2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器が、耳を治すところまでいけない3つの理由


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補聴器は、聞こえにくさを改善させる道具ではありますが、残念ながら耳を治すところまで改善させることは、できません。これには、幾つか理由があり、その理由に関して、述べていきます。

なお、はじめに補足をしますと、補聴器は、確かに耳を治すことはできないのですが、補聴器を装用することで改善できることはあります。仮に医師から耳を治せないと言われた場合、現状を改善させるには、補聴器を使用し、聞こえる音を大きく聞こえるようにして改善させることとなります。耳は治せないかもしれませんが、現状で困っている幾つかのことは、改善させることができます。

耳を治すところまでいけない三つの理由

こちらに関しては

  • 補聴器で補える音の範囲
  • 感音性難聴の特徴
  • 音響機器であるが故の限界

の3つがあります。この三つが重なり、耳を治すところまでは、残念ながらいけない状態となります。

補聴器で補える音の範囲

補聴器で補える音の範囲は、聴力ごとにおおよそ決まっています。そして、ここから重要ですが、その範囲は、残念ながら健聴の人の聴力よりもずっと下になります。

補聴器で聞こえを補えるラインと健聴の人の聞こえている範囲。大きく差があることがわかる。

補聴器で聞こえを補えるラインと健聴の人の聞こえている範囲。大きく差があることがわかる。

数値で表すとわかりやすいのですが、仮に中等度難聴くらいの場合は、▲の位置くらいまでは、補うことができます(だいたい30〜40dBくらいの位置まで持ってこれます)。しかし、健聴の人が聞こえている範囲を見ていただければわかりますが、それよりもずっと上で聞こえています。

これがどんなところで影響を受けるかと言いますと、離れたところでの音の気づきや音声を理解できる音の範囲が異なります。健聴のように小さい音でも聞こえるようになると、声が小さくても音声を理解するのに十分な音量となり、理解がしやすく、かつ離れていても音声を理解しやすくなります。

しかし、補聴器で補えている音の量ですと、離れたところからの会話や呼ばれた際、会議で離れた席の人の声が聞きにくいなど、主に距離の部分で大きく違いが出てきます。補聴器をつけることで、対面の会話やすぐ近くでお話しする分には、よくなるのですが、音は距離が離れると急激に音量が小さくなります。それなりに小さい音でも聞こえていないとこれらの部分では理解することができないため、この部分で大きく差が出ます。

こちらのみ見ると、では補聴器でそこまで音を大きくすればいいのでは?と感じる方もいるかと思いますが、そこまで大きくすると周囲の音や聞こえてくる音が大きくなりすぎて、つけてられなくなったり、かえって聞きにくくなったりします。これは、補聴器の限界というよりも聞きにくくなっている耳の神経の音を感じる感覚の変化により、そのようになっていますので、耳の特徴上、この位置くらいまでしか補うことができません。

なお、仮に同じ聴力だったとしても音を大きくするとうるさくてつけられない場合は、実質、先ほどの▲よりも下の位置に来ますので、さらに聞きにくくなります。そして、聴力が重いと重いほど、目指せる数値は、低くなりますので、その分、聞きにくさは、感じやすくなっていまいます。

補聴器で、健聴の人の聴力と同じくらいによくすることは、現状では不可能ですので、ある程度、聞こえには限界があります。

感音性難聴の特徴

補聴器を装用する人は、感音性難聴といい

一番左にあるのが、内耳。こちらは、音を脳が理解できる電気信号に変換する器官。これがないと音を脳に送れず、音を理解することができない。

一番右にあるのが、内耳。こちらは、音を脳が理解できる電気信号に変換する器官。これがないと音を脳に送れず、音を理解することができない。

の内耳と呼ばれる部分が、なんらかの原因で損傷し、聞きにくくなっている状態です。内耳とは、外の音を感知し、脳にその情報を送ることをしている大変重要な器官です。人の耳は、音そのものを脳に届けることはできないので、脳が理解できる言語に変換して脳に情報を送っています。この部分の損傷が大きいと、脳にうまく情報を伝えられないため、聞き間違いや認知の間違いが起こります。

感音性難聴は、この部分がなんらかの原因で損傷しているため、音が聞こえにくくなるほか、音声が聞き取りにくい、理解しにくいという状態も起こります。こちらに関しては、非常に強く起こる方から、少し起こる、特定の場所のみ起こるケースまで様々です。

音を理解するのに使われている器官ですので、この部分が損傷すると、少なからず、聞き取りに影響が出てきます。そして、その音声の理解度までは、補聴器で補うことはできませんので、この点でも限界点が出てきます。

音響機器であるが故の限界

補聴器は、音響機器であり、拾った音を大きくして耳に届けています。その際、音響機器であるが故に、騒音や調整によっては、音のビビリが入り、聞きにくくなることがあります。

特に音が多い場所ですと、周囲の音に埋もれて、聞きたい音が聞きにくくなるということも起こります。この部分に関しては、難聴者の聴覚の部分と音響機器上の特性の両方がありますので、一概に補聴器のせいだとは言えないのですが、少なからず、こちらに関しても影響があります。

騒がしいところでの会話の改善は、切実ではありますが、今現在の技術でもなかなか改善しづらく、このような場所では、聞きにくさを感じやすくなります。

耳は治せないけれど改善はできるのが補聴器

補聴器に関して、正直なところを伝えますと、耳は、治すことはできないけれど、改善はできるということです。私自身も補聴器を装用し、聞こえを改善させていますし、騒がしいところでも聞こえることもあれば、聞こえないこともあります。0と1ではなく、それぞれが混合している状態です。

まだまだ聴覚のシステムの解明はできておらず、補聴器で聞こえを補う上では各社様々なことをしていますが、治すというところまでは、至っていません。ただし、改善はできるというのが、正直なところです。

補聴器に関して、迷われている方がいれば、試されてみてはいかがでしょうか。耳を治すというところまではいけないのですが、改善させることでできること、困っているところの幾つかは、改善させることができるかもしれません。そうなれば日常生活や仕事場、職場での聞きにくさを改善できるかもしれません。

もっとも医師に治療方法がないと言われた時点で、もう補聴器か人工内耳と呼ばれる機器かしか改善方法がないのですが、少しでも補聴器で状況を改善できればそれが一番良いことです。自分の状態をよりよくさせるために、補聴器を装用することをお勧めします。ただし、現状に困っている場合は、となります。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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