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東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器を初めて使う時に乗り越える4つの山の対応策

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補聴器を装用すると聞こえるようになるというのは、事実ですが、実際には、そこにたどり着くまでにいくつか超えなければならない山があります。さらに乗り越えるには少々時間もかかります。

では、乗り越える山には、どのような山があるのでしょうか。こちらには、乗り越える山に関して載せていきます。重要なのは、改善したければ山を超えるために補聴器を使い続ける事が大切になるという事、そして、初めは効果が出にくい事を理解する事です。

そして使い続けてある地点まで来ると一気に楽になります。そこまで来れば後は楽になります。

補聴器を初めて使う場合に起こる事

補聴器を初めて使用する場合に起こる事としては

  • 音が高く聞こえやすい
  • 自分の声が響きやすい
  • 大きい音が非常に気になりやすい
  • 今まで聞こえなかった音が聞こえて気に障る

という点があります。これらが補聴器を装用した後に乗り越える4つの山になります。

補聴器を装用すると良くも悪くも感覚が変わります。その感覚に慣れる前は、どうしても異質に感じやすい傾向があります。機械で大きくしているため、機械っぽく聞こえ、さらに全体的に甲高く聞こえるため、音そのものも響きやすく聞こえてきます。

音が高く聞こえやすい

補聴器を初めて装用した方が初めに言うのは「音が響きやすい」という事です。

上記にも記載していますが、どうしても補聴器は、機械っぽく聞こえてきます。補聴器の音に慣れると機械っぽく聞こえる事はあってもその感覚が普通になるため、まるで耳の一部のように感じるようになるのですが、そのようになる前は、高く聞こえてくる感覚が気になりやすい傾向があります。

なお、一部の方は、この感覚をあまり感じない方もいます。音関係、あるいは、無線関連に携わっている方は、機械で音を大きくすると、どのように聞こえるかがわかっているため、あまり気にされません。私が対応した方の中で印象的なのは「機械を通して音を聞けば、まぁこんな風に聞こえるよね。無線もそうだし」と言われ、ごもっとも……と感じた事もあります。タクシーの無線の音声は、確かに補聴器の音質とそっくりです。

音が高く聞こえやすいのは補聴器で音を大きくするからというよりも機械を通じて音を大きくすると感じる事になります。補聴器を装用する人の中には、高い音が聞こえにくい事で、そこを重点的に補っている事も影響しますが、機械を通じて音を大きくしている事も影響しています。今現在の技術では、機械を通して音を増幅しない方法がないため、どうしても機械に頼らざるを得ません。

自分の声が響きやすい

補聴器を装用すると自分の声が響いた感覚になります。声がこもって聞こえる、トンネルの中に入った時のような声に聞こえる、このような感覚です。

これは、補聴器を装用して機械っぽく感じる事以外に耳を塞ぐ事によって起こる事です。厳密には、耳を塞ぐ事によって起こる事ですので、補聴器以外でもイヤホンを耳に入れたり、快眠用の耳せんを耳に入れる事でも起こります。

補聴器を装用すると、このような感覚も起こります。軽減は可能ですが、あまりにもやりすぎてしまうと効果が出ない補聴器になってしまいますので、要注意点の一つです。

補聴器を使い続けていくとこの感覚は徐々に和らいでいきます。無くなるというよりもその感覚がある事が当たり前になり、感じていても気にならなくなる。というのが、補聴器を使用している私から言える事です。

響くけれども気にならない。これが慣れるという事になります。

なお、この感覚もイヤホンを長時間つけている方や普段から耳に何か入れている方は、初めからその感覚に慣れているため、気にしない傾向があります。中にはそのような方もいます。

大きい音が非常に気になりやすい

補聴器を装用するうえで重要なのは、この点です。紙をクッシャクシャにしたり、トイレの水の音、食器がガチャガチャぶつかる音など、音量が大きく、かつ高い音は、非常に気になる傾向があります。

補聴器は、今まで聞いている感覚より聞こえるようにしますので、大きい音も大きくします。

補聴器の音に慣れてくると「大きいな〜」と感じる事はあっても苦痛には感じにくくなります。しかし、慣れていない頃は、非常に苦痛に感じやすい傾向があります。

この部分は、慣れによって大きく変化する部分であり、人によっては、厳しい部分も出てきます。

今まで聞こえていなかった音が聞こえて気に障る

以外に多いのが、こちらです。音が聞こえにくい状態ですので、今まで聞こえにくかった、あるいは聞こえなかった音があるのは当然なのですが、聞こえるようになり、騒がしく感じてしまい、鬱陶しいと感じるケースがあります。

