2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

片耳が聞こえない方にクロス補聴器をご購入いただいた実例


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補聴器の中には、クロス補聴器という少し変わった機器があります。主に片耳のみの難聴の方で、難聴側の聴力低下が大きい方に有効な補聴器です。

おかげさまでいくつか試聴や販売もありましたので、実際にどのようにお客様が決めたのか、どう効果があったのか、クロス補聴器の選定はどのようにしたのか、それに関して記載していきます。ご購入に迷っている方の参考になれば幸いです。

※プライバシーを守るため、聴力に関しては少々変更しています。その他に関しては、一切変更しておりません。また、こちらは、耳かけ形のクロスを販売した例となります。

依頼者の状況

まず、実際に購入になった方の状況ですが

  • 聴力:片耳重度難聴、片耳健聴
  • 症状:突発性難聴
  • 形状:耳かけ形のクロス、補聴器
  • 訴え:仕事上で聞きにくさを感じ、困っている
  • 状況:少々職場が騒がしく、少し騒がしいだけで隣の人の声すら聞こえなくなる
  • 備考:過去に補聴器を難聴耳に装用したが、全く効果がなかった

このようになります。聴力に関しては、

クロス補聴器が合う典型的な聴力。※少し変更を加えています

今回売った方の聴力(マスキング実行済)。※少し変更を加えています

このような状態です。日常生活上、あるいは仕事上の改善を行うため、もう少しお話しを伺ってみますと、事務職をしており、電話を受け取る事も多く、すぐ隣にいる方の声が聞こえないケースや、聞き取りにくい事が多くあるという事でした。静かなところであれば、聞こえるようですが、少し騒がしくなると、全然わからないという事で、ご相談に見えました。

実際の試聴

クロス補聴器の説明に関して一通り行い(※どのように選定したかは下記に記します)、まずは状況改善ができるのか、どのようなものなのかを体験いただくために、小型タイプのクロスを試聴&貸出。

貸出したものは、

貸出したクロス補聴器。基本的には一般的な補聴器を聞こえる耳に、クロス補聴器は聞こえない耳に装用する

貸出したクロス補聴器。基本的には一般的な補聴器を聞こえる耳に、クロス補聴器は聞こえない耳に装用する

こちらになります。クロス補聴器を使用する場合は、聞こえの良い耳に装用する事とあり、先端の耳せんは、このようなものを使用します。

耳せんの穴は大きく空いているタイプを使用。この耳せんは、耳が塞がった感覚を軽減してくれる。

耳せんの穴は大きく空いているタイプを使用。この耳せんは、耳が塞がった感覚を軽減してくれる。

穴があいているのが特徴で、耳を塞いだ時の耳が詰まった感覚、声が大きくなる感覚などを防いでくれます。

また、事務職で電話をよくするという事でしたので、提案としては二つ行いました。

  • 一つは、今の補聴器のまま電話をする事
  • もう一つは、耳あな形補聴器にして、電話をする事

の二つです。今回貸出した補聴器は、耳を塞いでいない補聴器ですので、そのまま電話ができます。穴を塞いでいないため、補聴器をしながらいつも通り耳に受話器を当てて電話ができるという事ですね。

実際に行っていただいて、何も問題ないならそのまま活用いただくのが良いとご提案しました。ただし、電話の最中、クロス補聴器側の音が気になったり、クロス補聴器の音を切りたいのであれば、ボタンを押すところにミュート設定をして、音を聞こえなくさせる事もできるとご案内もしました。

補聴器には、音を聞くだけでなく、音量をあげたり、音の設定を切り換えるスイッチがある

補聴器には、音を聞くだけでなく、音量をあげたり、音の設定を切り換えるスイッチがある

これは、うるさいなかで電話をする際、片耳の耳を塞ぐようなイメージです。補聴器にはこのような設定もできます。

初めての事もあり、一番始めは、ボリューム機能を優先し、ボリュームの設定を行いました。補聴器には、聞こえる音を大きくする機能もあり、こちらで微調整する事ができます。貸出した補聴器は、ボリュームかミュートか、どちらかを選択しなければならなかったため、初めての試聴時は、ボリュームを優先させました。

