2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

お使いの補聴器が聞こえにくいとお困りの方へ送る聞こえを改善させる方法

Pocket

window-1231894_640

最近、補聴器を別のところで購入したけれども聞きにくい、メガネ屋さんで購入したけれども、なかなかうまくいかないという方のご相談が増えてきました。

補聴器を使用しても聞こえにくいという理由は様々です。しっかりと補聴器の調整がされていても、耳の限界上、難しい方もいますし、補聴器の調整でもう少し、改善の余地があるという事で、こちらで良くする施策を施し、よくできた方もいます。

これらの方々をご対応させていただき、一定の改善ポイントが見えてきましたので、こちらに記載してみます。聞こえにくさにお悩みの方へ改善するヒントとなれば幸いです。

結論から

補聴器屋さんでもメガネ屋さんでも共通する事ですが、

  • 耳に合った補い方をしていない
  • 補聴器の効果を調べていない

この二つのどちらか、あるいは、両方とも共通している事が多いように感じます。

メガネ屋さんでは、補聴器の効果を調べる事をしていないところが多く、補聴器屋さんは、耳に合った補い方をしていないケースを良く見ます。※あくまでも当店に相談しに来られる方の傾向です。

補聴器は、感音性難聴の方が使用するものですので、適切に合わせてある補聴器でも残念ながら聞きにくさが出る事はあります。しかし、上記の点で、不明確な部分や耳の事をあまり考えずに補聴器の購入をされている場合は、改善できる可能性があります。

聞こえを改善させる策

こちらでは、聞こえにくさを改善させる策として、当店でやっている事、確認している事を載せていきます。私の方でしているのは、

  • 耳の状況に見合った補い方をしているか
  • 補聴器でどのように聞こえさせているか

の二つを確認します。この二つの内、いずれか一つでも改良できるポイントがあれば、今以上に聞こえを改善できる可能性は十分にあります。

耳の状況に見合った補い方をしているか

意外に意識されていない事ですが、耳の状況に見合った補い方をしているかは非常に重要です。特に

  • 両耳とも聞こえにくく、片耳がより聞こえにくいケース
  • 両耳とも聞こえにくいが、片耳しか装用していないケース

の二つは、耳を補う方針そのものに誤りがあれば、改善できる可能性がぐっと高くなります。

片耳がより聞こえにくいケース

片耳がより聞こえにくいケースとは

片耳装用では、聞こえにくい側を改善させるのが難しいケース。このようなケースは、バイクロス仕様にしないと改善が難しい。

片耳装用では、聞こえにくい側を改善させるのが難しいケース。このようなケースは、バイクロス仕様にしないと改善が難しい。

のような聴力を指します。このような場合、仮に片耳のみ補聴器を装用しているケースでは、より聞こえにくい耳側も補うため、過度に音を入れたりするケースを見ます。しかし、このような事をしても、残念ながら、聞きやすい耳側がより聞きやすくなるだけであり、根本的な改善には、繋がりません。

この場合の問題点は、より聞こえにくい側の聞こえの改善になるケースが多く、その場合は、バイクロス仕様にして補うと効果的に補う事ができます。

バイクロスとは、聞こえる耳は、補聴器で補い、聞こえにくい耳は、音を転送させる送信機(クロス補聴器)を乗せ、送信機が拾った音を聞こえる耳に装用している補聴器に送ってくれるシステムの事です。

このようにする事で

  • より聞こえにくい側の音を補聴器側で補える
  • 無理に片耳の補聴器の音量を上げずに済む

という利点があります。

補い方をしっかりと考えなければならない典型的なケースが、このような聴力差があるケースとなります。これは、片耳のみ補聴器を装用しても、もう片耳の聞こえまで補う事は、できないためです。

全ての悩みを改善できる事はないかもしれませんが、片耳のみしか装用していないのでしたら、今以上に聞こえを改善できます。

片耳しか装用していないケース

こちらは、両耳とも補聴器が合う事が条件ですが、両耳装用する事で聞こえの改善が見込めます。

両耳の聞こえと片耳の聞こえで、片耳ベースで比較すると

  • 騒がしい中での聞き取りがより難しくなる
  • 複数の人との会話がよりしにくくなる
  • 音の方向感覚がわからなくなる
  • 付けていない側からの音、音声には、気が付きにくくなる

この四つが起こります。片耳のみでは、これらの聞こえにくさ、不自由な事が起こりますので、両耳装用して、なるべく聞き取りを下げないようにする必要があります。

そして、片耳のみの装用であれば、両耳にする事でより聞こえにくさを軽減する事ができます。

補聴器でどのように聞こえさせているか

こちらは、補聴器を装用した状態の効果を数値で表す事となります。こちらを調べる理由は

  • しっかりと補えているのかの確認
  • バランス良く音が入っているかの確認

この二つのために行います。

しっかりと補えているのかの確認

こちらは、補聴器を装用した状態で、音場閾値測定(おんじょういきちそくてい)というものを行います。こちらは、補聴器を装用した状態で行う聴力測定のようなもので、補聴器を装用し、どのように聞こえているのかを調べる事ができます。