聞こえにくい方には、聞こえにくい方の音の世界があり、音というのは、聞こえていないとその存在を感じる事ができません。これは、音は目に見えないためです。匂いがあっても鼻が効かなければその匂いを感じ取る事ができず、匂いがある事に気が付かないように、音も聞こえていないとその存在に気付く事ができません。

そのため、現実と現状のギャップがかなり激しい傾向があります。聞こえにくくなるとなるほど、そのギャップはより強くなります。認識できないもの(音)が多くなれば多くなる程、音が聞こえる世界というのは、苦痛に感じやすくなります。

初めは鬱陶しく感じるかもしれません。日々の日常ってこんなにうるさいんだ……と感じる方もいます。しかし、使い続けていく内に、この感覚が普通と感じたり、むしろ音が聞こえている方が安心するようになります。

実際に補聴器はどうしているのか

では、このような感覚が起こるとした場合、実際に補聴器は、どのようにしているのでしょうか。こちらでは

  • 音の世界の実情
  • 実際の調整

の二つに分けて記載していきます。

音の世界の実情

補聴器を初めて装用する方に行うのは、「音量が大きすぎて使えないようにしない」という事になります。上記の通り、補聴器を装用すると、音が響くように感じたり、特に大きい音が響きやすく感じる事が多くなります。このような状態だと、日常生活上で補聴器が使えなくなってしまうため、初めに行うのは、使えるようにする事となります。

では、実際にどうやるのか。それは、大きい音がしても耐えられるレベルまで音量を下げます。まずは、使える状態を目指すのが補聴器のセオリーです。

このように書くと「なぜそんな風にやるの?」というように疑問を持つ方もいるかもしれません。それは、日常生活上では、大きい音が非常に多いからです。

この表も頭に叩き込めば、大抵の事を可視化できる

日常の音量レベル表

例えば、人の感覚上うるさいと感じるのは、70〜80dBくらいからです。80dBかそれ以上の音量のものは

  • ピアノの音(1mくらいの距離)
  • 工事の音
  • 電車関連(電車の中、ホーム、アナウンス全て)
  • 交通量が多い道路
  • 食器を落とした時の音
  • 紙をめくる時の音
  • ドアをバタンと閉めた時の音
  • 物を強く叩く、床に落とす音
  •  救急車のサイレン
  • 大きい声(叫ぶ声)
  • 子どものテンションMAX時の声
  • 子どもの泣き声

など、たくさんあります。交通量の多い道路や特に電車関連の音は、非常に音が大きく、初めて補聴器を装用する方には、苦痛に感じやすい部分です。さらに、物を床に落としたり、物を強く閉める、叩く事をすれば音は大きくなります。

子どもが泣いている声などは、場合によっては90dBくらいにも感じますので、すごくうるさい部類に感じ、苦痛に感じやすくなります。子どもが遊んでいてテンションMAX時に叫んでいる声も同様です。

このように日々の日常には、数多くうるさい音が存在しています。そのため、耐えられるレベルにまで下げないとそもそも使う事すらできないというのが現状です。

ここからが重要ですが、音量を下げるという事は、静かになる事を表しますが、その代わり音が聞こえにくくなります。音がしっかり入る状態は、うるさく感じますが、その代わり音がしっかり聞こえます。

初めて補聴器を装用する場合は、まず使用できる環境下にする必要があるため、どうしても聞こえるようにする事が難しくなります。

実際の調整

こちらでは、実際の補聴器の調整に関して載せていきます。上記のような傾向があるとしたら、実際にどのように調整しているのでしょうか。初めに結論から言いますと、初めての方は、補聴器で聞こえを補う目標値の70〜80%ぐらいから初め、慣れている人は、目標値100%付近まで音を入れられるようになります。

初めての方に補聴器を調整する例、目標値を大きく下回っている事に注目しよう

初めての方に補聴器を調整する例、目標値を大きく下回っている事に注目しよう

こちらは、補聴器を初めて装用した場合における音量値です。この画面の見方としては、横軸が音の強さを表し、上に線があるとあるほど、音量が大きくなります。そして、それぞれの音の入力音ごとに補聴器は調整できるため、黒い線も含めて画面には、7つの線があります。

太い線は、今現在、音を出しているラインです。細い線は、この聴力の場合において目指す音量値です。難聴レベルにより、補う数値はある程度決まっているため、こちらを目指し、補聴器は調整していきます。