耳あな形補聴器を提案した理由は、耳かけ形補聴器だと鬱陶しく感じる場合、補聴器を外して電話をする事になるためです。補聴器の脱着を考えると、耳あな形補聴器は、入れる、外すの二つしかありませんが、耳かけ形補聴器は、耳にかける、耳の穴に栓を入れる、補聴器を耳から外す、栓を耳から外す、という四つの動作が必要になり、作業量が二倍になります。もし、耳かけ形補聴器で気になる事があれば、耳あなが良い事を予め説明しました。その方が楽にできるからですね。

なお、お店は非常に静かなため、効果に関しては、よくわからないとの評価でした。今までいくつか試聴を行っていますが、クロス補聴器は、静かなところでは評価がイマイチわかりにくい傾向があります。この方も同様で、静かすぎて効果がよくわからないという事でした。これは、周囲が静かであれば聞こえる耳側で聞こえるためです。そのため、実際に試してみる事で、どうなのかを検証する事にしました。

試聴の結果

試聴の結果ですが、概要に関して記載しますと

  • 効果:感じた、特に周囲の声が聞きやすくなる
  • 時間:補聴器の使用時間は、一日12時間
  • 備考:初日から常に使用

職場で実際に使用いただき、感想を伺ってみますと「今まで聞きにくい側にいる隣の人の声すら気が付かない、聞こえないという状況下の場合、それが聞こえるようになった、わかるようになった」との事でした。使用する感覚は、何とも不思議な感覚がするようですが、使用してみると聞こえていない事が多い事に気が付いたようです。

しかし、あまりにも騒がしすぎる状況下では聞こえるようになる事もある反面、限界はあり、今まで通り、聞きにくい状況下もありました。さらにあまりにもお話しする人の人数が多いと声と声が重なってしまい、うまく理解できない事もあるようです。音の方向に関しては、よくわからないとの事でした。

効果がないところもあれば、効果がでるところもある。しかし、この方の場合、あると今まで以上に聞こえやすくなるため、ずっと補聴器は使用されていました。特に仕事上では、隣の人の声すら聞こえなくなるレベルであり、それが改善でき、大きく価値を感じていただけました。

効果を認めていただけたため、次のステップ、どのような補聴器を購入するかの選定に進みました。

クロス補聴器の選定

さて、クロス補聴器の選定です。クロス補聴器について全体像を記載させていただきますと

私が考える主な形状の違い(クロス補聴器版)

私が考える主な形状の違い(クロス補聴器版)

のようになります。この方のご相談をした際に以下の事がわかりました。

  • 重視:コスト面(金額)
  • 形状:こだわりなし
  • 操作:小型タイプで特に困る様子なし
  • 電話:今のクロス補聴器で問題なくできる
  • 備考:メガネを使用する事もある(コンタクトと使い分け)

そのため、耳かけ形のクロス補聴器で防水タイプを選定。

この方の場合、

  • 効果があるか
  • 電話の対応がどうか
  • コスト面(金額)

の三つを気にされていました。効果に関しては、耳かけのクロスも耳あな形のクロスもそう大きく変化する事はありません。さらに、耳かけ形のクロスで電話対応が問題なくできているのであれば、耳かけ形のクロスのどちらかを選択する方が良いだろうと判断しました。耳あな形のクロスは、少々お値段が上がるためです。

耳かけ形のクロスには、小型タイプと防水タイプがあります。この二つの違いは

  • 電池寿命が異なる(ランニングコストの差に直結)
  • 形状の大きさ
  • 耐久性(故障による修理費用の金額差)

