2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器で耳を補う方針を理解する聴力別3つの補うパターン


girl-948238_640

補聴器をご相談に来る際、ほとんどの方は、補聴器を買いにいくという思考で来られる方が大半だと思います。しかし、補聴器は、一番始めに耳の状態を確認し、耳を補う方針を明らかにした後に、耳を補った方が聞こえの効果も高まります。

こちらでは、より良い聞こえをお求めの方のために、当店がしている補聴器選定に関して記載していきます。補聴器には、性能と形状の二つを決めるのですが、補うパターンの場合、形状のみしか関与しませんので、こちらのみ記載していきます。

耳の状態別、3つの補うパターン

初めに結論を記載しますと補うパターンは、

  • 両耳に補聴器を装用する
  • 片耳に補聴器を装用する
  • クロス補聴器を装用する
  • バイクロス補聴器を装用する

の四つになります。基本的に耳が聞こえにくくなるパターンには

  1. 両耳とも聞こえにくくなる
  2. 片耳のみ聞こえにくくなる
  3. 両耳とも聞こえにくいが、片耳がより聞こえにくい

の三つしか存在しません。どのような方もこの内のいずれかに該当します。

この場合

  • ①には、補聴器の両耳装用orバイクロス補聴器
  • ②には、クロス補聴器の装用or片耳に補聴器のみ装用
  • ③には、補聴器の両耳装用orバイクロス補聴器の装用

の三つに分かれます。②と③に関しては、耳の状態を確認し、最適な方を選択します。この二つに関しては、最適な方法を探すのに大変な聴力もありますので、試聴により、探っていくケースもあります。

なお、クロス補聴器とは、聞こえにくい耳に音を入れて補うものではなく、聞こえにくい耳に来た音を聞こえる耳に転送する機器です。バイクロス補聴器とは、両耳の内、聞こえやすい耳を補聴器で補い、より聞こえにくい側の音は、聞こえる耳に転送して聞く補聴器です。

どちらにも共通する事ですが、耳には、音を入れても補いにくい耳というのが存在します。そのような耳の場合は、聞こえにくい耳に音を入れて聞こえるようにさせるのではなく、聞こえる耳に音を転送して補うほうが、今現在のお困りの状況を改善しやすくなります。

そのため、このような機器も存在しています。残念ながら耳は、ただ単に音を入れれば良いというわけではありません。

耳の状態を確認する二つの測定

補聴器を選定するうえで重要になるのは、耳の状態を確認する事です。これには

  • 聴力測定
  • 語音明瞭度測定

の二つがあります。

このような測定をするのは、上記に記載した通り、音を補っても聞こえが難しい耳、あるいは、聞こえを改善できる数値が低いため、聞こえにくい耳に音を入れて補うより、聞こえる耳に音を転送した方が聞こえやすくなるためです。

補聴器を装用する前に

  • 聞こえにくい耳に音を入れて補った方が良いのか
  • 音を聞こえる耳に転送して補った方が聞こえやすくなるのか

この二つを理解する事で、今現在の機器で、聞こえを最大限、改善させる方法がわかります。

聴力測定

耳鼻咽喉科や健康診断でもおなじみの聴力測定です。音が聞こえたら、ボタンを押し、今現在の聴力を測ります。補聴器販売店でもこちらで、聴力の確認をします。

聴力が重要になる点は、

  • 補う範囲には限界がある
  • 両耳効果を出すには、ある程度決まった型がある

の二つがあります。こちらは少々難しくなってしまうのですが、なるべく簡単にお話しします。

補聴器で補える範囲には限界がある

補聴器で聞こえを補う場合、聴力別にある程度、どの辺りまで聴力が改善できるかが決まっています。あまりにも聴力低下が大きいと、補聴器を装用しても聞こえにくいままになります。

片耳のみ難聴の場合、よく当てはまるのですが、片耳の聴力低下が大きすぎて補聴器を装用してもまるで効果がない事があります。聴力低下が大きいと補える範囲にもある程度限界があり、限界まで補えたとしても、聞こえる耳からすると、補った状態でもかなり聞きにくい状態になります。

このようなケースは、まさに聞こえる耳に音を転送して聞く方が、聞こえを改善できる典型的な例となります。

両耳効果を出すには、ある程度決まった型がある

補聴器を両耳に装用する理由は、いわゆる両耳効果を出すためです。この効果は

  • 音の方向がわかる
  • 騒がしい中での聞き取りをなるべく低下させない

の二つになります。厳密には、両耳に付ける事により、聞こえにくい側の死角がなくなり、こちらからの音や音声がわかる事、そして複数の人とのお話しもわかりやすくなる事もありますが、両耳効果とは別になりますので、こちらでは省きます。

人の耳は、両耳ある事で、音の方向がわかり、かつ騒がしい中でのお話し、あるいは、複数の方とのお話しがしやすくなっています。

しかし、この効果を望む場合、両耳の聴力差が補聴器を付けた状態で、ある範囲内になければ得られません。それ以上の聴力差が出てしまうと、両耳効果は得られなく、かつ片耳は、聞こえている耳より聞こえにくい状態となります。

