2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

私自身が高い補聴器を自ら体験してわかった2つの事


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高い補聴器と金額を抑えた補聴器は、どう違うのか。こちらは、非常に気になる内容だと思う。補聴器は、コストを抑えたとしても数十万はかかるし、耳を治してくれるわけではない。しかし、どのような方もできるだけ、聞こえを改善させたいと思うのが心情だろう。私自身も生まれつき聞こえにくいがそのように考えている。

私自身、補聴器の販売をしているが、こちらとは少し離れて、高い補聴器を試聴してわかった事を記載していこう。あくまでも私個人の感想とお客さんに試聴した時の経験ではあるが、補聴器選択の参考になれば幸いだ。

なお、金額の違いがどこにあるか不明の方は、こちらをご覧いただいた方がより本内容を理解できるだろう。

リンク:高い補聴器と安い補聴器の違いを理解する3つのポイント

結論から

結論から記載すると金額が高い補聴器はそれなりに価値を感じる方が多い傾向がある。ある人は、音が綺麗、ある人は、聞きやすいなど、評価に関しては、コスト重視のものより良い傾向がある。私自身使った感想をいうと、抑制機能が優れていると感じている。そこに関して、価値があると考えている。

基本的に金額の違いは、主に

  • 音を調節する機能
  • 騒がしい中でなるべく聞き取りを下げない機能
  • 快適性を上げる機能

の三つによって決まる。この内の

  • 騒がしい中でなるべく聞き取りを下げない機能
  • 快適性を上げる機能

に関しては、違いを感じれた。音を調節する機能は、調整する側の思考、技術が入るので、何とも言えない。熟練者や補聴器の事がわかっている人であれば、非常に優秀だろう。こちらに関しては、どのような感覚があるのか、それについて詳しく記載するので、安心して欲しい。

ここで、前提として何を比較したのか。こちらについては、

当店の補聴器ランク表。この中から選択いただいている

当店の補聴器ランク表。この中から選択いただいている

この表のビジネスクラスとエコノミークラスになる。詳しい言い方をすれば、フォナックの補聴器のV70とV30だ。

私の場合、あれこれ用意するのではなく、性能を重視する場合は、ビジネス、コストを重視する場合は、エコノミーと分別している。相談すると、概ね性能重視かコスト重視に分かれるため、このようにした方がわかりやすいためだ。

それを元に記載していこう。なお、全て耳かけ形で比較したものになるので、その点は承知いただきたい。

違いを感じたもの

さて、早速記載していこう。こちらでは

  • 全体
  • 聞き取りをなるべく下げない機能
  • 快適性

の三つに分けて載せていく。

高額な補聴器の全体

冒頭の通りだが、ビジネスクラスあたりから金額の差を感じるケースが多い。性能に関して見てみると、この辺りから飛躍的に機能の効果も上がる。主に

  • 騒がしい中でなるべく聞き取りを下げない機能
  • 快適性を上げる機能

の二つについては、ビジネスと高級エコノミーで結構な差を感じる。正直、高級エコノミーを買うくらいなら、少し金額を出す事になるが、ビジネスの方が良いと思えるくらいだ。

そして、使用した感覚に関しても良い傾向がある。私自身が装用した感覚だが、この辺りから、指向性の機能、周囲の音の抑制機能が優れていると感じる。私がお客さんに試聴してもらうと、どちらかというと効果に関して感じる方が多い。中には、初めは、コスト重視で考えていたが、のちのち性能重視で考えを変える方もいるほどだ。

コストを抑えたものと高額なものの違いは、簡単にいえば聞きやすさ、快適さになる。残念ながら静かなところでの聞き取りやすさは、コストを抑えたものでも高額なものでもさほど変わらない。(厳密には音の快適性は少し変わる)しかし、騒がしい中だとその違いが出る。それが金額の差となって出てくる。

なるべく聞き取りを下げない機能

では、どのようなところで実際に感じたのか。その一つは、なるべく聞き取りを下げない機能になる。こちらは主に指向性と呼ばれる機能で、概念的には、周囲の音を抑制しつつ、前方の音を聞き取るというもの。

ここで指向性に関して馴染みがない方のために詳細を含めた説明をしておこう。指向性機能は、補聴器メーカーがどうしたらもっと聞こえが良くなるのかを執念で考えて生み出された機能の一つである。

基本的に補聴器で騒がしい中で聞き取るには、SN比が重要となる。簡単にいえば、聞きたい音のS(シグナル)が周囲の音N(ノイズ)より大きい事が条件だ。

従来補聴器は、周囲の音Nの成分として多い低域を少なくし、なるべく音声のSを入れるようにしてきた。周囲の音のNをなるべく少なくする事で、SとNで音量に違いをつけ、Sを良くしようとしたのだ。このようにして、なるべくSN比を良くし、聞こえに貢献できるようにしていた。

この考えは、今の補聴器にも導入されている。ほとんどのフィッテング理論で、低域が高域よりも低く出すのは、高い音が聞こえにくい人が多かったり、耳を塞ぐと、耳の外耳道共鳴が無くなるためでもあるが、その他、低域の音が高域の音をマスク(隠す・覆う)する事も関与している。

高い音は、低域をマスクする事は少ないが、低域は、簡単に高域をマスクしてしまう。簡単にいえば、ホイッスルなどの音は、車のエンジン音をマスクする事は少ないが、車のエンジン音で人の声をマスクする事は簡単になる。補聴器用語では、上行性マスキングと呼ばれ、これをなるべく避けるように調整してきた。