の三つになります。金額に関しては、どちらも同じです。

防水タイプと小型タイプの形状比較。防水タイプの方が、2周りくらい大きい

防水タイプと小型タイプの形状比較。防水タイプの方が、2周りくらい大きい。特に厚みが

防水タイプは、ランニングコストと耐久性に優れている反面、形状が大きくなります。この点に関して質問してみたところ、形状は気にしていないという返答でしたので、こちらに決めました。耐久性+ランニングコストと形状の大きさ、どちらを取るかの問題で、この方の場合は、耐久性+ランニングコストの面を選択されました。

なお、実際には、この他にもいくつか質問をしています。例えば

  • 髪の音やメガネがしにくいなどはあるか
  • 補聴器の取扱いは特に問題ないか

になります。この質問の意図は、耳かけ形のクロスで良いのか、それとも耳あな形のクロスを考えた方が良いのかになります。耳あな形のクロスの良いところは、耳の穴の中に補聴器を入れる事で、マイクに髪の音やメガネ、マスク、ヘルメットがしにくいという事がなくなります。簡単にいいますと余計なノイズを聞かなくてよく、かつ日常生活上で邪魔になりにくい形状をしている事がメリットです。

耳かけ形のクロスは、耳にかける部分に装用するため、髪に触れた時にガサガサ髪の音が入ったり、メガネ、マスク、ヘルメットなどの邪魔になります。特に細いチューブで耳に固定しているため、保持力が弱く、補聴器にひっかかったりしますと、落ちやすい、扱いにくいという事にも繋がります。そのため、しにくい場合、あるいは、これらのものをよく活用するのであれば、耳あな形のクロスも視野に入れなければなりません。それをすべきかを考えるための質問です。

また補聴器の取扱いに関しては、問題なく使用できているかもそうですが、上記に記した通り、耳あな形のクロスの方が補聴器の脱着が簡単だからです。今のままで問題ないのでしたら良いのですが、使えている状態と面倒ではあるが使えている状態は異なります。そのような場合も耳あな形のクロスの方がよくなる場合があります。この確認のための質問です。

これらの確認をしたところ髪の音やメガネに関しては、髪の音は少し気になるが、メガネは気にされず。そして、その部分と耳あなのクロスに関して質問し、快適性を取るか、コスト面を取るかを確認したところ、コスト面を選択。取扱いに関しては特に問題ないとの事でしたので、結果的に耳かけ形のクロスの防水タイプに決まりました。

ちなみに音の設定に関しては、今までのものと同じにし、音量調整(ボリューム)はできるように設定。ミュート機能も行いました。貸出したタイプのものは、小さい形状のため、色々つける事はできないのですが、防水タイプのものは形状が大きいため、ボリュームもミュート機能も併用する事ができます。

防水形の形状と機能

防水形の形状と機能

少し聞きにくさを感じる場合は、ボリュームで大きくしていただき、電話の際、クロス側の音が気になるのであれば音を一時ミュートにし、電話が終わる頃にボタンを押して、ミュートを解除させます。このように設定する事で聞きたくない時だけ、音を転送させないという事もできるようにしました。簡単に言えば利便性をあげたという事ですね。いちいち外したり、付けたりするのは意外に面倒だからです。これは、使っている私がよく実感しています。

と、色々書かせていただきましたが、このように考え、補聴器選定をしました。実際には、購入前に試聴いただき使用が問題ない事も確認したうえで販売になりました。その後もよく使われているようで、何よりです。一番良かったのは、今まで困っているところで、改善できたところですね。

クロス補聴器のまとめ

クロス補聴器に関するまとめですが、

  • 片耳が非常に聞きにくい方に効果がある
  • 改善できないところもあれば改善できるところもある
  • クロス補聴器の形状によっても色々違いがある

の三つがあり、実際の選定に関しては、状況を伺いながら決めていく事になります。こちらに記載したのはあくまでも購入された方の例ですが、私がどこに注目し選択しているのか、実際の効果はどのように感じているのか、というところが伝われば幸いです。

という事で当店では、クロス補聴器に関する相談も承っています。気になる方はご相談ください!と営業してみます(笑)。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:【重要】補聴器屋の私がクロス補聴器の試聴をし続けてわかってきた事


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

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  • 自分の症状に合う補聴器は何か
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