2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

知っておきたい補聴器の効果を決める2つの要素

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補聴器の効果は、何で決まるのでしょうか。補聴器の性能でしょうか。補聴器の調整でしょうか。こちらに関しては、両方とも正解です。補聴器の効果は、性能+音の調整によって決まります。

補聴器は、単なる器にしかあらず、そこにどれだけ音を入れるのか、それが重要になります。どこまで聞こえるようにさせるか。というように表現した方がわかりやすいかもしれません。

補聴器を購入する場合は、なかなかわかりにくいかもしれません。どの補聴器を購入しようか、どの補聴器が良いのか。それに関して、迷いがちです。しかし、私からアドバイスするとしたら、補聴器を購入するというよりも聞こえを改善できるものは、どれで、かつ自分の予算の範囲内で購入できるのは、どれか。という視点でしていただくことをお勧めします。

補聴器の効果は、音の調節+性能で決まる

さて、いきなり答えを書いてしまいましたが、

  • 音の調整
  • 補聴器に搭載されている機能

の2つに分けて、どのように影響するのか。それについて載せていきます。

音の調節

補聴器に関わる音の調節には

  • 聞こえさせる目標値まで聞こえさせる
  • 気になる音を制限する

の2つがあります。

聞こえさせる目標値まで聞こえさせる

補聴器は、冒頭で記載した通り、単なる器でしかありません。補聴器を調整する人が、聞こえにくい人をどのように改善させるか。それが重要になってきます。

基本的に補聴器を装用して目指す数値は決まっており、その部分まで大きくできるのであれば大きくし、それが難しいのであれば、できる限り、使える状態にします。それが補聴器の調整です。

では、どんな風に目標値を出すかと言いますと、耳鼻咽喉科が主催する聴覚医学会では、以下のようになっています。

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(3)評価方法

ファンクショナルゲインが聴力の半分(ハーフゲイン)であるか、装用域値が1000Hzで35dB以内であればよい。ファンクショナルゲインは、低音域ではハーフゲインより少なくてもよく、高音域の利得は補聴器の性能上ハーフゲインが得られない場合がある。

評価例(図11)

補聴器適合例と適合不十分例を示した。▲印は低音及び高音部をのぞき非装用時の域値のほぼ半分のファンクショナルゲインを得ており適合例と言える。■印の場合は、ゲインが不足しており、適合不十分例といえる。

Audiology japan 53,2010 補聴器適合検査の指針(2010)聴覚医学会より引用

わかりにくいため、解説しますと、ファンクショナルゲインとは、補聴器を装用した状態と装用していない時の差。つまり補聴器を装用して、聞こえるようになった数値になります。

例えば、上記の図の1000Hzの補聴器なしは、60dB、補聴器あり(適合例)は、30dBですので、60から30を引き、30dBになります。これがファンクショナルゲインです。その部分が、聴力を半分にした数値か、ファンクショナルゲイン関係なしに補聴器を装用した時に聞こえが1000Hzで35dB以内なら良いですよ。という意味になります。

簡単に言いますと聴力を半分くらい改善させるか、1000Hzのみ35dB以内にすれば基準を達成できます。

ほとんどの販売店は、この基準に合わせて目標値を決め、そして補聴器の調整を行い、その数値まで目指します。

私自身も同様で、平均聴力が60〜70dBくらいまでは、

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概ね上記のような目標値にします。それよりも聴力が下がっている場合は、補聴器なしの数値の半分くらいを目標にし、調整していきます。私の場合は、上記の聴覚医学会のものをベースにし、自分自身で調整し、うまくいった症例のデータと組み合わせて目標値を設定しています。

あくまでも目指せる範囲内で補聴器の調整は行っていきます。音を大きくしすぎて使えなくなってしまうのは、もちろん、大きすぎると耳を痛めることにも繋がりかねません。音を聞こえるようにしつつ、大きすぎるところは、抑制する。それが補聴器の調整です。

なお、こちらを調べる測定が音場域値測定と呼ばれるものです。域値とは数値の意味で、補聴器を装用した状態で、どのくらいきこえるようになったかを調べるものになります。

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このようなBoxで

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スピーカーから音を出して調べます。補聴器は、この測定をしないとどのくらい聞こえているのかは、よくわかりません。中には、補聴器の音の特性(補聴器からでる音のこと)をみて合わせる販売員もいますが、補聴器は、耳の中の大きさ、マイクの位置、髪の量によっても聞こえが変化しますので、補聴器を装用した状態でどうか。それを見ないと実際のところは、わかりません。

メガネやコンタクトレンズを装用して目指す視力があるように補聴器も装用して目指す聴力があります。それに向かって補聴器は調整していきます。これがまず一つ目です。

きになる音を抑制する

音を大きくするのも補聴器の調整ですが、一方、気になる音を抑制するのも調整です。初めて補聴器をつける方で気になりやすいのは、高い音や紙の音、水の音などがあります。それ以外にも元々大きい、工事の音、ドアを閉める音なども入ります。

これらの音が大きい場合は、音量を下げます。ただし、大きいと感じるのはよく、大きすぎると感じる場合、音量を下げていきます。大きい音は、元々大きいため、良くも悪くも大きく感じるようにします。

まとめ、調整は、この2つ

補聴器の調整は、この2つになります。基本的には、目標値を定め、そこまで聞こえるようにし、気になる音は抑制する。そのようにして、聞こえをよくさせていきます。大きくする部分は、大きくし、あまりにも気になる音は、抑制させるといったほうがわかりやすいかもしれません。

初めに言えるのは、この部分がしっかりしていないと補聴器は聞こえるようにならないということです。補聴器を装用している状態の音が少なければ小さく音が聞こえ、あまり改善できないですし、聞こえにくいままとなります。大きくすると返ってつけられない場合をのぞき、基本的には、目標値を定め、その数値まで聞こえるようにさせていきます。

補聴器に搭載されている機能

補聴器には、音を調節する部分以外にも機能があります。それは

  • 騒がしい中で聞き取りをよくしてくれる指向性機能
  • 快適性を高めてくれる各種抑制機能

の2つです。厳密には、それ以外もありますが、聞こえに関係するのは、この2つになりますので、こちらに関して載せてきます。

騒がしい中で聞き取りをよくしてくれる指向性機能

補聴器の場合における指向性とは、音を拾う範囲を示します。人は、前方の音をより拾い、後方の音は、前方より拾いません。その特性を生かし、前方の音を拾い、後方の音、または左右の音を小さくすることで、前方の音を聞きやすくさせるのが、指向性になります。

大まかな概念は、このようになり、前方からくる音を騒がしい中で聞きやすくするための機能が、指向性です。

快適性を高めてくれる各種抑制機能

補聴器は、良くも悪くも全体的に聞こえるようにしてくれます。そのほか、補聴器特有の音と言いますか、気になりやすい音があります。それは、

  • 暗騒音(あんそうおん)
  • 風の音
  • 突発的な大きな音
  • 反響する音

の4つです。これらを抑える機能もついています。

暗騒音(あんそうおん)

暗騒音とは、騒がしいところや音が多いところ、人が多いところで聞こえやすい、さーっといった音、ザーッ、ざわざわした音になります。youtubeなどでもビデオカメラで撮影した音を聞くと周囲のざわざわした音が入ったりしているのですが、この音が聞こえやすくなります。

どんな人でも感じるものですので、難聴の人が特別感じやすいわけではないのですが、周囲のざわざわした音は、気になりやすい音の一つで、かつ聞かなくても良い音の一つでもあります。そのため、補聴器の機能には、この音を軽減させる機能があります。主にノイズキャンセラー、ノイズブロックなどと呼ばれる機能です。

風の音

風の音は、マイクに風が当たると聞こえる音で、補聴器の場合、結構な音量で聞こえます。補聴器に限らず、スマートフォンでも、マイクに息を吹きかけると、ものすごい音量で聞こえますが、それが補聴器でも起こります。

風が強い日は、この音が感じやすく、時には、かなり聞きにくくなります。そのような音を抑制する機能があります。

突発的な大きな音

突発的な大きな音とは、ドアを閉めた時の音、何かを落とした際に聞こえる大きな音、ヒールのかつかつする音になります。大きい音は、基本的に不快になりやすく、その部分だけを抑える機能もあります。私自身が使っている補聴器にもこれがありますが、あるとかなり楽になります。

このような機能が追加されたのは、聞こえるほうがいいけれども、何も大きい音で聞く必要はないよね?ということで 抑えられるようにしています。もちろん、本質的には、不快に感じるからではありますが、大きい音で聞く必要はないため、このような機能が入っていると日常生活は、楽になります。

反響する音

反響する音は、音が広がってしまい、音の輪郭がぼやけるような感覚になりがちです。そのため、なるべく反響しないようにする機能もあります。

補聴器の機能は、主にこの2つ

補聴器の機能は、主にこの2つがあります。これらの機能は、金額により、性能が異なったり、その機能そのものがあったり、なかったりします。

補聴器は、お金をかけるとかけるほど、快適性や騒がしい中での聞こえは、よくなります。もちろん、それでもうるさく感じてしまうことがあったり、聞きにくいことはあるのですが、今現在の技術でできる限り、聞こえの改善をしてくれます。

なお、これらの抑制機能は、基本的に不要な音、もしくは、そこまで聞こえなくて良い音になります。例えば、風の音や暗騒音、反響する音は、聞こえなくても全く問題ない音ですし、突発的な大きな音は、そこまで大きい状態できく必要がない音です。抑制機能と聞くと自分にとって都合が悪い音を抑制してくれるように解釈しがちですが、補聴器が考える抑制とは、このような必要ない音、そこまで大きく聞こえる必要がない音を指します。

補聴器の効果は、この2つで決まる

補聴器の効果は、この2つで決まります。そして、ここからが重要ですが、補聴器の音の調節と機能、どちらが重要かと言いますと、それは、音の調節です。補聴器で目指すべき目標値まで聞こえさせないと思うように聞こえが改善できないためです。

例えではありますが、音の調整はしっかりしていれば、機能はほとんどついていない場合でも、聞こえは改善できます。しかし、音の調整は、まるでダメで、機能はすごく優れたものがついているとした場合は、聞こえは、改善できません。聞こえさせる部分まで聞こえさせないと聞こえにくさを感じてしまうためです。

重要度は、補聴器の音の調整が上で、その次に機能です。補聴器を購入する時、どうしてもメーカーや機種などわかりやすいものに目が行きがちですが、本当に重要なのは、補聴器を調整してくれる人です。その人が、どのように聞こえを改善させるのか(補聴器を調整するのか)。その方法により、聞こえの効果は、異なります。

補聴器の性能は、確かに重要ですが、それは、あくまでもちゃんと調整してくれることが条件です。その基本の部分を重視し、自分が考える予算の範囲内で購入すれば間違いはないでしょう。どのメーカーか、どの機種か、という部分に目が行きがちですが、本当に重要なのは、この基本の部分のどのように聞こえを改善させるか。になります。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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