2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

耳に補聴器を合わせる基本的な調整スタンスと二つの軸


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補聴器を装用すると、良くも悪くも聞こえるようになるわけですが、補聴器を調整するうえで、耳に合わせる軸というものが存在します。それは、音声が理解しやすくなっているのか、周囲の音は、我慢できる範囲内かの二つです。

補聴器を装用する人のほとんどの望みは「音声が理解できるようになりたい」となります。しかし、日々の日常には、人の声以外にも様々な音が存在しています。むしろ、人の声以上に多いですし、大きい音であるものも多々あります。そのため「音を大きくはするが、耐えられないほど大きくはしない」という風に考えて調整をしていきます。

基本的な調整スタンス

補聴器の場合、やっている事は、音を大きくする事です。音が聞こえにくくなった耳に音を入れて聞きやすくするという事ですね。冒頭の通り、軸としては二つあり

  • 音声が理解しやすくなっているのか
  • 周囲の音は我慢できる範囲か

というのを確認しつつ、調整をしていきます。補聴器で音を大きくする際に気をつけるのは、音が我慢できる範囲内かになります。「おや?声が聞こえるようになる事ではないの?」と思った方は、ぜひ以下の音量表を見てみてください。

身近な音の音量表。声以外に大きい音が日々の日常にはある

身近な音の音量表。声以外に大きい音が日々の日常にはある

左側の数値が音の大きさの単位で、この数値が大きくなるとなるほど音が大きく感じます。一般的な会話の際に話す音量は、60dB付近の大きさです。この表を見てみると普通の会話音の上にいくつかありますね。つまり、声以上に大きい音が多いので、日常生活で使えるようにするため、音量を抑える事も必要になる事があります。この他にも食器を落とした時の音(約90dB)ドアを強く閉めた音(約90dB)などもあります。

補聴器は、声を聞こえるように音を大きくする機器ですが、同時に大きくしずぎてしまうと声以上に大きい音はより大きくなり、苦痛に感じる事もあります。そのため、音を抑える事も必要になる事があります。

声を聞きたいという願いはとても重要な事です。しかし、実際問題、それ以上に大きい音が多いため、聞こえるようにしつつ、我慢できるようにするという調整が必要になります。それが補聴器です。

日常生活で使用するために、このような調整が必要になってきます。

それぞれの確認事項

補聴器の音の調整以上に重要なのは、音の確認です。どんなものもやったら終わりではなく「やってみてどうだったか」 を検証しますよね。いわゆるPDCAというやつです。よく例えられるメガネでも、

  1. 視力の低下を確認
  2. 視力を補うメガネをつける
  3. どのくらい見えるようになったかの確認
  4. その数値は良いのか、悪いのか
  5. 良ければ終了。悪い場合は、もっと良くする方法はないかの検証

という順に良くしていきます。これは、補聴器にも同様の事が言えます。どんなものにも限界はありますので、その限界(もしくは目標)と比較し、今の現状はどうなのか、そしてよりよくする方法はないのかを考えていきます。

では、補聴器の場合はといいますと

  • 音の大きさ
  • 音声の理解度

の二つを確認していきます。ここも冒頭と同じで、基準は、補聴器が使える範囲内で、音声がちゃんと聞きやすくなっているのかの確認となります。

音の大きさ

音の大きさは二つあり、

  • 使ってみた感想
  • 音場閾値測定(おんじょういきちそくてい)

の二つがあります。

使ってみた感想

使ってみた感想は、様々なのですが、こちらの軸に合う話しにしますと「聞こえてくる音は、耐えられるレベルなのか」を確認します。聞こえる音の評価は、大きい音は大きく聞こえる事を良しとします。しかし、その大きい音が苦痛に感じるレベルまでくると音量を下げます。

しかし、この部分は、慣れによって変わる部分もありますので、評価が難しいです。私の場合は、調整した後に「使えそうか、そうでないか」を確認し、迷うようであれば少し下げた状態にしています。

音場閾値測定

補聴器を装用した状態でどのくらい音が聞こえているのかを調べるのが、この音場閾値測定です。補聴器を装用した状態で、聴力検査を行うようなイメージになります。こちらを行うと、補聴器を装用し、どこまで聞こえるようになっているのかの確認をする事ができます。

このような道具を使うのは

  • 装用するだけではわからない
  • ちゃんと音が入っているのかの確認

の二つの意味で行われます。補聴器を装用している私から言えるのは、補聴器を装用するだけでは音が大きくなった感覚こそわかりますが、その状態が良いのかどうかわからないという事です。先ほどのメガネの例で言いますと、メガネをつけて視野が広がり、見えるようになったが、それで良いのかどうかわからない状態となります。

ですので、補聴器を装用し、どのくらい聞こえるようになっているのかの確認を行い、実際の聞こえはどうなのかを見ます。目標とするところまで来ているのか、そうでないのかを比較する事で、現状を理解する事ができるのが、この測定です。

また、周波数別に調べられますので、どの音がしっかり入っていて、どの音があまり入っていないのか、というところも理解する事ができます。足りていればOK、そうでないところは補うというように次に繋げる事もできます。

補聴器は装用している感覚だけではよくわからないので、ちゃんと音が入っているのかの確認は、とても重要です。

音声の理解度

補聴器を装用する人は、私も含めてほとんどの人が感音性難聴です。感音性難聴とは、仮に補聴器を装用したとしても、残念ながら耳が治るわけではありません。耳の神経上に何らかの問題があり、聞き取りの阻害がどうしても起こりえます。そのため、補聴器を装用した状態でどのくらいの音量でどう音声が理解できるのかの確認を行います。これは、語音明瞭度測定(語音弁別能検査)と呼ばれます。

こちらも行う理由に関しては、音場閾値測定と同じく、補聴器を装用して聞こえるようになったとしてもそれが果たして良い状態なのかがわからないためです。

  • 装用するだけではわからない
  • 補えるところまで補えているのか

この二つの確認のために行います。私自身の考えとしては、限界があるなら、せめて限界まで、あるいは限界付近までしっかり補う。ただそれだけになります。

調整に関するまとめ

さてまとめていきます。基本的には

  • 周囲の音は我慢できる範囲か
  • 音声が理解できるようになっているのか

の二つがあり、補聴器は、音を聞こえるようにしつつ、音が我慢できる範囲内にある状態にします。

音の大きさ軸での確認は

  • 使ってみた感想
  • 音場閾値測定

の二つがあります。使ってみた感想では、音の大きさについて確認し、音場閾値測定は、どのくらい音が聞こえるようになっているのかの確認です。

これらを言い換えれば、音を大きくした事で、音場閾値測定でもしっかり音が入っている。では、実際に使ってみてうるさすぎる事はないだろうか。と確認したり、使ってみた感想は、そううるさくはないようだ。では、音場閾値測定で不当に低い数値は出ていないだろうか。と見ます。

音声の理解については、補聴器を装用した状態で、どのくらい理解できているのかの確認を行います。良くも悪くも数値で出ますので、もしかしたらあまり良い気はしないかもしれません。しかし、どこまでしっかり補えているのかは数値にしないと曖昧なままになります。しっかり補えているのかの確認をするために、こちらを行います。

と、補聴器はこのようにして合わせていきます。

初めの通りですが「音を大きくはするが、耐えられないほど大きくはしない」という風に考えて調整し、しっかりと効果があるのかも確認して、耳に合わせていくのが補聴器です。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:補聴器を初めて装用する方に伝えたい装用後の世界

リンク:初めて補聴器をつけると起こる2つの事

リンク:【実例】中等度難聴者が補聴器を装用するとどう改善されるのか

リンク:耳かけ形補聴器、耳あな形補聴器を選定する2つのポイント


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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