2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

【重要】補聴器屋の私がクロス補聴器の試聴をし続けてわかってきた事

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このブログには、片耳難聴の方が大勢訪れる。その数は、一日に、100人〜200人くらいだ。日々、クロス補聴器の情報や片耳難聴の改善を求めてアクセスしてくる方々に情報提供という事で、今現在、私の方で持っている情報について提示する。

私も生まれつきの難聴だ。聞こえにくい事でどのような事が起こるのか、それについては重々承知している。同じ聞こえでお悩みの方々にほんの少しでも力になれれば良いと考えている。

クロス補聴器の情報は残念ながらかなり少ない。そしてあったとしても耳かけ形が大半だろう。今現在、試聴中の方から、情報提供する事に関して許可をいただけたので、できる限り、試聴や実際の生の声をお届けしようと思う。

本内容があなたの聞こえを改善させる手助けになれば幸いだ。

クロス補聴器は耳あな形が良い

実は今、とあるお客様に耳あな形のクロス補聴器を試してもらっている(メーカーは、フォナックだ)。そして、先日試聴の結果を聞いたのだが、耳かけ形のクロスより、耳あな形のクロスの方が遥かに聞こえがいいという返答をいただいた。

そして驚く事に耳かけ形のクロスの場合は、聞こえにくい方から音が聞こえやすくなる程度だったようだが、聞こえにくい側の耳が聞こえるようになったと錯覚するほど、耳あな形のクロスは聞こえが良いらしい。正直、私の想像を大きく超える結果だったため、今でも驚きを隠せない。

おっと、ここで、詳細について説明しよう。

今試聴いただいている方は、元々耳かけ形のクロス補聴器を持っていた。しかし、聞こえにくい側から音が聞こえるのは聞こえるが、効果に関してはイマイチだった。

特に

  • 車の中や騒がしいところでの会話
  • 複数の人との会話
  • 仕事場での会話

これらのところでは、役に立つ事もあるようだが、体感している効果は2〜3割だそうだ。そして、クロス補聴器を装用しても実際に仕事時に困ってしまう事の方が多いため、更なる改善をお求めだった。

当店は東京にあるが、この方は県外に住んでいる。遠くにお住まいなのに関わらず連絡してくる事から、その困り度は相当なものだと私は感じた。

私自身は、日々どのようにしたらより良く聞こえを補えるかを考えている。その一つのカギは、耳あな形の集音効果にあると考えていた。クロス補聴器も通常の補聴器も基本的には、SN比というものが非常に重要になる。(SN比に関しては、こちらの「なるべく聞き取りを下げない機能」に記載している:私自身が高い補聴器を自ら体験してわかった2つの事)このSN比をいかに良くするかが聞き取りのカギを握る事は、補聴器業界では、よくわかっていた。

そして、その方法は補聴器の指向性機能に頼るのではなく、自分の耳の機能の方が優秀ではないかと考えていた。

それはなぜか。

一般的に補聴器は、音響機器であり、音響機器の世界では、全体の音を拾って余計な音を抑制するのではなく、なるべく余計な音を拾わないようにマイクの設計を行い、拾った音を加工する。そして、どちらかというとそれでも余計な音が入ってしまうため、その部分を減少させる事が多いほどだ。

補聴器の世界だけでみると補聴器のしている事は当たり前に思う方も多いと思うが、音響機器の世界で考えると、まるで逆の方向に行っているのだ。私は、これが昔から気になっていた。

この方から耳かけのクロス補聴器を装用しても聞こえにくい現状を聞いたとき、私は更に聞こえを良くする方法は何かを考えていた。その際に思ったのは、自分の耳の指向性を使って、拾う音そのものを予め制限し、音声の部分を大きくして転送するようにできれば、騒音下の場面では、より聞きやすくなるのではないかと考えた。

ではそれを行うにはどうしたら良いか。そう耳あな形のクロスを使う事となる。そこで耳あな形のクロスの試聴をお客様に提案した。

もし、それで改善できれば御の字。できなければ結局、耳かけも耳あなも大差なく、かつ今現在の状態が上限となる。どっちに転んでも、私にとっては、クロス補聴器に関して理解を深める大きなチャンスだった。

私はお客様に説明を行い、耳あな形の試聴をしていただく事となった。

耳あな形クロスを店頭で試聴した時の驚き

話しの中核は、上記の通り、耳あな形のクロスの方が良かったという内容だ。ただ、このお話しにはクロス補聴器の聞こえをさらに改善させられるヒントがいくつかあった。そして、お店で試聴した時から耳かけ形のクロスとの違いを感じていた。

順を追って説明しよう。

この方の詳細について触れておくと、お持ちの機械は、前の機種のフォナッククロスと呼ばれる耳かけ形の形状と同形状の小型タイプの補聴器を使用していた。試聴時は、補聴器の設定をそのままにし、フォナッククロスを耳かけから耳あなに変えただけだった。まさに、音の調整は全く同じままで、マイクの位置のみを変えただけになる。果たしてそれだけでいったい何が変わるのか。正直、私もお客様も興味津々だった。

まずクロスの耳あなを使ってお客様がおっしゃったのは、上からの音量と、正面の音量が違うという事だった。上から同じような音量を出し、徐々に下にずらしていくと上にある音の方が小さく感じ、自分の目の前に来た時が聞こえやすくなるという事だった。

私は衝撃を受けた。と、同時に面白い!と感じてしまった。

それはなぜか。

仮にそのように感じるとなると、上からの音、例えば店内BGMの音などが大きくてもSN比が改善できるのではないかと考えたからだ。クロスを含む耳かけ形の場合、先ほどと同じような事をすると、全部同じ音量で聞こえる。つまり、上から発生した音も顔の位置辺りから発生した音も入りやすいという事だ。

これは単純に、店内BGMあるいは、上から聞こえてくる音が強ければ、聞きたい音をマスク(音を隠す、聞こえにくくするという意味)してしまい、聞きにくくなってしまう事を意味する。同じ音量を出して比較したら、確実に聞きにくくなるのは、耳かけ形だ。

もし耳の集音効果により、それが軽減できるとなるとこれはとんでもなく凄い事だ。一般的に人が音量の違いを感じるのは、2〜3dBくらいと言われている。SN比と聞こえの理解の関係では、周囲の音より、1dB大きくなると音声の理解度が10%上がるという報告がある。つまり、この場合、最低でも20〜30%もの聞こえの改善ができる可能性があるのだ。

難聴の耳の場合は、もっとSN比のdB改善が必要なのだが、クロス補聴器は、片耳が健聴の耳につける。つまり、この効果の恩恵を受けやすい。

聞きたい音の邪魔がされにくくなれば、それだけ音声も聞きやすくなるに違いない。使った感想を伺い、徐々に改善できる期待が上がってきた。

おっと、もう一つのエピソードも紹介しよう。

それは、耳を左右に動かした時に明らかに音量が異なった事だ。耳かけ形のクロスだと、耳を動かしたとしてもさほど変わりがないらしい。そのため、相手の声を聞こうとなると頭の上を相手に向けないと聞き取りが良くならないという事だった。これは、耳かけのマイクを相手に向ける行為だ。そこまでしないと聞き取りがよくならないと言っていた。

しかし、耳あな形のクロスにすると耳を相手に向けただけで、音量が大きくなるらしい。それも明らかにだ。もしそのようなら、耳かけ形のクロスでは、話している内容がわからず「え?」となって聞き返しても対して聞こえず、聞き返せなかったものが、気軽に聞き返せるのではないかと思った。なぜならそれだけ音量が変わるとなると耳をまさに相手の方に向けるだけで聞き取りが良くなる可能性が高いからだ。

お話しを聞くと聞く程、聞こえが改善できる方向への期待感が高まった。私はドキドキしながら(と半分、お客様が良い事ばかり言っている事に一抹の不安を感じつつ)、耳あな形クロスの貸出を行った。

お客様から実際にお話しいただいた事

そして、実際に試聴いただいた感想がこちらだ。厳密には、メールでいただいたのだが、その要約を記載しよう。これは、全て嘘偽りない事実になる。

  • ガヤガヤとうるさいレストランでしっかり会話ができた
  • 会議では、聞こえにくい側の声が明瞭に聞こえる
  • 耳あな形のクロスの方が暗騒音(空気の音)が少ない

の三点だ。詳細についても記載していこう。

ガヤガヤとうるさいレストランでしっかり会話ができた

試聴いただいた感想の中では、この部分が特に評価が良かった。

ここから少し専門的なお話しになり、大変申し訳ないのだが、常時80dBほどの騒音下のレストランの中で、5名で会話をしていただいた。あえて聞こえにくい側を人に向けるような形でテスト(聞こえにくい側には、3名ほどいらっしゃった)し、その結果は、なんと80dBほどの騒音下の中でも会話がしっかりできたというのだ。お客様自身も会話に困らなかったと記載していた。

これは、とんでもなくすごいことだ。いや素直にとんでもなくすごい。いやいや凄すぎると言っても本当に過言ではない。

それはなぜか

これは、周囲の騒音レベルを数値化するとよくわかる。基本的に周囲の音が大きく日常生活上で聞き取るところを数値化すると

  • 少々騒がしい事務所(仕事場):60〜70dB
  • 交通量の多い道路:65〜75dB
  • ショッピング街:65〜75dB
  • 電車の車内:75〜85dB
  • 居酒屋の騒音:80〜90dB
  • 車の中(一般道路&ガソリン車)65〜75dB(確かそのくらい)
  • 車の中(高速道路&ガソリン車)75〜85dB(確かそのくらい)

大体、このようになる。少し外せば、クラブなどもあるが、あれは、90〜100dBクラスで健聴の方でも聞きにくくなるため、除外する。パチンコ店も大体、90〜100dBほどくらいなので、同じく除外。……こちらを見ている方は、そんなところ行きませんよね?

少し注意が必要なのは、車の中の音だ。ガソリン車と電気自動車、いわゆるハイブリッドタイプは、車の可動音(エンジンを含む)が静かになっているため、上記の音量よりもう少し小さくなる。が、正式に騒音計で測った事がないので、そこはわからない、この点は、申し訳ない。そして、車の中の音はかなり昔に測り、記憶が定かでない。私には車が無いのだ……。

おっと個人的な愚痴はどうでも良い。話しを戻そう。

仮に常時80dBほどの騒音下なのに会話がすんなりできたという事は、この中で80dB付近、あるいは、これ以下の場所では、会話がすんなりできる可能性が高い事を意味する。つまり居酒屋を除く

  • 少々騒がしい事務所:60〜70dB
  • 交通量の多い道路:65〜75dB
  • ショッピング街:65〜75dB
  • 電車の車内:75〜85dB
  • 車の中(一般道路&ガソリン車)65〜75dB(確かそのくらい)
  • 車の中(高速道路&ガソリン車)75〜85dB(確かそのくらい)

も改善できる可能性が高くなる。

どうだろうか。これは、とんでもなく凄い事ではないだろうか。今まで耳かけ形のクロスを試聴していただいてきたが、電車の車内や車の中では、特に効果が今ひとつだった。それが改善できる可能性が高まってきた。

しかも複数の人と話して効果があったというのも驚きだ。今までは複数の方とお話ししてもなかなかわかりにくいという事を聞いていた。この点も耳かけのクロスよりも良いという事であれば、更なる改善ができるという事でもある。

これはとても良い傾向だ。へたをすれば耳あな形のクロスは、片耳が聞こえにくい方の強い味方どころではなく、救世主になりえるのではないか。そんな期待まで感じてしまった。

会議では、聞こえにくい側の声が明瞭に入る

こちらのお客様からいただいた情報では、10名ほどの静かな会議を行ったそうだ。その際、明らかに聞こえにくい側の声が明瞭に入ったと記載されていた。

その様子をお客様の声そのもので表現すると「耳かけ形のクロスの場合は、聞こえにくい方から音が聞こえやすくなる程度だが聞こえにくい側の耳が聞こえるようになったと錯覚するほど、耳あな形のクロスは聞こえが良い」という事だった。初めに記載したあの言葉は、試聴されたお客様がそのままおっしゃった言葉だ。※厳密にはいただいたメールに書いてあった言葉だ。

通常10名ほどの会議を行った場合、残念ながら難しい傾向がある。それは、クロス補聴器であってもだ。音響機器上、拾う音が離れると離れる程、急激に音量が下がってしまう。

しかし、このような状況下であっても改善するとなると、これは、本当にすごい。ある程度、限界はあると思うが、今までより良くなるのであれば、それは、とても良い事だ。

耳あな形のクロスの方が暗騒音(空気の音)が少ない

さて、いきなりだが、暗騒音(あんそうおん)とは何かご存知だろうか。これは、補聴器から聞こえてくる、ザワザワとした何とも言えない音だ。人によっては、

  • 空気の音
  • 音を録音した時に聞こえる音
  • ザワザワした何とも言えない音

というように表現する。

これは、どのような補聴器でも聞こえる音で、クロス補聴器であっても例外ではない。補聴器というよりも、音響機器関連で発生するものなので、大変申し訳ないが、仕方がない部分でもある。

しかし、報告によるとなんと耳あな形のクロスの方が暗騒音は少ないらしい。という事は、それだけそのような音を感じず、快適に使えると言う意味にもなる。

人によっては結構気にする人もいるため、このような余計な音を軽減できるのは、非常にありがたい。と同時に、耳かけ形は、そのような音も拾いやすい構造である事もわかった。ふむふむ、これは、とても良い情報だ。

お客様から実際にお話しいただいた事のまとめ

これらは、実際に試聴いただいた方のお話しだ。耳かけ形のクロスより、非常によい傾向がある事がわかった。つまり、耳かけ形のクロスも耳あな形のクロスも合うのであれば、耳あな形のクロスの方が、効果が高いという事だ。

クロスは耳あなの方がベスト

こちらに記載したものは、全て嘘偽りない事実だ。ただ、誰もがその恩恵を受けられるかといえば、申し訳ないが、まだわからない。この点に関しては、あくまでも今回、このような結果が得られたというだけであり、かつまだ一人にしか試していない。その点は、予めご容赦いただきたい。※片耳難聴は対象者が少なすぎて情報が少ない。大変申し訳ないが情報が出回りにくい傾向がある。

今後、当店の方で、試聴を重ね、明らかに効果がでる傾向があるとわかったら再度、ご報告する。申し訳ないが確実性を気にする場合は、それまで待って欲しい。もし、気になるのなら、他のお店で試聴してみても良いし、当店に来て試聴でも良い。私の方でも実際に試聴、貸出も行っている。そして、そうしてくれるとお店も助かる(笑)。

もし、耳あな形補聴器の方が良いのであれば、そちらを使った方が生活がより良くなる事を意味する。そして、そちらの方が、聞こえに困らない事にもなるし、補聴器で重要なのは、その部分だ。

今回の試聴は、お客様の状況をより良くできるか、どのようにしたらより良くできるかという視点で始めたが、予想以上の結果があったため、速報として情報提供する事にした。

こちらの情報でより聞こえが改善できれば幸いだ。もし、今現在、耳かけのクロスを使っているのなら、耳あなのクロスを試してみて欲しいし、聞こえを改善できるのなら、少々金額はかかってしまうが、それ相応の価値は手に入ると考えている。

クロス補聴器を初めて考えているのであれば、耳かけ、耳あなの両方を試してみるのも良いだろう。恐らく、結果的に耳あなの方が良くなるとは思うが、それにより、生活がより良くなればそれはとても良い事だ。

以上、片耳が聞こえにくいあなたの役に立てれば幸いだ。ぜひ聞こえる世界を手に入れ、自分が感じている不自由を改善して欲しい。

〜追伸2016年11月〜

こちらを記載して、もう5ヶ月になる。その間、様々な方にお越しいただいた。この内容に関して追伸を入れるとすると、やはり耳あなクロスの方が試した方ほぼ全てが良いと答えていた。もし、クロスに関して考えているなら、迷わず、耳あなのクロスをオススメする。この情報で、ぜひ、自分が感じている不自由な部分を改善してほしい。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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