2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

自分の補聴器は耳に合っているの?という方にしている確認方法


sunflowers-268015_640

補聴器が耳に合っている、しっかり調整されている、この評価は、何と言いますか、非常に難しい問いかけですが(合っている、調整されているの定義次第でコロコロ変わりますので……)、私自身がしている確認方法は、今現在の聞こえを数値化し、目標値と比較する。ただそれだけです。

この方法には、簡易的に行うものから、みっちり行うものまであり、私自身は、お客さんにヒアリングをしつつ、使い分けています。では、どのような事を行うのでしょうか。見てみましょう。

確認の基本は、現状把握と目標値との比較

さて、初めに申し上げるのは「耳に合っているの?」という場合、どのようにして合っていると言えるのか。という点です。その場合ですが、私は、補聴器で補うべくところまで補えている事と定義しています。言い換えれば、補聴器の役割をしっかり担っているかどうかになります。

補聴器の世界には、補聴器の効果が出やすい数値、あるいは、どこまで補聴器の効果を出せるのかがおおよそ決まっています。その目標値と現状の数値を比較する事で、耳に合っているのか、そうでないのかを調べる事ができます。

別の例を出してみますと、メガネ(コンタクトレンズ)で視力を補ったとします。視力検査で1.0まで補えていれば、良しとするケースでは、そこまで補えていればOK、そこまでいっていなければNG、もしくは、最低限生活するのに必要な視力レベルであれば、OKにしているケースが多くなります。このように現状の状況を数値化し、目標値を比較すると、合っているのか、どうかを理解しやすくなります。

実際の確認方法

現状確認の仕方には、簡易的にやる方法とみっちりやる方法の二つがあります。簡易的なものは、簡単にでき時間もかかりませんが、おおよその事がわかります。みっちりやる方法は、時間がかかりますが、詳細までわかります。

簡易的にやる方法

簡易的に行う方法は、音場閾値測定というものを行います。これは、補聴器を装用した状態で測定する聴力検査のようなもので、この測定を補聴器を装用した状態と、装用していない状態で測定します。すると、補聴器を装用した状態と、そうでない状態の違いがわかり、補聴器を装用した状態で、どのくらい聞こえているのかがわかります。

こちらがお店の防音室です。測定は、防音室の中で行います。

こちらがお店の防音室。測定類は、防音室の中で行います。

こちらがお店の防音室です。このような部屋の中で測定を行います。

音が反響しないように防音材がびっしり!

音が反響しないように防音材がびっしり!

こちらが入り口で……

部屋の様子、電気をつけていませんので、少々暗く感じるかも?

部屋の様子。電気をつけていませんので、少々暗く感じるかも?

このような部屋で

補聴器を装用した状態を調べる測定は、全部スピーカーから音を出して調べる

補聴器を装用した状態を調べる測定は、全部スピーカーから音を出して調べる

こんなスピーカーから音を出し

音場閾値測定の場合は、スピーカーから音を出し、聴力検査同様、聞こえたらボタンを押してもらう測定

音場閾値測定の場合は、スピーカーから音を出し、聴力検査同様、聞こえたらボタンを押してもらう測定

聴力検査と同じような要領で行うのが、音場閾値測定です。

audio-onjou-01測定例、▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。補聴器装用時の数値である程度効果がわかる

測定例、▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。補聴器装用時の数値である程度効果がわかる

さて、これによって調べてみますと、▲の位置が補聴器を装用した状態で、△の位置が補聴器を装用していない状態です。△の位置、あるいは、聴力測定の結果より、目標値を定めていきます。おおよその目標値ですが、

  • 数値:聴力70dB以下
  • 目標:250Hzと4000Hzは、35〜40dB
  • 目標:500Hz〜2000Hは、30〜35dB
  • 備考:あくまでも目標値です。

となります。70dB以上は、数値の半分を目標にしていきます。その数値と聴力ごとの目標値を定め、目標値と比較する事で、状況を理解しやすくなります。それぞれ測定した数値と目標値を比較し、どうかを確認します。それが簡易的な方法です。

実際にそこまで出ていれば、適正と判断できますし、そこまでたどり着いてない場合は、聞こえにくい場合があります。ただ、この点は、あくまでも目標値ですので、必ず、その数値にしなければならないという事はありません。中には、音が大きくなると使用できなくなってしまう方もいますので、数値の判断は、数値の結果と使用状況により異なります。

簡易的な方法で、結果がよい方は、大抵みっちりやる方法でもよい結果が多い事があり、精密度は少し下がる傾向はありますが、時間をかけずに調べられるのが、利点ですね。

みっちりやる方法

みっちりやる方法は、簡易的な方法に+し、語音明瞭度なるものも調べます。上記に記載した補聴器が耳に合っているの定義は、補聴器で補うべくところまで補えている事としました。その場合、音だけでは、音声がどこまで補えているのかがわかりません。こちらは、音だけでなく装用者の希望である音声がどのくらい理解できているのかを調べるものになります。

ただし、この場合、目標値の設定が人によって大きく変化します。音声を理解しやすい方は、目標値を大きくし、残念ながら理解しにくい方は、目標値も低くなりがちです。

箱は結構大きいです。

測定類を行う箱は結構大きいです。

こちらも音場閾値測定同様、この箱の中で調べます。

具体的な例は、耳の状態を語音明瞭度測定なるものを行い、そこで出た最良の値を目標値とします。

ヘッドホンで調べるケース、こちらは、各耳の最良値を調べる際に行われる

ヘッドホンで調べるケース、こちらは、各耳の最良値を調べる際に行われる

これの調べ方は、二つあり、ヘッドホンを装用して調べるケース

再び、スピーカー。基本的に補聴器を装用した状態は、ヘッドホンでは調べられないので、スピーカーを使う

再び、スピーカー。基本的に補聴器を装用した状態は、ヘッドホンでは調べられないので、スピーカーを使う

スピーカーから音を出して調べるケースの二つです。それぞれのものを使い

測定する際に書く紙。こちらに記入し、どのくらいの正解率かを見る

測定する際に書く紙。こちらに記入し、どのくらいの正解率かを見る

こんな表に聞こえた音声(単音)を書いてもらいます。

測定結果の例、こんな感じに答え合わせをして、正解率を見る

測定結果の例、こんな感じに答え合わせをして、正解率を見る

こちらが記入例ですね。ちょっとごちゃごちゃ書いてあるのは、お気になさらず……。

ヘッドほんで測った語音明瞭度測定。○と×は、それぞれ右と左を表す

ヘッドホンで測った語音明瞭度測定。○と×は、それぞれ右と左を表す

こちらは、ヘッドホンで測った場合に書く表です。○が右を表し、×が左側を表します。縦軸は正解率で横軸は、音の大きさです。こちらを見ていただきますと、音を入れる事で右は、85%、左は90%まで理解できていますね。その場合は、この85〜90%を目標値にします。

そして、音場閾値のような感じで、スピーカーから様々な音量の音声を出し、最良値付近が出るように調整していきます。厳密な数値は、聴力によって変えていますので、何ともいえませんが、中等度難聴レベルですと補聴器を装用した時に目指すおおよその目標値は

  • 40dB:最良値より10〜20%ダウンまで許容範囲
  • 50dB:最良値より10%ダウンまで許容範囲
  • 60dB:最良値より10%ダウンまで許容範囲
  • 70dB:最良値より10%ダウンまで許容範囲

になります。

補聴器を装用した状態まで測定した図。こんな感じに色々と見れます。

補聴器を装用した状態まで測定した図。こんな感じに色々と見れます。

さて、新たに▲と△が出てきました。この▲は、補聴器を装用した状態の数値で、△は、補聴器を装用していない時の数値です。

実際にやってみて、補聴器装用時、しっかり効果がでている場合は、最も良い状態になります。しかし、あくまでも目標として行っており、そこまで出る場合は、良いのですが、何をやっても出ない場合もありますので、その場合は、そこを限界値として見ます。

このようにみっちりやる場合は、耳の状態を限りなく理解し、その後、どのような状況かを見ます。それが、みっちりやる方法です。時間はかかりますが、その代わり今現在の詳細もしっかりわかります。

なお、この方法は、一部高度難聴〜重度難聴の方はできません。語音明瞭度測定の数値が適切に測れなくなり、どこを目標値とすれば良いかが不明になるためです。この点は、申し訳ありません。

聞こえるだけではわからない

補聴器は、耳に装用し、聞こえるようになるだけではわかりません。わかるのは、聞こえてくる感覚のみです。そのため、どのくらい理解できているのか、聞こえているのかは、機械で数値化しないとよくわかりません。感覚だけでは理解できないところもあるため、このような測定方法があります。

これは、メガネ(コンタクトレンズ)も同様で、装用してわかるのは、見えるようになった感覚だけです。どのくらい見えているのか、その見え方はよいのかは、機械で数値化しないとよくわかりません。メガネ(コンタクトレンズ)をかけ、視力検査を受けて、その数値を見て「しっかり見えていますね」や「おや?ちょっと見えにくくないですか?」という事がわかります。

どんなものも感覚でわかる事もあれば、数値化しないとわからない事もあります。そのため、耳に合っているか、どうかは現状を数値化して確認します。そして、その数値が目標となるところまで聞こえているのか、そうでないのかで合っている、合っていないを判断します。もっとも耳の場合、全ての方がその目標値まで達成できるとは限りません。ですので、限界値も見ていかなければならないのですが、初めに行うのは、現状の確認と目標値の設定です。

これらの事を行って私の場合は、耳に合っているのかどうかを確認しています。最近、現状確認の依頼が多いので、ちょっと書いていました。意外に皆さん、感覚の数値化はしていないのですね……。

 

この内容をご覧になった方は、こちらもお勧めです。

リンク:補聴器を新しくする時に起こる感覚の乖離とその改善方法

リンク:補聴器を長く使用する場合の落とし穴とそれを回避する方法

リンク:生まれつき聞こえにくい私は、自分の聴力をどう改善させたか

リンク:補聴器の買い換え時、同じメーカーが良いのか、別メーカーが良いのか


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム