2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

初めての方に補聴器を調整する際に行われている3つの事

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補聴器を初めて装用する方には、どう補聴器の音は、調整しているのでしょうか。どこも、なかなか補聴器の調整に関しては、記載していません。こちらでは、どのように補聴器を調整しているのか、普段販売店の人が、どのような事に気をつけているのか、それらに関する内容について、記載していきます。

あくまでも私自身がやっている事ですので、参考程度にどうぞ。補聴器をどのように調整しているのかの全体的な内容が理解できれば幸いです。

補聴器の調整の流れ

初めに補聴器を調整する流れについて記載していきます。基本的には

  • 耳を測定する
  • 補聴器をフィッティングする
  • 補聴器を装用し、音の確認をする

という流れになります。初めての場合、この三つを通して、補聴器を調整していきます。

耳を測定する

まず初めに行われるのは、耳の確認です。どのような聴力かがわからないと、どのように音を入れてあげればよいかわかりません。そのため、聴力測定を必ず行います。 audio-gram-11

このような図をオージオグラムと呼びます。こちらは、耳の聴力を表した図で、補聴器を耳に合わせる際にも使われます。○、×、[、]と色々ありますが、この全てを使用します。

補聴器をフィッティングする

では、早速見ていきましょう。補聴器をフィッティングする際に必要なのは

  • 調整ソフト
  • パソコン
  • 通信装置(繋ぐ道具も含む)
  • 補聴器
  • 耳の聴力

の5つになります。

補聴器はパソコンで調整するのが主流

補聴器はパソコンで調整するのが主流

パソコンと

調整に必要な他の道具。こんなものもあります

調整に必要な他の道具。こんなものもあります

調整する道具、補聴器があります。

こちらについては、

  • フィッティングの概要
  • 実際の調整

の二つに分けて載せていきます。

フィッティングの概要

フィッティングとは、主に耳に補聴器を合わせる作業を指します。補聴器は、聴力レベルに応じて、必要な音を補い、耳の改善を試みます。

今現在、補聴器の音を調整する場合ですが、パソコンを使って調整するのが主流です。補聴器には、アナログ補聴器とデジタル補聴器の二つがあり、現在は、ほぼデジタル補聴器になります。このデジタル補聴器は、パソコンを使って調整します。

デジタル補聴器の特徴は、補聴器の中にコンピュータを詰め込む事で、

  • 周波数別に様々な調整ができる
  • 入ってきた音レベル(大きさ)ごとに調整できる

というような事ができるようになった事です。コンピュータが詰め込まれると、入ってきた音の大きさ、周波数を調べ、それぞれ、どのくらい大きくしようか……というのが、細かくできるようになりました。以前のアナログ補聴器は、決められたパターンしか出力できなかったのですが、コンピュータを詰め込み、分析能力がつく事で、それを応用し、それぞれの周波数、音の大きさごとに調整できるようになったのです。ここがデジタル補聴器のすごいところですね。

実際の調整

では、実技です。

まずは、データの登録を行う。補聴器は一度で調整が済む事はないからだ。

まずは、データの登録を行う。補聴器は一度で調整が済む事はないからですね

初めにフィッティングソフトを立ち上げます。データを残すために、登録し……

聴力を入れる画面がこちら、色々なデータを入れる事ができる

聴力を入れる画面がこちら、色々なデータを入れる事ができる

必要なデータを入力する画面を開き……

入れたイメージ、データは使い分けする

入れたイメージ、データは使い分けする

データを入力します。こちらは、用意した聴力データです。○、×、のみ入力しています。細かい説明は省きますが、感音性難聴の方の調整と伝音性難聴の方の調整は、異なります。明らかに伝音性難聴である場合は、[、]を、入力しますが、感音性難聴の場合は、入力しません。これは、初めての場合、感音性難聴なのに入力すると必要以上に音が大きくなってしまい、うるさくなりすぎてしまう可能性があるためです。

補聴器に繋ぐ

補聴器に繋ぐ

補聴器を機械に繋ぎ

補聴器の読み込みを行う

補聴器の読み込みを行う

次に補聴器を検出。

補聴器を検出し、どうしたいのかを選択

補聴器を検出し、どうしたいのかを選択

補聴器の読み込みを行い、新しくフィッティングを選択。補聴器の中の設定を使って調整する場合は、上野補聴器からのフィッティングを使用します。続行を押すと……

再度読み込み、画面は繋げている最中のもの

再度読み込み、画面は繋げている最中のもの

補聴器とパソコンが通信し合い……

これで完了だ

これで完了だ

これでOKです。

補聴器には、全体と詳細の調整がある。こちらは、全体の調整。

補聴器には、全体と詳細の調整がある。こちらは、全体の調整。

さて、調整画面です。補聴器は、聴力データさえいれればおおよその部分は、ソフトが調整してくれます。ソフトには、大まかに合わせるものとして、装用レベル、経験レベルというものがあります。補聴器に慣れている人と慣れていない人では、出せる音、耐えられる音が異なりますので、このようなものがあります。初めに、こちらでおおよその部分を合わせていきます。

