クロス補聴器の性能を理解する2つのポイント


クロス補聴器を選ぶ場合、選ぶ要素として、

  • 形状
  • 性能

の2つがあります。こちらは、その中の性能に関することになります。

しかし、性能に関しては、実際の製品によって変化しますので、以下に紹介するのは、性能という漠然としたものではなく、実際の製品の性能の違いに関して載せていきます。

私が扱っているのは、フォナックというメーカーの製品になるのですが、こちらを中心に記載していきます。

なお、性能の他に、選ぶ際にどのようにしたら自分にとって良いものを選べるかについても載せていきますので、参考にしてみてください。

クロス補聴器の性能のランクと基本の聞こえ

まずは、基本の部分を理解していきましょう。

こちらでは、

  • クロス補聴器の性能とグレード
  • 性能と金額と聞こえの違い

の2つに分けて記載していきます。

クロス補聴器の性能とグレード

まず、クロス補聴器に関してですが、片耳難聴の方に適応する形状は、

  • 両耳とも耳かけのクロス
  • 耳かけ補聴器、耳あなクロス

の2つになります。この2つの形状には、それぞれの形状においてグレード、ランクというものが存在します。

価格は、クロスと補聴器の合計金額で記載しています。

価格は、クロスと補聴器の合計金額で記載しています。

こちらが両方とも耳かけ形のタイプになります。グレードは、全部で4つあり、それぞれ性能の違いにより、金額が異なります。

太字で書かれている金額は、クロスと補聴器を合わせた金額であり、合計金額になります。

太字で書かれている金額は、クロスと補聴器を合わせた金額であり、合計金額になります。

こちらは、耳かけ補聴器、耳あなクロスの組み合わせになります。こちらは、3つしか、グレードがなく、両耳耳かけのクロスにあった一番下のエコノミーと書かれている部分がなくなっている状態です。

このように補聴器には、それぞれの形状にランクというものが存在しています。1つの形状につき、一つの製品が存在している。というわけではないということですね。

性能と金額と聞こえの違い

一番気になるのは、性能と金額と聞こえの違いかと思います。その点に関して、結論から申し上げますと、基本的な聞こえを補う機能は、どの製品にも搭載されています。そのため、どの製品でも基本的な聞こえは得られるようになっています。

簡単に言いますと、こちらのファーストクラスとスタンダードクラスの場合、基本的な聞こえは、さほど変わりません。補聴器の機能は、聞こえを補う要素よりも、聞こえを補った際に邪魔されやすい音をいかに抑制するか。その部分に集中しています。

聞こえを補う要素は、上記のものですと①のチャンネルと書かれたものです。そして、それ以外の部分は、聞こえを補った際に邪魔されやすい音を抑制し、快適性を高めたり、なるべく聞きにくくならないようにする機能になります。

縦長なので、スマホの場合、見辛いかも。その点は、すみません。

基本的に補聴器は、静かなところであれば、性能の有無は、あまり関係がなかったり。しかし、騒がしくなると、それらを抑制したり、なるべく邪魔されないようにする機能があると、高額になる。

補聴器のフォナックより引用

もう少し簡単に記載しますと公式のカタログにあるこちらの画像がわかりやすいです。音の聞きやすさは、静かなところほど聞きやすい状態になります。聞く際に邪魔されることが少ないためですね。そして、周囲が騒がしくなると騒がしくなるほど、その周囲の音や様々な音が聞こえてくることにより、聞きたい音が邪魔されてしまう傾向が出ます。

その邪魔されやすい環境をなるべく邪魔されず、音声を聞けるようにアシストしてくれる機能があったり、補聴器で聞こえるようにする際、不快に感じやすい音を抑制する機能があったりすると、それに伴い、補聴器の金額(性能)が上がってきます。

よく高額なものでないと聞こえが改善できないのではないか。とお考えになる方がいらっしゃるのですが、そのようなことはありません。基本的な機能は、価格を抑えたものにも入っていますので、こちらでも、それなりに聞こえの改善はできます。

このように性能の違い、グレードの違いは、どのような環境下で聞きやすくできるかの聞こえの差になります。

クロス補聴器の基本性能の3つ

性能に関する全体像を記載させていただきましたが、ここから少し細かく説明していきます。クロス補聴器に関する性能は、

  • ①音を調整するチャンネル
  • ②騒音下でなるべく聞き取りを下げにくくする指向性
  • ③気になりやすい音の抑制機能

の3つにより、決まります。

①音を調整するチャンネル

音を調整するチャンネルとは、

の中に出てきた①の部分になります。それぞれ

  • ファースト:20ch
  • ビジネス:16ch
  • スタンダード:12ch
  • エコノミー:8ch

と記載されている部分です。

補聴器には、それぞれ低い音から高い音まで調整する機能があります。上記のものは、補聴器を調整する際に使う調整ソフト(補聴器はパソコンで調整しながら耳に合わせていきます)の画面なのですが、この囲まれている部分に出ているものがいわゆるチャンネルになります。