その際ですが、初めての場合、70%ほどしか入れていません。初めて補聴器を装用する際は、実際問題

  • 音が響く
  • こもる
  • 音が大きい

という事で、本来補わなければならない100%の数値まで上げる事ができない方が大半です。そのため、70%くらいから始めるケースが多くなります。

では、慣れている人は、どのようになるかと言いますと

補聴器の音に慣れればこのくらい入れられるようになる※例外もあるが。

補聴器の音に慣れればこのくらい入れられるようになる※例外あり

このようになります。補聴器を長期間使っている方は、大抵100%に近い数値、あるいは、それを超える数値で使用しているケースが多くあります。

では、実際に補聴器を使用している私の場合はというと

私の補聴器の調整。もちろん目標に対しては100%

私の補聴器の調整。もちろん目標に対しては100%

このようになります。ほぼ100%になります。少し、高い音が目標値から下がっているのは、どうやら私の場合、音を大きくいれると反って聞きにくくなるようなので、若干下げています。

このように音に慣れている、慣れていないだけでも、補える音量から、聞こえの効果まで全く違います。慣れていない状態では、音を大きく入れる事ができないため、補聴器を装用し、初めから補聴器の効果を狙う事は、残念ながら難しくなります。

現に例で出した数値では、目標値対し、大きく下回っている状態から始めています。音が聞こえにくいから耳が聞こえにくい状態ですので、補聴器でも音を抑えれば聞こえにくくなります。補聴器を装用すれば聞こえるようになるのではなく、補聴器でしっかり音量を入れるようにする事で、聞こえるようになります。

感覚に慣れるためには使い続ける事

では、実際にはどのようにしたらよいのか。冒頭に既に答えが書いてありますが、私から言える事は、補聴器を使い続ける事です。初めは効果を感じにくいかもしれませんが、使い続ける事で、音の響きや自声の響きに違和感を感じにくくなれば、音量を上げられ、上記のように音を補いやすくなります。音を入れられるようになれば、自ずと聞こえも良くなります。

使い続ける場所は、初めは静かなところがお勧めです。騒がしくなければ使い続けられる確率が高くなり、使い続けられれば補聴器の音に馴染む時間も早くなります。馴染ませる上で重要なのは、補聴器の使用時間を長くする事。ただこれだけです。

聞こえを改善したいところで、どのように聞こえるのかを試したいと考えるのは、仕方がない事ですが、上記のようにしている事が多いため、いきなり改善できる事はほぼありません。

音に慣れる事ができれば、少なくとも補聴器に関する印象は異なりますし、響きが軽減してくれば、まるで耳の一部になったような感覚もあります。

このようになれば後は楽になります。しかし、この手前で諦めてしまうと、補聴器で本来得られるはずだった効果も手放す事になります。

別例から考える慣れるという事

私自身、よく思うのは、

  • 靴擦れ
  • 歯の被せもの

も補聴器と同様ではないかと感じます。私自身は、よく靴擦れが起こるのですが、こちらは怪我しても履き続けていると、怪我した後以降は、全く怪我しなくなります。何とも不思議な感覚ですが、恐らく皮膚、あるいは足自体が何らか対応しているのでしょう。

また、歯の被せものも同様です。前歯の治療や歯の損傷が大きいと歯の型を採取し、歯を丸ごと入れるような被せ物をした事があるのですが、一番始め、ものすごいきつい感覚があります。しっかりハマっている感覚といえば聞こえは良いのですが、正直、はまった感覚が強すぎて違和感しかありません。治療後は、めちゃめちゃ気になります。

しかし、1週間くらいすると、その感覚がキレイさっぱり消えます。歯医者さんでも「しばらくは気になるかもしれないけど、自然になくなるよ」と言われ、確かにその通りになりました。

このように慣れる事で、初めは気になっていた事が全然気にならなくなるケースは、身近にもあります。これは、補聴器も同様ではないかと、私は思います。

現に私は補聴器を使っていますが、補聴器業界に入りたての頃、お客さんが響く、こもると言っていた事がわかりませんでした。それは、当然、私自身が補聴器に慣れてしまっているため、感じていない、あるいは少々感じてはいるものの、許容範囲内だったからです。

慣れてしまえばなんて事ない事も慣れる前は大変。つい最近、これらを思い出す出来事があったので、そのようにも感じます。靴も歯も慣れなくても使い続ける事で(靴は使い続けない方が良いですが)、違和感がなくなり、普通に使い続けられるようになります。

補聴器も同様です。初めは大変だと思いますが、慣れてしまえばなんて事ない事もあります。そのために、補聴器はとにかく使い続ける事が重要です。使い続ける事で違和感がなくなり、さらに音量も入れやすくなる事で、聞こえも改善しやすくなります。そうなれば、結果的に補聴器で改善できる事が増えてきます。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:徐々に自立のために補聴器を使う人が増えてきたというお話し

リンク:補聴器相談初めての人が押さえておくべき購入にかかる時間

リンク:適切な補聴器を理解する補聴器評価ポイントまとめ

リンク:補聴器の音に慣れるために行う3つの事

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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