重度難聴の改善の際に考える2つの選択肢


重度の聴力障害の場合、耳が治療できないケースでは、改善させる方法として、補聴器を装用するか、人工内耳と言われるものを使うか。この2つに一つになります。

人工内耳とは、耳を手術して、耳の中に機械を埋め込み、聞こえを改善させる機器で、補聴器は、そのまま耳に装用し、聞こえを改善させる機器になります。

この2つの機器ですが、何を重視するか。それにより、選択が変わります。あくまでも私自身が実際にお客様に説明していることを載せていきます。

何を重視するかで決まる

人工内耳と補聴器、どちらがいいかは、簡単に言えば、何を重視するかで決まります。聞こえの改善を重視するなら、人工内耳ですし、選択肢として、無難な方法を選びたいのであれば、補聴器になります。

人工内耳の特徴は

  • 耳を手術する必要がある
  • 補聴器よりも聞こえの効果が高い

の2つになります。簡単に言いますと手術をするリスクはあるけれども聞こえの効果が補聴器よりも良くなる。ということです。

一方、補聴器は、

  • 耳を手術する必要はない
  • 人工内耳よりも聞こえの効果は薄い

となります。こちらは、手術などの特殊なことはせず、そのままつけますので、ほぼリスクなしに聞こえの改善ができます。ただし、人工内耳よりは、効果は薄くなります。

この2つの違いは、たったこれだけしかありません。

人工内耳がした効果の改善

もともと、一般的な重度難聴の方の改善方法は、補聴器を装用することでした。しかし、重度の難聴の場合、補聴器の効果は薄い状態でした。というのも音を大きくできたとしても音声を聞き取る音量の部分までは、なかなか改善できなかったためです。

補聴器の聞こえは、視力や聴力のように可視化することができます。それで説明しますと

数値の意味に関しては、この通り。ある程度、聴覚のみで理解する場合、音だけで評価するとこのようになる。黄色まで聞こえを改善できるとそれなりに良くなるのだが、残念ながら重度難聴の方は、青の範囲内までしか改善できないことが大半になる。

数値の意味に関しては、この通り。ある程度、聴覚のみで理解する場合、音だけで評価するとこのようになる。黄色まで聞こえを改善できるとそれなりに良くなるのだが、残念ながら重度難聴の方は、青の範囲内までしか改善できないことが大半になる。

仮にこのくらいの聴力の場合は、頑張れば▲くらいまでは、行きます。では、対面での会話で、聞き取るのに必要な数値は、どのくらいかと言いますと、黄色いラインで囲んだ部分くらいです。※音の数値だけで判断した場合に限ります。

軽度難聴から中等度難聴くらいですと、黄色のラインまで改善できるのですが、重度難聴の場合は、青のラインまでの改善になります。こちらを見るとおわかりの通り、補聴器の場合、聴力によって改善できる数値は、異なります。

聴力低下が重くなると重くなるほど、改善の幅は、限られ、重度の難聴の場合、補聴器を装用することで、聞こえやすくなっているものの、音声そのものが理解できるかと言いますと、それは、難しい状態です。聞こえてくる音と唇の動きを見つつ、なんとか理解するのが多くなります。

では、より改善させるためには、どうしたら良いか。そこで開発されたのが、人工内耳です。耳の場合、耳の中の神経である有毛細胞という神経があるのですが、重度の難聴の場合、こちらの細胞がほぼなく、音そのものが非常に受け取りにくい状態です。

そこで、無理やり音を大きくして受け取りにくい状態のところに音を流すのではなく、受け取りにくい神経に直接流す方法を考え、音の情報を伝わりやすくしたのが人工内耳です。内耳というところにある有毛細胞に電極を流し込み、直接音の情報を流すことで、より改善させられないかと考え、改善させるようになりました。

人工内耳の改善範囲。補聴器よりも大きく上回り、補聴器では決してたどり着けない部分まで改善させることができるようになった。健聴の方の聴力には、及ばないが、補聴器より、改善値は高くなる。

人工内耳の改善範囲。補聴器よりも大きく上回り、補聴器では決してたどり着けない部分まで改善させることができるようになった。健聴の方の聴力には、及ばないが、補聴器より、改善値は高くなる。

今現在は、このくらい改善できるのがスタンダードになりつつあります。補聴器と比較すると非常に良い数値で、補聴器では、決して達成できない数値になります。そのため、医療関係者は、聞こえの改善を希望される場合は、補聴器よりも人工内耳を勧めます。その方が聞こえにくさを改善できる可能性が高いからです。この点は、私も同様です。

音が聞こえにくいことに関しては、鼓膜がないとか、鼓膜が損傷しているというわけではありません。音を感じにくい理由の大半は、音を感じる神経が、損傷し、機能しづらかったり、神経そのものが損傷し、なくなってしまっていることによります。そのため、その神経そのものの働き、もしくは、直接、外の音情報を神経に伝えるという方法で改善させたのが人工内耳になります。

それにより、健聴の耳には、まだまだ及ばない状態ですが、補聴器よりは、効果を高くできるようになってきました。

どちらが自分にとって良いか

選択肢の考えは、どちらが自分にとって良いか。となります。聞こえの改善を重視したい、少しでも会話ができるようになりたいという場合は、人工内耳です。基本的に一般的な社会で暮らす場合であれば、音声による会話が非常に多くなるため、そちらの改善を優先する場合は、人工内耳になります。

一方、手話でほとんどコミュニケーションしたり、コミュニケーション手段として、音声を活用しないのであれば、補聴器となります。中には、補聴器を装用しない人もいますが、音が聞こえないと日常生活上の危機もありますので、身を守る意味では、補聴器があった方が、良いと私は、考えています。

どちらの選択肢もデメリットもあれば、メリットもあります。人工内耳を装用したとしても耳が治るというわけではなく、かつ、半年ほど、リハビリのような期間が必要となりますが、今現在、できる限りの改善をすることができます。

まとめ

あくまでも私自身の考えではありますが、このようになります。補聴器を売る販売店の人間が言うのもなんですが、補聴器の効果と人工内耳の効果は、天と地の差があります。医療関係者達の努力により、人工内耳の効果は、補聴器では、決して出せない部分まで到達できるようになりました。

もちろん人によって効果が異なるのは、そうですが、そんなことを言い出したら、補聴器だってそうです。人によって効果を受けやすい人もいればそうでない人もいます。また、それでもまだまだ健聴の人よりは、全然聞きにくい状態です。耳が治るわけではないのは、その通りです。

しかし、補聴器より改善できる部分が増えてきているのは事実であり、リスクはあるものの、聞こえの効果に関しては、良くなってきました。

ですので、私の場合は、時には、補聴器ではなく、人工内耳を勧めます。その方が求めているものが、聞こえの効果であれば、尚更です。補聴器による予想改善値と人工内耳の予想改善値では、人工内耳の方が高くなるためです。

聞こえにくい人が欲しいのは、厳密には、補聴器や人工内耳といった「物」ではなく、自分の聞きにくさは、どのようにしたら最も改善できるか。であることが大半です。その考えに合うものを提供する。と言うのが私がしていることです。

どのようなことを望むかにより、変わりますが、重度の難聴の方の場合、私は、こんな風にしています。