上記の図には、パーセンテージが書かれていますね。こちらは、聞こえにくさのレベルに応じておおよ必要な音量レベルに対し、どのくらい音を大きくしているかを表すものです。

100%は、補聴器が慣れている状態で使う設定。初心者には、うるさすぎる設定でもある

100%は、補聴器が慣れている人が使う設定。初心者には、うるさすぎる設定でもある

80%を100%にすると、このようになります。赤い線、青い線は、赤い線:右の補聴器、青い線は、左の補聴器の調整を表します。線が上にあるとあるほど、音が大きく聞こえるようになります。

……110%は、100%が物足りない場合に使う。ほとんどいないが……

……110%は、100%が物足りない場合に使う。ほとんどいないが……

110%にするとさらに音量が上がります。ここまでする事は、ほとんどありませんが、基本的には、80%くらいから、100%くらいの音量を目指します。初めは、音量を少なくした状態で始める事が多くなります。

こちらでは、主に全体の音量を大きくしたり、小さくしたりと、おおまかな調整になります。

全体と詳細、詳細の調整版がこちら。

全体と詳細、詳細の調整版がこちら。

その後、細かな調整に移行。先ほどは、全体でしたが、今度は詳細です。

補聴器は、細かすぎるくらいに調整できる

補聴器は、細かすぎるくらいに調整できる

詳細画面では、それぞれの対応する周波数ごとに調整ができます。補聴器の場合は、縦軸に音の入力音、横軸に周波数があります。縦軸にある音の入力音には、G80、G65、G50、とあり、それぞれ

  • G80:大きい音の調整
  • G65:通常の音量の調整
  • G50:少し小さい音量の調整

ができるようになります。聞こえにくい人は、音の感覚が一般の人と異なりますので、このような調整画面になります。

周波数別に細かく出ているのですが、これが補聴器の中の性能の一つ、ch(チャンネル)になります。画面に写っているのは、16チャンネルの補聴器ですが、調整できるところは、補聴器そのものに備わっているチャンネル数で異なります。

この部分だけ調整するという事も……(まず調整しません)

この部分だけ調整するという事も……(まず調整しません)

補聴器の調整では、こんなところを調整できたり

全体を微調整は、よくある調整の一つ

全体を微調整は、よくある調整の一つ

全体そのものを調整したり

ある程度、まとまった周波数を調整するのもよくある調整

ある程度、まとまった周波数を調整するのもよくある調整

周波数をまとめて調整するという事もできます。

補聴器には、全体と詳細の調整があり、全体がパーセンテージで表示されていたもの、そして詳細は、細かく調整できる微調整で行えます。

なお、私自身、初めて補聴器を装用する方には、高い音を予め削っておきます。高い音は、補えれば理想ですが、初めは苦痛に感じたり、不快な感覚になりやすい傾向があります。恐らくどの販売店でも行っている事だと思います。

補聴器は、こんな風に調整しています。

補聴器を装用し、音の確認をする

補聴器を調整する基本的なステップとしては

  • 補聴器を調整する
  • 音の確認をする

の二つを繰り返します。補聴器を調整する部分については、記載しましたので、残りの音の確認について見ていきましょう。

補聴器の調整では、様々な音を聞かせ、騒がしい、大きい、音を聞くと苦痛などがあれば、その部分を削ります。そしてその後、音の確認を行います。

音の確認には、

  • 補聴器を装用して感じた感覚はどうか
  • 補聴器を機械を使って客観的に判断する

の二つがあります。各それぞれ見ていきましょう。

補聴器を装用して感じた感覚はどうか

こちらでは、

  • 確認事項
  • 音が耐えられるかの基準

の二つに分けて載せていきます。

装用時の確認事項

補聴器を調整する時点で、補聴器を装用してどうかの確認をしつつ行っているのですが、この確認として多いのが

  • 音は耐えられるか
  • こもりは耐えられるか

の二つがあります。

音は耐えられるかには

  • 紙の音はどうか?
  • 大きい突発的な音はどうか?
  • 水の音はどうか?

の三つがあります。そして、こもりについては

  • 自分の声の響き
  • 耳が詰まった感覚

の二つがあります。これは、補聴器を装用した時に起こる要素となります。

補聴器装用時に確認する事リスト

補聴器装用時に確認する事リスト

言葉だけではわかりづらいので、図にしました。確認するのは、おおよそこの辺りになります。

こもりに関して説明させていただきますと、こもり(装用感)とは、耳に詰め物をすると感じる自声の響き、あるいは、耳が詰まった感覚を指します。この感覚は、誰でも感じるものなのですが、中には、この感覚が強く感じすぎてしまい、補聴器の装用を邪魔する事もあります。

こちらで大切なのは、耐えられるものか、そうでないかの確認になります。0にはできなく、かつ軽減しようとするほど、聞こえない補聴器が出来上がってしまいますので、その境目を見つける事が重要です。

