補聴器を装用すると、語音明瞭度が上がる症例


音を聞く事と、音声を理解できる事は、全く異なる事です。前者を調べるのは、聴力検査であり、音声の理解力は、語音弁別能検査(語音明瞭度検査)を行います。

私の場合、補聴器の効果に関して、よく数値化しているのですが、それを繰り返していると、補聴器を装用する事で、補聴器を装用していない状態の最良の明瞭度より、補聴器を装用した時の最良の明瞭度の方が高くなるケースをたまにみます。

このような症例をいくつか経験してきましたので、今現在、わかる範囲で、まとめていきます。

なお、こちらに書いているのは、あくまでも私が補聴器の調整や測定をして得られた傾向であり、エビデンスがあるわけではありません。また、まだまだ数が少ない状態ですので、その点は、ご了承ください。

結論から

結論から言いますと

結論からいうと、このような低い音が聞こえ、高い音が聞きにくい方に見られる。

結論からいうと、このような低い音が聞こえ、高い音が聞きにくい方に見られる。

のような聴力が多いです。2000Hz以降、もしくは4000Hz以降が70dB以下になると、見られる傾向があります。もちろん、70dBに満たない場合でも見られますので、正直、よくわかりません。

このようなケースは、裸耳で測定した語音明瞭度の数値より、補聴器を装用した状態の語音明瞭度の数値が高くなる事があります。

そして、明瞭度に関しては、そのままの耳で40〜60、70%の範囲内に収まる事が多く、多いのは、60%台。それが、補聴器を装用して、語音明瞭度測定を行うと、70〜90%くらいにまで上がるケースを見ます。こちらに多いのは、80%台です。

理由に関して考えられるのは、高い音が聞こえにくい事により、裸耳の耳では、音声がはっきりせず、聞こえにくい状態である事が考えられます。

気付いたきっかけ

気付いた事実のみを淡々と書く方が、良いかもしれませんが、ここで、ちょっときっかけに関しても載せてみます。

基本的に、語音明瞭度測定は、音声の理解力を調べるもので、補聴器を装用した時の効果をある程度、予測、あるいは、補聴器を装用して、効果が望めるかという点を明らかにするために行われます。その理由は、音が聞こえる事と、音声が理解できる事は、異なるためです。

補聴器は、簡単に言えば単に音を大きくする機器であり、音を大きくして音声を聞かせたとしても、それが理解に繋がらないのであれば、補聴器を装用しても、思うように効果が望めないという事がわかります。語音明瞭度測定がやっている事は、音声を大きくして聞かせると、どのくらい正解(理解)するかを見るものであり、補聴器の効果を可視化しているとも言えます。

この数値ですが、一般的に低いと補聴器の効果が望みにくく、かつ良くなる事はないとされています。言い換えれば、裸耳で測定した数値は、基本、そのくらいしか音声の理解は、できない事を意味します。

しかし、補聴器を装用する前に行う語音明瞭度測定と補聴器を装用した時に行う語音明瞭度測定の比較を行うと、補聴器をつけていない状態の方が低く、補聴器を装用した時に行う語音明瞭度の数値の方が高いケースをたまに見かけました。それが、上記に記載したケースです。

初めに見かけた時は、こんなケースもあるんだなと見過ごしていたのですが、ちらほら見かけるようになった事、そして、明瞭度の関係上、あまり考えられる事ではないため、気になり、自分なりに調べてみる事にしました。仮に明瞭度を良くする方法が見つかれば、さらに聞こえにくさを改善させられるかもしれないと思ったためです。

明瞭度が上がる条件

過去の例で見てみますと、明瞭度が上がる条件は、どうも高音域をしっかり入れる事のようです。具体的には、1000Hz〜4000Hzまでとなります。この点は、音場閾値上で確認できる数値ですので、実際には、8000Hzも必要かもしれません。(そこまで補聴器で出ればのお話しですが)

補聴器には、どのくらい音を補えているのかを見る、音場閾値測定というものがあります。これは、補聴器を装用した状態で行う聴力検査のようなものです。

上記のような症例で、こちらの結果を見てみると、

▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。かなり理想の聞こえだが、高音域を補えていると、不思議と結果がよくなる傾向がある

▲が補聴器装用時、△が補聴器なし。かなり理想の聞こえだが、高音域を補えていると、不思議と結果がよくなる傾向がある

のように、高確率で、高音域が補えている事がわかりました。もともと補聴器は、足りない部分を補うものですので、それは、それで当たり前かもしれません。しかし、聞こえにくい状態で、何らかの理由により、その部分をあまり入れていないケースでは、聞こえの改善が、あまりされていないように感じます。どちらかというと。高音域をしっかり入れているケースの方が、多くなります。

高音域を入れやすい補聴器は何か

ここまでわかると、次は、高音域を入れやすい補聴器は、何か。という内容になるのですが、これは、簡単で

  • RIC補聴器
  • 耳あな形補聴器

の二つになります。両方とも音を出す部分が、耳の中に入っており、耳の中から、音を伝える事で、高音の部分を耳に届けやすくなります。上記の症例で、改善できたケースを見てみると、RIC補聴器か耳あな形補聴器のどちらかでした。そして、高音域もしっかりと補えていたケースに当てはまりました。

私自身が音場閾値測定を行いつづけて感じているのは、各周波数をしっかりと補いやすいのは、耳あな形の補聴器になります。そのため、私の場合、このような症例には、耳あな形補聴器を勧めています。高域を補いやすくなり、明瞭度が良くなれば、それだけ、聞こえにくさの改善に繋がるためです。

まとめ

補聴器を装用すると明瞭度が上がるケースをちらほら見られるようになりましたので、それに関して記載してみました。あくまでも私自身が感じている事ですので、エビデンスがあるわけではありません。

しかし、補聴器を装用して、効果があがるのであれば、それは良い事ですし、それだけ、聞こえにくさを改善できる事にも繋がります。

もちろん、測定結果は、あくまでも静かなところで行いますので、騒がしくなると、良い数値の約半分くらいにまで下がるケースもあります。この数値が良いからと言って、全てが改善するわけではありません。

また、後迷路性の障害であれば、それは、改善する事はできませんので、このような場合は、申し訳ありません。

ただ、高い音が聞こえにくい事で、理解力が落ちていると仮定し、そこを上げ、良好になるのであれば、聞こえにくさを底上げするヒントにはなります。そして、傾向が見つかれば、良くさせる術にもなります。まだまだ検証が足りない状態ですので、これからも自分なりに調べていかなければならないのですが、まだまだ、補聴器は捨てたものではないようです。

中には、明瞭度が低い事で、医師から「補聴器は効果ないよ」と言われたり、補聴器販売店から「すみません、残念ながら補聴器の効果は感じにくい傾向があります」と告げられるケースがあります。しかし、それらが良くなるのであれば、無駄に諦めなくても済みますし、聞こえにくい方にとってより良くさせる手段にもなり得ます。

まだまだ、改善が難しい難聴のケースはたくさんありますが、少しずつ救える人が増えるのであれば、それは、良い事ですね。と、今現在、自分自身がやっている事に関し、掴めている事を載せてみました。エビデンスはないので、あくまでも傾向程度にお考えください。