しかし、この方法では、ある部分が対応できない。そう人の声が多い所だ。人の声の場合は、聞きたい人の声も邪魔になる人の声の成分や音量もほとんど同じだ。そのため、上記の方法では、SN比を改善しようがない。補聴器は、周波数と音量でしか認知ができないため、同じものを聞き分ける力がなく、Aさんが話した音声もBさんが話した音声も同じように感じてしまう。

そこで考えだされたのが、方向という概念だ。周波数や音量で区別できないなら、音が来る方向でSN比を良くし、聞き取りを良くしようと考えた。具体的には、後方の音の音量を下げ、前方の音を聞きやすくするものになる。今現在の補聴器は、ほとんど二つのマイクが使われており、二つのマイクがあるのは、この指向性を使うためになる。

実際には、人の声以外にも周囲が騒がしい場合は、音の調整+方向でSN比を良くする事が有効なため、こちらでも使われるようになった。

では、実際に高額な補聴器はどうなのか。こちらを使った感想だが、確かに音声が浮かび上がってくる感覚がある。今まで明らかに、このようなところでは聞こえなかっただろうなと思うところも、聞こえた事もあった。埋もれていたものが、浮かび上がるというように言うのが表現としては、良いかもしれない。これは、何とも不思議な感覚でもある。

もちろん、音が浮かび上がったからといってその音が全てが全て聞き取れるわけではないのだが、今までは、埋もれていて話されてもわからなかったものが、それに気が付いたり、それがわかる事によって「呼んだ?」とアクションする事もできるようになった。

個人的には、無視している、あるいは相手に無視されたと感じさせないようにできる点でも有効だと思っている。案外、このような些細な事で対人関係は悪くなってしまうからだ。聞こえにくい人の中で一番の悩みは、いかに悪く思われないか、行動がそのように捉えられないかにあると、私は考えている。

聞こえるようになる部分もあるが、このような部分もある。

なお、この点をお客さんにお話ししたら、本当にその通りだと、その効果を実感してくださった方もいた。もちろん、この方もおっしゃっていたが「今までの補聴器より、良いけど全てが全て聞き取れるわけではない」「でも、なにか気が付けるとうのは、思った以上に価値がある」「一番辛いのは、無視されたと思われたり、そんな気がないのに関わらず、そのように思われてしまう事」とおっしゃっていた。

快適性を上げる機能

快適性を上げる機能とは、補聴器特有の音を抑制する事だ。よく誤解されるが、周囲の音を抑制するというより、音響機器である補聴器のデメリット面を軽減させるものとなる。

音響機器であるがゆえに補聴器は、暗騒音(補聴器から聞こえてくる、サーッやざわざわとする空気のような音)や風の音、大きい音が響いて入るなど、様々な問題があった。これらを良くしてくれるのが、快適性を上げる機能になる。そしてその性能がこれもまた明らかにビジネスクラスから上がる。暗騒音を抑制する機能のものもそうだし、風の音を抑制する機能も搭載される。そして、突発的に起こる音を抑制する機能もつく。

私自身が良いなと思う機能は、突発的に起こる音を抑制する機能である。これは、ドアを強く閉めた音やヒールのカンカンする音、食器のガチャン!となるような突発的に起こる大きな音を抑制する機能だ。

私自身は、どちらかというとアナログの頃から補聴器を使っているため、大きい音には慣れていた。しかし、この機能を使うと、今までより音が小さくなる。初めは少し違和感を感じる事もあったが、最近では、この機能が気に入っている。大きな音がしてもちょっと潰れたような音がし、気にならなくなった。ここで初めて「そうか、音を楽に聞くというのも大切な要素なんだな」と感じたのだった。

音を楽に感じるというのも大きな価値である。この点は、常に音を聞くところに関わるため、重要な部分でもある。

お客さんに試してみた結果だが、

  • 楽になった感覚がある
  • 暗騒音に関しても減った感覚がある
  • 音が綺麗に聞こえる

などの言葉をもらうことがある。全ての人がその効果を受容するかはわからないが、少なくともこのように効果を感じている方はいる。

なお、余談ではあるが、突発的に起こる音を抑制する機能は、ききとりを楽にするためには結構重要な要素となると私は考えている。騒がしいところで聞き取るためにSN比のお話しをしたのを覚えているだろうか。補聴器には、出力の制限がある。必要以上に音を出さないためだ。しかし、こちらは抑制しすぎて上限レベルまで騒音が来てしまうと、どのようにしても音声のSN比が無くなってしまう。つまり聞きにくさに直結してしまうという事だ。

これらのところで聞きやすくするには、ある程度音は解放しておく必要がある。しかし、解放すると、一部の突発的に起こる音は、かなりうるさく、時には、耳に刺さるように聞こえる事がある。これを楽にしてくれるので、個人的には重宝している。なお、なかには抑えないと厳しい方もいるので、その場合は、抑える。ケースバイケースといったところだろう。

高い補聴器に関するまとめ

高額な補聴器(ビジネスクラス)を使って感じたのは、上記の通りだ。

  • 騒がしい中でなるべく聞き取りを下げない機能
  • 快適性を上げる機能

に関しては、私自身も感じたし、お客さんも感じる方が多かった。もちろん、感じたからそれを購入するとは限らないのだが、違いがわかると金額の違いにも多少なりとも納得はしていただけるのだと思う。金額が高い点は、誠に申し訳ないのだが、そのような違いはある。

もし、気になったら試してみるのも良いし、考えてみるのも良いかもしれない。こちらの内容で補聴器の選定や補聴器の理解に繋がれば幸いだ。

なお、今現在、私は、フォナックのボレロV70を使っている。いわゆるビジネスクラスだ。やはり良い物は、良い。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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