特に両耳の聴力差があるケースに該当しますが、そのような場合は、バイクロス補聴器を装用した方が効果が高くなる典型的な例になります。

なお、両耳とも同じくらい聞こえにくい場合、両耳装用と片耳装用で異なるのは、上記に記載した通りです。両耳装用から片耳装用にする場合を想定しますと

  • 音の方向がわからない
  • 騒がしい中での聞き取りはしづらい
  • 複数の方々とのお話しはわからない
  • つけていない側の音は気付きにくい

となります。これらの聞きにくさがあっても良いという場合は、片耳装用でも構いません。なるべく聞こえを良くしたいという方は、両耳装用がお勧めです。

語音明瞭度測定

語音明瞭度測定とは、いくつかの音量で言葉の単語を聞き、どのくらいの理解力があるのかを調べる測定です。補聴器を装用する方は、ほとんどが感音性難聴です。感音性難聴は、音が聞きにくくなる事に加え、音声が理解しにくくなるという現象も起こります。そのため、どのくらい理解ができるのか、こちらを確認するのが、語音明瞭度測定です。

恐らくお気づきだと思いますが、音を入れても音声が理解しにくいとなると、補聴器でも効果が出ません。補聴器は、音を大きくして耳に音を届けます。しかし、音を大きくしても理解できない場合は、残念ながら補聴器を装用しても理解がしづらくなります。

この測定は、片耳ずつ、音の弁別に関して調べる事ができます。両耳とも聞こえにくい場合、たまに、片耳の音の理解度が極端に下がっている方がいます。そのような場合は、両耳に補聴器を装用するより、バイクロス補聴器で、聞こえにくい側の音を聞こえる耳に送ってあげた方が、より現状の改善ができるようになります。

まとめ

補聴器を装用する前に、耳の状態がわかると、最も適切な補い方は何かがわかります。判断が難しいケースはありますが、そのような場合は、聞こえを改善できる選択肢の中から実際にやってみて、どれが改善するかを確認します。

  • 補聴器を装用しても補える限界がある事
  • 補聴器で音を入れたとしても理解が難しい耳がある事

これらの理由により、補聴器を装用する前に、耳の状態はどのようになっているのか。それを確認し、最も聞こえを改善させる方法を導きだす必要があります。

耳を補う方針

こちらでは

  • 両耳とも聞こえにくい状態
  • 片耳のみ聞こえにくい状態
  • 両耳とも聞こえにくく、片耳がより聞こえにくい状態

の三つのパターンから、どのような補い方があるのか、記載していきます。

両耳とも聞こえにくい状態

両耳とも聞こえにくい状態の場合、ほとんどにおいて両耳に補聴器をつけて聞こえを改善させます。それが、最も聞こえを改善できる方法となります。

ただし、中には、両耳とも同じくらいの聴力低下なのに関わらず、片耳のみ音声の理解度が低いケースがあります。このような場合、バイクロス補聴器の方が、聞こえを補いやすくなり、かつ今感じている不自由度も改善しやすくなります。音声の理解度が低いケースに補聴器を装用すると、音としてしか感じ取れず、聞こえる側を邪魔するケースもあるからです。

両耳とも聞こえる場合は、音声の理解度により変わります。

  • 両耳とも同じくらいの理解度なら補聴器の両耳装用
  • 片耳が極端に低下していた場合は、バイクロス補聴器

となります。

片耳のみ聞こえにくいケース

片耳のみ聞こえにくいケースは、

  • 片耳の聴力低下が非常に大きい場合は、クロス補聴器
  • 聴力低下がそこまで重くない場合は、片耳に通常の補聴器

このようにして補います。

ただし、片耳に通常の補聴器を装用する場合、聞こえにくい側の耳が音を入れる事によって聞こえる事が条件です。音を入れても音声が全く理解できない耳の場合は、適合しません。素直にクロス補聴器の方が、現状のお困りごとを改善できるようになります。

このケースで重要なのは、音を入れて補えるか、補えないかになります。聞こえにくい耳に音を入れて補える、効果がでる範囲内なら片耳に補聴器。それができない場合は、クロス補聴器を装用し、聞こえにくい耳に来た音を聞こえる耳に転送する方が、聞こえの改善ができます。

両耳とも聞こえにくく、片耳がより聞こえにくい状態

このケースの場合は、

  • 両耳の聞こえが大きく開きすぎている場合は、バイクロス補聴器
  • 両耳の聞こえの差が大きく開いていない場合は、両耳装用

となります。一概には、言えないのですが、私の体感では、両耳の聴力が20dBの差以内であれば、両耳装用、それ以上離れている場合は、バイクロス補聴器と考えています。この聴力付近の場合は、どちらが良いか、試聴で決めています(私の場合です)。

なお、両耳装用をする場合、聞こえにくい側の耳もある程度、音声が理解できる事が条件です。こちらがNoであれば両耳の聴力差がたとえ20dB差以内であってもバイクロス補聴器の方が現状のお困りごとを改善させる事ができます。

耳の状態別、3つの補うパターンのまとめ

耳には、聴力と音を理解する力の二つが存在します。そして、聴力低下が大きい場合、補聴器でよく補えないケースがあります。また、音を理解する力が極端に低下した場合は、音を耳に入れても、音声の理解は、残念ながら難しくなります。

補聴器の場合、補聴器の性能よりも耳の状態によって聞こえの効果が決まる傾向があります。このような傾向がありますので、耳の状態によって提供する補聴器は異なります。

自分の耳を理解し、どのような補い方が最も良いのかを考えるのはとても大切です。このような事が書いてあるのは、初めてだと思いますが、こちらの内容をご覧になり、耳を補う方針が重要な事をご理解いただければ幸いです。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム