2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

クロス補聴器の形状と組み合わせによる特徴


eurasian-eagle-owl-1642795_640

クロス補聴器には、いくか形状があります。そして、クロスの場合は、聞こえる耳に装用するものと聞こえない耳に装用するものが、異なります。言い換えれば、聞こえる耳には、補聴器を装用し、聞こえにくい耳には、クロスと呼ばれる送信機を使います。

このように耳によって異なる機器を使う場合、形状ごとの特徴も、補聴器側、クロス側で変化します。そのため、こちらでは、使う耳ごとの形状から、その組み合わせに至るまで、クロス補聴器の形状にまつわるものを一通り、まとめていきます。

クロス補聴器には、どのような形状があり、どのような特徴があるのか。こちらについて理解したい方は、参考にしてみてください。

なお、クロス補聴器の場合、聞こえの効果の影響に関しては、形状>調整>性能の順で重要になります。

片耳のみ難聴の方を対応する中で、私自身、様々なことをしてきましたが、それによりわかったのは、音の調整で形状による効果の壁を越えられないことでした。そのため、本当に聞こえやすくしたいのであれば、どの形状が効果がでるのか。それを理解することが何よりも重要になります。

クロスの形状と組み合わせ

クロス補聴器を選択する場合、

  • 形状
  • 組み合わせ

のそれぞれを選んでいく必要があります。実際に選ぶのは、組み合わせですが、こちらでは、補聴器をつける側の形状による特徴、そして、クロスをつける側の形状による特徴の2つにわけ、それぞれの形状の特徴に関して載せていきます。

使える形状は、どちらも耳の中に入れて使用するタイプと耳の上に乗せて使うタイプの2つしかないのですが、使う耳により、それぞれの特徴が異なります。

形状による違い

では、早速形状の違いに関して見てみましょう。

  • 共通する要素
  • クロス側が関係すること
  • 補聴器側が関係すること

の3つに分けて記載します。なお、基本的に形状には、

  • 耳かけ形
  • 耳あな形

の2つがあります。

耳の裏に補聴器がある。耳にかけて使用するのが、耳かけ形の特徴。

耳の裏に補聴器がある。耳にかけて使用するのが、耳かけ形の特徴。

耳かけ形は、このように耳の上に乗っかる機器で、耳の上に本体をかけることによる利点、欠点があります。

耳の中に機器を丸ごと入れるのが、耳あな形の特徴。

耳の中に機器を丸ごと入れるのが、耳あな形の特徴。

耳あな形は、このように耳の中に入れて使用するものです。耳の中に入れることによる利点、欠点があります。

そして、クロスもこの2つの形状があります。

共通する要素

クロス側、補聴器側で共通する要素は、載せる位置です。

耳かけ形

耳かけ形の場合、耳の上に載せます。

耳の上に機器を乗せるとそこに重なるものが邪魔になる。

耳の上に機器を乗せるとそこに重なるものが邪魔になる。

それにより、メガネやマスク、ヘルメットなどの邪魔になりやすくなります。

また、この部分は、汗の通り道になりますので、汗をよく掻く方、もしくは、運動量の多い仕事をしている場合、汗の影響も受けやすくなります。

補聴器は、汗による故障が多く、この影響を受けやすい耳かけ形は、耳あな形より、故障しやすい傾向があります。

基本的に置く位置だけを見ると、利点はありません。

耳あな形

耳あな形の場合は、耳の中に入れて使用します。

耳の中に入れるものだと、邪魔になるものは、ない。耳の中に重なるものはないからだ。

耳の中に入れるものだと、邪魔になるものは、ない。耳の中で重なるものはないからだ。

耳の中に機器を入れられると、上記のような邪魔になることはありません。このような使い勝手は、耳あな形の方がよくなります。

クロス側の形状特徴

クロス側が影響するのは、音を拾う範囲です。それにより、補聴器の効果が異なります。

耳かけ形であることの特徴

耳かけ形は、簡単に説明しますと全体的に音を拾う感覚があります。

かなり大雑把だが、耳かけ形は、広く音を拾う傾向がある。これは、マイクが後ろにあることも大きい。

かなり大雑把だが、耳かけ形は、広く音を拾う傾向がある。これは、マイクが後ろにあることも大きい。

横の軸は、このようになります。縦も広く、頭上の音もよく拾うようようになります。また、補聴器のマイクが後ろについているせいか、後方からの音も入りやすい傾向があります。

音を拾う範囲が広いことは良いように感じますが、その代わり、様々な音が入り、騒がしいところでは、前方からくる音がわかりにくくなる特徴があります。

人の耳は、前方からくる音を±0とすると、後方からくる音を-5dB軽減します。このような効果のおかげで、前後で同じ音量を出したとしても前方の音を中心に聞くことができます。

しかし、耳かけ形は、全部の方向からの音が入るため、そのような機能が活かせません。結果的に、どちらかというと耳かけ形の方が騒がしい中では聞きにくくなりやすい傾向があります。

耳あな形であることの特徴

耳あな形は、人の耳と同じ感覚で音を拾えます。主に前方を中心に拾い、後方は、少し音量が下がります。

耳あな形の場合は、良くも悪くも耳がもつ音を拾う範囲で拾う。これはあくまでも横軸だが、縦軸も耳かけより狭い。つまり人の耳は、ある程度、拾う音の範囲を絞って聞いていることがわかる。音を拾いすぎると騒がしくなった際に聞きにくくなってしまうからだ。

耳あな形の場合は、良くも悪くも耳がもつ音を拾う範囲で拾う。これはあくまでも横軸だが、縦軸も耳かけより狭い。つまり人の耳は、ある程度、拾う音の範囲を絞って聞いていることがわかる。音を拾いすぎると騒がしくなった際に聞きにくくなってしまうからだ。

このような状態です。ほぼ、耳かけ形に記載してしまいましたが、騒がしいなかでは、こちらの方が聞きやすい傾向があります。

なお、あくまでも当店でお客様に試聴した結果ですが、クロス側を耳あなにすることで

  • 騒がしい中での聞き取りは、こちらの方が良い
  • 聞こえる音の範囲が広がった

というように伺うことが多いです。多いのは、騒がしい中での聞き取りは、こちらの方が良いというケースになります。そして、実際には、前方は、耳あな形のクロスにした方が聞こえが良いようで、より離れたところでも聞きやすくなっているということも伺います。

それでも聞きにくいところは出てはしまうのですが、効果に関しては、クロス側を耳あなにする。つまり、人間の耳の機能をそのまま利用した方が、聞こえが良くなるということがわかってきました。

まとめ

クロス側の違いは、主に音を拾う範囲です。それが、形状により異なります。そして、効果を重視したいのでしたら、耳あな形のクロスをお勧めします。

上記のように耳あな形クロスを使用することにより、効果が得られやすくる傾向を私の方で感じています。また、それだけでなく、耳かけ形のクロスですと、効果が薄いことが、私の方ではわかってきました。

聞こえにくさが改善されればそれだけ、困ることも少なくなりますので、耳かけ形が使えないことがない限りは、耳あなのクロスを使う方がより良くなります。

補聴器側の形状特徴

補聴器側で関わる要素は、聞こえの効果と装用感覚になります。

耳かけ形

耳かけ形の補聴器の場合、聞こえる耳に装用するタイプとしては、理想の形状です。それにより、装用感が楽で、かつ補聴器を使う上で感じやすい不快な感覚は、少なくなります。

ここで、クロス補聴器の仕様について説明させてください。クロス補聴器は、聞こえる耳に補聴器を装用し、聞こえない耳にクロスを装用します。そのようにして、聞こえない耳に来た音を聞こえる耳に転送するのが、クロスです。

一つの耳で両方の音を聞くには、転送させることもそうですが、聞こえる耳は、そのままの耳で聞く必要があります。

そのため、このような加工をして、音がそのまま耳に届くようにしています。耳を塞がないようにすることで、そのまま聞こえるようにしているということですね。

その加工がしやすいため、耳かけ形補聴器は、クロスを使用する上で、非常に理にかなったものとなります。

耳あな形

一方、耳あな形は、耳の型を採取して作るものです。耳の中に全ての部品を詰め込むため、耳が埋まりがちになります。

あくまでも模型を装用した状態ですが、このようになります。ほんの少し、穴をあけ、そこから音を入れるようにします。それだけでは足りませんので、さらに補聴器側のマイクも動作させて、聞こえにくくならないようにします。

耳あな形の場合の欠点は、

  • 耳が埋まることで、聞こえる耳側の音が聞こえにくくなることがある
  • 自分の声がこもって聞こえることがある

の2つです。

実は、逆に利点もあり

  • 耳が塞がれているぶん、転送された音がストレートに伝わる

ということもあります。

補聴器の世界では、耳を塞がないことにより、こもった感覚は無くなります。ただし、その代わり、聞こえの効果も薄くなります。耳かけ形は、補聴器側に使う上では、理想の形状ですが、耳あな形より、音が少々、弱くなりやすい傾向があります。

今現在、耳あな形の補聴器側は

実際のお客様の例。穴を大きくして、なるべく聞こえにくくならないよう加工。

実際のお客様の例。穴を大きくして、なるべく聞こえにくくならないよう加工。

このような加工を行い、上記の欠点である2つを改善させつつ、聞こえの効果を出すようにしています。

なお補聴器の形状は、こちら。かなりエグッてあり、聞こえにくくならないように加工したものだ。

なお補聴器の形状は、こちら。かなりエグッてあり、聞こえにくくならないように加工したものだ。

ただ、ある程度耳が大きくないと、このように加工ができませんので、耳あな形は、耳の形状によって制限が出ます。

まとめ

補聴器側の形状に関しては、上記の通りです。聞こえの効果に関しては(聞こえにくい側から転送さされる音)、耳あな形の方が若干よく、装用感覚に関しては、耳かけ形の方がよくなります。

また、聞こえる耳側からくる音は、耳かけ形の方が、良くも悪くもそのままで入りますので、聞きやすくなります。

聞こえる側につけるものも形状により、聞こえの効果や装用感覚が変わります。

クロス補聴器の組み合わせ

さて、それぞれの形状による特徴がわかったことで、今度は、組み合わせに関して見ていきましょう。クロス補聴器の組み合わせには、

  • 両耳とも耳かけ形
  • 両耳とも耳あな形
  • クロス側は耳あな形、補聴器側は耳かけ形

の3つがあります。

両耳とも耳かけ形

両耳とも耳かけ形は、このようなタイプです。

耳かけの補聴器と耳かけクロスの組み合わせ。試聴するケースは、多いが、効果は、イマイチであることが多い。

耳かけの補聴器と耳かけクロスの組み合わせは、こんな感じ。

試聴用として主に使われるのですが、聞こえの効果としては、最も薄くなります。全体的に音が入るせいか、騒がしい中では、特に聞こえにくいという声をよくもらいます。

私自身のところでは、耳あな形が使えないことがない限りは、お勧めすることはありません。

両耳とも耳あな形

両耳とも耳あな形は、このようなタイプです。

両方とも耳あなの組み合わせは、こんな感じ。どちらも同じような形をしている。なお、こちらの場合は、耳の型を採取して、作るタイプとなる。

両方とも耳あなの組み合わせは、こんな感じ。どちらも同じような形をしている。なお、こちらの場合は、耳の型を採取して、作るタイプとなる。

よく運動される方や仕事上、体を動かす方などにお勧めです。また、耳の中に入るため、メガネやマスク、ヘルメットといったものに邪魔されません。

補聴器を使う上では、とても理想的なのですが、上記の通り、聞こえる耳が聞こえにくくなる可能性があり、かつ、こもりも感じる可能性もあります。

耳の形状がある程度、大きければ2つのデメリットを解消しつつ、聞こえを改善させられるのですが、それ以外の方には、聞こえる耳が聞こえにくくなるデメリット、もしくは、こもりを強く感じてしまうデメリットの方が強くなってしまうため、お勧めできません。

使い手を選ぶ機器で、使えればかなり有効である分、合わない方には、とことん合わない機器になります。

クロス側は耳あな形、補聴器側は耳かけ形

誰にでも合い、かつ、効果もそれなりに期待できる優れものがこちら。

いいとこ取りした組み合わせが、こちら。電池の寿命が短いことを除けば、かなり優秀。

いいとこ取りした組み合わせが、こちら。電池の寿命が短いことを除けば、かなり優秀。

クロスは、耳あな形の方が効果がでること、補聴器側は、耳かけの方が快適、かつ使いやすいことにより、この2つのいいとこ取りしたのが、この組み合わせです。そのおかげで、誰でも効果が出るようにできるのが、こちらの機器です。

ただし、欠点があり、それは、電池の寿命が短いことです。両耳耳かけ形と両耳耳あな形は、現行機種を使えるのですが、この組み合わせにするには、旧タイプにしなければならないため、電池の持ちが悪くなります。

その点だけが唯一の欠点です。なお、仮にこちらにする場合は、少しでも電池が持つタイプを製作することをお勧めします。当店の場合は、作れれば大きいタイプを製作し、電池の持ちをなるべく長くしています。

組み合わせのまとめ

クロス補聴器には、これらの組み合わせがあります。クロス補聴器を決める要素は、形状より、どちらかと言いますと、どのような組み合わせを選択するか。こちらが重要になります。

それにより、装用感と聞こえの効果が変化します。

クロス補聴器の形状によるまとめ

クロス補聴器の形状に関することを載せて見ました。クロス補聴器の場合は、どちらかというと組み合わせの方が重要なのですが、その組み合わせごとにどのような特徴が出るのか。その説明のために形状に関しても載せました。

クロス補聴器の形状には、どのようなものがあるのか。そして、どのような特徴があるのか。その組み合わせまで理解できたのであれば幸いです。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム