2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

感音性難聴の方にも補聴器の効果はある


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感音性難聴とは、音が聞こえにくくなるだけではなく言葉まで聞きにくくなる難聴です。では、そのような難聴には、補聴器は効果があるのでしょうか。言葉の文面だけ見ますと、効果が出そうにありませんが、実際のところは、効果が出る方もいれば、効果が出にくい方もいます。

この二つの違いは、どこにあるのでしょうか。今回は、感音性難聴に対する補聴器の実際のところに関して、記載していきます。結論から言いますと、効果が出る方もいるので、補聴器を装用するケースが多くなります。

感音性難聴の実際は?

感音性難聴の聞きにくさの実際としましては

  • ①音を大きくすれば音声を理解しやすくなる部分
  • ②音を大きくしても音声を理解しにくい部分

この二つが存在します。どのような人にもこの二つが存在しており、どちらの比率が大きいかにより、補聴器の効果が異なります。①の部分が大きい方は、補聴器を装用する事で、音声が聞きやすくなり、補聴器の効果は感じやすくなります。しかし、②の部分が大きい方は、補聴器を装用しても音声の理解は、しにくいままとなります。

補聴器がしている事は、簡単に言いますと、音そのものを大きくして、耳に届ける事です。そのため、音を大きく聞かせる事で、聞こえやすくなる人は、補聴器の効果を感じやすくなります。しかし、音を大きくしても、それが理解のしやすさに繋がらない方に関しては、残念ながら効果を感じにくくなります。

感音性難聴は、音が聞こえにくいだけではなく言葉まで聞きにくくなる難聴です。この文面だけで判断すると、どのような人にも効果がないように感じますが、実際のところは、そのような事はありません。

私自身は、生まれつき両耳とも感音性難聴ですが、音を大きくすれば音声を理解しやすくなる部分が大きいため、補聴器を装用し、日々生活を送っています。そして、生活もしやすくなっています。少なくとも仕事は補聴器なしではできません。

比率を見るには

聞こえやすさの比率を見る場合、聴力データのみでは、推し量る事はできません。耳鼻咽喉科、補聴器販売店では、患者さん、お客さんの現状を理解するために「語音弁別能検査」「語音明瞭度測定」(どちらも同じ内容です)を行っています。

こちらは、あ、き、し、といった単音を1回の測定につき、20個流し、それぞれの音の大きさで、どのくらい正解率が異なるか、どんな言葉を聞き間違えているかを調べる測定です。

図としては、このようなものになります。

こちらは、語音明瞭度測定の結果。補聴器の世界には、音声の理解度を調べる測定がある

こちらは、語音明瞭度測定の結果。補聴器の世界には、音声の理解度を調べる測定がある

縦の軸が正解率を表し、横の軸が音の大きさを表しています。赤い三角は、右耳、青い三角は、左耳を表し、それぞれの軸で見てみると耳の状況を理解する事ができます。

なお、数値の意味に関しては、こちらをご覧下さい。

パーセンテージの意味。こちらを理解する事で状況がわかりやすくなる

パーセンテージの意味。こちらを理解する事で状況がわかりやすくなる

※補聴器フィッティングの考え方を参考に作成

語音明瞭度測定を行うとわかる事は

  • 音を入れると聞き取れる耳なのか、そうでないのかがわかる
  • 正解率の最良値から、どれだけ補聴器の効果が見込めるかがわかる

仮の図を例にそれぞれ見て行きましょう。

効果が出る耳なのか

上記の図を見てみますと、右耳で

  • 50dB→10%
  • 60dB→50%
  • 70dB→80%
  • 80dB→85%

という結果がでいます。50dBの音では、聞きにくすぎてほとんど理解できず、60dBになると半分くらい理解できるようになっています。さらに音が大きくなり、70dBの音では、8割ほど理解できるようになり、そこから上げても85%とあまり変化しなくなってきます。

このように見てみますと、音量を大きくすると音声を理解できる耳である事がわかります。

正解率の最良値から見る補聴器の効果

測定時、最も正解率が高い部分とそれぞれの正解率の状況を見る事により、補聴器の効果が見込めるか、見込みにくいかがわかります。

例えば、同じように右耳で見てみますと最も正解率が高いのは、85%となります。85%の数値は「語音明瞭度、理解度別状況」を見てみますと「補聴器の効果が十分見込まれる、静かなところであれば十分に補聴器の効果が見込まれる」となり、補聴器の効果が見込める耳である事がわかります。

なお、この最良値が60%以下ですと、補聴器を装用しても効果を感じにくい傾向があります。上記の表では、59%〜40%で、「日常生活で内容が正確に理解できない事がしばしばある」と記載されており、実際は、

  • 話す人の声の質、環境
  • 部屋の環境
  • 周囲の騒がしさ

により、さらに聞きにくさが変化します。話す人によっては、はっきり聞こえなかったり、マスクをつけていたりすると、とたんに聞きにくくなります。さらに部屋が反響する感じがあれば、言葉の識別がしにくくなったり、周囲が騒がしいと、周囲の音に邪魔されてしまい、音声が理解しにくくなる傾向があります。

語音明瞭度測定の結果は、あくまでも静かなところで、はっきりとお話しした場合においての正解率であり、正解率が高いからといい、そのままの数値を日常生活上の理解度に応用する事はできません。個人的感覚ですが、実際の理解率に関しては、5〜15%くらい下がると考えています。

そのように考えますと、60%以上ないと聞きにくさが勝り、補聴器の効果は感じにくくなる傾向が強く出ます。

効果は割合でわかる

補聴器の効果は、語音明瞭度測定を行い、最良値がどれほど出るかでわかります。この最良値が良いケースは、補聴器の効果を感じやすく、低いケースは、補聴器の効果を感じにくい傾向があります。

上記の図であれば、

  • 左耳:90%
  • 右耳:85%

となり、最良値は良い状態です。このようなケースにおいては、補聴器の効果を感じやすくなります。

一方、最良値が、60%以下になると、効果そのものは、感じにくくなってきます。

なお、最良値が低い場合においても補聴器を装用する事はあります。最良値が低い場合においても補聴器を装用した場合とそうでない場合では、聞こえやすさが異なります。補聴器がない状態であれば、ほぼ0%に近い場合で補聴器の最良値が仮に50%だだとしますと、0%から50%にまで理解度が上がる事を意味します。

満足度を感じるか、感じないかという問題はありますが、基本的に補聴器は、多くの方が効果を感じます。そのため、感音性難聴でも補聴器を装用するケースは、多くなります。

感音性難聴でも補聴器の効果はある

言葉の文面だけ見ますと感音性難聴の方には、補聴器は効果がないと感じるかもしれません。しかし、初めに記載した通り、厳密には

  • ①音を大きくすれば音声を理解しやすくなる部分
  • ②音を大きくしても音声を理解しにくい部分

の二つがあります。この二つの比率がどのようになっているかで、補聴器の効果は異なります。

私自身が感音性難聴でありながらも補聴器を装用しているのは、①の比率が良い(明瞭度の最良値が良い)ためです。このような方は、特に補聴器の効果を感じやすくなります。

もちろん、補聴器を装用すれば何でも聞こえるようになったり、何でも理解できるようになる事はありません。実際に上記の図では、音を大きくしても最良値は、90%でした。これは、音を大きくしても9割までしか理解できない事を意味します。

さらに、実際には、周囲の音に邪魔されてしまったり、人の話し方、音声によって非常に聞きにくく感じたり、マスクをつけているためにお話しの内容がかなり理解しにくいケースも出てきます。

あくまでも最良値が良いからといって全ての場面でその最良値をキープできるようになるわけではありません。そして、状況によっては、その最良値が大きく削られます。

しかし、それでも補聴器を装用していない状態よりは、ずっと聞きやすくなります。だからこそ、みな補聴器を装用していますし、補聴器を使い続けています。

感音性難聴の方でも補聴器の効果はあります。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:【実例】中等度難聴者が補聴器を装用するとどう改善されるのか

リンク:補聴器を初めて使う時に乗り越える4つの山の対応策

リンク:補聴器を装用すると起こる5つの聞こえの変化

リンク:補聴器を見られるのが心配→そもそも見られないというお話し


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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