2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

聞こえにくい方の支援は、聴覚障害者のみになるのは、なぜ?


advertising-free-929946_640

朝、ニュースを見ていたら、成田空港のサービス向上のために、聴覚障害者を含む、障害の方々の利用者サービス向上を目指すという事を言っていました。その際、考えているサービスは、手話通訳者の配備、要約筆記ができるようにするというものでした。

個人的に、このようなサービスが出てくるのは、大歓迎です。世の中が、バリアフリーになり、様々な人が利用しやすくなる事は、とても良い事です。しかし、このようなお話しを聞くと、なぜか、皆口を揃えて「手話通訳」「要約筆記」「口述筆記」になります。

個人的には、そこだけではなく、もう少し大きい視野で見る事が必要なのではないかと思う事があります。これから記載する事は、手話通訳、要約筆記、後述筆記がいらないという事ではなく、もっと大きな視点での支援が必要なのではないか。という内容になります。

世の中の聞こえにくい人

世の中の聞こえにくい人は、主に

  • 補聴機器を装用し、聞こえる世界にいる人
  • 手話を活用し、ろう社会にいる人

この二つに分かれます。補聴機器(補聴器、人工内耳)を活用する人は、主に会話といった音を使ったコミュニケーションを行います。一方、手話を活用する方は、そのままですが、目を活用した(手話を活用した)コミュニケーションを行います。聞こえにくい人は、コミュニケーション手段で、どのような世界にいるのかが分かれます。

上記の手話通訳や要約筆記で行う支援は、主に目を活用したコミュニケーション手段を使う方への支援であり、補聴機器を活用し、聞こえる世界にいる人に向けた支援ではありません。厳密には、手話通訳は完全に目を活用したコミュニケーション手段の方用、要約筆記は、聞こえる世界の方も活用できるといったところでしょうか。

難聴者と聴覚障害者の割合

聞こえにくい人の世界には、難聴者と聴覚障害者という言葉があります。この二つは意味合いとしては、同じですが、聞こえにくい人からすると、全く異なる意味合いになります。基本的には、音の世界にいる方は、難聴者。手話などを使う聞こえが重く、大きく低下している方は、聴覚障害者と言われる傾向があります。上記に関連する言い方に変えますと、難聴者は、聞こえる世界にいる人、聴覚障害者は、ろう社会にいる人となります。

基本的には、聴力が低下すると低下するほど、そのような傾向が出てきやすくなります。という事で、そのような方々は、どのくらいいるのだろうと調べる際に出てくるのが、身体障害者手帳の取得者となります。身体障害者手帳は、それなりに聴力が低下した方しか取得する事ができません。それを見てみると……

tyoukaku-toukei1

 ※平成23生活のしづらさなどに関する調査 厚生労働省より引用

こちらは平成23年度におけ65歳未満の身体障害者手帳の取得者です。総合計は、約66,800人。65歳以上については、以下の通りです。

tyoukaku-toukei2

 ※平成23生活のしづらさなどに関する調査 厚生労働省より引用

65歳以上については、総数が増え、約175,400人になります。この二つを足してみると約242,200人となります。

ここから私の主観ですが、この内、ろう社会にいる可能性が高くなる等級は、どこかと言いますと、1級〜3級です。4級や6級は、ほとんど聞こえる世界に生きる難聴者である事が多くなります。もちろん、1〜3級の方の中でも、聞こえる世界で生きる人はいますし、そのような方々が技術の進歩により徐々に増えつつあります。そして、4級、6級の方が、手話などを全く使わないかと言われれば、そのような事はないと思います。

しかし、聞こえにくい人ほど、目で行うコミュニケーションの方が意思疎通しやすくなりますので、このような傾向があると考えています。そのため、仮に1〜3級は、ろう社会にいる可能性が高いとします。

仮定の条件で計算すると、65歳未満は41,800人、65歳以上は、79,700人で、合計121,500人となります。耳が聞こえにくい方の数は、全体で1000万人、2000万人とも言われており、正直よくわかりません。そのため、この幅の中で、割合を出してみます。すると、1.2%〜0.6%となります。

聞こえにくい人の中で、要約筆記、手話通訳が必要だといえる数は、聞こえにくい人の総合計の中で、たったの0.6〜1.2%である事がわかります。ちなみに、私自身の体感はもっと少なく、恐らく先ほどの数値の50%〜80%くらいの数しか、実際には、手話や目のみで意思疎通をしている人はいないと見ています。が、根拠はありません。

もっと視野を広くしてはどうだろう?

私自身が思うのは、もう少し視野を広く持った方が良いのではないかという事です。0.6〜1.2%の方をないがしろにするという事ではなく、残りの98.8%〜99.4%の方も含めて支援ができれば、最も良いバリアフリーになります。聞こえにくい人で補聴器を装用している方は、ほとんどの割合で感音性難聴であり、補聴器を装用したとしても、聞こえにくい事もあります。

であれば、このような方々もより聞きやすくできる環境を整えられるような道具、あるいは、仕組みも整備する事で、より良くなるのではないでしょうか。聴覚障害者を支援するというと、冒頭のようになってしまうのは、少々もったいないと思います。今後、さらに高齢化社会になればより聞こえにくくなる方も増えてきますし、このような部分も含めたうえで、対応した方が、企業としてもお客さんが増えますので、どちらにとっても良い事です。

ニュースを見ていて思ったのは、こんなところです。あと、正直なお話しをしますと、各企業そこばかりに集中しているので、逆にマーケットが難聴者の支援だけ空いているというのもあります。この部分をBtoBで攻める事ができれば、大きいかもしれません。

このようなギャップが出ているのは、恐らく世間の聞こえにくい人のイメージと実際の聞こえにくい人の状況がわかっていないからだと思います。大きい企業が気付く前にやれば、先行者利益を得られるかもしれませんね。と、さりげなく企業に対してアプローチしてみたり。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:スマートフォン単体のみで音声認識を活用するのは、難しいと思う理由

リンク:補聴援助システムを使用するとなぜ聞こえが良くなるのか?

リンク:補聴器を修理依頼する際、知っておきたい6つの事


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム