クロス補聴器の耳あな形の効果から考える実際の補聴器選定


前回【重要】補聴器屋の私がクロス補聴器の試聴をし続けてわかってきた事について記載しましたが、その方に会う機会がありました。そこで得られたのは、やはり、耳あな形のクロスの方が聞こえが良いという事でした。お話しを伺う限り、良いどころではなく、全くの別物という評価です。これだけ耳かけ形と耳あな形で効果が異なるとなると選択思考も考え直さなければなりません。

今回は、こちらの評価に関する事と、問題となる耳あな形のクロスの利点、欠点に関して記載していきます。そこから、どのような選択が良いかまで今現在、わかっている事から載せていきます。ご参考になれば幸いです。

なお、この内容は、記載時の内容になりますので、少々月日が流れるとまた異なる方法でやっているかもしれません。それはご了承ください。ただし、どのような事があっても、より良い聞こえを得られるように改良していますので、その点は、ご安心下さい。

耳かけ形クロスと耳あな形クロスの比較

結果としては、耳あな形のクロスの圧勝でした。耳かけ形のクロスの効果は、試聴された方、いわく3割ほどしか感じていないとの事でしたが、耳あな形のクロスは、8〜9割ほどの改善を体感しているという事でした。数値にしますと実に3倍もの効果を感じている事になります。

実際にお伺いしたお話しですが、前回の内容と少し異なっていまして、居酒屋レベルでも聞き取れるようです。周囲が騒がしいところでも聞き取りやすくなり、かつ複数の方とのお話しも聞こえるようになる事で、理解しやすくなったとの評価でした。あまりにも様々な音が入ったり、同時に複数の方がお話しすると厳しいようですが、効果に関しては、非常に感じていました。

その一方、地下鉄の電車の中では、厳しく、あちらの音量レベルが大体、85〜90dBほどですので、会話がしにくい傾向があるようです。地下に入らない電車であれば会話はすんなりできるという評価でした。

今まで耳かけ形のクロスで厳しかったところは、多く改善でき、実際にこれだけ聞こえれば満足ともおっしゃっていただけました。

全体的に評価は、耳あな形のクロスの方が良く、そのままこの方は、購入されました。なお、こちらの方の場合は、旧型のクロスを使っていたため、聞こえる耳には、耳かけ形の補聴器、聞こえない側には、耳あな形のクロスという内容になります。

旧型、新型に関する違いは、こちらをどうぞ

リンク:フォナッククロスの旧型とⅡの違いを比較してみました

これから考えるクロス補聴器の選定

さて、ここからが本番です。耳かけ形のクロスと耳あな形のクロスでは、耳あな形のクロスの方が、聞こえが良いようです。それも、圧倒的にです(※耳かけ形のクロスと比較して……という意味です)。これだけ聞こえが違うとなると、聞こえを改善させる手法として変えていかなければなりません。誰だって聞こえを最も改善できるものが一番欲しいと考えます。

では、実際に選定する場合においてどのような問題が起こるのか、それについて載せていきます。「え?上手く行った内容で良いんじゃないの?」という方もいると思うのですが、私が販売した方は、過去のクロスを使っており、今現在、主流のクロスではありません。

新しい方のクロスが優秀な点は

  • 電池の寿命が長い
  • 抑制機能が優れ、より快適に
  • 最低使用金額が低い(簡単に言いますと安い)

の三つがあります。電池の寿命は、新しいクロスの方が、2倍ほど持ちますし、最低使用金額は、新しいものは、304,200円からで、旧型は、316,800円からになります(両方ともクロス側が耳あな仕様で計算した場合)。そして、性能そのものも上がっています。

もちろん、旧型で良いのであればそれでかまいませんが、これらの恩恵をあずかりたい場合、いくつか超えなければならない部分がでてきます。

現在の主流で耳あな形クロスを使う場合の欠点

現在の主流の製品、フォナッククロスⅡで耳あな形のクロスを使う場合、両耳とも耳あな形補聴器にしなければなりません。その場合における欠点としては、

  • 自声が響きやすい
  • 形がいかにも補聴器
  • 電話の際、どうするか

の四つがあります。どれも耳かけ形のクロスと比較した場合の欠点です。

自声が響きやすい

耳あな形補聴器に共通する要素は、この部分です。耳を塞ぐと

  • 自分の声が響くような
  • 詰まったような
  • 声がこもったような

これらの感覚が起こります。なるべく耳あな形補聴器にあるベントとよばれる空気穴を空ける事で、改善を試みるのですが、それでも感じる傾向があります。

補聴器には、ベントと呼ばれる空気穴を空ける事ができる

補聴器には、ベントと呼ばれる空気穴を空ける事ができる

こちらが耳あな形補聴器です。赤い○の部分に小さい穴が空いているのが見えるでしょうか。

ベントは、先端の部分まで空いている。なお、この穴が大きければ、この穴から外部の音もよく入るようになる

ベントは、先端の部分まで空いている。なお、この穴が大きければ、この穴から外部の音もよく入るようになる

これは、先端の部分まで通じており、この部分の穴、通気量を多くする事で、こもり、響き、詰まりというのはある程度、改善できます。ですが、耳の穴の中は、ある程度サイズが決まっており、かつ補聴器も入れなければなりません。そのため、空けられるサイズにも限りがあります。

こちらが使えるレベルであれば、間違いなく一番新しい機種のフォナッククロスⅡ、耳あな形のクロスをお勧めです。

なお、ベントのサイズが大きくなればなるほど、外部の音も入るようになりますので、耳を塞がないという意味でもベントは重要です。

形がいかにも補聴器

意外に多い評価なのは、こちら。形がいかにも補聴器という事です。今まで伺った方々のお話しをそのまま書きますと

  • 付けたいと思わない形状
  • ダサい
  • オシャレじゃない

の三つが多いです。この点は、誠に申し訳ございません。私もその通りだと思っています。この点は、何とも言いようがありません。

電話の際、どうするか

私のところに相談に来られる方は若い方が大半ですので、仕事場では電話も使います。その際に、どうするか?が問題になります。

耳かけ形のクロスの場合、聞こえる耳は耳かけ形になりますので、実はそのまま電話に関してはできてしまいます。しかし、耳あな形のクロスにした場合、耳の穴の中を塞ぐため、耳かけ形以上に聞きにくくなる事が考えられます。ベントの大きさにより、異なるとは思いますが、可能性としては、聞きにくくなる要素は、半々といったところです。

仮にベントを空けたとしても、聞こえにくい場合、改善させる方法は

  • 補聴器を取る
  • バイクロス仕様にする

の二つになります。耳あな形補聴器は、補聴器の脱着が簡単ですので、そう大きな手間にはならないとは思います。こちらでしやすくなるのであれば、こちらが最もベストです。

また、バイクロスと呼ばれる聞こえる耳側の補聴器のマイクも動作させるモードがあります。動作するようにすれば補聴器側の音も入り、結果的には、聞きやすくなります。

こちらは、実際にベントを空けてみてどうか。という要素が強く出ます。

まとめ

突き詰めるといかにベントを空けられるか、という問題に集約されます。そして、やってみなければわからないという結論に至ります。

なるべくベントを空けられるように工夫する事で、改善できる可能性がある一方、耳のあなが小さすぎる場合は、厳しい可能性があります。この点は、各々の耳の形状によって変わり、この部分はやってみないとわかりません。ただ、ベントを大きくする策はいくつかあります。

なお、ベントが大きく空けられないと、耳あな形補聴器が聞こえる耳を塞いでしまいますので、聞こえにくくなる可能性があります。今ある聞こえを最大限利用するためにもベントをいかに大きくできるかが重要であり、そこに集約されます。

もちろん、最終手段は、バイクロス仕様にするという手法もあります。これらは、色々やってみて、どれが良いかを決めるのが良いでしょう。

今までの情報をまとめて良い選択をする

今現在、私の方でわかってきたのは、耳あな形のクロスの方が聞こえが良いという事です。

しかし、クロス側を耳あな形にするとなると、新しいタイプでは、上記のような欠点が出てきます。旧型であれば、すんなり使えますが、ランニングコスト、電池交換の部分で大きな差がでます。

旧型は、本体価格こそ安いのですが、電池が新型より、3〜4倍ほど必要になります(二倍×二台なため)。お金に関しても、ランニングコストのみ3〜4倍かかる計算になります。補聴器は、使い続けるものとなりますので、これらの点から、私は、新型のフォナッククロスⅡをよくお勧めしています。

クロス補聴器に関して、今まで上手く行った事と考えられる事、それらに関してまとめてみました。突き詰めるとベントをどれくらい空けられるか、その加工ができるかに集約されますが、それによって決まります。

今、私の方でしているのは、耳の穴の形状によってどのくらいベントを空けられるかを推測し、新型で良さそうだと思う方は、フォナッククロスⅡ、あまりにも耳が小さい方や厳しい方は、旧型のクロスとなります。このようにする事で、様々な方の聞こえの改善を最大化できるようになります。

少なくとも今現在できる改善方法を見る限りは、このように選定する事で、より良い選定ができるようになる事がわかってきました。ご参考になれば幸いです。