その数が、8chの場合から

20chの場合まで様々な状態があります。

数が多ければ、多いほど、調整できる部分が多くなるため、優位に感じますが、実際に調整している人間(あくまでも私はですが)からすると、12chほどあれば、それ以上は、ほとんど変わらないのかなとは感じます。と言いますのも、そんなに数が多くなっても、結局は、使わないからです。

家で考えていただければわかりやすいかもしれないのですが、一人暮らしなのに4LDKに住むようなもので、そんなに広さが必要だろうか?ということです。特にクロス補聴器の場合、正常な耳側に補聴器を装用することもあり、そこまで、調整できるチャンネルがあっても、活用しないことが多いです。

そして、ここからが重要なのですが、クロス補聴器の場合、音をどのくらい補うか。という部分が重要になります。ただ、この点に関しては、どのグレードのものでも、達成できると聞きやすくなりやすい音の増幅度は、満たせるようになっていますので、その点から見ても、12ch以上は、変わりがないように感じます。

と、これがチャンネルになります。

②騒音下でなるべく聞きにくさを下げにくくする指向性

2つめは、指向性と呼ばれる機能です。

こちらでいう②の部分ですね。これは、補聴器で聞こえを補う際に出てきた機能になります。

これは、補聴器の歴史そのものなのですが、昔の補聴器は、聞こえを補う機能、上記で紹介したチャンネルというものしかありませんでした。それにより、確かにそこまで騒がしくない環境下では、それなりに聞こえるようになるのですが、騒がしいところですと、いろんな音が入りすぎて、逆に聞きにくくなってしまう。という現象が起こるようになってしまいました。

そこで、補聴器で聞こえを補う際、騒がしいところで聞く場合は、いろんな方向からの音をそのまま拾うのではなく、人が前を向いてお話する習性を利用し、前方は全面的に入れ、横から、後方は制限するなど、ある程度、入る音を制限することにより、なるべく邪魔されないようにする。というように考え、聞き取りを重視するようにしました。それが、指向性です。

この機能に関しては、賛否両論で、あると聞きやすくなっている感覚はあると表現する方もいれば、あまり変わらない気がする(例えば、ファーストクラスでも)と表現する方がいます。

事実としては、確かにあると抑制され、聞きやすくなっている感覚は感じるかもしれませんが、それでも聞きにくい時があるのは、事実です。ですので、あると良い機能である。というところは確かなのですが、それにより、全てが聞こえるようになるわけではない。というのが正直な感想です。

簡単に言えば、あるに越したことはない。ということになります。そして、この機能があったり、機能そのものがよくなるとよくなるほど、急激に値段が上がってきます。

なお、耳かけ補聴器、耳あなクロスの方は、もともと②の指向性はありません。こちらの場合は、自分の耳の指向性を使えるため(人の耳も前方が聞きやすくなっており、後方などが聞きにくくなっています)、製品そのものにはないのですが、使う際には、自然と使っているものになります。

③気になりやすい音の抑制機能

これは、先ほどの画像でいうと

③に記載されているものになります。グレードにより、搭載されている機能が異なり、良いものほど、抑制する機能そのものがより働いたり、追加され、快適性がよくなります。快適性の部分は、性能の中で一番理解しやすい部分になります。

補聴器で聞こえを補うと、聞こえる音の範囲が広がることにより、気になりやすい音も聞こえるようになってきます。そもそもの問題として、補聴器は、音響機器であり、音響機器上、発生しやすい音が気になりやすかったりします。

補聴器をつけた時の聞こえ方に関しては、上記の通りです。特に多いのは【②補聴器の独特な感覚で音が聞こえるように】で記載している

  • 音の数が多いとサーっという音が聞こえる(暗騒音と言います)
  • 高い音が耳につきやすい(紙の音、レジ袋、ヒールの音などが気になる)
  • 風がマイクにあたり、ザーザーいう(風の音が大きく入る)

の3つになります。そのほか、反響する部屋の中では、反響音が邪魔して、音の輪郭がつかみづらくなり、何を言っているのか、さっぱりわからなくなってしまう。ということも起こります。

これらは、補聴器だけが起こるのではなく、例えばボイスレコーダーで会議を録音したりすると、紙をめくる音が大きすぎて何を言っているのかわからなかったり、細かな音が色々と聞こえすぎて(机を叩く音、ものを置く音、咳など)何と言っているのか掴みづらくなったりします。