音を耐えられるかの基準

人の表現方法は、曖昧な事が多いので、私のところでは、このような表を使って、確認します。

感覚確認表、大雑把だが、感覚がわかりやすくなる

感覚確認表。大雑把だが、感覚がわかりやすくなる

こちらは、音の感覚表です。音を聞かせて、大きいと表現した場合、

  • 耐えられないほど大きい
  • 聞き続けると苦痛を感じるほど大きい
  • 大きいけど聞き続けられる

など、単に大きいという言葉だけでも、考えられる事はたくさんあります。そして、それぞれが意味する言葉の意味は、異なります。

どのように感じているかを確認するために、一律の表現を使う事で、理解しやすくするのが、こちらの表です。また、補聴器の調整は、基本大きい音は大きく感じ、普通くらいの音量のものは自分も普通に、小さい音は自分も小さく聞こえるようにします。

大きすぎて苦痛を感じるレベルは、明らかに調整が必要ですが、大きいと感じる音は、そのままになります。これは、不用意に大きい音を下げすぎると、音や音声が聞きづらくなる事もあるためです。聞きやすさを重視するには、それぞれの音の感覚を確認する事も必要になってきます。

補聴器を機械を使って客観的に判断する

補聴器は、耳に装用しただけでは、聞こえる感覚こそわかるものの、どのくらい聞こえるようになっているのか、そして、実際どの程度補聴器の効果が出ているのかを確認する事ができません。そのため、販売店には、設備として、防音室から音を出し、それぞれ確認する事を行っています。

基本的には

  • 補聴器を装用した状態で音を聞かせる
  • 補聴器を装用した状態で言葉の理解力を調べる

の二つがあります。この辺りは、販売店により、どのようにやっているかが(実際にやっているのかも含めて)大きく異なります。

音を聞かせる

補聴器の聴力検査版といえば理解しやすいかもしれません。補聴器を装用した状態で、どれだけ音が聞こえるかを調べる測定があります。主に、音場閾値測定(おんじょういきちそくてい)と呼ばれるものですが、補聴器のおおよその効果を見るために使用されます。

音場閾値測定の例、客観的に確認すると効果がわかりやすい

音場閾値測定の例、客観的に確認すると効果がわかりやすい

こちらの見方は、△が補聴器なしの状態、▲が補聴器ありの状態です。▲の位置が、どのような場所にあるかを調べ、補聴器の効果を見ます。基本的には、

  • 聴力70dBまで:▲の位置、30〜40dB
  • 聴力70dB以下:▲の位置、聴力の半分

このように目標値を決め、どのように聞こえているかを確認します。確認する事で、効果が初めて理解できます。

言葉の理解力を調べる

耳の測定には、言葉がどれだけ理解できているのかを調べる測定があります。主に、語音明瞭度測定(ごおんめいりょうどそくてい)と呼ばれるものです。

補聴器を装用した状態でもこの測定を行う事ができますので、状況を確認する際に活用されます。様々な音量で、言葉の理解力を調べると、それぞれの状況でどのくらい聞こえが改善しているかがわかります。

自分の補聴器効果の図

自分の補聴器効果の図、音声がどう理解できているかがわかる

例えば上記の図は、私が補聴器を装用した状態の図です(書いている人は、生まれつき耳が悪い人です)。例により△が補聴器を装用していない状態で、▲が補聴器を装用している状態になります。これだけではわかりにくいので、

パーセンテージ別、理解レベル。こちらを理解する事が何よりも重要

パーセンテージ別、状況。こちらを理解する事が何よりも重要

補聴器フィッティングの考え方を参考に製作

この表も頭に叩き込めば、大抵の事を可視化できる

日常の音量レベル表

を追加します。すると、補聴器を装用した状態の聞こえの現状がわかり、かつ補聴器を装用していない時の聞こえの現状もわかりますね。さらにこの二つを比較する事もできます。

補聴器を装用した状態では、40dB=小さな声レベルまで90%まで音声が理解できていますし、50dB=離れた時の会話音(3m)でも95%まで理解できるようになっています。補聴器を装用する方は、感音性難聴ですので、状況がどうなのか。それらの確認と補聴器を装用して、どうなのか。これらを機械を使って可視化します。

なお、この測定は時間がかかるため、相談時間が長くなりがちな初回にやるケースは少なくなります。また、聴力レベルによっては、行う事ができません。このような注意点もある測定です。

補聴器の調整は、こんな感じでしています

初めての方に補聴器を調整する場合、行われている事としては

  1. 聴力を調べる
  2. 調べた聴力を使って、補聴器をフィッティングする
  3. フィッティングした補聴器の状況確認を行う

この三つになります。補聴器は、単に音を設定するだけで合う事は残念ながらありません。そのため、補聴器を装用した状態を確認しつつ、細かな調整を行い、徐々に合わせていきます。

補聴器を調整する時にも色々と気をつけていますし、確認する作業にもこれだけの量があります。これらを繰り返して、補聴器は、耳に合わせていきます。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器販売店の測定室にあるものと行っている4つの事

リンク:語音明瞭度測定で理解できる3つの事

リンク:補聴器の音に慣れるために行う3つの事

リンク:耳が聞こえにくい私がフォナック補聴器を使い、かつ扱っている理由

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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