2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器を使うタイミングは「困った時」である2つの理由

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補聴器を装用するタイミングは、人それぞれであり、アドバイスをする方の表現も人それぞれです。補聴器を実際に装用し補聴器の販売をしている私からお伝えさせていただきますと、補聴器を使うタイミングは「困った時」というのが、正直な感想です。

その理由には、タイトル通り、2つの理由が存在します。

補聴器を使うタイミングは、困った時

このように考えている理由には

  • 聴力だけではわからない
  • 使う気がないと補聴器は使いこなせない

という二つの理由があります。

聴力だけではわからない

聴力だけではわからないというのは、

  • 困っているレベルがどれだけなのかがわからない
  • 実際に、どれだけ改善できるかがわからない

この二つの意味が含まれます。

困っているレベルがどれだけかわからない

私自身が感じる事は、聴力は、聞こえにくさこそ表しますが、本当の意味での不自由度は、聴力だけでは見えてこない事です。この傾向は、聴力レベルが軽いと軽い程、躊躇に出てきます。

耳が聞こえにくくなると、聞きにくくなる事により、色々と不都合な事が起こってきます。これらは主に、コミュニケーション関連に結びつき、

  • 呼びかけに反応しにくくなる
  • お話しがしにくくなる

この二つの事が起こりやすくなります。しかし、生まれつき聞こえにくい私から言わせてもらいますと、これ以上に深刻な問題になるのは、人との対人関係です。呼びかけに反応しにくくなったり、お話しがしにくくなれば、確実に対人関係に関係し、コミュニケーションのずれから、ストレスを感じたり、意思疎通がしにくくなってしまいます。

聴力は下がれば下がる程、聞きにくくなりますので、それによりコミュニケーション障害も重くなってきます。では、軽度の難聴、あるいは、ある特定の音のみ聞こえないという状況では、症状は軽度なのか……と言いますと、疑問を覚えます。なぜなら、例え軽度の難聴であってもコミュニケーションのズレは生じますので、コミュニケーション障害まで軽度であるとは、限りません。

そして、コミュニケーション障害に関しては、周囲の人の状況によっても大きく変化します。比較的コミュニティに受け入れられている人は、協力していただける事が多いかもしれませんが、会社だったり、そうでない状況ですと受け入れてくれるところも少ないのが現状です。

仮に受け入れられている重度の障害の方と受け入れられない軽度の障害の方がいらっしゃった場合、どちらが生きやすいか、生活しやすいかは、明白です。当然、受け入れられている方になります。

難聴は、聴力以外にもコミュニケーション障害が出てきますので、聴力レベル=障害レベルとは、なりません。厳密には、聴力レベル+コミュニケーション障害レベル=障害レベルとなります。コミュニケーション障害は、聴力だけではなく、周囲の環境も入りますので、非常に難しい問題の一つです。

聞こえにくくなった場合、その困り度は、聴力だけでは判断できません。

実際にどれだけ改善できるかわからない

こちらには、

  • 補聴器販売店側、医師側の視点
  • 患者さん、お客さん側の視点

の二つがあります。

補聴器販売店側、医師側の視点

提供する、改善させる側の視点からすると聴力だけで見てしまう事は多々あります。補聴器を装用し始めるレベルは、人によって異なりますが、多くは、平均聴力が40dB〜45dB以下くらいから装用するケースが多いと思います(あくまでも私の体感です)。

特に軽度の難聴やある特定の周波数のみ低下しているケースは、軽視される傾向があり、これには、実際に補聴器を装用しても、効果があるのかがわかりにくい、確実に効果がでるという保証がないからでもあります。そうなりますと実際に効果が出てくる40〜45dBくらいから装用し始めるのが多くなります。

では、実際に効果がないかと言いますと、効果がある場合もあれば、残念ながら効果を感じないというケースもあります。この効果というのがくせ者で、どのように効果を表現するかで評価が異なります。

実際に、補聴器の効果を調べる機器で補聴器の効果を調べてみると少しではあるけれど改善しているケースは、効果があると表現できるのですが、お客さん側の評価は「もう少し聞こえるようになりたい」となった場合は、お客さん側の評価としては、補聴器の効果が薄かったとなり、補聴器そのもので見ると効果はあったと見なされます。また、中には、補聴器の効果を調べる機器では、ほぼ効果が見られなかったが、お客さんは効果を感じている、というケースもあります。