スマホで電話する際も同様ですが、風が強いところや息がマイクにかかると、ヴォーヴォーと大きな音がして、何を言っているのかわからなくなってしまう。という現象が起こります。これが、音響機器上で起こりやすい不快に感じやすい、聞き取りを阻害しやすい部分です。

そこで補聴器は、それぞれに不快に感じやすい部分を抑制する機能をつけることにしました。それが、快適性をあげる機能です。実際には、上記の通り、大きく分けて、4つがあります。

1、暗騒音を抑制する機能

暗騒音の抑制とは、補聴器をつけると聞こえてくるなんとも言えない音です。これは、つけるとよくわかるのですが、静かなところでは、あまり感じなかったり、かなり小さかったりして、気にならないのですが、それなりに音がある環境や外に出ると様々な音が聞こえ、一気にザーッやサーッという音が聞こえている感覚になります。

その感覚を軽減してくれるのがこちらになります。簡単に言えば、耳の感覚をより、自然にしてくれる機能と言えばわかりやすいかもしれません。こちらは、どのグレードにも搭載されており、抑制機能の大小により、性能が異なります。

2、風の音を抑制する機能

音響機器として問題になりやすいのは、この風の音です。スマホでもそのほかのものでもそうですが、風がマイクに当たると非常に大きな音がします。それを軽減してくれるのがこの機能です。

風の音は、非常に大きく入るため、あると快適性の部分が上がります。風が強い日だけしか、効果がないように感じますが、自転車に乗っていたり、バイクなど、それらを活用する人にとっては、結構な頻度で気になるようになりますので、あると良い機能でもあります。

ただし、こちらは、ビジネスクラス以上から搭載されるようになります。ちょっと金額が上がるようになります。

3、突発的な大きな音を抑制する機能

補聴器を使用すると、高く大きな音は、結構気になったりします。代表的なものは、ヒールの音や食器が当たる音、落とした際のパリンッ!という音だったりするのですが、聞こえを改善させようとするほど、強い音もそのまま入るようになりますので、その部分が悩みのタネになります。

そのような気になりやすい音を抑制してくれるのが、この機能です。突破的に発生する大きな音だけ抑制できると、聞こえを阻害せずにかつ、快適性を求めることができるようになるため、こちらもあると良い機能ではあります。

ただし、こちらも、ビジネスクラス以上から搭載されるようになります。そして、クロス補聴器の場合は、そもそもの問題として、そんなに音を大きく入れることはなく、大きい音というよりも、高い音、紙の音が気になる、レジ袋の音が気になる、ということが多いため、個人的には、優先順位としては、そこまで高くないかなと感じます。

4、反響音を抑制する機能

部屋や環境によっては、音が反響してしまい、何を言っているのかよくわからなくなってしまうことがあります。それを軽減してくれるのが、この反響音を抑制する機能になります。

あると良い機能の1つではありますが、必要としている人とそうでない人の差が大きく、実際に試聴してみて、音が反響する感覚がなければ、そこまで重視しなくても良い機能だと、個人的には、感じます。

ただ、この点は、不確かなので申し訳ないのですが、たまにこの機能があると、紙の音やレジ袋のような高い音も落ち着いて聞こえるということを聞くことがあります。本来使用する部分ではなく、別の部分で効力を感じることがある機能です。

クロス補聴器の性能のまとめ

これらがクロス補聴器の性能になります。基本的には、どの補聴器でも聞こえを補うことはできます。しかし、騒がしい環境になったり、補聴器を装用すると気になる音、気になりやすい音というのが存在します。

それらの部分でもなるべく聞きにくくならないように支援してくれたり、気になりやすい音をなるべく気にならないように支援してくれるものほど、高額になります。それが、金額および、性能による違いになります。

なお、実際にクロス補聴器を選定する場合は、試聴をしながら決めていくことをオススメします。補聴器は、体感商品であり、言葉で説明されるより、実際にどのように聞こえるのか。どう聞こえが改善されるのかを体感いただいた方が理解できます。

ですので、こちらでは、性能の違いに関して記載はさせていただきましたが、実際に決める場合は、どの形状のどの性能(グレード)を試聴したか、そして、それを使ってどのように感じたのか。を確認しながらやっていくと良いでしょう。

試聴したものの体感がわかると、性能表でそれ以上のもの、それより、下になるものの性能表を見比べることで、自分は、どの製品が良いのか。という部分が徐々に理解できるようになってきます。

実際には、金額や使い勝手という聞こえや性能以外の部分も出てくるのですが、

  • 聞こえの感覚から使った時の評価である主観評価
  • 補聴器の性能表などの客観評価

の2つを組み合わせると、より良い選択ができるようになります。

ということで、こちらをご覧になることにより、クロス補聴器の性能および、改善に関する手助けができたのであれば幸いです。