか

さて補聴器の装用者は、どのくらいなのでしょうか。こちらについては、難聴者の数(全体からの確率)と装用者の数、両方をについて記載していきます。日本補聴器工業会によると……

難聴である確率は、それぞれの年代で異なる

難聴である確率は、それぞれの年代で異なる

 ※日本補聴器工業会 japan trak2015より引用

こちらは、自分は難聴である、聞きにくさを自覚をしている人の割合になります。年代別になっており、どの層がどのくらいいるのかもわかりやすくなっています。難聴者の数は、計算してみると全人口の11.3%であると出ています(2015年のもの)。

では、その約11%の方の補聴器装用率はというと……

補聴器装用(所持者)は、たった13.5%という結果

補聴器装用(所持者)は、たった13.5%という結果

 ※日本補聴器工業会 japan trak2015より引用

なんと13.5%です。補聴器の使用率は、非常に低い事がわかります。これは、聞きにくさを自覚していても86.5%の方は、補聴器を装用しておらず、現状のままであるという事を表しています。

このようになっている理由は、いくつか考えられますが、本人の視点のみで考えますと

  • 聞きにくさを感じるものの装用する必要性を感じない
  • 聞きにくさを感じている、装用した方が良いとわかっているが踏み出せない

このどちらかになると考えられます。個人的には、困っていないのであれば補聴器を装用する必要はないと思っている人間ですが、もし困っているのに関わらず、装用に一歩踏み出せないのでしたら、ある視点が足りていないのではと思う事があります。

足りないのは

私自身が足りないと思うのは、

人生は有限である

こちらです。どのような方も、最後は必ず死にます。これを書いている私も最終的な末路は、死です。ただ厄介なのは、いつ死ぬかがわからない事です。

死ぬ時期がわかっていれば、その前までに復帰し、より今の人生を謳歌しても良いと思いますが、人はいつ死ぬかわかりません。交通事故でいきなり明日死ぬかもしれませんし、天変地異が起きて、とんでもな状況になり、死ぬ事も100%ないとも言い切れません。平均年齢が徐々に伸びつつある現在ですが、必ずその平均年齢まで生きれるとは、誰も保障していません。

このような状況から見ると、もし聞こえにくいけれど、何かしら装用するのに拒む理由があり、装用したくないと考えている方は、こちらを意識した方が良いのではないでしょうか。そうでもしないと悩んでいる内に人生が突然ばったり終わるという事も考えられます。

個人的に考える最も避けた末路は、自分が納得しない内に死ぬ事だと思っています。そんな末路で終わらせないようにするには、今をどのように変えていくかという視点に変え、自分自身の体を、あるいは、今の現状をどう変えていくかというマインドにシフトしていく必要があると考えています。

補聴器を装用するまでにかかる期間も同様

これは、補聴器を装用するまでにかかる時間(期間)にも同様の事を感じます。補聴器は、聞こえにくさを自覚し、補聴器を装用するまでに、約5〜7年かかると言われています。自分の状況を受容するのに非常に時間がかかり、それから、補聴器を装用し、徐々に自分の状況を改善させていく……という一連の流れに沿って、改善をしていくわけですが、この期間が約7年です。

ただ、こちらに関しても、正直な思いとして、もったいないと私は強く思います。人生が有限であれば、楽しめる時間も有限です。そして、補聴器を装用しようと決意し、実際に装用するまでにかかった時間が7年かかったケースとすぐに自分を受け入れ、どのようにしたらより良くなるかという視点で聞こえを改善させた場合は、実質7年分の差が出てしまいます。つまり、補聴器を早めに装用すると、するほど補聴器で改善できるところでの効果は感じやすく、楽しめる時間が減りにくい事を表します。

聞こえにくい状態で過ごす事は、損失を増やす行為でもある

聞こえにくい状態で過ごす事は、損失を増やす行為でもある

補聴器を装用すると聞こえやすくなる事で、お話しがしやすくなったり、少しの事でも喜べるような事も増えてきます。会話する頻度や機会も増える事で、自分の世界が広がったり、友人も増えるかもしれません。補聴器の装用が遅れるという事は、この価値の受け取りが、装用が遅れると遅れるほど、遅くなってしまう事を意味します。そして、遅れた分だけ、すぐに装用すれば本来受け取れたはずの価値が受け取れなかった事も意味します。

人生が有限なら、この価値を受け取れるのも有限です。例え聞こえにくくなったとしても、最大限楽しみたいのでしたら、補聴器を装用し、少しでも自分自身の改善をする方が、良くなる可能性が高くなります。

自分自身の体験

私自身がこのように考えるのには、自分自身の体験が元としてあります。

私は、生まれつき難聴であり、8歳の頃に補聴器を装用しました。しかし、この際、私は片耳のみしか装用していませんでした。当時、診察してくれた医師からは「両耳とも中等度程度の難聴なので、片耳だけ装用しておけば十分だよ」と言われ、その言葉を鵜呑みにし、そのまま、装用し続けました。両親も8歳の私も耳の知識などあるはずもなく、そのまま受け入れるしかなかったのですが、19歳の頃、転機が訪れます。

補聴器の調子が悪くなり、補聴器販売店で19歳の頃、補聴器を購入する事となります。両耳が聞こえにくいのに関わらず、片耳しか装用していない事に販売員の方が気付き「両耳装用にしてみませんか?」と言ってくださり、その後、両耳装用を試す事になります。

その時の聞こえに関しては、今でも覚えています。両耳から音が聞こえる状態というのは、このような状態なのか、音を感じる量が凄く増えた感覚がしました。実際には、14歳の頃に、一度補聴器の買い換えをし、両耳分を購入していたのですが、あまりにも音が異次元な感覚がしてしまい、装用に耐えなくなり、昔の補聴器を使用し続けていました。その経験も合わさってか、合ったものを両耳に装用するというのは、こんなににも凄いのかと感じたのを覚えています。

しかし、その一方、ある事を思いました。それは、初めからなぜこうしてくれなかったのか?という事です。そして、その聞こえを得られた時に感じたのは、本来感じる事ができた価値を自分は受け取っていなかったという事でした。改善できるのに改善させないのは、改善された時に受け取れる価値を捨てる事に繋がります。自分自身で捨てる選択をしたのでしたら、まだいいのですが、私の場合、そうではありませんでした。

私の失われた価値

補聴器を8歳の頃に装用し、19歳の時に正式な形で、両耳装用をする事になったわけですが、この間、片耳で過ごしてきた11年間は、8歳の頃に両耳装用していれば受け取れた価値を、片耳装用という状態を長らく続けてきたおかげで、受け取れていない事に気が付きました。両耳装用と片耳装用では、音の方向もわかりますし、何よりも音声の聞きやすさが違います。

8歳の頃から、両耳装用だったら、どのような聞こえだったのだろうか、その頃から、もっと聞こえるようになっていれば、あのような事は起こらなかったのではないか、このような事も考えた事もあります。

事実として、私自身は、本来であれば受け取れたはずの価値を受け取れなかった状態でした。それも11年間という長い年月、受け取れずにいました。このような経験をしているからこそ、価値の損失については、思う事があります。

補聴器で価値の損失を防ぐ

これらの経験から感じるのは、聞こえにくい状態でいつづける事は、本来ならお金を出す事で受け取れる価値を放棄する事になるという事です。放置する事で治るのでしたら、それで良いのですが、残念ながら難聴は、放置する事で治るようなものではありません。

私自身から言えるのは、補聴器を装用する事で価値の損失を防ぐという事です。補聴器はどんなに素晴らしく高いものでも耳を治してくれるものではありません。しかし、聞き取りやすくする事で、たわいない話しができるようになったり、人とコミュニケーションがしやすくなる効果があります。補聴器を購入するお金は必要ですが、それによって得られるものはあります。

もし聞こえにくい事を自覚されており、何とかしなければならないとお考えでしたら、耳鼻咽喉科に行ってみたり、補聴器販売店でご相談されてみてはいかがでしょうか。きっとお力になってくれるでしょう。

どんな人も人生は残念ながら有限です。そして、あっという間であり、いつ亡くなるかもわかりません。聞こえにくいまま不満で終わるより、少しでも良い道であったと思えるようにするため、補聴器は存在しています。悪いままで良いという人には、補聴器はお勧めしません。

少しでも現状を良くしたいという方のために補聴器は存在しており、その人がしたいと思う事を援助してくれるのが補聴器になります。

 

この内容をご覧の方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:知っておきたい病院で行っている補聴器相談の流れ

リンク:補聴器は、出張(訪問)販売ではなく病院、店舗販売が良い理由

リンク:補聴器を初めて装用した時の周囲の反応

リンク:補聴器を装用する人は、自声の響き、こもりを理解しておこう


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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