2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

生まれつき聞こえにくい私は、自分の聴力をどう改善させたか


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補聴器を装用していると様々な方に耳の事を聞かれるのですが、その際に話題にでるのは「どのように耳を良くしたのか」「どのように考えて改善しているのか」という事でした。難聴者であり、かつ補聴器の販売をしているとなると、気になる方が多いようですね。

そこで、こちらでは、自分自身の耳をどのように改善させたのか。それについて記載していきます。基本的に私の場合、耳の状況を確認し、できるところまで改善させるという方法で、改善させていきます。これは、自分の耳に関してもかわりありません。

では、見ていきましょう。

私の耳の状態

さて、私の状態ですが

  • 聴力:両耳とも中等度難聴
  • 症状:感音性難聴
  • 備考:生まれつき難聴です

という状態になります。

2016年5月現在の私の聴力

2016年5月現在の私の聴力、改めて測定したデータ

聴力に関しては以下のようになります。私の場合、典型的な中等度難聴です。医師からは、感音性難聴と診断され、生まれつき聞こえにくかったのだろうという事でした。

改善までのプロセス

では、早速記載していきます。基本的に聞こえを改善させるのに必要なものは

  • 改善する目標を決める
  • 補聴器を調整する
  • 調整した結果を調べる

の三つを行います。そして、

  • 補聴器の調整をする
  • 調整した結果を調べる

の二つを繰り返し、目標値に近づけるように調整していきました。

改善する目標を決める

目標を決めるには、まずどのくらい改善できるのかを出す必要があります。これは、語音明瞭度測定というものを行うと理解できます。聴力測定だけでは、補聴器を装用してどのくらい改善できるのかを出す事はできません。

私の場合、感音性難聴という症状ですので、音が聞きにくくなる事以外にも、音声も理解しにくくなります。そのため、初めは補聴器でどこまで改善できるのか、どの位置まで行けば改善したといえるのか、それが全くわかりませんでした。私も初めの頃は、目標を決めずに行っていましたので、迷走ばかりしていました。調整しても、調整しても、それが良いのか、悪いのかもわかりませんし、聞こえるようになると言っても、どのような状態になれば、果たして正解なのか、全くわからなかったからです。

ゴールがなければ、どこまでいけば良いと判断すれば良いのかわかりません。特に感音性難聴は、補聴器を装用したとしても耳を治す事は残念ながらできません。この内容は、耳の状況を見て、どこまで改善ができるかを初めに確認するというのが正しい表現ですね。そして、改善できる数値をゴールに設定します。

では、どのようにするかと言いますと、語音明瞭度測定でどのくらい理解できるのかを確認します。これは、様々な音量で音声を出し、どのくらいの音声理解ができるかを調べる測定です。

こちらは、私の耳をヘッドホンで語音明瞭度測定をしたもの。○が右耳、×が左耳。

こちらは、私の耳をヘッドホンで語音明瞭度測定をしたもの。○が右耳、×が左耳。

こちらが私の耳の状態ですね。ふ〜む、調べてみると音量を大きくすれば音声は理解しやすくなっている事がわかります。横の軸が音量で、縦の軸が正解率です。音量が大きくなるとなるほど、正解率が上がっていきます。最も良い正解率は、95%ですが、基本的にここまで良くなるのなら、装用した時の効果は90〜100%くらい理解できていればよしとしようか……などと目標値を考えていきます。このように初めは限界を見極めます。

なお、それぞれの正解率からわかる耳の状態は、以下の通りです。

理解度からわかる状況。こちらの理解が重要

理解度からわかる状況、パーセンテージから状況が理解できる。

補聴器フィッティングの考え方を参考に製作

語音明瞭度測定のパーセンテージの意味がわかれば、耳の状況というのはわかりやすくなります。

次は、音声のレベルとそれぞれの音声レベルごとの目標を決めていきます。という事で音声の音量について見ていきましょう。

日常生活上の音量表、音声の大きさレベルに注目しよう。

音声の音量レベルは大抵決まっているため、目標を立てやすい

こちらを見て、

  • 40dBが小さな声
  • 50dBが離れたときの会話音(3m)
  • 60dBが普通の会話音
  • 70dBが大きめの会話音(1m)
  • 80dBが耳元で普通にお話しする会話音

の5つでそれなりに聞こえるようになれば良いだろう……と考えました。90dBでお話しする事は、そうないよなぁ……という事で、ここは除外。90dBは、電車が駅のプラットフォームに来る時の音です。簡単にいえば、ものすごく大きい音ですね。聞こえる方の場合、不愉快に感じる音量レベルですので、この大きさでお話しする事は、よほど周囲が騒がしくないとありません。

私の語音明瞭度測定から出す音場、語音の目標値

私の語音明瞭度測定から出す理解度の目標値

可視化するとこのような状態でしょうか。40dBのみ最良値を目指すのは、難しいので、許容範囲として20%くらい下がる設定にします。実際に達成できるのは、最良値より15〜20%下になる事が多いですね。

基本的に私が見るのは、50dBと60dB、70dBの三つになります。理由は、日常生活上でお話しするとなると、この音量レベルで話す事が多いからです。50dBは、少し離れたところでのお話しや呼びかけ、60dBは身近でお話しする音量、70dBは、テンションがあがると話す音量付近になります。80dBは騒がしいところでの会話での音量になりますので、この点も見て、どのような状況なのかは確認しています。

補聴器を調整する

ここは、目標に向かって補聴器を調整するだけですね。ただ、それだけです。

結果を調べる

調整した後は、補聴器を装用した状態で、どのくらい聞きやすくなっているのかを確認します。そして、その状態が目標値に達しているのか、達していないのなら、それを達成するには、どのようにしたら良いかを考えます。基本的に音量をあげる、下げるくらいしかできませんが、それにより改善するなら改善をしていきます。

補聴器には、自分が使った感覚をそのまま評価に繋げる主観評価と機械を使って数値化し物事を客観的に見る客観評価があります。この二つを使って確認していきます。

主観評価

主観評価とは、自分が補聴器を使ってみてどう感じたのか、という評価です。補聴器を装用すれば、音を聞く感覚はわかります。その音を聞いて、うるさいか、うるさくないか、日常生活で使用できる補聴器なのか、を確認する事ができます。

私の場合、自分に課しているのは「うるさすぎる事はなく、補聴器を使い続けていられるか」になります。大きい音を聞くと「うるさ!」と思う事はありますが、それで耐えられるものは良しとし、あまりにもうるさすぎて、耳から外さざるを得ないくらいまで大きい場合は、調整します。

客観評価

客観評価とは、機械を使って補聴器の効果を調べるものです。基本的に私は、こちらを使って、聞こえを数値化し、評価をしています。その評価には、

  • 音場閾値測定
  • 語音明瞭度測定

の二つがあります。

音場閾値測定

こちらは、補聴器を装用した状態で測定する聴力測定のようなもので、補聴器を使い、どこまで聞こえるようになっているのかが、周波数別に理解できる測定です。

音場閾値測定の例、それぞれの周波数が補聴器を装用した状態でどのように感じているのかをわかる測定

音場閾値測定の例、それぞれの周波数が補聴器を装用した状態でどのように感じているのかをわかる測定

例としては、このようになります。△が補聴器なしの状態で、▲が補聴器ありの状態です。基本的に、各音声の音量レベルは、上記の通り、予め決まっていますので、こちらも効果がでる数値があらかた決まっています。補聴器の効果を感じている方は、▲の位置が、どの周波数も大抵30〜40dBまで来ている方が多いです。逆に言いますと、この数値から外れると聞き辛さを感じる方が多くなります。

自分自身の調整に関しては、おおよそ目標値を平均35dBと決め、低域は、周囲の音で邪魔されにくくするため、−5dB。高い音に関しては、入れられれば入れ、入れられなければ−5ddBを目標とし、調整しています。

なお、こちらの数値ですが、聴力によって目指せる数値が異なります。私の聴力であれば、平均30〜40dBはできますが、高度難聴あたりから難しく、重度難聴では補聴器でここまで目指すのは、申し訳ございませんができません。

語音明瞭度測定

こちらは、上記の通り、初めに測定した目標値に対して、補聴器を装用してどうなのか。それを確認します。補聴器を装用して、

  • 40dBが小さな声
  • 50dBが離れたときの会話音(3m)
  • 60dBが普通の会話音
  • 70dBが大きめの会話音(1m)
  • 80dBが耳元で普通にお話しする会話音

の正解率が、上記で設定した目標値に達成しているのかを確認します。そして、それができているのであれば、良しとし、そうでなかれば、調整。というように改善を繰り返していきます。

なお、2016年4月に測定した内容は

私の補聴器装用時と非装用時の結果

2016年4月の結果。補聴器を装用した状態で測定し、目標値は達成。

でした。40dBを除く、それぞれの音量に関して90〜100%の間で考えていたため、それなりに良い結果になりました。なぜか40dBまで90%ほど理解できていますが(普段は、75〜85%です)、良い結果なら良いのかなと思っています。

客観評価のまとめ

客観評価には、この二つがあり、二つを組み合わせて評価します。基本的には、音場閾値測定である程度結果が出ていると、語音明瞭度測定の結果も良くなる傾向があります。二つを組み合わせて、目標となる部分まで改善できているのか、そうでないのかを確認し、改善にむけて調整していきます。

こんな風に改善させていきました

私の場合は、こんな風に自分で改善させていきました。まとめてみますと、自分の感覚で評価せず、聞こえを数値化し、目標を定めて、その目標に対して邁進する感じでしょうか。そのため、周囲からは意外と言われます。

私が聞いた感覚で評価していないのは、補聴器の音を聞いても、自分自身でどう評価したら良いかがわからないというのもあります。音が大きくなった、小さくなったはわかるのですが、音声の理解が上がったか、変わったかは正直よくわかりません。この部分を人の感覚で評価するのは、無理があると私は思うくらいです。これは、補聴器を装用している人間だからこそ思う事なのかもしれません。

私も初め感覚で評価していた時もありましたが、それで行うと補聴器の適合は迷走します。特に感覚+目標を定めない(聞こえるようにするという曖昧な目標も含めて)とすると、確実に迷走します。これは、私自身過去に経験した事からもそう感じます。

その迷走から脱出できたのは、全てを数値化する事でした。目標も今の自分の聞こえも数値化し、目指すべき目標に関して行けるのか、どうなのかを考えました。良くも悪くも私が自分の聴力をよく出来たのは、目標を定めた事、そしてその目標を達成させるために感覚を数値化し、調整していった事です。感音性難聴は、補聴器を装用しても耳を治せないため、そうしなければわからないのかもしれませんね。どうしても聞きにくいところは出てしまいますので。

なお、これだけしても私自身、聞こえないところや聞き取りにくいところはあります。ですが、自分の耳を補えるところまではしっかりできているのかなと思っています。これも感覚ではなく数値で確認しているからこそ、感じるのかもしれません。

と、自分が耳を改善させた方法に関して書いてみました。参考になれば幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:中等度の感音性難聴の私が自分に合った補聴器を選んだ方法

リンク:【実例】中等度難聴者が補聴器を装用するとどう改善されるのか

リンク:補聴器を装用している人が感じている補聴器の効果

リンク:補聴器の音に慣れるために行う3つの事


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
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