防音室の中、様々な道具が並んでいる

防音室の中、様々な道具が並んでいる

このような防音室で

音場閾値測定の場合は、スピーカーを使う。補聴器を装用した状態の効果測定は、全てスピーカーを使って調べる。

音場閾値測定の場合は、スピーカーを使う。補聴器を装用した状態の効果測定は、全てスピーカーを使って調べる。

スピーカーから音を出して測定します。

適切な位置まで聞こえていれば、効果がある事もしっかりと補えている事もわかります。逆に、音量が足りていない部分や明らかに変な聞こえになっている場合は、しっかりとそのように表示されます。その場合は、こちらのデータを元に調整のし直しなども行えます。

補聴器には、自分が使用した感覚で評価する主観評価と補聴器を装用した状態で測定、検査をして、効果を数値で表す客観評価の二つがあります。補聴器は、客観評価が重要です。

私自身も補聴器を装用していますが、補聴器の効果を自分の感覚だけで判断する事はしていません。必ず客観評価を行って判断しています。その理由は単純で、補聴器を装用しても音が大きく聞こえるように感じるだけであり

  • 自分がどのように聞こえているのか
  • 適切な位置まで聞こえているようになっているのか
  • 自分の聴力の場合、どこまで聞こえていれば良いのか

これらが自分の感覚のみでは、わからないためです。補聴器の場合は、自分自身で補聴器の効果を推し量る事はできません。これは、感音性難聴である事もそうですが、感覚という曖昧なものである事も大きく関与しています。

バランス良く音が補えているか

音場閾値測定を行いますと、どのように音が補えているのかが一目で分かります。

▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。データの見方は、聴力図と同じ

▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。データの見方は、聴力図と同じです

例えば、こちらは適切に入っている例です。各数値がバランス良く入っています。

補聴器の効果の見方としましては、補聴器装用時の数値が30〜40dB以内に入っていると概ね良好です。私自身としては、30〜35dBほどの聞こえの方は、特に補聴器の効果を感じている方が多いように感じます。

耳鼻咽喉科の聴覚医学会では、1000Hzのみ35dBか、聴力の半分の数値が補えていれば良しとしています。私も基本的にこちらを参考にして、状況の確認をしています。

要注意の波形。フィッテング理論でもそうだが、あまり低域は、大きくしない。

要注意の波形。フィッテング理論でもそうだが、あまり低域は、大きくしない。

このようなケースは、少々、調整が必要です。主に低域の聞こえを下げ、音の明瞭度に貢献する中音域〜高音域を上げて、音のバランスを良くします。

補聴器は、基本的に低域(低い音の周波数帯大体〜500Hzまでを表すケースが多い)は、あまり大きくしません。低域の部分を大きくしてしまいますと、周囲の音や車の音などの低い音に聞きたい音がマスク(隠される、覆われる事)され、わかりにくくなるためです。これを補聴器用語で「上行性マスキング」と呼びます。

耳の生理学的(音響学も含む)に低い音は、その他の、中音域、高域の音をマスクしやすくなるのですが、中音域、高域の音は、低域の音は、マスクしません。言い換えれば、ホイッスルのような高い音は、車の騒音をマスクする事はありませんが、車の騒音はホイッスルのような高い音をマスクする事があります。

どちらの音量が大きいかで、こちらは決まります。ですので、低い音を大きくしすぎると周囲の音に邪魔されやすくなり、騒がしいところでのお話しや音が多い所での聞き取りは、低下します。補聴器のフィッテング処方式では、低域が中音域、高音域より低めの設定をされているのですが、それは、このような理由からです。

主な調整の考え方。なお、あくまでも当店におけるものとなるので、ご注意を。

主な調整の考え方。なお、あくまでも当店におけるものとなるので、ご注意を。

エビデンスがあるわけではありませんが、このような聞こえにすると今までの経験上、良くなるケースが多いです。その事から、当店では、このように考えて調整しています。※あくまでも目指せる方のみとなります。

音場閾値測定の結果を見る事で、しっかりと補えているのか、波形的に良い傾向があるのか、これらを確認できます。測定をしなければわからない事はたくさんあります。しっかりと測定をする事は、とても重要です。

聞こえを改善させる策のまとめ

あくまでも私のやり方ではありますが、このようにして聞こえを改善させています。確認するのは

  • 耳の状況に見合った補い方をしているか
  • 補聴器でどのように聞こえさせているか

の二つです。この二つを確認している理由は、耳に合ったやり方をしないと、改善できるものも改善できませんし、補聴器の効果を客観的に評価しないと、聞こえているのか、聞こえていないのかの評価もできないためです。こちらは、両方とも重要です。

中にはしっかりと調整されており、改善できないケースはありますが、もし、何らか当てはまる事、確認していない事があれば、改善できる可能性はあります。

こちらで何か、聞こえを改善するヒントを掴めたら幸いです。

Pocket

この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム