バイクロス補聴器の形状と形状別、聞こえの効果の違い


バイクロス補聴器には、いくつかの形状と組み合わせがあります。そして、その組み合わせごとに効果や特徴が異なります。

こちらでは、

  • どのような組み合わせがあるのか
  • 組み合わせ別にどう聞こえが変化するのか

これらについてまとめていきます。

バイクロス補聴器の効果を決める要素の一つが形状(組み合わせ)になります。ご自身にとって、良いものを選んでいければ、状況をより改善しやすくなります。

バイクロス補聴器の形状と機能

バイクロス補聴器には、主に

  • 両耳とも耳かけ形のタイプ
  • 耳かけ補聴器、耳あなクロスタイプ
  • 両耳とも耳あなタイプ

の3つがあります。基本的に補聴器には、耳にかけるタイプと耳の中に入れるタイプがあり、バイクロス補聴器は、この2つを組み合わせて使っていきます。

両耳とも耳かけ形のタイプ

両耳とも耳かけ形のタイプは、ポピュラーなタイプです。

このような形状をしており、

両耳とも耳にかけて使用します。形状は小型化していることもあり、そんなに目立つものではありません。

バイクロス補聴器は、全て音量を調整できたりするのですが、このようなボタンを使用して、音量を自由に上下したりすることができます。

赤い丸の部分が音を拾っている部分。耳の位置にあるため、髪の音やメガネを使っている場合、ツルが当たってカチカチ聞こえることもある。

赤い丸の部分が音を拾っている部分。耳の位置にあるため、髪の音やメガネを使っている場合、ツルが当たってカチカチ聞こえることもある。

耳の上につけるため、音を拾う位置も耳の上になります。そのため、少し髪の音が入ったり、メガネをかけていると、メガネが当たった時にカチカチとなることがあります。

このような傾向があるのが、両耳とも耳かけ形のタイプです。

耳かけ補聴器、耳あなクロス

少し変わった組み合わせをしているのがこのタイプです。

異なる形状同士を組み合わせたもので、聞こえる耳側は、耳かけの補聴器を使用し、聞こえない耳側は、耳あなのクロスを使用します。

騒がしいところでは、どうも聞こえない耳側を耳あなのクロスにした方が良いことがわかってから使うようになったタイプで、それなりに使用されています。

こちらの形状は、デモ機器のもの。

こちらの形状は、デモ機器のもの。スイッチを押して、色々と操作することができるようになっている。

こちらも、ボタンを押すことで、音量調整できたり、自分なりに音を変えることができます。

また、クロス側の音を拾う位置(マイク)は、人の耳と同じような位置になるため、耳かけ形より、少し自然な音の拾い方になります。

両耳とも耳あな形のタイプ

両耳とも耳あな形のタイプは、個人的には、マイナス面が気にならない方であれば、一番良いものだと思っています。

両耳とも耳の中に入れて使用するタイプで、耳の型を採取して作るため、耳から外れにくい。という特徴もあります。

このようなボタンを操作することで、音量を変えたり、自分なりに操作することができます。

マイクの位置は、両耳とも普段拾っている感覚と近くなりますので、もっとも自然、かつ理想な状況になります。

そして、両耳とも耳あな形の場合、補聴器が耳の中に入るため、ほとんど邪魔になることはありません。帽子やメガネ、マスクといった耳に重なるものがある場合、耳かけ形は、邪魔になることがあるのですが、耳あな形はそのようなものはない状態になります。

バイクロス補聴器の形状の比較

先ほど、3つの形状、組み合わせを紹介しましたが、その特徴は、

この通りになります。それぞれ気になりやすい

  • 聞こえの効果
  • 装用の感覚
  • 電池の持ち

の3つに分けて記載していきます。

聞こえの効果

一番気になるのは、聞こえの効果ではないでしょうか。その点に関しては、

  • 基本の聞こえはどこで決まる?
  • 形状別、それぞれのシチュエーション別、改善効果

の2つに分けて記載していきます。

基本の聞こえはどこで決まる?

まずはじめに理解したいのは、バイクロス補聴器の聞こえは、どこで決まるのか。という部分です。この点に関しては、何度も記載していますが、ご自身の聴力において補える改善目標値まで改善させることです。

補聴器を装用した状態を見るものには、音場閾値測定というものがあり、それで測定したのが、上記の画像です。このように、目標の部分まで改善できているとできているほど、補聴器の効果は、上がります。

では、どの形状がそこまで改善できるのかというところですが、全部、そこまで改善させることができます。そのため、どの形状も、◯以上になります。その部分は、形状による優劣は大きくありません。※若干、両耳とも耳あなの方が補いやすい傾向はあります。

赤い▲が補聴器で目指す改善目標値だとすると、形状により、その改善目標値、言い換えれば、聞こえの上限が変化するのかと言われると、そんなことはない。どれも、上限および、改善目標値は、目指せるようにし、かつ、その上限も変わらない。

赤い▲が補聴器で目指す改善目標値だとすると、形状により、その改善目標値、言い換えれば、聞こえの上限が変化するのかと言われると、そんなことはない。どれも、上限および、改善目標値は、目指せるようにし、かつ、その上限も大きくは変わらない。

そして、形状によって、補える改善目標値が異なるということもありません。聴力から補える目標値は、形状別に変わることもありません。

基本となる聞こえの部分は、どの形状でも達成できるようになっているのですが、形状によって、どのような場面が得意か。というところが若干異なります。

形状別、それぞれのシチュエーション別、改善効果

では、どの部分で異なるのか。それぞれ見てみましょう。

両耳とも耳かけタイプ
あくまでも補聴器で改善できるレベルで表現。ある程度静かなところだと聞こえの効果が高く、騒がしくなるにつれ、効果が徐々に落ちる。この点はどの形状でもそうだが、耳かけは、特にその傾向が強い。

あくまでも補聴器で改善できるレベルで表現。ある程度静かなところだと聞こえの効果が高く、騒がしくなるにつれ、効果が徐々に落ちる。この点はどの形状でもそうだが、耳かけは、特にその傾向が強い。なお、③は、あくまでも周囲が騒がしくないことが条件。騒がしいと一気に効果が下がる。

まず、両耳とも耳にかけるタイプは、このようになります。

このような形状のものですね。

かなり大雑把なのですが、耳かけ形は、音を拾う範囲が少し特殊で、上記のような広範囲を拾う傾向があります。ですので、苦手になりやすい聞こえない耳側の斜め前、斜め後ろあたりも音が結構入ってくるようになります。

広範囲に音が入ってくるようになると、普段聞きにくかった方向からの音に気が付きやすくなったり、呼びかけに反応しやすくなったりするのが、大きなポイントです。特にこれらは、少し騒がしい程度くらいなら、改善しやすい状況になります。

一方、音を拾いやすいといえば利点しかないように感じますが、音を拾いすぎると、今度は、何を言っているのかよくわからなくなってしまう。ということも同時に起こりやすくなります。音が多すぎて、音声が周りの音に邪魔されやすい。といえばわかりやすいかもしれません。

そのため、ある程度、静かなところから、少し騒がしい程度であれば、効果的に補える傾向があるのですが、一定以上の騒がしさになると、急に聞こえにくくなる傾向があります。それが、両耳とも耳かけ形の特徴です。

これらの特徴から、

  • 会議で聞きにくさを関しやすい
  • 打ち合わせなど、囲んで話をする際に聞きにくさを感じやすい

など、騒がしいところではなく、囲んでお話する際に特に聞きにくくなりやすい方にオススメの形状です。特にオフィスワーカーの方であれば、ご自身のデスク周りが、周囲の物音で聞きにくくなりがちですが、そのような場所でも聞きやすくなります。

耳かけ補聴器、耳あなクロスのタイプ

次は、耳かけ補聴器、耳あなクロスになります。

特徴は、平均的に改善できること。少々騒がしくなったとしても、聞こえると表現する方が少なからずいる。その部分に関する効果は、耳かけ形より上で、改善目標値までちゃんと改善さえすれば、全体的に改善される傾向があるのが、大きな特徴。

特徴は、平均的に改善できること。少々騒がしくなったとしても、聞こえると表現する方が少なからずいる。その部分に関する効果は、耳かけ形より上で、改善目標値までちゃんと改善さえすれば、全体的に改善される傾向があるのが、大きな特徴。

この特徴は、このようになります。特徴は、バランス形です。聞きにくさを感じるところを一通り、改善できることと、以下に紹介する装用感覚が楽なことから、私のところでは、意外にでる形状です。

このような少し変わった組み合わせをしているものですね。

大きな特徴は、クロス側を耳あな形にしていることです。音を拾う範囲は、通常の耳と同じような感覚で拾えるため、騒がしい中では、耳かけ形よりは、まだ聞こえは良いところです。

上記にも出ましたが、人間の耳は、前からくる音と後ろからくる音、それぞれメリハリをつけています。同じように音を聞くと、その方向からくる音の強い方が聞こえてしまうため、前方の音を優先して聞こえるようにしています。その効果を利用できるせいか、騒がしいところでの聞こえは、こちらの方が少し上手のようです。

また、聞こえに関しては、ちゃんと改善目標値まで改善させれば平均的に改善できるのが、この機器の特徴です。

私の方では、基本的に騒がしいところも含む全体的に聞こえを改善したい、けれども、耳あな形を使用すると、こもったり、閉塞感が強く、その感覚は、なるべく避けたい。という方にオススメしています。

両耳とも耳あな形のタイプ

最後は、この両耳とも耳の中に入れて使用するタイプです。

聞きにくさを感じやすい部分を全体的に改善できる傾向があるのが、両耳とも耳あなの特徴。特に両耳耳かけとこのタイプを比較すると、騒がしい中の聞こえから、少々静かなところでの会話も耳あなの方が良いという方が多い。

聞きにくさを感じやすい部分を全体的に改善できる傾向があるのが、両耳とも耳あなの特徴。特に両耳耳かけとこのタイプを比較すると、騒がしい中の聞こえから、少々静かなところでの会話も耳あなの方が良いという方が多い。デメリットも大きいが、メリットも大きいタイプ。

こちらは、このような特徴があります。個人的には、欠点さえ気にならなければ一番聞きやすくなる補聴器だと思っています。

このような形状のものですね。

こちらの形状は、騒がしい中での改善度は、上記にのせた両耳とも耳かけ、耳かけ補聴器、耳あなクロスより高くなりやすいことです。厳密には、騒がしいレベルによっても異なってはしまうのですが、改善度は、どの形状(組み合わせ)より、上がる傾向があります。

こちらも全体的に改善する様子から、欠点さえ気にならなければ一番良い状態の組み合わせです。

私の方では、

  • メガネやマスクをよく使う(邪魔になりやすいものがある)
  • 聞こえを最優先したい

という方には、こちらをオススメしています。

但し、私の場合、実際に製作し、試してみて、閉塞感やこもった感覚、ご自身の声の大きさなど、デメリット部分が、あくまでも使える範囲内であることを確認し、良好であれば、そのままお渡しする。と、少し工夫して行なっています。デメリット部分がかなり強く出る方の場合は、耳かけ補聴器、耳あなクロスの方にシフトした方がよくなるため、使う方にとって、何が良いのか。というのを考えながら行なっています。

装用の感覚

装用感覚とは、耳に補聴器を装用した際に気になりやすい、こもった感覚や耳に何かが入っている感覚、そして、時には、ご自身の声が大きく感じる感覚です。

その感覚は、耳を塞ぐと起こることで、イヤホンを耳に差し込んだ状態でも起こるのですが、補聴器も耳にはめる必要があるため、同様の症状が起こります。

その感覚に関してですが、一番軽減、少ないのは、耳かけ形のタイプで、一番強く出やすいのが、耳あなのタイプです。

特に耳あな形は、その人の耳の形を採取して、作る補聴器なため、耳を密閉するようになります。そのため、その感覚が、耳かけに対して、人一倍強く感じるようになってしまいます。

この点だけが耳あな形は欠点です。そして、耳かけ形は、その感覚を軽減しやすい状態になります。

なお、この感覚は、聞こえている側につける補聴器により、異なります。聞こえる耳側に耳かけをつける場合は、まだ軽減しやすく、耳あな形の場合は、強く感じやすい状態になります。

電池の持ち

補聴器は、電池を交換して使用し続けるものです。そのため、形状および、組み合わせにより、電池の持ちも異なります。両耳とも耳かけ形や両耳とも耳あなのタイプは、まだ持つ方なのですが、耳かけ補聴器、耳あなクロスのタイプは、かなり短い傾向があります。

耳かけ補聴器、耳あなクロスは、上記のように2つあります。形状を大きくして、大きい電池を使用できるようにできれば、電池の持ちを2倍くらいにあげることはできます。

ここが耳かけ補聴器、耳あなクロスの欠点といえば欠点です。

バイクロス補聴器の形状のまとめ

バイクロス補聴器の形状による特徴は、上記の通りです。ポピュラーな形の両耳とも耳にかけるタイプから、少し変わった組み合わせの耳かけ補聴器、耳あなクロスの組み合わせ。そして、両耳とも耳の中に入れるタイプがあります。

それぞれの特徴は、上記の通りで、全て一長一短があります。もしできるのであれば実際に使ってみてどんなものなのか。それを体験しながら、選択できると良いでしょう。特に両耳とも耳あな形のものは、人によって、デメリットの部分がかなり強く出る方もいますので、実際に使えるのか。という部分を確認するのは、とても重要です。

ということで、こちらの内容が参考になれば幸いです。