2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器の聞こえを数値化して初めて補聴器の効果を実感したお話し

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最近「すみません、補聴器の状態を見てくれませんか?」という依頼が増えてきた。このような方々を対応してみて感じるのは、案外、聞こえを数値化して自分の状況を理解している方がいないのだと思う。

もちろん、それに関して、善し悪しをいう気はない。補聴器を購入する時に、必ずやらなければならない事ではないし、義務づけられている訳でもない。良くも悪くも自由だ。そして評価の対象はそこだけでもない。ただ、私は、自分自身の感覚を理解するためには、必要な事だと考えている。

ある日、一人の青年が訪ねてきた。「すみません、自分の聞こえに補聴器が合っているのかわからないので見てもらいたいのですが」私は快く引き受けた。

意外に多い?補聴器の状況を理解していない方

お店に来た青年は、こう告げた。

「すみません、こちらでは、色々検査してくれるんですよね?ホームページを見て、来ました」

「ありがとうございます。検査というよりもあくまでも補聴器を合わせるうえで見る意味での測定ですが、いかがなさいましたでしょうか?」

「実は、補聴器が自分の耳に関してしっかり合っているのかわからないので、見てもらいたいなと……」

「そうでしたか。今、気になる事でもあるのでしょうか?例えば急に聞きにくくなったりなどですが」

「いえ、それに関してはありません。ただ、仕事をしているもので、常にできるだけ良い状態にしておきたいというのがあります。もし、合っていないのなら調整もして欲しいです」

「承知しました」

初めてお店に来られたため、しばらく現状の確認が続いた。補聴器の調整の事、補聴器を購入した時の事、伺ってみると補聴器の調整はしたが、測定をし、現状に関して確認した事はないようだ。そして、仕事が忙しく、平日しかやっていない病院、補聴器販売店に行く事ができず、なかなか相談ができなかった現状についても教えてくれた。

彼は言った。

「補聴器の事、よくわからないんです」

「?と言いますと?」

「今まで、聞こえの感覚に関して考えた事がありませんでした。実は、こちらのブログを見て、改めて考えてみました」

「……」

「今まで販売員の対応だけで判断してきました。優しく対応してくれて、しっかりやってくれました。でも、ブログを見てから、自分の補聴器ってどうなってるんだろう?と疑問が湧いてきました。さらに、聞こえのほうはどうなんだろうと」

彼は不安を感じていた。自分を対応してくれたあの人が、そのような事はないはず。しかし、自分の現状を確認するすべがないため、どうなのかもわからない。

私は、このように感じるのに心当たりがある。それは補聴器を装用する人は、感音性難聴だという事だ。感音性難聴の場合、どう調整しても、聞きにくいところが出てしまう、すると「どこまでしっかりやったか」という境界線が見えにくく、聞こえにくい事=ちゃんと調整されていないのではないかと感じてもおかしい事ではない。何よりも過去の私がそうだった。

希望通り、私は各種必要な測定を行った。そして、私は測定した結果に関して説明していった。

数値化してわかる事

「補聴器の状態ですが、概ね良さそうですね。これを見てください」

「これが、測定した結果ですか?」

「はい。まず、○○さんの聴力の場合、聞こえを求めるレベルは、おおよそこの辺りです。こちらで行った音場閾値測定で補聴器を装用した状態を可視化してみますと、その目標値までちゃんと来ていますね」

「おお、そうなんですか」

「しかし、見事なまでに横並びですね。なかなか自然にこのようになる事はありませんので、恐らく前の方は、しっかり調整されていたのでしょうね」

「そうですか」

「もっとも聞こえるだけでなく、音に関して苦痛を感じず、この数値くらい聞こえていれば、概ね補聴器の効果に関して、でていると考えられます」

「考えられる?」

「はい。私の方で行ったのは、簡易的なもので、こちらを行うとおおよその事は理解できますが、詳細の音声の理解度までは理解する事ができません。ただ、この測定の数値が良い方は、ほとんどの確率で、補聴器を装用した状態に関しても良く、補聴器で目指せる部分まで改善できているケースが多いです」

「……」

「もっとしっかりと見た方がよろしいですか?」

「いえ、それがわかれば結構です。自分自身もしっかり聞こえている感覚はあります。そして、あの方もちゃんとやってくれていたのですね」

彼は、自分がちゃんと調整されていた事にほっとしていた。

聞こえの数値化で得られるもの

「聞こえを数値化してみた感想はいかがでしょう?」

「そうですね、自分の状態に関してわかりやすくなったと思います」

「ありがとうございます。ところで質問ですが、今までどのようにして自分の補聴器は良い、悪いを考えていたのでしょうか?」

「え?」

彼は言葉を詰まらせた。

「そうですね……考えた事もなかったです。病院さんや販売店さんに任せておけば良いだろうと思ってました。後は、自分で使ってみて、うるささを感じなければ良いのかなと……」

「補聴器を装用すると聞こえる感覚はわかると思いますが、それで効果はわかりますか?」

「……」

「そうなんですよね。どうしてもわかりにくいと思います。安心してください、私も自分の状態に関しては、測定しなければわかりません」

「確かにわからないですね……」

「自分の感覚だけでなく、色々なものを使って可視化すると、現状に関しては理解しやすくなりますよ。もちろん評価の対象はそれだけではありませんので、あくまでも評価の一つとしてですが」

「色々としてくれて、ありがとうございます。何かほっとしました」

その後、彼はお店を後にした。

彼を対応した後、私は考えた。販売員は、自分自身がしっかり調整している事を伝える努力も必要だという事、ゴールを提示し、しっかり聞こえを良くし、導いて上げる事だ。幸い彼の場合は、しっかり聞こえるように前担当者がしていた。あとは「ゴールを提示し、そこまでしっかり補っていますよ」という事も必要だろう。

もちろん、数値が全てではない事は承知だが、どこを目指し、どう調整しているかを補聴器装用者が知るのは、悪い事ではない。ゴールを数値、もしくは他の指数で説明し、そこに一緒になって行動する。それが、もっとも理想の協力関係ではないだろうか。

そうすれば、彼は不安を感じる事はなかっただろう。

 

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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