このように効果というのは、使っている側の評価視点とそれ以外の提供側の評価視点があります。どちらも一致する可能性が高くなるのは、40〜45dB以降になり、それより軽度の場合、特定の周波数のみ聴力が低下している場合は、効果がないか、あるかのどちらか一方になる事が増えます。

患者さん、お客さん側の視点

一方、患者さんやお客さんの視点からすると、どれだけ効果があるのかを試さないで理解する事はできません。どんな事もそうですが、実際にやってみない事には、わからない事が多くあります。

難聴の症状には、

  • 聴力低下
  • コミュニケーション障害

の二つがあります。補聴器で主に使われる方法は、聴力が低下し、その低下した聴力を補うという方法(考え)です。音を聞きやすくし、聞きにくかった音(お話し)を理解しやすくする事で、聞こえの改善をさせます。こちらは、音のみの観点ですね。

しかし、それ以外にも聴力低下の部分を補う事ができれば、コミュニケーション障害を軽減できる可能性はありますし、意思疎通がしやすくなる事で、落ち込む事も少なくなる可能性もあります。

補聴器がしてくれる事は、音が聞こえるようになる事です。しかし、装用している私から表現すると、

  • 音が聞こえるようになってできる事
  • 音が聞こえる事で緩和される事
  • コミュニケーション障害が軽減される事

この三つこそが本当の補聴器の価値であると考えています。音が聞こえるようになり、お話しが今までよりスムーズにできるようになれば、できる事やコミュニケーション障害の軽減に繋がります。音が聞こえるようになれば、周囲の状況に気が付いて気をつける事もできるようになります。

お話しができるようになれば、今までより「話し聞いているの?」と言われる事が少なくなったり、それを言われる事で落ち込む事も少なくなる可能性も上がりますね。色々と言われてしまう事によって、心が疲弊する事も少なくなるのは、補聴器の効果の一環だと私は、考えています。

これらの効果は、補聴器を実際に装用しなければわかりません。音が聞こえるという以外にもこのような効果があるのが、補聴器です。例え軽度であっても、これらの効果は感じます。聴力だけで、補聴器の効果を推し量る事は、本来できるものではありません。なぜなら難聴は、単に音が聞こえにくくなっているだけではなく、コミュニケーション障害も関連するからです。

なお、私の知っている人には、補聴器をわざと見せるようにして「聞こえにくい」事をアピールし、コミュニケーション障害のレベルを軽減させている方もいます。聞こえにくいから少し協力して欲しい、話しかけても無視している訳ではない、という事をアピールする事で、コミュニケーションをしやすくしているわけですね。基本的に難聴は対人関係に直結しますので、上手いやり方です。やり方次第では、このようにする事もできるという例となります。

これも補聴器の効果と言えるのではないでしょうか。補聴器を活用し、見事にコミュニケーション障害のレベルを下げているわけですから。

使う気がないと改善できない

補聴器を装用している身から言いますと、補聴器は本人に使う気がないと難しいと感じています。それは

  • 感覚を変えるので、少なからず苦痛を感じる場合が多い
  • 人から「装用しろ」では、動かない

この二点から、感じます。

感覚を変えるという事

補聴器は、基本的に聴力が低下しているところほど、重点に補います。視力も低下していれば、補う量が多くなるように、聴覚も聴力が低下しているとしているほど、増幅する値が多くなります。これは、聞こえにくい耳で実際に聞いている音と、補聴器を通して聞く音のギャップが、聴力が低下しているとしているほど、大きくなる事を意味します。

ちょっとわかりにくいですね、私自身難聴ですので、私の聴力図(オージオグラム)を使用して説明します。

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私の聴力は、このような感じです。縦軸の聴力レベルが音の聞きにくさを表し、横軸の周波数が音の高さを表しています。耳は、音の周波数ごとに聞こえ方が異なりますので、このように周波数別に音の聞こえを調べます。

さて、聴力図を見てみますと、125Hzというところと、8000Hzでは、聴力の差が30dBほどあるのに気が付きますね。聴力に関しては、数値が小さいと小さいほど、軽くなります(上にあると上にあるほど軽い)。図を見てみますと音が高くなるごとに徐々に音が聞こえにくくなっています。このような耳で、普段聞き続けた音は、当然、高い音が聞こえにくい状態で聞き続けた状態となります。言い換えれば私の耳は、補聴器を装用していない状態では、高い音を感じにくい状態で、日々の音を聞いており、一般の人より、低い音の感覚で聞き続けた事になります。

補聴器は、基本的に聞こえにくい音ほど音を増幅します。私の聴力の場合では、低い音より高い音を増幅する事になります。その音が聞こえにくいから、今の聞きにくさがありますので、当然の選択です。では、そんな事をすると、どのようになるのでしょうか。当然ですが、聞こえてくる音の感覚が変化します。私の耳で表現すると、聞こえにくかった高い音まで入り、基本的には、全体的な音がシャープに聞こえる、音が高く聞こえてきます。今まで高い音が感じ取りにくいがために、聞こえてくる音が低く感じていたので、当然の結果ですね。

このように補聴器は、良くも悪くも感覚を変えます。そして、使用する気がない方は、この変化を悪く捉える傾向があり、使用する気がある方は、この変化を受け入れようとします。使用する気がない場合は、大抵、この変化に耐えきれず、補聴器の装用を諦めます。

人から「装用しろ」では動かない

どんなものでもそうですが、大抵の人は、強要される事を拒みます。このようなケースでは、補聴器を購入する事はあっても補聴器で改善したい事が改善できません。なぜなら、補聴器を装用するには、上記の通り、感覚を変える必要があり、自分自身で使用する意欲(目的)がないと使い続けないからです。

ご家族が聞こえにくくなって耳鼻咽喉科、あるいは、補聴器販売店につれて行く例がありますが、この際、最も重要なのは「本人が聞こえるようになりたいか」になります。これがないと補聴器は高い上に面倒で、かつ感覚を変えるという苦痛な作業までします。こんなものは、誰も耐えられませんし、一時期我慢したとしても、必ず使用しなくなります。

補聴器で最も大切なのは、本人に使用する意欲です。これがないとどんな人も使用しません。勉強しろと言われて勉強する子どもがいないように、補聴器を装用しろと言われて装用する人もまずいません。

これらの事から見えてくるもの

これらの事から見えてくるのは、困った時に使用するという考えです。このように考えれば、実際に困っていれば、例え軽度の障害、ある特定の周波数のみ低下していたとしても、実際に使用してみる事で、補聴器の効果を確認する事ができます。使ってみれば、どんな事ができるのか、どんな効果があるのかもわかりますし、それによって、どう生活が変化するかもわかります。

正直なお話しをしますと、補聴器を装用してみても、効果が見込みにくい、得られにくい耳もあります。しかし、実際のところ、試聴してみるまで、わからないケースは、多くあります。ですので、とにかく使用してみる事は大切だと感じています。それは、今までの経験上から感じる事です。

また、困っている状況でしたら感覚が変化する事に関しては、良い方に受け入れる方も多くなります。実際に今の聞こえにくい状態だからこそ、困っているのですから、感覚が変化し、聞こえるようになれば、それは、困っている人にとっては、良い変化になります。使う気がない人には、感覚の変化は必要ない事であり、聞こえる事そのものが不要ですので、不快に感じる事が多くなります。

音が聞こえるというのは、聞きたいと思う音が聞こえるようになる反面、大きな音、不快な音、さらには、耳を塞ぎたくなるような音も聞こえるという事を意味します。公害対策基本法に規定されている主な公害には、

  • 大気汚染
  • 土俵汚染
  • 水質汚濁
  • 地盤沈下
  • 騒音
  • 振動
  • 悪臭

がありますが、この中で最もクレームが多いのが騒音です。つまり音なんですね。特に都市部では、人も多く、車も多くありますので、騒音によるクレーム、ストレスは、尋常ではありません。

補聴器の使用を考えている方は、聞こえる事によって起こる弊害も乗り越える傾向がありますが、必要性を感じない人は、これらのところで、不快に感じたり、不満を感じる事が多くなります。補聴器を装用するという事は、良くも悪くも音の世界に入る事を意味します。

これらの事から、私自身は「実際に今困っているのか」というところが大切であり、困っているのでしたら補聴器装用をお勧めします。しかし、困っていないという事であれば、お勧めしていません。その理由は、上記の通りです。

もし、実際に聞こえにくくて困っているという事でしたら、耳鼻咽喉科に行くなり、補聴器販売店に相談してみるなり、行動される事をお勧めします。実際に補聴器を試してみる事で、ある程度改善でき、道が開けるかもしれません。全てが全て改善できないにしても、補聴器で改善できる事もありますし、負担が楽になる事もあります。

心に残るものがあれば、試聴し、実際にどうかを確認してみる事をお勧めします。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を初めて装用する方に伝えたい装用後の世界

リンク:補聴器におけるちゃんとした調整とは何か

リンク:補聴器選択で迷った際にお勧めする補聴器価格帯

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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